林田学監修:適格消費者団体の動向

林田学監修:適格消費者団体の動向

弁護士出身の実業家・林田学です。適格消費者団体の動向についてお伝えしていきます。
適格消費者団体は、景表法・特商法に関して消費者庁を補完する役割を果たしており、その動向は重要です。

< はじめに >
1.適格消費者団体は、消費者庁に認められた消費者団体で、現在22あります。
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消費者契約法や景表法、特商法に違反する疑いのある広告や規約などに対し、その差止を求めることができます。
30年近く続いたクロレラチラシはこの差止請求を契機として終焉を迎えることになりました。

2.適格消費者団体の中で、消費者に代わって返金を求めることができる団体を特定適格消費者団体と言い、消費者庁はこれまで3団体を認めています。
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景表法違反で措置命令を受けた葛の花広告事件でこの返金の申入が行われています。

3.このサイトでは、Part.1で美健関係の事件を扱い(健食・化粧品・医薬品・機器・施術・エステ・ジム・クリニックなど)、Part.2でそれ以外の事件を扱います。

4.消費者団体からのアプローチに関する質問・ご相談はこちらにどうぞ




適格消費者団体から申入があったら薬事法ドットコムへ
・適格消費者団体に対する交渉はYDCパートナー弁護士である松沢建司弁護士・西脇威夫弁護士が担当します。
・他の法律事務所に依頼するのとの違いは次の点です。
1.これまで100件近く景表法案件を処理した経験があり、景表法を熟知しています。
2.グループに臨床試験機関JACTAがあり、また広範なドクターネットワークを有するため、容易にエビデンスを用意することができます。

RIZAPに対する申入について
・薬事法ドットコムは、2店舗の時代からRIZAPをサポートしています。
・2015年、会員規約の全額返金保証に関して、神戸の「NPO法人ひょうご消費者ネット」が実態と異なると申入れをした際の対応に関し、木川弁護士はECのミカタにおいて見事な対応であったと評価しています。

特定適格消費者団体による返金要求について
特定適格消費者団体は、被害を受けた消費者に変わり、被害金を取り戻すことができます。措置命令を受けた企業はその対象となりえます。
1.葛の花広告事件

下記の16社が措置命令を受け、このうち、ニッセンは自主的に返金を行ったため、15社を対象として消費者支援機構関西(KC's)が返金を仲介し、14社はそれに応じている(Nalelu社はKC'sのサポートを拒否している)。

1.株式会社太田胃散
2.株式会社オンライフ
3.株式会社CDグローバル
4.株式会社全日本通教
5.ありがとう通販株式会社
6.株式会社ECスタジオ
7.株式会社協和
8.株式会社スギ薬局
9.株式会社ステップワールド
10.株式会社テレビショッピ ング研究所
11.株式会社Nalelu
12.株式会社ニッセン
13.日本第一製薬株式会社
14.株式会社ハーブ健康本舗
15.ピルボックスジャパン株 式会社
16.株式会社やまちや

2.酵素ダイエット広告事件

下記の5社が措置命令を受けた。このうち、株式会社ユニヴァ・フュージョンは措置命令が撤回され、株式会社モイストは消費者庁に返金計画を提出している。残る3社(ジェイフロンティア株式会社、株式会社ビーボ、株式会社ジプソフィラ)は、KC'sの返金の申し入れに対して、返金に応じると回答している。

 1. ジェイフロンティア株式会社
 2. 株式会社ビーボ
 3. 株式会社ユニヴァ・フュージョン
 4. 株式会社ジプソフィラ
 5. 株式会社モイスト

 

1.消費者団体

埼玉消費者被害をなくす会

 

2.概要

2024年1月30日 埼玉消費者被害をなくす会は、消費者が脱毛エステ業者株式会社ビューティースリーの「全身脱毛無制限コース」を契約し、ライフティに分割払いクレジットを利用して支払った代金を、ライフティから消費者に返金することを求める集団的被害回復制度の共通義務確認訴訟を提起した。

>>訴状

3.経緯

2023年10月~11月、ビューティースリーが9月末に破産決定。なくす会がライフティは有料施術を受けた回数のみで清算する対応であり、無償施術分は対応しない旨の情報提供を受ける

 

2023年12月13日、なくす会はライフティに対し、ビューティースリーの脱毛エステ契約にクレジット契約を提供した件数、「5回目以降無償施術・期間無制限」の約束に関する認識などを問い合わせを実施

>>問合せ

 

2024年1月19日、ライフティはクレジット契約の与信対象は1年間4回の有料契約分であり、5回目以降の無料施術分の附帯特約は対象ではないから解約時の清算対象でもない旨を回答

>>回答

 

国民生活センターに数百件の相談が寄せられていることが判明。なくす会は多数の事案について個別交渉・個別訴訟では適正な解決が困難であると考え、2024年1月30日、集団的被害回復訴訟を提起。

>>通知書兼申入れ書

>>訴訟の概要

 

 

 

1.消費者団体

消費者支援機構関西

 

2.概要

 

2022年3月1日 消費者支援機構関西は、株式会社ハハハラボが通信販売サイトで販売する「JOMOTAN1個トクトクコース」の広告表記について「お問合せ」を送付。

 

2022年9月1日 「お問合せ」に対する同社の回答書一式を検討した結果、消費者支援機構関西は、広告画面及び購入時の最終確認画面には特定商取引法上の問題があるとの判断に至り、差止めを求める「申入書」及び消費者団体としての任意の要請である「要請書」を送付。

  • 購入時の最終確認画面の最上部に、ご注文内容JOMOTAN1個トクトクコース…合計(税込)\500」の表示を停止すること
  • 「初回実質無料」という表示や注文フォームにおける注文内容の確認としての「【1本トクトクコース】100g×1本お届け 初回限定価格 実質無料(送料相当\500(税込)のみ)」を一体として表示することを停止すること
  • 「初回実質無料」の表示の近くに、同程度の大きさの文字で、定期購入であることの表示を行うこと

 

2022年11月29日 株式会社ハハハラボは「回答書」を送付

 

2023年3月30日 「回答書」では、消費者支援機構関西が申入れを行った表示の削除と、要請を行った表示の修正が明記されていたが、消費者の誤認を発生させない改善には至っていないと消費者支援機構関西は判断して、景品表示法第30条第1項第2号に定める有利誤認表示に該当するとして、「再申入書」を送付

 

>>>「再申入書」 

 

 

1.消費者団体

消費者支援機構関西

 

2.概要

2022年9月1日 特定非営利法人消費者支援機構関西は、株式会社希乃屋が通信販売サイトで販売する「希乃屋エアカラーフォーム」という名称の染毛剤の広告表記について差し止めを求める「申入書」と質問及び情報提供を求める「お問合せ」を送付。

  • 「定期コースで始める4つのメリット」に「いつでも解約OK」と表示していること
  • 購入時の最終確認画面の「ご注文確認画面」に「定期購入」と明示せず、「キャンペーン内容」欄に「定期コース」と記載していることの停止を申し入れ。
2022年10月3日 株式会社希乃屋は「既に広告出稿を止めており、2022年9月21日付けで販売URLの非表示といたしました。」と「回答書」で返答。

 

2023年3月30日 消費者支援機構関西は、契約継続中の顧客に対する自社サイトからの販売も中止したのか、また、その販売が継続している場合の休止又は解約手続方法について改めて問い合わせることとして、「再お問合せ」を送付。

 

>>再お問合せ
 

 

 

1.消費者団体

消費者支援かながわ

 

2.概要

消費者支援かながわは、プレミアムウォーター株式会社に対し、「サービスの解約を申し出た時点で最低利用期間が満了していない場合、解約の時期を問わず一律の契約解除料を定めている条項があり、消費者契約法第9条第1号に抵触する」として、2022年10月28日付で申入れを行った(>>申入書)。

 

これに関して、消費者支援かながわは11月24日付でプレミアムウォーター社からの回答を受領したとして、その要旨を公表した。

 

<回答要旨>

・サービス(利用契約)が3年未満で解約されたときの契約解除料は、平均的な損害の額を超えるものではなく、合理的な金額である。
・本利用規約の製品保証料は、転売利益が発生しない金額設定であり、合理的算出に基づいた設定金額である。

 

 

 

1.消費者団体

消費者支援機構関西

 

2.概要

消費者支援機構関西は、全身脱毛サロン「キレイモ」を運営する株式会社ヴィエリスに対して、2022年11月29日に特定商取引法58条の22第2項2号に基づき、「申入書兼再々お問合せ」を送付し、申入れ(不当な特約の差止請求)を行った。

消費者支援機構関西は、2022年3月25日付「お問合せ」を送付して以降、お問合せ活動を行っていた。

 

申入れの主旨は以下の通り。

① 同社契約書の「施術提供延長期間」において顧客から解約がなされた場合に、特定商取引法49条に基づく中途解約及び顧客への返金を認めない旨の特約を締結することを停止すること。


② 現行の同社契約書記載の「契約期間」「施術提供延長期間」いずれの期間における解約の場合であっても特定商取引法49条に基づく中途解約が認められ、同条に基づく返金措置がなされるよう、現行の契約書の記載を適切に訂正すること。
(対象となる契約)
   ・全身脱毛18回パーフェクトプラン
   ・全身脱毛お試しプラン   
   ・全身脱毛無制限プラン
   ・全身脱毛15回プラン
   ・全身脱毛10回プラン

 

>>申入書
 

 

 

1.消費者団体

消費者支援機構関西

 

2.概要

2022年11月25日、消費者支援機構関西は、バリューマネジメント株式会社に対し、キャンセル料規定が、その平均的な損害の算定方法について「再販率」を考慮したものではなく、消費者契約法第9条第1項に抵触するとして、同社のキャンセル条項の使用停止と適切なキャンセル料規定への改定を求める「申入書」を送付した。

>>申入れ書

 

これに対して、2022年11月28日、バリューマネジメント株式会社は、キャンセル条項の「契約日から150日前」のキャンセル料については、その期間を3区分に細分化して、それぞれの期間に合ったキャンセル料に改定する旨を回答した。

>>回答書

 

 

 

1.消費者団体

消費者支援かながわ

 

2.概要

消費者支援かながわは、プレミアムウォーター株式会社に対し、「サービスの解約を申し出た時点で最低利用期間が満了していない場合、解約の時期を問わず一律の契約解除料を定めている条項があり、消費者契約法第9条第1号に抵触する」として、申入れを行った。

 

 

 

 

1.概要

  • インシップ社がノコギリヤシサプリについて頻尿防止を暗示する広告を行っていたことに関し、適格消費者団体消費者ネットおかやまが2020年2月19日、景表法違反としてその差止を求めて岡山地裁に提訴した。2022年9月20日、岡山地裁は「ノコギリヤシの頻尿改善効果を肯定する研究報告等も相当数見られるのであるから、ノコギリヤシに、少なくとも個人差のある一定程度の頻尿改善効果が認められる可能性は否定しきれない」と述べて、インシップ勝訴の判決を下した(インシップ社、勝訴の告知)。
 

 

2.コメント

  • 適格消費者団体による広告差止請求訴訟の重要先例は、クロレラ広告チラシに関する京都地裁2015年1月21日の判決がある(クロレラチラシ事件)。
 
  • そこでは、「医薬品的効果を訴求しているが、医薬品として認められているものではないから、その点において優良誤認になる」というロジックが展開されていた。
 
  • このロジックに従うならば、本件でもインシップ社の健食は医薬品として承認されていないのに、医薬品的効果を訴求しているので優良誤認になるはずだが、本判決は京都地裁のロジックには従わず、「医薬品として承認されているか否か」という形式的基準ではなく、暗示している効果が本当にあるのか否かを実質的に判断している。
 
  • 京都地裁のロジックは、適格消費者団体が景表法違反として裁判外で広告の差止を請求する際にしばしば採用されているロジックだが、(簡単に言えてしまうため)本判決によりこのロジックの採用は今後難しくなると思われる。

 

 

 

 

 

1.消費者団体

埼玉消費者被害をなくす会

 

2.概要

埼玉消費者被害をなくす会は、株式会エムアンドエムに対し、2022年8月3日付けで消費者契約法第41条に基づく「書面による事前の請求」として「差止請求書」を送付、同8月9日付で「回答」を受領した。

 

3.請求の要旨

(表示媒体) ウェブサイト

 

(対象となる商品) 「ZerofactoR Zローション」

 

(対象となる表示)

消費者が実際に返金を受けるためには厳格な要件を満たす必要があるにもかかわらず、その要件を明示することなく、「自信があるからこそ210日全額返金保証」などと大きな活字で強調することにより、あたかも対象商品について効果が実感できなければ代金全額の返金を受けられるかのように誤認させる表示。

 

2022.8.3付け「差止請求書」

2022.8.9付け「回答書」

 

1.消費者団体

消費者支援機構関西(KC’s)

 

2.概要

消費者支援機構関西は、株式会社モイストに対して商品の購入状況・返金に関する告知文書・返金状況についての報告を求めたところ、同社は非開示とする旨の回答を行った。

そこで、消費者支援機構関西は、消費者庁に対して情報の開示を求める「申入書」を送付したが、消費者庁は、「機微な情報であるので回答できない」と返答。

これを受け、消費者支援機構関西は、消費者庁に行政文書の開示を求める「行政文書開示請求書」を送付した。

 

3.経緯

 

2021年11月1日 モイスト社に商品の購入状況・返金に関する告知文書・返金状況について報告するよう求める

 

2021年 11月19日 モイスト社は「いずれも非開示とさせていただきます。」と返答

 

2022年2月25日 消費者庁に情報の開示を求める「申入書」を送付

 

2022年3月31日 消費者庁は「機微な情報であるので回答できない」と返答

 

2022年5月6日 消費者庁に対し、行政文書の開示を求めて、「行政文書開示請求書」を送付