すき間のない救済を求めアスベスト石綿健康被害省庁要請 6月27日14:00衆院第一議員会館
中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会と、環境省・厚生労働省をはじめとした省庁交渉が行われました。この交渉を受けて、6月27日14:00から衆議院第一議員会館にて、対面で行われます。直接中央官僚に、患者・家族の意見を届ける貴重な機会です。<6・27>省庁交渉 開催のご案内とアスベスト石綿健康被害に係るすき間のない救済を求める要望書 | 中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会2025/06/08お知らせ省庁交渉<6・27>省庁交渉 開催のご案内とアスベスト石綿健康被害に係るすき間のない救済を求める要望書公開日:2025年6月8日下記のとおり要望書を関係省庁へ提出しました。本要望書に対する回答は、6月27日(金)14時〜から予定しております省庁交渉の会場(衆議院第一議員会館大会議室)にて各省庁からもらう予定です。当日はその回答を踏まえて患者さんやご家族から実情を踏まえた声を届けていただく予定です。当会会員以外の方でご参加を希望の方はこちらからお申し込みください。お問い合わせ内容に「省庁交渉参加希望」とご記入ください。__________2025年6月5日環境大臣 浅尾慶一郎 様厚生労働大臣 福岡 資麿 様総務大臣 村上誠一郎 様中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会会長 小菅千恵子アスベスト石綿健康被害に係るすき間のない救済を求める要望書アスベスト健康被害をとりまく諸制度に関して、2025年5月30日の関係省庁のみなさまの回答を踏まえて下記の通り要望します。1 被害者軽視の姿勢の是正と公平な行政運営(環境省、厚労省)私たち患者・家族・被害者は、行政が患者・家族・被害者に向き合わず、その声を聴こうとせず、加えてその要望にも一切答えようとしない姿勢に、強い憤りと環境・厚生労働行政に対する大きな不信を感じております。①これまでの姿勢をあらため、患者・家族の声を聞く努力をしてください。努力していく場合、具体的にその方法を示してください。②厚生労働省では現在、「労災保険制度の在り方に関する研究会」を開催しています。私たちは2月27日付で厚生労働省に要望書を提出し、当事者の意見が十分に反映されるように要望しましたが、提出した要望書が委員会資料として公開もされておらず、ヒアリングの相談もされておらず、要望書が届いた旨の連絡がありません。要望をどう取り扱い、どのように対応していくか回答ください。5月30日のご回答では、ヒアリングの必要性は研究会で議論されるべき事項との回答がありました。検討会においてヒアリングの開催について研究会の議題の一つとして委員へその必要性を確認してください。また、同研究会は包括的に広く議論する場である旨の回答がありましたが、そうであれば可能な限り広く意見を聞くべきですが、ヒアリングされず、外部関係者から提出された意見が委員会資料としてホームページに掲載するなどもされていないことはその考えと矛盾するものです。広く議論するとはどのような趣旨で、具体的にどのような実践をされているのかお聞かせください。③被災者の各種制度における認定・不認定に直結、ないしは間接的に直結する議題が含まれる国が主催する審議会や検討会・委員会等の各種会議に、アスベスト被害者が損害賠償請求等を行った被告企業の証人、あるいは被告側の意見書作成に協力した研究者を参加させることは明らかな利益相反です。参加させないことを徹底してください。5月30日の回答では環境省からは事実関係を確認したい旨、厚労省からは審議会令等に照らして選任している旨の回答がありました。当該証人については厚生労働省の「じん肺標準エックス線写真集の改定等に関する検討会」、「石綿確定診断等事業石綿確定診断委員会」、「特定石綿被害建設業務労働者等認定審査会」、環境省の「中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害判定小委員会」、「中央環境審議会石綿健康被害判定部会」、「中皮腫・肺がん審査検討会」、「石綿読影の精度確保等に関する検討会委員」などの委員を務めています。これら検討会等において「中央環境審議会水環境・土壌農薬部会農薬小委員会の審議参加規定」や「薬事審議会薬事分科会審議参加規程」などを参考に速やかに利益相反規定を設け、規定の設置までは当該委員を参加させないでください。また、金品の授受があった場合はその事実を速やかに公表し、金品の受領以降の審査等において申請者等に不利益があった事案について再審査してください。2 アスベスト被害者の給付格差をなくす取り組み(環境省、厚労省)労災と救済給付の給付水準や給付体系には大きな格差があります。2022年から2023年にかけて行われた環境省による石綿健康被害救済小委員会に置いては、当事者である健康被害者及びその関連団体の意見は何一つ取り入れられず、加えて厚生労働省の関与も全くないまま、その取りまとめは“健康被害救済”とは名ばかりのものとなりました。取りまとめの発表も、パブリックコメント募集を行わないばかりか、議事録の確認も行われないまま、誤りを含んだ取りまとめが最終会合日の翌日に発表されるという、当事者の意見を恣意的に封殺する運用がなされました。これは、当時の環境省石綿健康被害対策室長であった木内氏が、こののち引き起こした水俣病患者団体に対してのマイク切り事件と並んで、長い環境庁・環境省の歴史においても最大の汚点のひとつと言えるものです。また厚生労働行政においても、先の高額療養費改正法案の凍結の経緯を引くまでもなく、当事者の意見を十分聴取・勘案したうえでその行政執行にあたるべきことは言うまでもありません。今後の、石綿健康被害救済行政においては、現在各行政機関で当然の事として行われている、当事者意見の聴取とその反映が必須であることを再認識したうえで、その運営に当たるべきであることは自明です。前回の石綿健康被害救済小委員会からすでに3年が過ぎようとしていることを踏まえると、今後の石綿健康被害救済小委員会の開催に向けた準備として、あるいは石綿健康被害救済行政を進めるうえでの当然の運営として、健康被害の当事者・関係者が何を考え、どのような意見を持っているか、どのような状態に置かれているかを把握するための、直接の意見交換・意見聴取を行う時期に来ています。このことこそが、これまでの当事者の意見を黙殺してきた石綿健康被害救済行政を改めることにつながります。当事者に寄り添うことのスタート地点は、当事者の意見を真摯に、かつ虚心坦懐に聴取して、行政運営に生かすことです。この点を反省・改善しない限り、石綿健康被害救済行政は、ひいては環境行政・厚生労働行政は、環境汚染による健康被害者を置きざりにしたという歴史の指弾にさらされ続けることを強く認識すべきです。①近年の物価上昇、犯罪被害者等給付金改正の動きなど、社会環境の変化を踏まえてすき間と格差をなくす給付内容に見直すべく、早急に石綿健康被害救済小委員会を再開してください。2023年6月に取りまとめられた「石綿健康被害救済制度の施行状況及び今後の方向性について」では、今後も「必要な調査を実施」し、制度をとりまく状況を注視する旨の記載がされています。この点、2023年6月27日の石綿健康被害救済小委員会において浅野直人委員長は「何が必要かということはその都度その都度出てくる」、「何が必要な調査であるかということについては、相当幅広に考えることができる」と発言しています。2022年6月17日に公布・施行された改正石綿健康被害救済法では、附則において施行後5年以内の見直しを規定しています。②に記載の制度をとりまく状況を踏まえて早急に見直しの議論に着手してください。また、その議論を有益なものとするために、私たち患者・被害者との定期的な意見交換の場を持ち、次回の石綿健康被害救済小委員会へ当事者の意見を反映できる体制を作ってください。②とりわけ、石綿健康被害救済制度における療養手当の給付額の見直し、居住地などに考慮した交通費などの支給、遺族給付の創設を検討してください。医薬品副作用救済制度は2012年当時には33,600円~35,600円/月額の幅で設けられていた給付額が2025年時点では36,900円~38,900円/月額になっています。また原爆援護法における健康管理手当は2006年当時は33,800円/月額だったものが2025年には37,900/月額になっています。このように制度をとりまく状況が変化しています。また、石綿救済制度が被害者本人に係る経済的負担の軽減を趣旨とした現行の考え方を前提としても、公平性の観点から救済給付調整金の算定に医療費を含むことをやめてください。加えて、労災認定等ののち、当該被災者の療養中の休業補償が時効等で支給されない場合に救済給付調整金や特別遺族弔慰金の返還を求めないでください。3 「中皮腫を治せる病気にする」ことを含めたアスベスト疾患の治療・研究開発の促進(環境省、厚労省)「中皮腫を治せる病気にする」ための国の研究支援が不十分です。その他のアスベスト疾患も抜本的に治療研究の支援を見直す必要があります。環境省が管理している石綿健康被害救済基金においては約750億円の残高があるにもかかわらず、その一部を治療研究の支援に一切活用していません。厚生労働省では労災疾病臨床研究事業費補助金の予算を増額し、年間で約1億円の研究支援にあてていますが、「中皮腫を治せる病気にする」ためにはまだまだ程遠い支援額です。国の責任が認められた、あるいは一定の責任を認めた肝炎やエイズ等の薬害事件の関係ではそれぞれ30億円以上の予算があてられています。①2024年7月5日に、厚生労働省労働基準局安全衛生部計画課は私たちに対して、中皮腫をはじめとするアスベスト関連疾患の治療戦略について協議する場を「関係各課と連携して設ける」と明言されました。5月30日の回答では厚労省から医療者を交えての意見交換の場を設ける予定だったが2025年度労災疾病臨床研究事業費補助金(二次公募)を開始した関係で延期した旨の説明がありました。一方で、他部局の呼びかけで有識者を交えての勉強会を開催した旨の回答がありました。今後はそれを踏まえて、責任部局である厚労省計画課が他部局や環境省と連携して具体的にいつ治療戦略を協議する場を儲けるのか明らかにしてください。またこのような、石綿健康被害の治療開発戦略に大きな影響を与える案件については、私たち当事者との協議を行う場を設けることを重ねて要望します。②「命の救済」をするために石綿健康被害救済基金を活用し、環境省と厚生労働省が「中皮腫を治せる病気にする」ための具体的な施策を示してください。現行でそれが難しいのであれば、法改正して基金を活用できるようにすべきです。5月30日の環境省の回答では、2023年小委員会報告等を踏まえて困難である旨の説明がありました。困難であれば、事業者から追加で100円/年のご協力を頂くなどして新たな基金を設けてください。③労災疾病臨床研究事業費補助金においては2024年度事業の公募において、「臨床研究公募課題」および「非臨床研究公募課題」において複数件の応募があったにもかかわらず、一件ずつしか採択していません。採択されなかった応募課題について、一定の採択条件が満たされているのであれば速やかに採択し支援してください。また、支援の規模と枠組み(とりわけ、基礎研究の支援)を拡大してください。5月30日の回答では厚労省から2025年度労災疾病臨床研究事業費補助金(二次公募)に関する説明がありました。私たちが以前から指摘してきたように、単一課題の採択は中皮腫に対して一つでも多くの治療薬について保険適用までの実用化を目指すという観点からは不十分です。速やかに基礎研究枠の設置と合わせて、臨床支援に係る同一規模金額の公募を複数件準備してください。④環境省が実施している中皮腫登録事業は、その目的である「治療法の向上を図る」、ひいては「中皮腫を治せる病気にする」ことに全く寄与していません。5月30日の環境省の回答では2024年度に検討会を設けて議論した旨の回答がありました。検討会の情報を公開してください。また、2025年にまとめた海外の中皮腫登録制度の情報収集の資料についてもホームページで開示してください。再構築にあたっては厚労省などと連携し、具体的な運用をいつから開始することを目指すのか明らかにしてください。行政側での制度設計ができないのであれば、学会等に委託する形にしてそのための予算を確保してください。⑤現在、がんゲノム医療において行われている「がん遺伝子パネル検査」に対して有効な治療薬が提案された場合、治験ないしは患者申出療養制度の枠組みによって治療提案が行われます。労災・救済制度ともに、この患者申出療養制度においては、高額な薬剤費が自己負担となるケースが想定され、被害者救済の趣旨から大きく逸脱しています。石綿による健康被害の場合、早急に補償する対応をお願いします。5月30日の回答では厚労省から労災保険法13条を根拠に給付の支給ができない旨の回答がありました。同条13条第3項には「政府は、第一項の療養の給付をすることが困難な場合その他厚生労働省令で定める場合には、療養の給付に代えて療養の費用を支給することができる」とあります。厚生労働省令で定めて支給できるようにしてください。あるいは労災保険制度のあり方に関する研究会で議論してください。環境省からも石綿健康被害救済法11条および12条を根拠に支給できない旨の説明がありました。現行法制下で、上記の患者を支援ができる枠組みを提示ください。もしそれが実施できないのであれば、関係法令等を改正して支給できるように石綿健康被害救済小委員会での議論を開始してください。4 石綿ばく露者の健康管理の体制構築(環境省、厚労省)アスベストはあらゆる職業、地域で使用されてきました。しかし、石綿ばく露者の健康管理に関しては、厚労省の石綿健康管理手帳は一部の元労働者を対象としたものであり、環境省は「石綿読影の制度に係る調査」においてきわめて限定的な自治体を対象とした時限的な調査事業しか実施していません。これらにおいては建設業等における自営業者・一人親方等は必ずしも対象となりません。また建物などからの環境経由の石綿ばく露者も対象となっていません。直近では、能登半島地震に関連して被災地でアスベストが露出した環境でのボランティア作業などが確認され、健康不安が生じています。①建設業等における自営業者・一人親方等、地域が限定されない建物ばく露やボランティア作業員等の環境経由の石綿ばく露者の健康管理をすき間なく実施するための検討の場を設置してください。自営業者・一人親方等への石綿健康管理手帳の交付、非職業性石綿ばく露者の全国統一的な健康管理制度を検討してください。5月30日の回答では厚労省から「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」において労働者同様の健康管理を促している旨の説明、環境省からは「石綿読影の精度確保等調査」を引き続き継続する旨の説明がありました。厚労省においてはガイドラインで健康管理を促しているのであれば、国家的な加害責任が認められた健康被害の側面を考慮して一人親方等の石綿粉じんばく露のある者にも石綿健康管理手帳を発行してください。環境省が示した当該調査は令和2年度から令和5年度に調査への参加を希望したのは37自治体で参加者数は延べ4,378人ですが、参加自治体でいえば全自治体の2%程度です。自治体任せの調査のための調査は速やかに終了し、厚生労働省がカバーしない石綿ばく露者の恒久的な健康管理体制を構築してください。5 ピア・サポートとグリーフケアの推進(環境省、厚労省)2023年3月28日に閣議決定された第4期がん対策基本計画において、相談支援及び情報提供に関して「国は、ピアサポーターにつなげるための仕組みを検討する」とあります。更に、中皮腫をはじめ、アスベスト疾患を発症した患者・家族は病気の全体像や治療方針を検討するために医療者からの情報だけではなく、同じ病気の治療・療養の体験に強く関心を持ちます。遺族のグリーフケアに関しても同様の傾向があります。救済制度の利用アンケートでも「患者のネットワークに関する情報提供」について一定の要望が出ています。環境省のYouTubeチャンネルでも「公害健康被害補償法被認定者インタビュー(60代男性)」という動画の中で大気汚染公害の被害者の方が患者会の役割と重要性について述べています。環境再生保全機構はホームページにおいて「ぜん息・COPD」関連代替の「協力団体」として患者団体や患者支援団体を掲載しています。(https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/platform/organization/index.html)患者会の活動を紹介するページも掲載しています。(https://www.erca.go.jp/yobou/saiban/nisiyodogawa/kanjakai.html)①東京都をはじめ、都道府県や市区町村レベルでは、がん患者支援団体の情報を積極的に発信しているにもかかわらず、厚生労働省労働基準局、環境省、環境再生保全機構は中皮腫や肺がんの療養支援にかかわる当事者団体と連携した取り組みを拒まれています。ただちに具体的な施策のあり方について当事者団体と協議してください。同機構はぜんそく等についてはイベントの案内や協力団体等の紹介をしています。アスベスト健康被害について同一法人においてこのような差別的扱いをしている理由を説明してください。②全国の医療機関のがん相談支援センターに対して、当会や中皮腫サポートキャラバン隊等の患者・家族支援団体があることを周知し、また全国の医療機関のがん相談支援センターに対してこれら関係団体への相談を患者等に促すように要請してください。加えて、各労働基準監督署や環境再生保全機構に請求(申請)があった場合は請求人(申請人)に、がん相談支援センターが支援団体を案内している旨、患者に直接案内をしてください。6 すき間のない補償・救済をはかるための取り組み(環境省、厚労省、総務省)石綿健康被害者は労災制度や救済制度で補償・救済が図られていますが、「すき間のない救済」を徹底するために以下の事項について迅速にご対応ください。①中皮腫の死亡年別の死者数に対して、労災や救済法における認定者数は高い年でも7割未満です。厚労省、環境省で過去に実施した個別周知事業を再度実施してください。あわせて、引き続き各法務局での死亡診断書の原則27年間保管を徹底し、人口動態調査における「死亡小票」を活用できるよう法改正してください。2023年5月8日、統計情報部の担当者は労働基準局と連携し、改正の必要性を認識すれば総務省と調整する旨の回答を私たちとの意見交換においてしています。5月30日の厚生労働省の回答では、総務省で統計法の改正は難しいとの判断があった旨の説明がありました。総務省は本件に関連して議論もしていない中で法改正が無理と判断した根拠を示してください。②石綿健康被害救済制度における肺がんの認定者は中皮腫の1に対して0.15です(労災は0.73)。石綿健康被害救済基金の残高が積み上がっている原因にもなっています。判定基準が労災制度に対して厳格すぎて、申請・認定が進んでいません。びまん性胸膜肥厚や石綿肺と同様に、肺がんの判定基準に「石綿ばく露歴」を取り入れ、労災相当の基準としてください。少なくとも、労災請求の調査において職業性ばく露歴が認められ、それにもとづいて労災認定基準を満たしている被災者については労災認定の有無を問わず救済制度において認定するように運用を見直してください。5月30日の回答ではばく露歴判定ができない理由を環境省は説明されましたが、なぜ石綿肺とびまん性胸膜肥厚の申請者だけはばく露歴を判定できるのか教えてください。③国際がん研究機関(IARC)をはじめ、国際機関において卵巣がん、喉頭がんとアスベストばく露の関連性が指摘されています。労災保険制度における認定疾病に追加してください。2024年7月5日に厚生労働省および環境省は「知見の収集に努める」と回答がありました。具体的にどのような収集をしたのか教えてください。5月30日の回答では厚生労働省から「令和5年度石綿による疾病に関する医学的知見の収集に係る調査研究」の実施等について説明がありました。調査結果についてホームページ等で公開してください。④石綿救済制度において、良性石綿胸水、卵巣がん、喉頭がんを対象疾病に追加してください。2024年7月5日に厚生労働省および環境省は「知見の収集に努める」と回答がありました。具体的にどのような収集をしたのか教えてください。5月30日の回答で環境省からは海外の動向について調査している旨の説明がありました。調査結果についてホームページ等で公開してください。⑤石綿ばく露を原因として労災認定される者には、さまざまな理由から発症から請求までの期間が2年以上経過することもあります。労災請求に至る以前に、傷病手当金を申請・受給する場合もありますが、傷病手当金の支給対象期間が労災制度の休業補償の請求期限が消滅している場合もあります。そのような場合、同一期間において労災からの休業補償の支給がないにもかかわらず、支給された傷病手当金の返還を求められます。このような実態から、労災認定される可能性がありながら、「あえて労災請求をしない」という事例もあります。傷病手当金の返還を求めないなどの対応を早急に実施してください。5月30日の回答では厚労省から同種事案の発生がないように周知に努めている旨の説明がありました。私たちは、周知では同種事案の発生は防げないと考えています。これまでに実施してきた周知の具体的な具体的内容とそれによって同種事案の発生が100%防げる根拠について説明してください。当該患者が労災認定された場合の平均賃金や休業補償金額と、労災認定された場合の返還しなくてはならない傷病手当金の部分を比較して、後者が前者を上回るときに労災申請を断念することは当然ありえます。そして、その原因は制度の在り方にあります。この制度間の欠陥を是正してください。労災の請求抑制につながっている深刻な構造的問題です。具体的な事案の一例 2018年3月に肺がんを発症。被災者は長年、左官工として石綿にばく露していたことから診断後、医師に対して石綿関連の肺がんかどうか尋ねたが否定される。 発症から3年以上経過した2021年12月にアスベスト被害の相談を受け付ける報道をきっかけに患者支援団体に相談して同月、労災請求に至った。2022年3月に被災者は死亡。6月に遺族に対して決定通知と休業補償給付が支給された。・初診日(傷病発生日):2018年(平成30)年3月・傷病手当金支給期間:2018年(平成30)7月5日〜2019年(令和1)12月2日※支給金額の合計は約300万円・労災保険給付請求日:2021年(令和3)12月27日・休業補償給付(労災)支給期間:2019年(令和1)12月27日〜※2021年(令和3)12月26日までの休業補償給付額は約600万円。2022年(令和4)3月に被災者逝去。2022年(令和4)6月に労災支給決定。⑥石綿健康被害救済制度における療養手当の更新者の中に、医師から再発転移の可能性が今後も考えられると言うことで定期検査を続けている認定者に対して、「おおむね5年にわたり経過観察のみであることが確認された場合等には、その後において認定疾病が継続しないと判断させていただくことがあります。」との通知が送られています。これまでに更新前に打ち切られた事案があったのか、あった場合はその件数を疾病別に示してください。また、中皮腫については医学的に「治癒」の定義が定められていない中で認定者に上記のような通知を送ることは極めて不適切です。取りやめてください。⑦治療上の有害事象(副作用等)の医療費負担について、医療機関から誤って自己負担にて支払いを指示される方がいます。また、治療に関連したものなのか否か、必ずしも判断できない有害事象もあり、医療機関によって対応が分かれています。治療上の影響が完全に否定できない場合は、労災保険制度や石綿健康被害救済制度に対して医療機関が費用を請求するように全国の医療機関に周知してください。また、石綿健康被害救済制度においては有害事象によって生じた口腔領域の治療が生じることもあります。制度上、医療費の支給において治療前に必要な歯科治療や有害事象によって生じた歯科治療を除外しないでください。5月30日の厚生労働省および環境省の回答では、対象疾病の発症および治療に伴う傷病が発生した場合も当該治療について給付の対象となる旨の説明がありました。また、治療前の治療上必要な歯科治療なども同様である旨の説明がありました。両省はアスベスト関連疾患において歯科関係の医療費に係る請求が何件あったのかお示しください。また、関係医療機関に「ほかに原因が明らかである疾病」でない限り、治療上の副作用等によって生じた可能性が否定できない傷病等については積極的に給付請求に協力するように医療機関および請求者(申請者)に文書にて通知してください。環境省は、石綿手帳に記載のある「遺伝性疾病、歯科診療、正常分娩に係る産科医療、交通事故、天災、その他ほかに原因が明らかである疾病に関する医療については、石綿健康被害救済制度による公費負担の対象になりません」の記載にある「歯科診療」を削除するか、注意書きを加えるなどの改善をしてください。⑧石綿救済制度において中皮腫においては、確定診断時点で医療機関で申請の意思確認を本人にして、簡易な手続きで申請できるように負担軽減に向けて改善してください。加えて、労災では「同意書」においてCT等の医学的資料は労働基準監督署が収集します。救済制度は申請者による取得・提出が必須となっているので、労災と同じ対応をしてください。また、肺がんに係る医師証明の書類から【石綿が原因であることの根拠】の記載を削除するか、記載が必須でないことを明文化するなどの対応をしてください。5月30日の回答で環境省は石綿健康被害救済法施行規則第一条について位置付けられていること、判定の際に審議会で確認していること、主治医等が記載してくれない場合は環境再生保全機構に相談する旨の回答がありました。しかし、労災の場合は請求時にそのような記載は求められません。加えて、審査において主治医の意見は何ら考慮されず(主治医の判断の尊重等はされず)判定されます。当会では主治医が根拠をかけないために書類がまとまらない旨の相談が絶えません。そのような意味で、このような記載を求めていることは単なる申請抑制につながっているだけで環境省が故意に被災者の申請を妨害しているだけです。速やかに改善してください。⑨建設アスベスト給付金制度において、申請から2年や3年以上も審査がされずに放置されている異常な事態が続いています。過度な立証を求めずに、提出資料から一定の合理性が判断できるのであれば速やかに認定してください。5月30日の回答では厚労省から申請者との丁寧なコミュニケーションに努める旨の回答がありました。私たちに寄せられる相談では、担当者に連絡をしても審査にかけない具体的な説明がなく困惑しているという相談が多数あります。労災や石綿救済制度に準じて、申請ごとの処理期間等を記録して公開してください。7 地方公務員災害補償基金の審査業務見直し(総務省)地方公務員災害補償基金は地方公務員を対象として業務上(公務上)災害に罹患した方の災害補償の審査業務を担っています。アスベスト関連疾患を問わず、ひろく問題が指摘されていますが、下記の事項について見直し等を要望します。①審査業務を厚生労働省(労働基準監督署)に委託してください。現在、アスベスト疾患においては一人の医師だけで、年に4回の審査しかしていません。そのため、申請から決定までに労災保険制度と比較して非常に長期の時間を要しています。また、審査が一人の医師に委ねられており、これまでの審査事案からも独善的な判断が散見されます。労災認定基準に準じた判断をするとしているにも関わらず、勝手な解釈を用いて労災認定基準から逸脱した判断をしています。同じアスベスト被害者であるにも関わらず、このような審査体制の問題から公平な対応がされない事態は極めて深刻です。5月30日の総務省の回答では、労災保険における認定基準に準じて審査している旨の回答がありました。しかし、中皮腫の請求件数で言えばこれまでの201件の請求に対して認定が104件で約52パーセントの認定率しかありません。労災では約93パーセントと比べると明らかなに低いです。また、腹膜中皮腫は高濃度ばく露でないと発症しない等の労災の審査において用いられていない勝手な解釈を用いて審査を歪めています。医学的根拠をもとに、その理由を説明してください。中皮腫について言えば、ばく露の評価そのものを審査医の勝手な判断に委ねていることに問題があります。石綿肺などでは、都道府県労働局が決定した管理区分決定などを無視してその判断を否定するなどの決定があります。地方公務員災害補償法を改正して審査業務を厚生労働省へ委託してください。②少なくともアスベスト疾患に係る公務外決定された事案では、審査請求においては都道府県支部審査会において原処分の判断を異なる視点で審査する医師が全くおらず、再審査請求においても原処分に関わった同じ医師が判断をします。すなわち、申し立て手続きが有名無実化していて全く意味がありません。過去10年において、アスベスト疾患事案において審査請求及び再審査請求で原処分が取り消された件数を明らかにするとともに、審査請求及び再審査請求業務も厚生労働省(都道府県労働局及び労働保険審査会)へ委託してください。5月30日の総務省の回答では、原処分と本部審査会の医師が異なるとの説明がありましたが事実であれば審査医を公開して審査の透明性を高めてください。③公務上決定者に対して、決定後、1年以上経過しても休業補償が支給されない事案が発生しています。このような杜撰な対応になっている理由を明らかにし、早急に給付の支給をしてください。5月30日の総務省の回答では、事実関係を確認する旨の回答がありました。当該被災者へ休業補償がいつ支払われるのか明らかにしてください。