本ブログでは毎年フォローしているPayscaleの専攻別年収ランキング。今年もランキングが出ました(2020-2021)。
 

本ブログの最近の関連記事はこちら。データソース・用語の定義などは過去記事をご参照ください。

 

去年と一昨年はビジネス系の専攻で1本、その他の専攻でもう1本記事を書いていたのですが、ぱっと見たところ、今年と去年であまりランキングに変わり映えがなさそうでしたので、今年はその形式の更新はお休みして、このブログ的な興味の一つであるデータ分析・AIに関連がありそうな専攻を選んでまとめてみることにしました。

 

今年のMid-Career Payの上位15専攻。不動の1位「Petroleum Engineering」を始めとして相変わらず理系・工学系が多いですが、ビジネス・経済関係からも「Applied Economics and Management」「Public Accounting」「Quantitative Business Analysis」がランクイン。最近の同ランキングは分類が細かくなりすぎていて、似たような名前の専攻がランキングのもっと下に入っている場合もあるので参考までにどうぞ(例えば「Applied Economics and Management」で言うと、下位に(とはいっても数字は十分高いですが)「Business & Economics」「Managerial Economics」等の専攻があります。全くの推測ですが、Whartonの学部卒は「経済学学士」の肩書になるらしいので、多分それでは?)。

 

 1.計算機科学・工学

 

AI関係の王道・計算機科学・工学系。「Computer Engineering」がMid Career PayでUSD120K超、「Computer Science」がUSD115K超と、高収入の専攻となっています。

 

 

 2.統計学・応用数学

 

もう一つの王道・統計学。USD115K近くと、こちらも稼いでます。

 

 

関連して(?)応用数学。USD115K-120Kと、こちらも遜色ありませんね。

 

 

経営工学関係の学部の中で教えられるオペレーションズ・リサーチ。なんと全体第3位!!どこまで信頼できるかはいまいちわからないところもありますが…。

 

 

 3.情報システム・管理

 

続いてビジネススクールの中で教えられることも多い情報システム。上位専攻は上記と同程度、それ以下の専攻も十分なほど稼いでいます。情報システム系の専攻を勉強しても「データサイエンティスト」そのものにはなれないかもしれませんが、各学校ともこうしたプログラムにおけるデータ分析教育にはかなり力を入れており、「データ分析に強い情報システム管理者」にはなれるものと思います。

 

 

下の方の専攻はあまり関係ないかもしれません(ちなみに上のサーチには出てきませんが、下から2番目の「Accounting Information Systems」とよく似た「Accounting & Computer Systems」という専攻もあり、こちらはUSD103Kと高収入な専攻になっています)。

 

「情報管理」は「図書館情報学」の流れをくむ「情報学部」の中で教えられることが多い領域です。理系・ビジネスの上位専攻と比べると少し下がりますが、それでもかなり高いです。こちらもデータ関連は力を入れてきているようです。

 

 

 4.ビジネスデータ分析

 

ビジネススクールの中で教えられているであろうビジネスデータ分析関連。大学の専攻としては新しい分野ですので、まだ卒業生のデータはさほど蓄積されていないのではないかと推測します。「Quantitative Business Analysis」は全専攻トップ15入りを果たしている一方、名前がよく似ている「Business Data Analysis」はそれと比べるとやや低く、判断に迷うところです。

 

 

より伝統的なビジネス系定量分析分野である「Management Science」。USD105K超と、十分稼いでいると思います。

 

 

 5.経済学

 

Ph.D.のデータ分析職への進出が見られる経済学系。学部でも「Econometrics」「Quantitative Economics」「Economics and Mathematics」はいずれもUSD120K以上となっており、理系上位専攻に匹敵するほど稼いでいます。

 

 

実際には上記以外の数物系・工学系等からデータ分析関連のキャリアに進む人も多いのではないかと思いますが、ここでは省略します。ご興味がおありの方は、是非元のサイトで検索してみてください。

 

日本の感覚からするとどの専攻もびっくりするほど高いですね。もともとアメリカは理系分野の年収が高い傾向があることに加えて、昨今のデータ分析ブームにより、こうした専攻の勉強をした人のニーズはさらに高まっているようです。

 

(参考)

 

上の記事だけでは水準が分かりにくいと思いましたので、比較対象となる専攻をいくつか検索してみました。ご興味がおありの方は、冒頭にご紹介した過年度分の記事も見て頂ければと思います(ビジネス以外の分野については、去年のこちらに比較的多めに取り上げています)。

 

 

比較対象①:「International」で検索すると、様々な国際関係の専攻が出てきます。上位は国際経済・経営関係(ファイナンス、経済、マーケティング…)が占め、USD100K足らず~USD110K程度。国際経営関係は、ビジネス分野の中でも悪くないほうです。続いて政治学関係がUSD90K台中ほどで続き、下位はUSD90Kを割ってきています。

 

また、これまではあまり見ていませんでしたが「Early Career Pay」もデータ分析・AI関連の専攻ではUSD60Kを超えてくるものも多いのに対し、こちらは高くてもUSD50K台中ほど程度となっています。

 

 

比較対象②:心理学関係の諸専攻。「Biopsychology」「Industrial」「Organizational」が健闘していますがUSD90K前後。他の専攻は~USD70Kといったところ。心理学はリベラルアーツ関連の専攻の中でもさほど年収が高くないこともあり、上で述べたようなデータ分析・AI関連の専攻と比べてしまうと、やはり格差は否めません。「Early Career Pay」も同じく差が出ています。

 

 

こちらはおまけ。Associate(2年制短大卒)のMid-Career Payの上位15専攻。アメリカではコミュニティ・カレッジが整備されていて、そういうところで短大卒の学位を取る人も多いです。こちらでもほんの少し言及しましたが、実際には医療系・IT系を始めとした実学的な専攻が上位を占めていますね。