
未来は今
キャプラ監督作品の映像作家たちへの影響について語るとき忘れてならないのは、「未来は今」(1994年)だろう。

ある企業のワンマン社長(チャール・ダーニング)が突然自殺し、彼の保有する大量の株式が1ヵ月後には一般市場に出回ることになる。彼の後を継いだシドニー(ポール・ニューマン)を中心とする経営陣は一計を案じる。ビジネス経験ゼロのアホを新社長に据えて株主の嫌気を誘い、株価が暴落したところで一気に買占めを図ろうというのだ。そこで、入社したてのノーヴィル(ティム・ロビンス)が社長に祭り上げられる。
いっぽう、この謎の人事に興味を抱いた女記者(ジェニファー・ジェイソン・リー)は、早速ノーヴィルに接近し、彼の秘書となることに成功する。
当初株価は下落の一途をたどるが、ノーヴィルが企画した新商品が爆発的に売れ始め、株価は一転急上昇する。目論見に失敗したシドニーらは、新社長の追い落としにかかり、ノーヴィルは絶体絶命のピンチを迎える。
もうおなじみの「キャプラ節」である。
早口でまくしたてる鼻っ柱の強い女新聞記者が登場する。摩天楼、大時計、雪、自殺とくれば、これはもう「群衆」である。しかも、「素晴らしき哉、人生」を思わせる場面まで登場する。だが、オリジナル作品を表面的になぞっただけの「Mr.ディーズ」などとは大違い。キャプラ印の刻印がしっかり押された意匠の数々を用いながら、いかにもキャプラ風の作品を再構築してみせたこの作品には、いたるところにコーエン兄弟のキャプラ監督に対する敬意の念があふれているのである。
- 東北新社
- 素晴らしき哉、人生〈特別版〉
個人的に特に興味を引かれるのは、この脚本執筆にサム・ライミが加わっていることだ。おそらく、ラスト近くの部分には彼の手がかなり入っているのではと想像するのだが……。
キャプラ作品に興味を持たれた方にはぜひ一度観てほしい作品である。
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未来は今
The Hudsucker Proxy
1994年 カラー 111分
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◆スタッフ
監督:ジョエル・コーエン
製作:イーサン・コーエン
脚本:イーサン・コーエン/ジョエル・コーエン/サム;ライミ
撮影:ロジャー・ディーキンス
◆キャスト
ノーヴィル・バーンズ:ティム・ロビンス
エイミー・アーチャー:ジェニファー・ジェイソン・リー
シドニー・マスバーガー:ポール・ニューマン
ウェアリング・ハッドサッカー:チャールズ・ダーニング
バーマン:スティーヴ・ブシェミ
ヴィク・テネッタ:ピーター・ギャラガー
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チャプリンの格安DVDの運命は?
リヒテンシュタイン公国のロイ・エクスポート・カンパニー・エスタブリッシュメントという、チャプリンの映画の著作権を保有・管理している会社が、日本でチャプリンの映画9本を格安で販売している会社を、著作権侵害で21日に訴えたというニュースが流れた。同社の代表者の中には、チャプリンの娘も名を連ねているらしい。
訴えは、これらDVDの販売の差し止め、総額9400万円に及ぶ損害賠償を求めており、その根拠として、
1;現行著作権法の付則は、旧法による保護期間が新法のそれより長い場合は、旧法を適用と定めている
2:9作品は、チャプリン個人の著作物であり、旧法では著作者の死後38年間保護すると定めている
という点を挙げているという。
現行の著作権法では、映画の著作権は公開後70年間存続するとしており、2004年に思考された条文改正以前は、この存続期間が50年とされていた。
映画は総合芸術と呼ばれているように、多数の人々が関与して製作されるもので、個人の著作物として保護期間を計算するのは妥当ではないというのが、これらDVDを販売するメーカー側の考え方で、裁判は受けて立つ姿勢をみせているという。
確かに、チャプリンのワン・マン映画のような作品なら個人の著作物という考え方もありかもしれないが、争われる9作品にそれが適用可能かどうかは微妙なような気がする。
各新聞で報じられたが、朝日が一番詳しいなと思っていたら、なんのことはない、ロイ社からDVD製造・販売の「正規ライセンス」を受けた角川ヘラルドが、これら商品を朝日新聞社とともに販売しているという。
いつまで有効かは不明だが、いちおう、記事のURLは以下のとおり。
http://www.asahi.com/culture/movie/TKY200607210557.html
関連URLも挙げておく。
http://www.asahi.com/culture/movie/TKY200605250350.html
http://www.asahi.com/culture/entertainment/dvd/news/TKY200607110602.html
キャプラ作品の話は明日へ持ち越し。
最悪のリメイク作品?
Mr.ディーズ コレクターズ・エディション [DVD]/ウィノナ・ライダー,アダム・サンドラー,ジョン・タトゥーロ

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◆「Mr.ディーズ」予告編
主演は、アダム・サンドラーにウィノナ・ライダー。脇を固めるのが、ピーター・ギャラガー、ジョン・タトゥーロー、スティーヴ・ブシェミとキャストは悪くない。 個々には笑わせてくれるシーンもある。だから、全体になんとも大味なこのB級コメディだって、フランク・キャプラ監督の「オペラハット」(1936年)のリメイク作品であると謳いさえしなければまだしも許せたかもしれない。
ネタ切れ気味の昨今、「ひとつ往年の名作を現代によみがえらせようじゃないか!」 スタジオ側はおそらくそう考えたのだろう。しかし、こうした名画のリメイクなんぞ無闇に作るものではない。運がよくて、オリジナル作品の貧弱な縮小再生産版ができあがるかもしれないが、実際には、「Mr. ディーズ」レベルのものにとどまってしまう可能性のほうが強いだろう。
オペラハット [DVD]/ゲーリー・クーパー,ジーン・アーサー,ジョージ・バンクロフト

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キャプラ監督は、この「オペラハット」を下敷きにして、もう1本別の映画を製作しているが、それも一種のリメイクといえなくもないだろう。そして、「Mr.ディーズ」が悪しきリメイクの典型だとするなら、キャプラのそれは、映画史上最良のリメイク作品の1本といっていいだろう。なにしろ、それは、あの「スミス都へ行く」(1939年)だったのだから。
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◆「スミス都へ行く」予告編
原題は、Mr. Smith Goes to Washington。タイトルだけからでも、「オペラハット」(Mr. Deeds Goes to Town)の姉妹作であることは容易に想像がつくだろう。
実業家の世界から政治家の世界へと舞台は移るが、理想主義的な夢の実現を願い、それに向かって邁進する主人公が登場する点は同じ。そんな彼を最初は小馬鹿にしていた女性が次第に彼に引かれ、支援していく点も同じ。そして、主人公が、当初は実力者の意のままに操られようとするのだが、自分の意思を持ってその支配下から脱しようとして、巨大な力によって圧しつぶされ、社会的生命を失いそうになるのだが、最後の最後に……という基本プロットも同じだが、「オペラハット」同様、いや、それ以上に感動的な作品に仕上がっている。
「スミス都へ行く」と比べられては「Mr.ディーズ」も立場はないだろうが、同じ「オペラハット」を出発点としたふたつの作品を隔てる差は志の違いとしか言いようがない。ウィノナ・ライダーが現代のジーン・アーサーになりえなかったのも当然の結果だろう。
実は、この「スミス都へ行く」をさらにリメイクした作品がある。それは「Mr.ディーズ」同様にコメディアンが主人公で、オリジナルの設定に大胆なアレンジを加え(そのためか、一般にはリメイク作品とは考えられていない)ながらも、現代の政治状況と主演男優のキャラクターにマッチしたひねりを加えて、奇跡的に「Mr.ディーズ」のような醜態をさらさずに済んでいる。
リメイクとは難しいものだ……。 (ーー)
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Mr. ディーズ
Mr. Deeds
2002年 カラー 96分
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◆スタッフ
監督:スティーヴン・ブリル
製作:ジャック・ジャラプト/シドニー・ギャニス
共同製作:アレックス・シスキン
製作総指揮:ジョセフ・M・カラッシオロ/アダム・サンドラー
原作:クラレンス・バディントン・ケランド
脚本:ティム・ハーリヒー
オリジナル脚本:ロバート・リスキン(*)
撮影:ピーター・ライオンズ・コリスター
音楽:テディ・カステルッチ
◆キャスト
ロングフェロー・ディーズ:アダム・サンドラー
ベイブ・ベネット:ウィノナ・ライダー
エミリオ・ロペス:ジョン・タートゥーロ
マーティ:アレン・コヴァート
チャック・セダー:ピーター・ギャラガー
クレイジー・アイズ:スティーヴ・ブシェミ
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* 「オペラハット」(1936)をはじめ、多数のキャプラ作品の脚本を執筆した。
あの名作がリメイクされる?!
どうにかこうにか、パソコン環境を整えることができたので、ハワード・キール主演のミュージカル作品について書こうと思ったのだが、とんでもないニュースを見てしまったので急遽差し替え。
「情婦」がリメイクされるという。主演はアル・パチーノとニコール・キッドマンなのだそうだ。
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- 情婦
「情婦」(1957年)はいわずと知れたビリー・ワイルダー監督の作品としてあまりにも有名(だったのだが、最近はみんな観てるのか不安ではある)。 あっと驚くラストはもう周知の事実かもしれないが、とりあえず、ここでは、原作がアガサ・クリスティの「検察側の証人」(Witness for Prosecution)であると言うにとどめておく。万一未見の方は、すぐにレンタルしてきて観るように。
アル・パチーノはいい俳優だ。特に、「リチャードを探して」の中で、演劇論に熱弁を振るう彼の片手に握られた、Cliffs Notes と思しき黄色の小冊子を見てからというもの、皮肉ではなく、すっかり気に入ってしまった。
- Inc. Cliffs Notes
- Richard III Notes (Cliffs Notes)
なにしろ、学生に利用されるアンチョコである。「今さらそんなものを……」と思わないでもないが、そこまで初心に戻ってシェークスピア劇に取り組もうとするその姿勢jには好感がもてる。
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- リチャードを探して
- そして、ニコール・キッドマンもラブコメからシリアスなドラマまでをこなす優れた女優であることに間違いはない。「めぐりあう時間たち」(2002年)で、見事に作家ヴァージニア・ウルフその人になりきったあの姿を見れば、マレーネ・ディートリッヒに負けない演技も期待できようというものだろう。
- 監督を務めるのは、「1984年」(1984年!)や、アル・パチーノ主演の「ヴェニスの商人」(2004年)を手掛けたマイケル・ラドフォード。正直いって、どういう作品に仕上がるのか見当がつかない。現代を舞台にするのか、それともオリジナルと同様の時代設定にするのかによっても、ずいぶん印象が異なってくるに違いない。いったいどんな味付けが施されるのか興味津々ではあるのだが……やはり、一抹の、いや、一抹以上の不安にかられてしまう。
それというのも、過去の名作がリメイクで台無しにされてしまった例がいくらでもあるからだ(もちろん、例外もある)。というわけで、ここしばらくは、リメイクとオリジナルとの比較をしてみようかと思っているところだ。
パソコンが……
2年間使ってきたノートパソコンの液晶がダメになってしまった。
不注意で、キーボードの上にDVDの空のケースが載っていたのに、蓋を閉じてしまうという大失態。この富士通の LOOX T70H は、液晶がきれいで重さもそこそこ、バッテリのもちも長めということで、このところフル稼働だった。これで映画を何本も観ているだけでなく、この1年、映画の英語字幕をテキスト化したデータも入っている。さすがに連続使用時間が累積してすこしバッテリがへたり始めたので、少し前に長時間用の交換品を1本追加購入していただけに、がっかり。
まあ、ハードディスク自体が壊れたわけではないのでその点はほっとしているが、いかんせん、ディスプレイがなければ取り出しようもない。液晶交換は高いだろうし、それ以上に時間がかかるだろう。すでにノートパソコンが日々のライフラインになってしまっている今、あまり悠長なことはやってられない。
とりあえず、
1:外部モニタと接続するためのアダプタの確保
2:新しいパソコンを購入
3:旧PCから新PCへデータを移行
4:液晶を修理交換する
の順で動くことになりそうだが、まずは、1と2の調達が先決。どうせなら、この機会に、ワンセグTVを搭載したSONYのバイオを購入しようか検討中。LOOXの新型もワンセグTV用のチューナーが付属しているのだが、録画できないタイプのものらしいので、今回はパスするつもり。
◆午後1時
量販店に出向いてみると、ソニーとシャープのPCは5パーセント引きとのこと。渡りに船と、予定どおり、ワンセグ・チューナーつきのバイオを購入。ただ、CPUは、今となっては非力な部類のものなので、念のため、メモリを増設しておく。店員に「セキュリティソフトはどうしますか?」と尋ねられたので、「入ってるんじゃないの?」と聞き返すと、ないとのこと。レジ前に置かれていたノートンのフル・パッケージも購入。
ついでにBモバイルの期間延長用の更新ライセンスも購入しておく。
- ソニー
- SONY VAIO typeT ( C-M423 512MB,80GB 11.1型ワイドWXGA DVDスーパーマルチ 無線LAN ワンセグチューナー Office2003Per ) VGN-TX72B/B
◆午後4時
パッケージを開けて、不足品がないか確認しようとしたら、ノートンの「インターネット・セキュリティ2005」の説明が見つかる。ということは、アップグレード版を買うべきだったということなのか。明日問い合わせて見なくては。とりあえず、必要最小限のセッティングを済ませ、ちょっとキーボードをたたいてみた感じでは悪くはなさそう。
とは言っても、この時期この出費はつらい…… (T-T)
◆深夜
コンビニで、「ビック・コミック」を立ち読み。小林よしのりの新連載が始まっていた。老人を主人公にした新機軸で、さすが、よしりんは時代と社会を見る目(というか、まっとうなマーケティング感覚)を持っていると感心する。
吸血鬼と食人植物の襲来
というわけで、子どもの頃、そのタイトルが気になってしかたがなかったふたつのSFの映画化作品がカップリングされたDVDを量販店の店頭で見つけたとき、「これはDVDの神様の思し召しに違いない」と、即購入したことは言うまでもない。以下がそのDVDだ。

たまたま今見えている側はこうなっているが、パッケージの反対側には、もう一本の映画のタイトルになっているので、ご安心あれ。
この「地球最後の男」(1964年)の原作は、リチャード・マシスンの『吸血鬼』(田中小実昌の翻訳で、後に「地球最後の男」と改題)。ジョージ・A・ロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」の元ネタになった映画とされている。
詳述は避けるが、ヴィンセント・プライス演じる、ゾンビの中にただ一人置かれた正常な人間の孤独感がひしひしと伝わってくる傑作だ。もっとも、原作者自身はこの映画をあまり評価していなかったらしい。
この作品は、チャールトン・ヘストン主演で、1971年にリメイクされている。こちらもそれなりの雰囲気は出ているけれど、やはりヴィンセント・プライス版はぜひ観ておくことをおすすめしておきたい。
さて、その一方、ジョン・ウィンダムの『トリフィド時代』を映画化した「人類SOS!」(1962年) は、突然流星雨が地球に降り注ぎ、これを見た人は皆失明してしまい、わずかにその難を逃れた人々も、巨大な食肉植物の餌食となっていくという物語。「地球最後の男」と比べると数段落ちる内容だ。
- ただ、主演俳優がハワード・キールであるのには驚いた。「アニーよ銃をとれ」(1950年)、「ショウ・ボート」(1951年)、「キス・ミー・ケイト」(1953年)、「カラミティ・ジェーン」(1953年)、「略奪された七人の花嫁」(1954年)などのミュージカル映画に出演している彼が、この映画では歌を歌わず演技だけで勝負してるのだ!
どちらもレアものなので、ホラー/カルト映画ファンの方はこの機会に入手しておくといいかもしれない。
未読のSF二題
小学生の頃にウェルズやジュール・ヴェルヌの作品を、また雑誌「少年」で「鉄腕アトム」や「鉄人28号」などを読んで育っていた私は、自然とサイエンス・フィクションなるものに興味を引かれるようになっていった。
当時SFといえば、ハヤカワ・SF・シリーズと創元推理文庫が主たる供給源だった。特に前者は、質・量ともに充実した内容で後者を圧倒してはいたのだが、いかんせん値段が高く、私の限られた小遣いで購入できるのは、創元推理文庫のSFマークの作品に限られていた。
当時、SFについての知識など皆無の私は、本の巻末にある既刊リストやその紹介文を頼りに、まだ見ぬ作品の内容に想いをめぐらすのだった。そうした中に、妙にタイトルに違和感を感じる作品がふたつほどあった。
ひとつは、早川のもので、リチャード・マシスンの『吸血鬼』(これは後に『地球最後の男』へと改題されている)。SFとホラーは絶対に違うものと信じていた私にとって、これほど場違いなタイトルに感じられるものはなかった。
そして、もうひとつは、創元のもので、ジョン・ウィンダムの『トリフィド時代』。実は、早川からもこの作品は刊行されていて、そちらのタイトルは『トリフィドの日』。覚えたての英語の知識で、「day は時代じゃなくて日だろうに」と、子供ながら、それなりに考えていたわけである。
結局、私はそのどちらも読まぬまま今日に至ってしまったのだが、最近になって、これらの映画化作品がカップリングされたDVDを偶然発見した……。
(今日はここまで)
マックィーンの絶対のピンチ!
蒸し暑く寝苦しい夜にはホラー映画!……かどうかは知らないが、「マックィーンの絶対の危機(ピンチ)」(1958年)という映画がある。
主演は、かのスティーヴ・マックィーンである。
発売元は、名画コレクションで名高い、かの紀伊國屋書店である。
「それで……それで、こんなのでいいのか?」と突っ込みたくなるのが、この作品である。
おじさんとしか思えないマックィーンがティーンエイジャーを演じ、動いていない車を運転しているふりをしつつ、地球に飛来して人間を襲う粘液状生物に敢然と戦いを挑むという、もう、低予算バレバレの映画ではある。だが、どこか憎めない魅力を持った不思議な作品なのだ。ここはひとつ、大きな心をもって鑑賞するのが正しい作法というべきだろう。
後の映画を観てファンになった人たちにこの映画を観られたら、マックィーンにとっては、「絶対の危機(ピンチ)」かもしれないが、いやいや、真のファンなら、この愛すべき脱力系B級(未満?)ホラー映画をきっと気に入ることだろう。
いや、いかんいかん。どうもほめ言葉になってないか。 (^^)
そうそう、この映画には、もうひとつ見どころ、いや、聴きどころがあった。冒頭の主題歌が、かのバート・バカラックの手によるものなのだ。これが、底抜けに明るく、軽快なテンポの曲でGOODなのである。率直にいって、映画半本分の価値はあるだろう。あなたがバカラックのファンなら、とりあえず映画はレンタルで観て、以下のアルバムを購入するのが賢明な選択かもしれない(曲のタイトルはもちろん、Blob である)が……。
- Burt Bacharach
- The Look Of Love: The Burt Bacharach Collection
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マックィーンの絶対の危機(ピンチ)
The Blob
1958年 カラー 82分
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◆スタッフ
監督:アーヴィン・ショーテス・イヤワース・Jr.
製作:ジャック・H・ハリス
脚本:ケント・フィリップス/セオドア・シモンソン
撮影:トーマス・スパルディング
音楽:ラルフ・カーマイケル
◆キャスト
スティーヴ・アンドリュース:スティーヴン・マックィーン(*)
デイヴ:アール・ロウ
ジェーン:アニタ・コルシオ
老人:オーリン・ハウランド(**)
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* Steven McQueen としてオープニング画面にクレジット表記されている。
** Olin Howlin としてクレジット表記。
特典グッズはこうあるべき!?
6月21日のブログで、アマゾンでのセールについて触れたが、その後まもなくセールは終了した。ところが、最近またページが復活している(7月13日まで)。やれやれ、またかと思いつつもよく見ると、価格が下がっているものが多いことに気づく。
例の「宇宙戦争」のBOXセットだが、この前は60%引きだったのだが、さらに10%下げたところがなんともいじましい。
- パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
- 宇宙戦争 エマージェンシーBOX (5000セット限定生産)
参考価格: ¥23,100 (税込)
価格: ¥6,930(税込)
OFF: ¥16,170 (70%)
新品/ユーズド価格
: ¥6,930より
ま、ラジオつきDVDと考えれば安いという方にはおすすめかも。
さすがに、「トップガン ストップガン スペシャル・コレクターズ・エディション」などは売れてしまったのだろうか。実は、「リュック・ベッソン監督作品集」も値下がりして、1枚あたり1000円近くになっていたので、これは買おうと思っていたら、ボタンをクリックするタッチの差で売切れてしまった。 (T-T)
そして、「チーム★アメリカ」は、というと、これも同様に10%引き下げ!
- パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
- チーム★アメリカ ワールドポリス DVD-BOX (限定生産)
参考価格: ¥8,925 (税込)
価格: ¥3,570(税込)
OFF: ¥5,355 (60%)
トレイ・パーカーファンは、すでに購入済だろうから、残りの人々に、この追加割引がどれだけ魅力的に映るかがポイントになるのだろう。これがもう一押しすれば、ショップ系の買いが入るかもしれない。ま、70%引きになれば、私も骨を拾うつもりで購入せねばならいだろうが、そこまでいく可能性は少ないのだろう。
というわけで、今回もまたアマゾンのセールは私の目の前を通り過ぎていった(実は、この間、量販店で「女警部ジュリー・レスコー」の70%引きBOXセットをせっせと集めていたのだ)。そして、セール画面のウィンドウを閉じようとしてふと目に入ってきたのがこれ。
- ジェネオン エンタテインメント
- 鉄人28号 スペシャルBOX (初回限定生産)
参考価格: ¥6,279 (税込)
価格: ¥3,140(税込)
OFF: ¥3,139 (50%)
「宇宙戦争」のラジオなんぞには心動かされない私だが、
「月刊・少年」別冊付録「鉄人28号」復刻本(「ブラックオックスの巻」×2種類=2冊)
※当時の装丁&内容を忠実に再現!スペシャルBOXでしか入手出来ないレアアイテム(協力:光文社)
となると、話は別である。ラジオとリメイク版「宇宙戦争」との関連性はかぎりなく薄い(って、そもそも関係ないんでは?)が、「鉄人28号」連載時の雑誌「少年」の別冊付録となれば、この作品に一種の郷愁を抱く者にとっては、宝物のような意味を持ってくるからだ。私も、「少年」で育った世代なので、これは欲しい!
というわけで、悩ましい日々は続く……。
口パクと変装の達人
NHK放送時はほぼ完全にパスしていた、グラナダ・テレビ製作の「シャーロック・ホームズの冒険」をレンタルDVDで観る。一時はDVDセットの購入も考えたのだが、高すぎるのと、英語字幕がないことで完全にパスしていたものだ。ところが、最近その版元、ハピネットが、英語字幕と完全日本語吹き替えをつけたバージョンをリリースした。このレンタルDVDはそのシリーズ第1巻にあたるもので、「ボヘミアの醜聞」と「踊る人形」が収録されている。
- ハピネット・ピクチャーズ
- シャーロック・ホームズの冒険 完全版 Vol.1
さて、主演のジェレミー・ブレットにとって、このシャーロック・ホームズは生涯の当たり役となったわけだが、この「ボヘミアの醜聞」を観てたまげたのは、その変装のすばらしさだ。これまで、テレビ番組や映画などでさまざまな「変装」例を山ほど見てきたが、どれもいまいちの出来ばかりで、「これは、やられた!」というものは数えるぐらいしかない(「その代表作といえば……」と書きかけて、この種のネタばれはやはりまずかろうと自主規制)。だが、このエピソードでのジェレミー・ブレットの変身ぶりはただただ見事と言うしか言葉がない。
- ワーナー・ホーム・ビデオ
- マイ・フェア・レディ スペシャル・エディション
「マイ・フェア・レディ」(1964年)に主演したオードリー・ヘップバーンの歌(の大部分)が吹き替えだったことはよく知られているが、同じ映画に出演したジェレミー・ブレットが歌う「君住む街で」も、実は吹き替えだったということを、彼自身、「マイ・フェア・レディ」の特典映像で明かしている。
それを知って、当初、あの青年役(ジェレミー・ブレットという俳優名は何の意味も持っていなかった)には、きっと実力のある歌手が起用されたのだろうと思っていた私はびっくりしたが、同時に、いかにも朗々と歌い上げているように演じて見せる彼の「なりすまし」ぶりには、改めて感心したものだ。まあ、役者ならやれて当然なのだろうが、先の「ボヘミアの醜聞」における彼の変装は、いわゆる演技以上にテクニカルな側面もあるのだが、その変装用のギミックをひとつひとつ落として、普段の「ホームズの素顔」に戻っていくプロセスを見せる場面はなかなかのもので一見の価値がある。
- ハピネット・ピクチャーズ
- シャーロック・ホームズの冒険 完全版 DVD-BOX
参考価格: ¥78,200 (税込)
価格: ¥61,159(税込)
OFF: ¥17,041 (22%)
全体に画質がやや眠い感じなのが惜しまれるが(これは新世代DVD版登場の際には、リマスターされるのだろうか)、時代の雰囲気を再現しようと努めた丁寧な作りには好感がもてる。私も余裕があればBOXセットを購入したいところだが、いかんせん、このマニア向け価格ではまだちょっと手が出ない。当面は活字のほうで我慢するしかなさそうだ。
というわけで、第2巻をレンタルしてくる。