
吸血鬼と食人植物の襲来
というわけで、子どもの頃、そのタイトルが気になってしかたがなかったふたつのSFの映画化作品がカップリングされたDVDを量販店の店頭で見つけたとき、「これはDVDの神様の思し召しに違いない」と、即購入したことは言うまでもない。以下がそのDVDだ。

たまたま今見えている側はこうなっているが、パッケージの反対側には、もう一本の映画のタイトルになっているので、ご安心あれ。
この「地球最後の男」(1964年)の原作は、リチャード・マシスンの『吸血鬼』(田中小実昌の翻訳で、後に「地球最後の男」と改題)。ジョージ・A・ロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」の元ネタになった映画とされている。
詳述は避けるが、ヴィンセント・プライス演じる、ゾンビの中にただ一人置かれた正常な人間の孤独感がひしひしと伝わってくる傑作だ。もっとも、原作者自身はこの映画をあまり評価していなかったらしい。
この作品は、チャールトン・ヘストン主演で、1971年にリメイクされている。こちらもそれなりの雰囲気は出ているけれど、やはりヴィンセント・プライス版はぜひ観ておくことをおすすめしておきたい。
さて、その一方、ジョン・ウィンダムの『トリフィド時代』を映画化した「人類SOS!」(1962年) は、突然流星雨が地球に降り注ぎ、これを見た人は皆失明してしまい、わずかにその難を逃れた人々も、巨大な食肉植物の餌食となっていくという物語。「地球最後の男」と比べると数段落ちる内容だ。
- ただ、主演俳優がハワード・キールであるのには驚いた。「アニーよ銃をとれ」(1950年)、「ショウ・ボート」(1951年)、「キス・ミー・ケイト」(1953年)、「カラミティ・ジェーン」(1953年)、「略奪された七人の花嫁」(1954年)などのミュージカル映画に出演している彼が、この映画では歌を歌わず演技だけで勝負してるのだ!
どちらもレアものなので、ホラー/カルト映画ファンの方はこの機会に入手しておくといいかもしれない。