【作品#0561】ハリー・ポッターと炎のゴブレット(2005) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(原題:Harry Potter and the Goblet of Fire)

【概要】

2005年のアメリカ/イギリス合作映画
上映時間は157分

【あらすじ】

魔法学校対抗試合が100年ぶりに開催されることになり、17歳以上が出場資格にもかかわらず、選手を選び出す「炎のゴブレット」によって14歳のハリー・ポッターが選ばれることになり…。

【スタッフ】

監督はマイク・ニューウェル
音楽はパトリック・ドイル
撮影はロジャー・プラット

【キャスト】

ダニエル・ラドクリフ(ハリー・ポッター)
ルパート・グリント(ロン・ウィーズリー)
エマ・ワトソン(ハーマイオニー・グレンジャー)
ロバート・パティンソン(セドリック・ディゴリー)
ロビー・コルトレーン(ルビウス・ハグリット)
レイフ・ファインズ(ヴォルデモート卿)
マイケル・ガンボン(アルバス・ダンブルドア)
ブレンダン・グリーソン(マッドアイ・ムーディ)
ジェイソン・アイザックス(ルシウス・マルフォイ)
ゲイリー・オールドマン(シリウス・ブラック)
アラン・リックマン(セブルス・スネイプ)
マギー・スミス(ミネルバ・マクゴナガル)
ティモシー・スポール(ピーター・ペティグリュー)
ミランダ・リチャードソン(リータ・スキーター)

【感想】

人気シリーズの4作目は、全世界で8億9千万ドルと安定したヒットを記録した。

エピソードの数珠繋ぎ感はシリーズの中で最も顕著じゃないだろうか。「ドラゴン編」「ダンス編」「水中編」「迷路編」といった感じで構成されているようだ。

100年ぶりに開催されることになった魔法学校対抗試合は危険との理由で17歳以上に参加資格が付与されるが、その代表を選ぶ「炎のゴブレット」は17歳以上の3人の生徒とまだ14歳のハリー・ポッターの名前を読み上げる。立候補制だったために、ハリー・ポッターがズルをしたのだと周囲から言われることになる。このシリーズはハリー・ポッター含む主人公らは何か事件が起こると、無実であるにもかかわらず、あるいは有罪かどうかわからぬ状況にもかかわらず、周囲の生徒や教師から「犯人だ」と決めつけられることが多々ある。これは「決してそんなことない」と観客(原作なら読者)側が主人公に感情移入しやすいようになされた工夫なのだと思うが、手段として安易すぎるし、事件のたびにハリー・ポッターが犯人扱いされるのは見ていて不愉快だ。ここまで来ると不運というレベルでは済まず、実は日頃の行いが悪いのではないかと思ってしまうほどである。しかも、今回は親友のロンですら、ハリー・ポッターがズルをしたのだろうと冷たく接し、彼らの関係は冷え切ってしまう。

そんなこんなでドラゴンとの戦いを余儀なくされたハリー・ポッターは、特にこれといった対策を取るでもなく、また特に誰かが手を差し伸べるでもなく戦いの場に放り出される。火を吹くドラゴン相手にただ逃げるしかないハリー・ポッターは、箒を使って空へ逃げる。戦いの会場から離れた校舎付近まで逃げると、ついに箒から落ちてしまい校舎の縁に掴まり、身動きの取れない状態になってしまう。すると、ドラゴンは空を飛べるのに校舎に着地して屋根を伝ってハリー・ポッターのところへ移動し始める。そのすきにハリー・ポッターは箒を回収して再び逃げ始める。ハリー・ポッターはドラゴンが通過できない場所を見つけてそこを通過すると、ドラゴンはそこにぶつかって遥か下の地上に落下してしまう。そしてハリー・ポッターは何とか試合の会場に戻って、ドラゴンの卵を回収することに成功する。ハリー・ポッターは、これといった対策を取らずに試合に望み、ただひたすらに逃げまくった結果、ドラゴンが建物にぶつかり自滅するという形で勝利を収めた。しかも、その瞬間は会場の外なので観客は誰も目撃していないということになる。さらにこのドラゴンの課題は他に3人の生徒が挑戦しているにもかかわらず完全に省略している。こんな形で良いのかね。

ハリー・ポッターがズルをしたと思い、無視したり冷たく接していた周囲の生徒たちはハリー・ポッターが成功を収めると途端に喜び、何事もなかったかのようにハリー・ポッターと接し始める。この態度の急変もティーンエイジャーっぽいといえばそれまでだが、ただの性格の悪い連中にしか見えない。ハリー・ポッターの性格や今までのシリーズでの行動を考えれば、そんなことをするはずがないとしてもっと多くのキャラクターが信じてあげるというのが自然だと感じる。

その後のダンスパートははっきり言ってくだらないので割愛する。第一の課題をクリアしたハリー・ポッターはドラゴンの卵の謎を解かなければならないのに、自分の力で解こうとせずにハーマイオニーから叱責される。すると、試合の参加者の1人であるセドリックがほぼ答えとも言えるヒントをハリー・ポッターに教えてくれる。これによってハリー・ポッターはドラゴンの卵の謎を解くことに成功する。本当にこんな形で良いのかい。

そして、次は湖の中にいる人質を救うという課題である。水の中で息ができるようにトビーがハリー・ポッターに特殊な昆布をくれる。これを食べたハリー・ポッターは水中でも息ができるようになり、人質助けに成功する。ここでもまた他の誰かが勝手に助けてくれる形となっている。

最後の課題は迷路で優勝杯を取ることである。度々ハリー・ポッターを助けてくれたセドリックと一緒に優勝杯を手に取るとヴォルデモート卿の父の墓まで移動させられ、セドリックは殺されてしまう。何とか助かったハリー・ポッターだったが、すべてはムーディ先生になりすましたクラウチの息子の仕業だったと判明する。どれだけまどろっこしい仕掛けを作っているのか。こんな仕掛けを考えるだけで頭がおかしくなりそうである。しかもこのテイストのシリーズにしては生徒の1人が死ぬのはやはり行き過ぎ。

また、1作目から言えることだが、この魔法学校の教育課程や、年次が上がるにつれてどのような魔法を身につけることができるのかといった全体像が掴めないため、17歳以上の生徒の中に14歳のハリー・ポッターが参加することがどれだけ不利なのか、どれだけ勇気を出さなければならないのかが全く見えない。本作もハリー・ポッターが何を得たのかがさっぱり。巻き込まれるがままで、自分の意志で行動する場面があまりにも少ない。課題も周囲のキャラクターの善意でどんどんクリアしていき、ラストにはその善意の象徴とも言えるセドリックが死んでしまう。何が描きたかったのかさっぱりで、この4作目時点では最低の作品と言える。

 

【関連作品】

ハリー・ポッターと賢者の石(2001)」…シリーズ1作目
ハリー・ポッターと秘密の部屋(2002)」…シリーズ2作目
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(2004)」…シリーズ3作目
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット(2005)」…シリーズ4作目
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(2007)」…シリーズ5作目
ハリー・ポッターと謎のプリンス(2009)」…シリーズ6作目
ハリー・ポッターと死の秘宝PART1(2010)」…シリーズ7作目
ハリー・ポッターと死の秘宝PART2(2011)」…シリーズ8作目

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

 

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【ソフト関連】

 

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映像特典

├メイキング3種

├代表者たちの1日

├名前を言ってはいけないあの人

├ダンスパーティの準備

├キャストたちとの出会い

├4作目のこと

├未公開シーン集

├オリジナル劇場予告編

 

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収録内容

├上記BDと同様