【作品#0560】ハリー・ポッターとアズカバンの囚人（2004）

【タイトル】

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人（原題:Harry Potter and the Prisoner of Azkaban）

【概要】

2004年のアメリカ/イギリス合作映画
上映時間は142分

【あらすじ】

ダーズリー家に帰省していたハリー・ポッターは親戚からの嫌がらせに痺れを切らして家を飛び出す。パブ「漏れ鍋」に到着したハリーの前に、魔法大臣ファッジが姿を現し、アズカバンを脱獄したシリウス・ブラックがハリー・ポッターの命を狙っていると知らされる。

【スタッフ】

監督はアルフォンソ・キュアロン
音楽はジョン・ウィリアムズ
撮影はマイケル・セレシン

【キャスト】

ダニエル・ラドクリフ（ハリー・ポッター）
ルパート・グリント（ロン・ウィーズリー）
エマ・ワトソン（ハーマイオニー・グレンジャー）
ゲイリー・オールドマン（シリウス・ブラック）
デヴィッド・シューリス（リーマス・ルーピン）
ティモシー・スポール（ピーター・ペティグリュー）
マイケル・ガンボン（アルバス・ダンブルドア）
アラン・リックマン（セブルス・スネイプ）
マギー・スミス（ミネルバ・マクゴナガル）
ロビー・コルトレーン（ルビウス・ハグリッド）
エマ・トンプソン（シビル・トレローニー）

【感想】

全2作品を監督したクリス・コロンバスは降板し、多くの候補の中からメキシコ人監督アルフォンソ・キュアロンが登板したシリーズ3作目。全世界で7億9千万ドルのヒットを記録したが、シリーズを通してみれば最低の成績となった。また、アルバス・ダンブルドアを演じたリチャード・ハリスの急逝を受け、マイケル・ガンボンが同役を引き継いでいる。

監督が交代しただけあり、作品のテイストも明らかな子供向けからやや大人も楽しめる雰囲気に変わっている。ただ、1作目から小出しにされてきたハリー・ポッターの亡き父親の話の全容がある程度わかるようになっているものの、1作目の時点から「何かしら事情があったんだろうな」というのは分かりきっており、特に意外性はない。というか、本作はもっとちゃんとシリウス・ブラックを描くべきではないだろうか。序盤から新聞紙面上でしか登場せず、登場したらいきなり種明かし的な展開となる。やはり1本の映画としてまとめたことの弊害だと感じる。

終盤はタイムトラベルものになっている。ただ、ごく普通のタイムトラベルものであり、何の脈絡もないシーンが後にタイムトラベルによるものだと分かるという構造になっている。これは伏線でも何でもない。しかも、このタイムトラベルにはハーマイオニーが誰かからもらった道具を使って行うのだが、この道具を貰った経緯も、道具の使い方もろくに説明がなく、ただ道具を使ってタイムトラベルをするだけというのはいささか説明不足である。こんなものを使えば何でもありになってしまう。道具を使う上での苦労もなければ、道具を使うことでの障壁もない。しかも、ハリー・ポッターはそれにただついて行くだけ。

全2作品に見られた作品としての連続性のなさはある程度解消されているように感じるが、タイムトラベルをすべての解決手段として使ってしまったことで作品自体が台無しになってしまった印象さえある。