【作品#0559】ハリー・ポッターと秘密の部屋（2002）

【タイトル】

ハリー・ポッターと秘密の部屋（原題:Harry Potter and the Chamber of Secrets）

【概要】

2002年のアメリカ/イギリス合作映画
上映時間は161分
※ロングバージョンは174分

【あらすじ】

夏休みにダーズリー家に帰省していたハリー・ポッターは、屋敷しもべの妖精ドビーのいたずらで魔法を使ったことにされ家に軟禁状態となる。そこへ、友人のロンらがハリーを助けに来る。

【スタッフ】

監督はクリス・コロンバス
音楽はジョン・ウィリアムズ
撮影はロジャー・プラット

【キャスト】

ダニエル・ラドクリフ（ハリー・ポッター）
ルパート・グリント（ロン・ウィーズリー）
エマ・ワトソン（ハーマイオニー・グレンジャー）
リチャード・ハリス（アルバス・ダンブルドア）
マギー・スミス（ミネルバ・マクゴナガル）
ロビー・コルトレーン（ルビウス・ハグリッド）
アラン・リックマン（セブルス・スネイプ）
ケネス・ブラナー（ギルデロイ・ロックハート）

【感想】

シリーズ化が決まった上での続編だったため、前作から1年後に公開されたシリーズ2作目。前作の10億ドル越えはならなかったが、全世界で8億7千万ドルのヒットを記録した。

監督もキャストもほとんど同じなので、基本的には前作と同じような作品と言う印象は拭えない。グリフィンドールは良い奴で、スリザリンは悪い奴という構造も変わらず。しかも、この子供向け映画を前作以上に長い161分で描くのもどうかと思う。さらに、序盤から中盤までの物語の運び方がうまいとは言えず、ちゃんと繋がった話にすら見えない。

そのうえ、中盤以降のキーキャラクターであるロンの妹ジニーは驚くほどに存在感がない。せめて前半で観客の印象に残るエピソードなり入れておくべきだろう。ただでさえ登場人物の多いシリーズなのに、新キャラクターがこの扱いでは役者も可哀そうだ。こんなことになるなら、せめて2部作として丁寧に描くべきだったと思う。

中盤、ミセス・ノリスが石にされる事件に居合わせたハリー・ポッターらはその現場に居たというだけで罰を受けそうになる。決定的な証拠がなくても絶対に犯人と決めつけられる理不尽な展開が多い。ハリー・ポッター側に感情移入させる意図があるのだろうが、あまりにも強引すぎる。もう少し自然な流れはなかったのだろうか。

ラストでハリー・ポッターはバジリスクという巨大なヘビと戦うことになるのだが、見せ方が下手なせいもあり、このバジリスクには本当にハリー・ポッターを食べてしまおうという気概が感じられない。ほとんど身動きすら取れていないハリー・ポッターに対して攻撃を外しまくる様は、とてもラストで登場した主人公が乗り越えるべき障壁には見えない。しかも刀を振り回して一突きって他になかったのか。

映画全体として見れば、主人公のハリー・ポッターが成長しているように見えるが、観ようによってはただ無茶しているだけにも見えかねない。13分長いロングバージョンが作られているので、詰め込みまくった上にカットするという作業になったことだろう。原作の1巻を1つの映画作品にすることが条件で映画を作っているのだろうが、それが映画製作自体を不自由にしているのではなかろうか。前作に引き続き本作も1つの映画作品としては評価しがたい。