NHK大河ドラマ「べらぼう」は第3回目の放映が終わり、早くも1月分の放映を終了。あっという間に時間が過ぎてしまうので、一瞬一瞬を大切に過ごそうと毎度のように決意を新たにする昨今です。大河ドラマの醍醐味は智謀をつくした軍略。現代ではビジネスのマーケットを戦場に見立て、軍事で使われる戦略戦術などを応用したマーケティング戦略とかがもてはやされていますが、「べらぼう」はまさにビジネスにうってつけの題材です。中途半端な合戦シーンをみるよりは、はるかに私好みのドラマと言えます。
さて、「坂の上の雲」も順調に視聴を続け、ようやく帝国陸軍が奉天を占領。かなり満身創痍な状態ですが、あとは帝国海軍がバルティック艦隊を待ち受けるだけ。そんなわけで、結婚記念日を迎えたこともあり、連合艦隊の旗艦でもあった記念艦「三笠」がある横須賀へと一泊旅行にでかけてみました。
初日は、鎌倉の鶴岡八幡宮への遅めの初詣が終わった後に、鎌倉から横須賀へと横須賀線で移動します。京浜急行の汐入駅近くにあるホテルまでゆっくりと歩きます。ヴェルニー公園は、陽ざしにめぐまれ、もうすぐ春を感じるような陽気。公園から見える横須賀港には各種護衛艦が停泊。間近には、最新鋭のもがみ型護衛艦の「もがみ」と「くまの」が停泊。目の前の海上では浚渫作業が進んでいました。
ホテルの予約は相変わらず「Booking.com」。登録されている宿泊施設の数は少ないのですが、掲載されている紹介画像が厳選されているのと、操作しやすいので、10年近く使い続けています。部屋を選ぶにあたっては「シービュー」と書かれた部屋を選んだため、5000円ほど高くなってしまいましたが、やはり海辺のホテルは眺めが大切。フロントで渡されたウッド製のカードキーは15階。眺めはなかなかです。眼前にコスカというショッピングモールのコンクリートむき出しの屋上が完全に視界の邪魔ですが、横須賀本港を一望できます。夕飯後は、あざやかなネオンやハンバーガーの看板、ビリヤード台やジュークボックス・カウンター席があるバーが建ち並ぶ「どぶいた通り」を歩き、アメリカナイズされた商店街を新鮮な気持ちで観光します。
翌朝は19階のレストランで3000円のモーニング。展望料込みのお値段と考えて散財です。真正面に猿島が見え、京葉工業地域のコンビナート群も遠望できます。方向は違いますが、真っ白な富士山も見えます。チェックアウト後、汐入駅から京急で横須賀中央駅まで移動。荷物をロッカーに預け、三笠公園に向かいます。
東郷平八郎長官の銅像の背後には、艦尾を向けた戦艦が停泊していました。実際にはコンクリートや土砂で固定されていますが、なかなかの大きさです。ヴェルニー公園で戦艦陸奥の40センチ主砲を見たとはいえ、それよりも40年前の30センチ主砲はかなりの迫力。入場料を支払い、順路にしたがって回っていきます。各区画では、等身大の人形が置かれ、それなりのリアリティを醸し出しています。ラッタルを上ると艦橋。操舵室と海図室は部屋の中にありますが、最上部はむき出しの橋の上。まさに艦橋です。戦闘中は土嚢を積み上げたとはいえ、直立不動で立ちたいような場所ではありません。頭上を仰げば、Z旗が翻っていました。
艦内の展示室では、日本海海戦を中心とした日露戦争に関する資料や絵画・パネルが展示されています。さらには日本の軍艦の精巧なミニチュア(1/500)がずらりと並べられ、現代に近づくほど護衛艦といえどもサイズが大きくなるなと感心します。ほかには、世界三大記念艦の残り2艦の解説展示がありました。ナポレオン戦争のトラファルガー海戦で活躍した英海軍の戦列艦ビクトリー号は当然として、残りの一隻は何だろうかと推測します。SF映画の見過ぎで異星人の宇宙船を撃退した米海軍の戦艦ミズーリーかと妄想しましたが、同じ米海軍でも木造帆船で、大型重武装のフリゲート艦「コンスティチューション」が選ばれていました。
艦尾には艦長室、さらには連合艦隊の旗艦ゆえに長官室があり、飴色に磨かれた調度類が整えられていました。記念艦として蘇る以前は、老朽化や窃盗などで荒廃が激しかったようで、日本海海戦当時から残っているものは一部だけのようです。艦を降りれば、公園内の売店でお土産を買い、帰途へとつくのでした。
■周辺図