第5回ホラサス特別賞受賞者コメント:日刊ゲンダイ引用
【NEW WAVE】 2005年3月13日 掲載
ホラーサスペンス大賞特別賞・道尾秀介氏に聞く〈作品概要〉 「レエ オグロアラダ ロゴ……」。ホラー作家の道尾は、旅先の福島・白峠村の河原でこんな不気味な声を聞く。地元で起きた児童連続失踪事件との関連を疑った道尾は、東京で「霊現象探求所」を構える友人・真備を訪ねる。 その真備のもとには、すでに白峠村周辺で撮影された異様な心霊写真が届いていた。被写体の背にいずれも2つの目が写りこみ、後に彼らは全員自殺していた。道尾は真相解明のため、真備とその助手と共に再び白峠村に向かうのだが……。 ――呪いや心霊現象、超能力が絡むオカルト&ホラーものでありながら、骨格は名探偵とその脇役が活躍する本格ミステリーですね。 「もともとオカルトの世界とミステリーの世界、両方が好きだったんです。オカルトは謎が謎のまま解決できないのが面白い。ミステリーは目の前の謎を完璧に解き明かしてみせるのが醍醐味。その両方を兼ね備えた作品がありそうで、実はなかなかないこともあって、それなら自分で書いてみようと」 ――物語の背後に潜ませた天狗伝説や、神殺し伝承、そして霊視探偵ともいえる真備が語る心霊現象や憑依(ひょうい)現象の分析が実に面白い。広重の浮世絵「東海道五十三次」に隠された秘密や、金毘羅参りの本当の意味なども興味深いが、一番書きたかったことは? 「ネタばれになりますので詳しくは言えませんが、書きたかったことはいわゆる憑依現象、霊が人に憑くことの科学的な検証と、オカルトなどでフェークとそうじゃないものをきちんと見分けることで本物を見てみたい、ということですね。それを推し進めると、同時に真犯人がわかる、そういう仕掛けです」 ――日本のオカルトとミステリーの本格的な融合物としては画期的な作品。美青年で霊探求を志す主人公・真備も魅力的ですね。 「真備という男は僕自身の“男の理想像”。僕自身そうなりたい(笑い)。またオカルティックなものを完全否定する人もいますが、この世には否定も肯定もできないものがわりとたくさんある。それを自分は大事にしていきたいし、版元の編集部とはシリーズ化の話も出ています」 血液型O型の牡牛座。趣味は「歌うこと」で、新宿や十条のライブハウスでギター片手にステージに立つこともある。 「まだ20代なので、やはり30代、40代といった登場人物の心理描写が課題。10年後にはもっと人の心理を掘り下げたミステリーを書いていきたいですね」 京極夏彦らが開拓したホラー&ミステリー界のまさに期待の新星だ。 みちお・しゅうすけ 1975年、東京生まれ。玉川大学農学部林学研究室(森林学専攻)卒後、住宅保全関連会社を経て、オフィス用品総合商社の営業マン。社会人1年目からホームページで自作品を公開、本作品で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、本格デビュー。 |
映画化予定のレスビアン小説作者コメント:日刊ゲンダイ引用
- 高橋 美夕紀
- クールス
テレビで紹介していた。映画化がすでに決まっているらしい。
【NEW WAVE】
「エロ描写が少なく期待はずれかもしれませんが、レズビアンの人たちには“リアルね”と好評です」と語る高橋美夕紀氏。最新刊「KOOLS」(講談社 1500円)は、平凡なOLが自分のセクシュアリティーに目覚め、女性と恋し、愉快な、しかし少々問題ありのメンバーとソフトボールチームをつくる物語。映画化も決定し、斯界では話題沸騰のセクシュアルマイノリティー青春小説だ。
〈作品概要〉 会社の上司に新宿2丁目のゲイバー、レズビアンバーに連れて行かれた24歳のOLサエ。彼女は開けっぴろげに自分のセクシュアリティーを誇示する女性(?)男性(?)たちに驚き、同時にある解放感も味わう。
少女時代から女性しか愛せず悩んでいたサエは、レズのヒロコ・ママに初めて告白、「恥ずべきことじゃない」と励まされ、やがてトモコという恋人もでき、レズのソフトボールチームにも参加する。だが同僚・親へのカミングアウトの問題、レズ同士の愛の確執など問題は山積みで……。
――ホモセクシュアルをテーマにした作品は数多いが、本格的なレズビアン小説はまだまだ少数。この物語はどこから? 高橋さん自身もレズビアン?
「(笑い)すごく身近なレズの女友達はいますが、私自身はまだそこまで深い関係の友人はいません。そもそもの書くきっかけは、ある日、編集者に“練習で筋肉が痛い”と言ったら“なんの練習?″と聞かれて、“レズビアンの人たちが集まるソフトボールチームの練習に参加した”と話したら“下手な小説より面白い。書いてみれば”となったんです」
――レズやホモの世界の紹介、ネコやタチといった言葉の解説、彼らの実際の悩みなども巧みに織り込まれ、東京のセクシュアルマイノリティー解説本にもなっているが一番書きたかったことは?
「セクシュアルマイノリティー(この作品の場合、主にレズビアンですが)を書きたかったというよりも、やはり固定観念にとらわれて物事を見ちゃいかんぞ、と。普段からそう思っているんですが、今回はセクシュアリティーをテーマに選びました。自然界の性愛はヘテロ(異性愛)だけじゃない、いろんな嗜好が存在するのが当たり前。そういう意識を読む人に少しでも感じてもらえれば、と」
――カミングアウトの問題がやはり大きなテーマのひとつになっている。
「表立ってのイジメ、差別は減っても、やはり“気持ち悪い”という全否定の意識を持つ人がまだまだ多いですね。実際にはマイノリティー同士の間にも差別、区別があって、そこもこの作品で問題として取り上げました。でもこの一冊ですべてがわかるわけではない、そこも意識して欲しいですね」
血液型O型の双子座。趣味はウイスキーを中心に「酒」。新宿ゴールデン街のある店で週1回、カウンターにも立つ。今後は「この10年、湾岸からイラクまでの戦争を見せられ、多角的な視点の必要性を痛感しています。その視線を忘れず書いていきたい」とも語る。新宿ゴールデン街・2丁目が送り出す、酒の飲める大型新人の登場だ。
◆たかはし・みゆき 76年、埼玉県生まれ。立教大学文学部中退後、雑誌編集プロダクション勤務を経て、99年からフリーライター。企業広告や著名人のゴーストライターなども務め、初の書き下ろし作品の本書で作家デビュー。新人としてはきわめて異例ながら、本書刊行前から映画化が決定している。
第46回群像新人文学賞優秀賞受賞者コメント;日刊ゲンダイ引用
- 村田 沙耶香
- 授乳
【NEW WAVE】
「初潮を迎えた頃の少女の感性って好きですね」
「思春期の女の子の残酷さとか、オンナの部分と少女の部分のせめぎあいを精緻に描きたかった」と語る村田沙耶香氏。最新刊「授乳」(講談社 1500円)は、選者の藤沢周が“小説を書く原点をもつ”と絶賛した群像新人文学賞・優秀作他2編を収録する。若い女の子たちを主人公に、リアルに怖い“問題あり”の精神世界を鮮烈にえぐり出す。
【作品概要】 表題作は女子中学生の「私」と、異様なほどの潔癖症の母と、28歳の家庭教師青年の物語。家庭教師の院生はまるで自己を消滅させたような無機質な存在だった。私と一言も言葉を交わさずただ答案を添削するだけ。
だがある日、私は彼の腕に自傷行為のあとを見つけ、手当てしたことをきっかけに関係が変わる。命令を下し、私のブラウスのボタン、ブラジャーをはずさせ、乳首を赤ちゃんへの授乳のように彼にくわえさせる私。その現場に母が踏み込んで……。
――「授乳」では主人公の女子中学生「私」が相当残酷に描かれる。潔癖症の母親を見下し、家庭教師の大学院生にはある意味、無残な仕打ちを繰り返す。何を描こうと?
「わかりやすくいえば、思春期の女の子の中にあるオンナの部分と少女の部分のせめぎ合い、そして少女が本来もつ残酷さ、ですね。あえて言えばこの作品は、少女と青年の“主従小説”かも。そういうものを頭の中で想像したりしていると、快楽を得られるので書いた、というか(笑い)。初潮を迎えた頃の少女の感性、反応、そういうのが好きなんです」
――最後のシーン、薬で眠りこける母の胸・顔を、蟻が這っているからとローファーを履いた足で踏みつける。これも怖い。
「自分の感情をコントロールできない思春期の象徴のシーンだと思います。主人公は母を、少女の部分を抱えたまま父に寄生する女と見下していたんですが、あの瞬間、強い女としての母があらためてその存在感を得た、それに主人公が反応したシーンなんです」
――同時収録の、キャラクター人形と恋愛する女子大生と小学生の女の子の物語「コイビト」も狂気じみて怖いお話だが、この作品集はゲンダイの読者にどう読んで欲しい?
「そんなに怖いですか?『コイビト』は私にしては珍しく明るい、愛らしい作品なんですけど。でも男性の中にも、成長期の自分を愛せない、というものがあるらしいですから、そういうものを私のこの作品集で見つけていただけたらうれしいですね」
血液型不明の獅子座、独身。趣味はMDを聴きながら自転車で街中をグルグル走り回ること。
「その時は頭の中で、ひたすら私の物語の映像を思い描いているんです」
ときに空中に見えないテレビ、映像を据え、チャンネルを回しっぱなしのことも。「好きな本は何度も読み返して食べたくなるぐらい。私の作品も読んだ人にそう思われるようになりたい」とも語る。ユニークで鮮烈、強烈な感性の大型新人の登場だ。
◆むらた・さやか 1979年、千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。03年「授乳」で第46回群像新人文学賞優秀賞を受賞、本作品集で本格デビュー。現在も都内某コンビニで働きながら創作活動を展開中。
第18回小説すばる新人賞受賞者コメント:日刊ゲンダイ引用
- 飛鳥井 千砂
- はるがいったら
【NEW WAVE】
「人や家族を信じたい若い世代の物語です」
――他人にまったく期待せず完璧主義の園、何事にも熱くならず感じることを知らないような行の姉弟の物語。作中の展開でもやはり両親の離婚と、その後の環境の変化が若い2人に深い影響を与えている印象がある。なぜこういう物語を書こうと?
「まず人が一歩でも二歩でも成長する物語が書きたかったんです。直接的には、結婚直後、一時専業主婦をしていた時期がありまして、夫婦共働きの家庭で育ったものですから、なんともいえない“世間に忘れ去られる感覚”というか、孤独感を味わった。そこから脱出するには自分が成長するしかないなと。同時にこの物語を書き出したんです」
――主人公は、どちらかといえば男子高校生の行。姉の園は、行と対照的な存在として描かれる。なぜ男の子を主人公に?
「子供の頃、冒険小説とかファンタジーが大好きで、主人公は大体男の子だった(笑い)。私も書くならやっぱり主人公は男の子と、そこは自然でしたね。園は若い女の子ですから、やはり私自身の代弁者の役割を相当担っています。男性の方は年齢に関係なく十把ひとからげで“近頃の若い女は”と考える感覚をお持ちのようですが、若い女の子たちは“いつもきれいでいなきゃならない”という強迫観念を、周囲の視線から受け取っていることにも気付いてほしいですね」
――この物語は、作者の実体験に相当もとづいているのでは?
「ほとんどが創造の産物です。こういう男の子がいるとしたら家庭はこうで、その周りをウロウロするこういう姉がいて、といった具合ですね。唯一例外は、老犬ハルの存在で、私もこういう犬の最期を看取りました。少年の成長の物語、同時に姉の成長の物語でもあるんですが、ハルの存在は絶対欠かせませんでした。結果的に、人を、家族を“信じている”よりは“信じたい”若い世代の物語になりました」
【作品概要】
デパートで働く22歳の園と、高3の行は、9年前に両親が離婚し、離れて暮らしている。行は父親が再婚した新しい家族と暮らし、14歳の寝たきりの老犬ハルをひとりで介護していた。一方、仕事から装いや体形維持まで完璧主義の園は、一緒に家を出た母親から独立し一人暮らし。
そんな2人に、ちょっとした不幸が襲いかかる。婚約者のいる幼馴染みの恭司と秘密裏に不穏な関係を続けていた園には、無言電話と差出人不明の手紙。行は肺炎で長期入院し、そしてハルには……。
◆飛鳥井千砂(あすかい・ちさ) 1979年、北海道士別市生まれ。愛知淑徳大学文学部国文学科卒後、通信サービス会社勤務。結婚を機に一時専業主婦となり小説執筆を開始。その後、再び会社勤務につき、今回本作で第18回小説すばる新人賞を受賞し作家デビュー。
第4回このミス大賞受賞者コメント:日刊ゲンダイ引用
- 海堂 尊
- チーム・バチスタの栄光
【NEW WAVE】 2006年2月25日 掲載
第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞 海堂尊氏に聞く「究極の殺人トリックの舞台として心臓手術が最適でした」 現役の医師・海堂尊氏の新刊「チーム・バチスタの栄光」(宝島社 1600円)は、外科手術の花形、バチスタ手術(左心室縮小形成術)を題材にした「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。さえない不定愁訴外来担当の医師と、型破りな厚生労働省の役人を探偵役に、ちょっと類を見ない医療ミステリーを展開する。 ――大学病院内のシステム、外科臨床の実態をリアルに使い、エンターテインメント化した快作。 日本にもようやくこういう医療ミステリーが登場したかという印象だが、意地悪く言えば医療分野の中で一番威張るのが心臓と脳外科。その中でも最難度のひとつの心臓のバチスタ手術を題材に選んだ理由は? 「手術中ならどんなジャンルにでも使えるある殺人トリックをそもそも思いついていたんです。そのトリックの唯一の弱点が、専門家が調べればすぐバレること。でも心臓手術なら、遺族感情の問題などもあって検視の解剖はとれない。その点では究極の殺人トリックになる。心臓手術でもバチスタを選んだのは、やはり一番派手だし、やっている施設が少ないので、展開の穴もバレにくいかな、と(笑い)」 ――すでに映画化、ドラマ化の話も殺到しているとか。この物語で一番描きたかったものは何? 「現実の医療現場では、ここで扱うような殺人が起きたら、あくまで例えですが、おそらく闇から闇でしょう。いろいろと公表される部分も増えてきていますが、今の医療現場の監査システムに何が不足しているかをまず書きたかった。同時に、システムを維持するのは人の心。医学には非人道的なところがありますが、やはり人道的というか、医療に携わる人の心のありようの大切さみたいなものを描きたかったわけです」 ――主人公の万年講師・田口、厚生労働省役人の白鳥、院長の高階と、登場人物がまたいずれも個性的で愉快。彼らが物語の奥行きを生んでいる。 「組織の物語でもあるんですが、個人が組織の圧力に追い詰められそうになったら、まず自分の上昇志向に肩透かしを食わせてはどうか、という思いもありました。自分の体験上でも、そこに縛られるのは何かと面倒臭いじゃないですか(笑い)」 【作品概要】 東城大学医学部付属病院では、米国から桐生恭一を助教授に招聘、バチスタ手術専門チームをつくり、成功率100%の実績を積み上げていた。 だが突如、患者の術中死が3例連続。しかも新患は海外の少年ゲリラ兵と決まる。マスコミ注目の中、高階院長はかつての教え子のひとりで、不定愁訴外来担当の窓際講師・田口に内部調査を命じる。なぜ院内の既存の調査会を使わないのか? 型破りな厚生労働省役人・白鳥と共に、田口のシニカルでコミカルな真相究明が展開する。 ◆かいどう・たける 1961年、千葉県生まれ。医学系大学院修了後、公的医療機関に入所。現在も同機関の勤務医。本作で第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞、作家デビューする。 |
第6回ホラーサスペンス大賞受賞者コメント:日刊ゲンダイ引用
- 吉来 駿作
- キタイ
【NEW WAVE】
「大人のためのホラー落語として楽しんでいただきたいですね」
――死んだはずの18歳の少年が蘇り“弥勒となって56億7000万年を生きる”と宣言する。その秘法を隠すため、凄惨な殺戮(さつりく)の物語が開始される。欧米産ホラーとはまったくちがう、アジア的霊魂、仏教思想などが背景にあることも特徴だ。こういう物語はどこから?
「欧米の本場のホラーには、必ず宗教、悪魔的存在が登場します。正統派の恐怖にはやはり宗教が不可欠で、私の場合、ここは仏教で、となりますね。直接的には東麻布で足のマッサージの仕事をやって、けっこうつらい思いをしまして、そこでたまったものを吐き出したところ、こうなった(笑い)。子供の頃から怖かった昆虫、とくに寄生虫類の生態も取り込みました。現実世界の怨念というか、世間の満ち足りた人々の豊かな思い出を、満たされないまんまの私に移植するにはどうするか、という発想に、寄生虫が答えを出してくれたわけです」
――登場人物たちの愛憎、家族や、老人たち、近親相姦、愛犬の存在といったものも物語の重要な要素。とくに報われない愛がテーマと読めるが、一番書きたかったものは?
「誰も考えつかないことを書いてやろうと思いました。人が誰しも逃れ得ない老い・病み・死を、こうすれば私も、読者も、そこから逸脱できるのではないか、というものを、ですね。それは最高のファンタジーではないでしょうか。それと、何が起きても不思議ではない香港という土地も大好きで、あの一種異様な空間はこれからも書いていきたいもののひとつですね」
――著者おすすめの読みどころは?
「実は文章の土台には私の大好きな落語、例えば6代目円生さんの語り口を利用しています。大人のためのホラー落語として楽しんでいただきたいですね。かつての仲間が悪魔的存在と再び協力して闘う、心が熱くなる物語としても楽しんでいただけると思います」
選者の桐野夏生氏が「6年間、選考委員をやってきて、一番面白い作品に出合った」と評する、日本発本格ホラーの書き手が登場した。
【作品概要】
古代中国に伝わる死者復活の儀式・キタイ。定められた場所でその儀式を行うと、遺体の中に青玉が生じ、そのぬめる玉をのんだ人物に死者が乗り移って蘇るという。
そのキタイの場所が日本の茨城県内にあった。深町ら8人の高校生は、キタイを捜しに訪れた香港人の指南を受け、死んだ仲間・葛西を蘇らせようと儀式を行う。だが葛西は蘇らず、異様な現象が頻発、8人の人生は大きく狂い始める。そして16年後、葛西は復活、キタイの秘密を知る仲間を次々と殺し始めた……。
▼吉来駿作(きら・しゅんさく) 1957年、茨城県古河市生まれ。県立古河第三高等学校卒後、上智大学経済学部に進むも中退。実家の青果店手伝い、塾講師、都内足マッサージ店などでの仕事を経て、05年、本作で第6回ホラーサスペンス大賞を受賞し、作家デビューする。
短命の食事・長命の食事:日刊ゲンダイから引用
| 【丸元淑生 短命の食事・長命の食事】 2006年3月3日 掲載
元凶は飽和脂肪とトランス型の脂肪酸どういう食事をしていると糖尿病になって、どういう食事をしていれば糖尿病にならないか? この問いに事実の裏付けをもって、正しい答えのできる医師はいなかった。 なぜ糖尿病は増えているのか? この問いに対しても同様である。 その答えを得るためにハーバード大の研究者たちが1980年から始めて1996年までつづけた研究がある。 8万4941人の看護婦を対象にしたもので、研究を始めた時点では循環系の病気も、ガンも、糖尿病もない人たちだったが16年後には3300人が糖尿病になっていた。 研究者たちは食事を含めて被験者たちのライフスタイルを詳しく調べているが、糖尿病の発病を左右するファクターとして明確になったのは次の5つだった。 (1)穀類の食物繊維 (2)飽和脂肪 (3)トランス型の脂肪酸 (4)喫煙 (5)適度の飲酒 穀物の食物繊維の摂取量が多く、飽和脂肪とトランス型の脂肪酸の摂取量が少ない食事をして、煙草は吸わず、飲酒は適度という人が最も糖尿病を遠ざけていたのだ。 穀物の食物繊維の摂取量が多いということは、精製度の低い穀類をたっぷり食べていることを意味している。白いパンではなく全粒粉のパンを主食として十分に食べているわけである。 日本だったら玄米でなくても、3分づき米か5分づき米にして、量もしっかり食べていることになる。 肥るからといってご飯をあまり食べない人がいるけれども、そういう人は糖尿病のリスクを高めていると思ってよい。 飽和脂肪の摂取量が少ないということは、肉と乳製品をあまり食べていないことを意味している。 肉よりも魚を選択し、バターやクリームをたっぷり使ったヘビーな料理は避けるという食生活である。トランス型の脂肪酸というのは自然界にはほとんど存在していない脂肪酸で、植物油から人工バターのマーガリンが作り出されて以降、人の口に多量に入るようになったものである。 1990年代にはそれが心臓病のリスク・ファクターであることが明白になるけれども、アメリカ人の平均摂取量は現在でも1日18グラムと多量である。マーガリン、ショートニング(製菓、製パンに使われる)、調理済み食品、プロセスチーズ、スナック菓子類に入っているからで、そういうものを食べていない人は糖尿病だけでなく、心臓病も防げているのだ。 ●丸元淑生(まるもと・よしお) 1934年、大分県生まれ。東京大学文学部仏文科卒。作家、栄養学ジャーナリスト、料理研究家。 |
虫歯治療の最新技術
ほとんど歯を削らない3大治療法
虫歯治療といえば、あのキュイーンという「ドリル音」を思い出して背筋が寒くなる歯科恐怖症の人も多いだろう。しかし最近は、ほとんど虫歯を削らない“痛みのない治療”が注目を集めている。最前線を行く3つの治療法を紹介しよう。
●オゾン治療
「自分の歯を長く使ってもらうために、虫歯といえどもできるだけ削らないで治療する、というのが最近の治療の流れです」
こう言うのは、オゾン治療を行っている近藤歯科(東京都目黒区)の近藤隆一院長だ。
歯の中に虫歯のばい菌が入り込んで歯が崩壊していくのが虫歯。オゾン治療は、オゾンの強い殺菌作用によって、その虫歯のばい菌を殺す。
「従来の虫歯治療だと、感染部位の取り残しによる虫歯再発を防ぐために、健康な部分も含めて多めに削るので、麻酔をしないと痛むことが多い。しかしオゾンを使えば殺菌ができるので、多めに削る必要はなく、麻酔もいらない。穴があいていない初期の虫歯なら、ほとんど削らなくていいし、穴があいている場合でも虫歯の部分を削るだけでいい。その後、虫歯の部分にカップをかぶせ、外に気体がもれない状態にしてオゾンを20~60秒当てるだけでOKなのです」(近藤院長)
オゾン(O3)は酸素(O2)に高圧の電気をかけることで発生する。口の中で殺菌力の強いオゾンを使うので毒性がないか気になるところだが、「ヒール・オゾン」という治療機器を使えば、オゾンは治療の対象になる歯だけに当てることができ、最終的に機器内に吸い込まれるので問題はないという。
「治療した部分に虫歯のばい菌が残りにくいため、虫歯の再発リスクも低くなります」(近藤院長)
保険適用外で、治療費は1本3000~5000円だ。
●レーザー治療
虫歯の部分にEr:YAG(エルビウム・ヤグ)レーザーの衝撃波を当て、光のエネルギーを爆発させ、虫歯を蒸散させるのがレーザー治療だ。
「レーザーで虫歯を削る治療ですが、虫歯が浅い場合は痛みや不快感は全く感じません。レーザーのトントントンという音が聞こえるだけなので、大人だけでなく子供も安心して受けられます。時間は数秒~20秒以内ですみます」(昭和大学歯学部・松本光吉教授)
レーザーで治療した個所は、削られた歯の表面が、瀬戸物のように硬くなってくるので、虫歯になりにくいというメリットもあるという。
虫歯治療用のEr:YAGレーザーは全国で2000台くらい普及している。これも保険は非適用。治療費は医療機関によって異なるが、1本5000円前後が目安だ。
●3Mix―MP法
抗生物質など3種類の抗菌剤を混ぜたペースト状の薬品を、虫歯に塗布し治療するのが3Mix―MP(スリーミックス・エムピー)法だ。
新潟大学大学院の星野悦郎教授と宅重歯科(仙台市)の宅重豊彦院長が開発した。星野教授が約500種類といわれる口腔内のばい菌をすべて殺菌する抗菌剤の組み合わせを発見し、宅重院長がそれをペースト状にして治療に応用する方法を見つけた。
「虫歯の穴の一部分に薬を塗布するだけで、歯の奥に入り込んだばい菌が殺菌され、虫歯の進行が止まり痛みがなくなります。虫歯で死んだ組織以外は削る必要がないので、削ることによる痛みもない。削らずに残した大部分の歯は、カルシウムが沈着して徐々に硬化、健康な歯に戻っていきます。常に歯が痛むほどの重症の虫歯でも、この治療で神経を残すことができる確率は94%に上ります」(宅重院長)
保険の適用外で、1本の治療費は約2000円。
虫歯治療も進化しているのだ。
沖縄米軍削減のニュース
沖縄から、米軍が撤退する。それは、沖縄にとっては、朗報かもしれない。しかし、極東地域の軍事バランスから言えば、アメリカは、極東から、手を引くということだろう。在韓米軍もすでに削減されている。
この地域で、軍事力が突出しているのは、情報を公開していないく中国だろう。
以下読売新聞ニュース引用。
沖縄海兵隊削減は8千人、3施設を全面返還…最終調整 在日米軍再編の目玉である在沖縄海兵隊の削減規模について、米政府が、移転可能な隊員数を精査した結果を踏まえ、従来よりも1000人上積みし、約8000人とする
考えを日本側に伝えてきたことが25日、分かった。 また、日米両政府は、昨年10月の中間報告では確定していなかった沖縄県中南部の4米軍施設の整理・統合について、那覇軍港(那覇市)、牧港補給地区(浦添市)、キャンプ桑江(北谷町)の3施設は全面返還、キャンプ瑞慶覧(宜野湾市など)は一部返還とし、3月末に発表する最終報告に盛り込む方向で最終調整に入った。 海兵隊員の削減規模は、中間報告には7000人と盛り込まれた。米海兵隊はその後、在日米軍再編の実行計画を作成し、約8000人の削減が可能なことを明記した。約9000人の家族とともに、その大部分がグアムに移転する。 在沖縄海兵隊の定員は約1万8000人で、日本政府筋は「8000人の削減が実現すれば、沖縄にとって画期的な負担軽減になる」と評価している。 県外移転の対象は、キャンプ・コートニー(うるま市)の第3海兵遠征軍、第3海兵師団、キャンプ瑞慶覧の第1海兵航空団の各司令部要員や、それに付随する後方支援部隊など。キャンプ・ハンセン(金武町など)の第31海兵遠征部隊など戦闘部隊の主力は残す予定だ。 (2006年2月26日3時3分 読売新聞)
Economist記事より:日本経済好転
Picking itself up
From The Economist print edition
The recovery is spreading, by and large
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Get article background
IF THE latest figures are to be believed, then last year, Japan (yes, Japan) grew faster, at 2.8%, than any G7 economy except America. And as of the final quarter of the year, it was growing faster than America as well, clocking up a 4.2% growth rate, year-on-year. Japan's GDP figures are notoriously prone to revision, so some of the shine may yet come off last year's performance. What is not in doubt, though, is that Japan's recovery is solid and increasingly broad-based.
In the recovery's early stages, rapid export growth played a crucial part in boosting industrial production and so company profits. After a soft patch early last year, export growth has accelerated again, with demand from China particularly strong. But what is striking now is the recovery in domestic demand. Companies with growing order books are spending on capital goods: fixed-capital investment grew at an annualised 7.2% in the last quarter of the year, while the outlook for machinery orders looks buoyant. Companies need to hire more workers. So the availability of jobs continues to grow. For the first time in over a decade, for instance, Japan has as many jobs on offer as there are applicants. Demand for workers is pushing up wages, and that is now clearly being felt in the shops. In the last quarter of 2005, personal consumption jumped sharply, growing at an annualised 3.2%. Department stores in and around Tokyo report brisk winter sales, and the first retail growth in nine years looks set to continue.
Confidence is returning to the housing market, too. New housing starts are holding up in the face of heavy winter snows, as well as a confidence-sapping scandal involving faked earthquake-resistance data for condominiums. And after a period when the housing recovery was confined chiefly to the Tokyo area, it has now spread to other parts, notably around Osaka and Nagoya. Thanks partly to the demand for mortgages, bank lending is starting to pick up again for the first time in years. With Japan pulling out of deflation, the Bank of Japan is likely to begin winding down its policy of super-loose money as soon as March or, more likely, April.
What are the dark spots in this picture? Taking a mildly contrarian stance, Richard Jerram, Japan economist at Macquarie Research, finds a couple. One is fairly soft import growth for such a purportedly robust recovery. This in part reflects the extent to which the recovery is taking place not chiefly in the manufacturing sector, but rather in services, where import demand is relatively low.
A second, more worrying, blot, is that for all that the labour market has tightened over the past year, employment growth, at an annualised 0.5%, is still too sluggish. This, says Mr Jerram, could point to a skills mismatch in the economy, where people are insufficiently suited for the kind of jobs being offered; if he is right, then the situation is not likely to improve anytime soon.
The employment picture also has a strongly regional element to it. In Tokyo, one-and-a-half jobs are being offered for every applicant: but in Hokkaido and Kyushu, Japan's northernmost and southernmost big islands, there are still too few on offer. To that extent, the fruits of the recovery are sure to be shared unevenly.


