冥王星移住計画 -3ページ目

やれやれ

いまさらだが、今日になってようやく、いろいろ容易じゃないな、と思うようになってきた。もともと楽観的な性格で、自分に甘いので、事業の先行きをかなり甘く予測していたが、どうもそんなに甘いものではなさそうだと思えてきた。「まずはすこし安めの料金設定にして、客を呼び込む」という算段だったが、「すこし安め」程度では不十分なようなので、しばらくはタダ同然でやることにした。

もともと資金はぎりぎりだったので、料金収入が大幅減となると、どうしたって立ちゆかない。

というわけで、アルバイトをすることにした。しばらくのあいだは客もあまり来ないだろうから、時間的余裕はある。週三日くらいバイトをしてみようかと思う。

だるいが、まあ、しゃあない。これも事業のためと思えば、そんなにつらいもんでもない。

家にいると腐ってしまいそうなので、どっかに出かけて、ファーストフードかファミレスでアルバイト情報誌でも広げようと思う。昔は絶対にできなかったことだ。「いい年して、あのひと、フリーターなのね」なんて思われそうで。そんなのはなけなしのプライドが許さなかった。が、いまは全然平気だ。目的があり、その目的のための手段と割り切っていればこそ、かっこわるいことでも平気でできる。

事業をはじめると、精神的に逞しくならざるを得ないというか、自然とそうなるものなのかもしれない。目的や目標のためには、余計なことなど構ってはいられない。「事業の成功」以外は目に入らなくなる。みんなきっとそうなんだろうと思う。なりふりかまわず、がむしゃらになるんだろうと思う。

健全すぎる。前向きすぎる。
以前はそんなのとは対極にあった。徹底的にニヒリズムだった。ニーチェの言葉を借りるなら、深淵を覗き込み、深淵にとらわれていたからこそ、いまは光がことさら貴重に思えるのかもしれない。

というわけで、いまから外出してこようと思う。08:11。外はいい感じに曇っている。自転車で出かけるにはちょうどいい。雨が降りそうな気配もあるが、多少は濡れても構うまい。

Google対策してみた

「脱ヒキ」「脱ニート」「相談」——これらの三つの語への対応が弱かったので、試しにトップページの冒頭に近いところにむりやり一文をくわえてみた。

「脱ヒキ、脱ニートのご相談、承ります。」

なんかむりやりすぎる。この一文がものすごく邪魔くさい。が、SEO的にはどうしても必要だ。困った。

あるいは、トップページ以外で、タイトルにそれらの語を含んでも違和感がないようなページのタイトルをそういうものに変えてみる(たとえば「問い合わせ」のページを「脱ヒキ・脱ニートのご相談」というタイトルにしてみる)というのも、ひとつの手かもしれないが、仮にランク上がって訪問者が訪れたとしても、いきなり問い合わせページじゃまずい。

やはりトップページに対策を施す必要がある。非常に悩ましい。

いっそ、見出しor小見出しにするという手もあるが、すでに見出しはある。それもSEOのためにあとから追加したもので、それをはずすわけにもいかない。

てことは、ダブル見出しでいくか。それもかなり無茶な気がするが。

結局、平文として一文追加するとその一文が浮いてしまって不自然なので、ダブル見出しという作戦でいくことにした。これで効果が出るのかどうかはわからないが、まあ、試してみる価値はあるだろう。

若干邪魔くさいが、さほど不自然ということもない。まあ、許容範囲だろう。

以前、見出しひとつのときはh3にしてたが、今度はふたつになるのでややちいさめのh4にしてみようかとも思ったが、結局、h3のままにしておくことにした。果たして、インデックス時に文字サイズは影響するんだろうか。わからんが、まあ、おおきめにしておくほうがいいのだろう、念のため。

SEO(Google対策)とAdWords

案の定というべきか、今日は問い合わせの電話なんて一本もなかった。まあ、そんなもんか。
ちょっぴり意気消沈しつつ、サイトに修正を施したのち、なんとなくGoogleで検索してみた。

で、「ひきこもり 支援団体」でググったら、うちの団体が1位になってて驚いた。ブルーだった気分がちょっぴりピンク色になった。背中に羽すら生えそうになった。それにしても、つい四日ほど前、6月30日にサイトをアップしたばかりなのに、KHJ(老舗)よりも上ってありえん。どういうロジックがGoogleの中で働いているやら。

ページ数がけっこう多く(約60頁)、そのほとんどがひきこもり/ニート関連の文章で埋め尽くされていて、内部で(ドロップダウン式のメニューによって)ほぼ網羅的に相互リンクしあっているのが功を奏しているのかもしれない。よくわからんけど、そのあたりもたぶん一因だろうか。

でも、PageRankってきまぐれで、けっこう大幅に順位が変動したりするらしいから、いま上位だからといって安穏としてはいられない。

期せずしてそんな好成績を叩き出せたものの、SEOに関してはごくごく基本的なGoogle対策しかしていない。Browser Titleをちゃんと練ること、そして、WebmasterでSitemap送信すること。この二つだけでも、けっこう効果はあったようだ。支援団体のリンク集っぽいところに掲載をお願いすることすら、まだしていない。

で。ちょっと試しに、何位になっているか、いろいろググって調べてみた。

ひきこもり 支援団体 1位
ひきこもり 支援団体 東京 1位
ひきこもり 支援団体 神奈川 2位
ひきこもり 支援団体 千葉 4位
ひきこもり 支援団体 埼玉 5位

ひきこもり 支援 100位未満
ひきこもり 支援 東京 52位
ひきこもり 支援 神奈川 2位
ひきこもり 支援 千葉 2位
ひきこもり 支援 埼玉 2位

ひきこもり サポート 100位未満
ひきこもり サポート 東京 106位
ひきこもり サポート 神奈川 18位
ひきこもり サポート 千葉 14位
ひきこもり サポート 埼玉 3位

ひきこもり 200位未満(つい意地になって下の方まで調べてみたが、そこであきらめた)
ひきこもり 東京 63位
ひきこもり 神奈川 16位
ひきこもり 千葉 20位
ひきこもり 埼玉 19位

上位になることが困難なところでは、AdWordsにたよるしかない。が、AdWordsのひきこもり支援関連のフレーズでは、予想していたよりも、競争が激しい。「おいおい、支援団体って、顧客獲得にそこまで金かけてるのかよ」と思えるほどだ。熾烈といっては大袈裟だが、First Page Bidはけっこう高騰している。実態を知ったら、たぶんみなさん驚くと思う。もっとも、First Page Bidは、なにも競合相手の存在だけでなく、「キーワードのパフォーマンスや品質スコア」にも左右されるらしいが(この「キーワードのパフォーマンスや品質スコア」っていう二つの概念がどちらもよくわからん)。
設立後しばらくのあいだは認知度を高めることにいくらか多めに費用をかけるのもいいだろうと思い、いまは一日の上限額とクリック単価をやや高めに設定しているが、これをいつまでも続けることはできない。続けたら月額X万円になってしまう。それはちょっとやばい。どうしたものか。

ランクで上位で入っているフレーズに関しては、AdWordsのクリック単価を下げたほうがいいのかもしれない。いままで気づかず、放置していた。上位に表示されるなら、AdWordsいらんわけだし。

それにしても、やっぱり「東京」は厳しい。
「サポート」という語に弱いということは数日前に調べたときに知って、梃入れしたんだけど、どうも効果が薄い。付け焼き刃的な修正なので、仕方ないか。いずれ、もうすこしだけ梃入れしてみようかと思う。ほかにも梃入れが必要な語がある。

しかし、SEO目的でコンテンツをいじるのには抵抗がある。どうすれば順位が上がるかはある程度わかってるが、あんまりやりすぎると、閲覧者に無駄な文章ばかり見せることになって、利便性を損ねる。

まあ、SEOだけできていても仕方がない。実際、そんなに訪問者も多くない。一部フレーズで上位にランクされていることの恩恵はまだないに等しい。とにかく客が来てくれないことには。明日からの一週間がとりあえず勝負だ。

本日設立

朝、目が覚めてすぐさまPCの前に座り、画面上の時計で時刻を確認する。8:49。まだそんな時間か。何時に床に就いたかはおぼえていないが、あまり長くは寝ていないことはたしかだ。そういえば、寝る直前にサイトの修正をおこなったのだった、と思い出し、文書の修正時刻を見てみる。6:34。たった二時間あまり。体は多少だるいが、つらいというほどでもない。

気力はといえば、至極充実している。過去五年間で最大といってもいい。窓から差し込む朝の光をこれほどまでに心地よく感じたことは、長いことなかった。

まだクーラーはかけていない。思えば、目を覚まさせられたのも、暑さのせいだ。が、いまはこの微妙な暑ささえ心地いい。この季節を肌で感じられることが、この瞬間を肌で感じられることが心地いい。

やらなければいけないことが目の前にある。いや、やりたいことがある。やりたいと思えることがある。

以前、心を鷲摑みにされたゴーリキーの言葉を思い出す。曰く、「明日、何をなすべきか知らぬ者は不幸である」。かつてはずっとそんな不幸の直中にあった。が、いまはちがう。明日どころか、この先の一分一秒さえ輝いて見える。

ありえないほど前向きになっている自分がいる。

設立日とはいえ、今日は日曜日なので、電話での問い合わせ受付は明日の月曜日からでいいか、と思っていた。もとより、通常営業においては、平日のみとする予定だったためだ。が、今日だけは、平日と同様に、受け付けてみようと思う。
むろん、問い合わせの電話が一本も入らないという可能性さえある。が、それはそれでいい。重要なのはとにかく前へ進むことだ。留まろうとしないことだ。「だめかもしれない」「むりかもしれない」という悲観的予測に足を引っ張られずに、最善を尽くすことだ。最善を尽くしてもだめだった場合は、また改めて対策を講じればいい。失敗もまた前へ進むための原動力になり得る。

平日と同様、午前十時から午後五時まで受け付けることにする。手早くサイトに修正をかけなければいけない。

日曜日の午前十時といえば、将棋ファンにとっては、ちょっぴり特別な時間だ。NHK教育で将棋の時間がある。将棋講座とそれに続く将棋トーナメント。毎週、たのしみにしている。が、今日は見るまい。もっとほかにやりたいことがある。やらなければいけないことというより、やりたいことが。

どうやら冥王星に移住する必要はなくなったようだ。ハーデースにはしばらく会えそうもない。

いちおう明日設立予定

明日設立なのはいいんだけど、日曜日だとは知らなかった。まあ、所詮、形式的なものだし、いいとしよう。

ほんとはブログなんて書いてる場合じゃないんだが、自分を鼓舞する意味も込めて、ここで今日やるべきことを再確認しておこうと思う。

と、その前に、昨日やったことの記録を。

文房具を買おうと思い、どこがでかいのだろうとウェブで調べたら、銀座の伊東屋が最大級らしいということがわかった。世界堂でも文房具をあつかってるということも知った。あそこは画材専門だとばかり思ってた。久々に銀座に行ってみるのもいいかと思いかけたが、すべてを高価な店でそろえるのは愚行だろうと思い、まずは安いところである程度そろえてから足りない物をちょっといい感じのところでそろえようと考えた。結果、北池袋のドンキホーテへ立ち寄ったのち、池袋の伊東屋か世界堂あたりへいけばよかろうということになった。
というわけで、まずはドンキでボールペン十本と領収書を購入。自宅にパラサイト中なので、ボールペンなんて探せばそこらじゅうから出てくるはずだが、まあ、買っておいた。10本270円くらいの廉価品を。自転車の荷台用のゴム紐を紛失したので、それも買う予定だったが、てきとうなのが見あたらず、これは断念。自転車用の手袋もよさげなのがあれば買う予定だったが、なかったのでこれも断念。
その後、東武7階に入っている伊東屋へ。手帳というかスケジュール帳を買う予定だった。店内でさんざん迷った。たぶんかれこれ20分くらいは、これかな、あれかな、と迷っていたと思う。例によって例のごとく、「おしゃれしてるつもりなんだろうけど、あきらかにどこかまちがってる」というような、天パー丸出しのイタリア人風の髪型でいっていたので、店員から怪訝な目で見られていたかもしれない。結局、一日の日程を時間単位で書き込めるようになってるやつ(ちょうどGoogle Calendarの週表示みたいな感じ)を買った。視覚的に容易に空き時間を確認できるのがよい。およそ1,500円也。
帰り道、サンシャインシティにでもいってみようかと考えた。あそこの奥にある、ゴリラとかいうゲームセンターはまだあるんだろうか、と気になった。こどものころ、親といっしょに池袋に買い物に来ると、よくそこへ連れていってもらっていた。でかいゴリラが床に埋まり、肩から上だけが床の上に出ているような感じになっているやつが幼心に印象的だった。そんなわけで一種の思い出の地なのだが、結局、面倒だったので、いかなかった。

で、今日やるべきこと。

・面談時の問診票ないしはテンプレっぽいものの作成。前につくったものがあるが、内容や書式に問題ありなので、作り直す。
・会員用データベースの項目を整理し、面談時に利用できるようにリスト化する。こまかいところにこだわりすぎる性格が裏目に出てしまい、確認項目的なものを妙にこまかく作りすぎてしまった。運用上問題ありなので、簡略化する必要がある。
・必要書類の清書と印刷。契約書はいちおうできあがっている。が、説明時に使うパンフレット的な物がまだできていない。おいおいおい。サイトの内容を要約すればいいだけなので、簡単にできるだろうと思い、後回しにしていた。
・鞄を洗って干す。学生のころに使っていたやつを流用する。そこそこいいもので、会社員とかがもっていてもおかしくないたぐいのものなので、とりあえず十分。
・筆入れを探す。部屋の混沌の中に埋もれている模様。
・ルーズリーフとそれ用のバインダーの用意。これも部屋のどこかに埋もれているはず。ふつう会社員とかはルーズリーフなんて使わないんだろうが、あれこれ考えた結果、それが使い勝手がよかろうと判断。クリップボード+A4用紙とかのほうが面談時には様になるんだろうけど、コピー用紙+クリアファイルで管理ってのも管理しづらそうだし、そもそもコピー用紙に直書きってのにはちょっとプレッシャーを感じる。なんかちゃんときれいに書かなきゃいけなそうで。ルーズリーフだったら、学生のころのように遠慮なく乱雑に書ける。ちなみに、ルーズリーフではなく、正しくはルースリーフだよね?
・印鑑を用意しておく。

たぶんまだほかにもいくつかあるはず。

実際はすぐに客が現れることもなさそうだし、現れたとしても、明日は日曜だから、面談は月曜以降にお願いしますってことにすればいいので、必ずしも今日中に準備を整える必要はないんだが、まあ、いちおう対応できるようにしておくに越したことはない。

某所でサイトの内容やらサービス内容ならについて修正したほうがいいと助言され、その助言のいくつかは採り入れる予定なんだけど、ややこしい修正になりそうなので、ちょっとすぐには取りかかれない。とりあえずそこは放置。

設立まであと二日の予定なんだけど

今日は一日だらだらしようと思う。

昨日いろいろやりすぎたせいで少々疲れた。自転車での新宿行で肉体的に疲れただけでなく、2chで団体の公式サイトを晒すという行為をしたおかげで精神的にも疲れた。ふつうの事業のふつうのサイトだったらそこまで疲れなかっただろうが、なにしろ中身が中身で、氏素性+自分の過去まで晒す結果になったので、だいぶきつかった。開き直っていて、羞恥心もおおむね麻痺しているとはいえ、やっぱり負荷はかかってる。

というわけで、息抜きが必要だ。あんまりだらだらしていられる時期じゃないんだが、まあ、ちょっとくらいは緩めてもいいだろう。いくつかやらなきゃいけないことがあるが、現状、とりあえず保留しておいても問題ない。

遊びにでも出かけたいが、あいにく近所に友人がいない。唯一友人と呼びうる人間はとても気楽に遊びにいけないくらいの遠方に住んでいる。というか、まだ平日の昼過ぎだ。近くに友人いたとしてもどうにもならん。

そのうち、大学の同期とかとも関係を復活させることができれば、と考えてる。

もう四年くらいカラオケにいっていない。最後にいったのは三十歳になる前のことだったと思う。音痴だが、カラオケは好きだ。ふだん大声を出すことができないような性格なので、カラオケはいいストレス解消になる。ひとりでもいけないこともないんだろうが、あまり気が進まない。以前、たしかまだ学生だったころ、一度だけ、ひとりでいって練習したことがあった。が、あまりたのしいものではなかった。そういえば、ビリヤードもひとりでいってみたことがあるが、これもあんまり。

今日はとりあえず、サイクリングがてら、どっかに事務用品でも買いにいってこようと思う。ついでにどっかで安く軽めに遊んでこようと思う。

今日の行動記録

午前六時くらいまで起きていた。
ここの過去記事に目を通してみたり、AdWordsの設定や公式サイトのアクセスログをながめてみたりしていた。まあ、あまりたいしたことはしていなかった。

六時過ぎに就寝。午後二時までに新宿に行く予定だったので、正午くらいまでは寝たかった(風呂は午前四時過ぎに入っていた)が、午前十時くらいに目が覚めてしまった。まあ、四時間寝ればじゅうぶんかと思い、そのまま起きていた。

正午になる二十分くらい前、新宿に向けて自転車で出発。
サイクルベースあさひのプレシジョン・スポーツ、通称プレスポ。いわゆるクロスバイク。ブランドものにくらべれば見るからに安っぽい。しかも、うしろには荷台までつけているという素敵仕様。銀色の車体に黒の荷台。警備員のアルバイトをしていたころとちがって、いまではもう重い荷物を積んだりすることもなさそうなので、荷台なんてはずしちゃってもいいんだが、あったほうがいざってとき便利だろうから、たぶんこのまま。

出発してすぐに空腹であることに気がついた。そういや、起きてから何も食べてない。十時起きで十二時前出発だから、全然余裕あったんだが、結局、食わなかった。そんなに空腹でもなかったし、用意するのも面倒だった。

が、空腹状態で片道一時間あまりを自転車でゆくというのは体によろしくない。仮に体によかったとしても、やる気になれない。

途中、近くの駅前にさしかかったときに、吉牛が目に入った。うーん、吉牛。近くの駅といっても、ここまで十分くらいはかかってる。つまり、けっこう汗だく。汗だくなのに、つゆだくって。それはむりだろうってことで、冷たいそばでも食おうと決めた。そば屋にいく前にコンビニで燃料補給。夏場のチャリンコの燃料といえば、そう、水。水を飲まなきゃ、やってらんない。基本的にボルビック派なんだが、最近こまかいところでけちってて、今回は一リッターくらいの安い怪しい水を買う。それをコンビニ前でがぶ飲みし、太いペットボトルをむりやりボトルホルダーにねじ込み、再出発。駅の改札付近の立ち食いそば屋へ。その駅は高校生のころに通学で使っていたところで、その立ち食いそば屋にもよく通っていた。高校卒業後も何度か入ったことがあったが、ほんのちょっぴり懐かしかった。冷やしとろろそばを注文。自分の中では定番。冷やしじゃなくても、とろろがいい。ふつうのまともなそば屋だったら、鴨南蛮あたりを食いたいが、立ち食いそば屋ではとろろを基本にしてる。微妙に高く、立ち食いそば屋で済ませる利点が三割くらい減ってしまうが。

食後、再出発。特に何事もなく新宿付近へ到達。やはりそばだけでは物足りない。ミスタードーナツでドーナツをひとつだけお持ち帰りしようと思い、道ばたに自転車を止める。と、偶然にも、そこはちょうど交番の目の前だった。iPhoneでマップで探すつもりだったが、せっかくだしと思い、交番にいた五十代くらいの警官に尋ねる。
「靖国通りのほうにいかないとないねえ」と警官はのたまった。
「あれって靖国ですか?」すぐ近くの幹線道路のほうを示しつつ尋ねた。
「いや、あれは甲州街道。靖国はもう一本向こう」
 ひきこもっていたあいだに、すっかり都内の道路を忘れてしまっている。新宿のそのへんにあるのが甲州街道だなんて気づかなかった。西口のほうへいけばたぶんわかるが、東のほうはどうにも。ええっと、たしか世界堂っていう画材屋は甲州街道沿いだっけ? そんな気がする。

ミスドにいくなら来た道を引き返さなければならない。しかも、そこそこ遠い。だいたい500mというところか。一瞬やめようかと思ったが、時間はあるし、腹は減ってるし、ほかの候補は思いつかんし、せっかく久々に遠出してるのに家の近くでも変えるようなコンビニの何かを買うってのもちょっといやだしと思い、結局、ミスドへいくことにした。

ミスドへいく途中、明治通りと甲州街道の交差点で、ミニベロ(小口径のタイヤの自転車)に乗った警官と遭遇した。二十代半ばくらいの若い警官。なんで警官がミニベロ? いままで見たことがない光景で、非常に気になった。ちょうどいっしょに信号待ちになった。警官はすぐ目の前にいた。すこし躊躇したが、思い切って聞いてみた。
「その自転車、私物ですか?」
 ふつうに聞いたんだが、どうやらあまり言葉を知らない若造だったらしく、「私物」という言葉が理解できなかったらしい。ちょっと頓珍漢な問答になったが、どうやら私物ではないらしいということがわかった。なんだか「会社のもの」とかいっていた。会社? それって警官が警察を呼ぶときの隠語かなにかなんだろうか。間接的な知人である財務官僚の話によれば、官僚は外で話をするとき、省庁のことを「会社」、大臣を「社長」、時間を「副社長」と呼んだりするらしい。自分たちが官僚であることを周囲に悟られないためなのだろう。それとおなじで、その若い警官も警察のことを会社と呼んだんだろうか。あるいは、見間違えで、警官ではなく、警備員だったんだろうか。いや、でも、あれはたしかに警官の制服だった気がするんだが。

ミスドにてフレンチクルーラーを一個購入。もちもちっとした食感の、なんだっけ、なんて名前だっけ、あれにしようかと思ったが、フレンチクルーラーの気分だった。なんというか、舌がきわめて典型的。オーソドックス。

高島屋の前で警備員に煙草吸える場所を聞く。
「紀伊国屋のほうにあります。紀伊国屋ってわかりますか?」
「わかりません」
 三十三年間東京に住んでいるが、新宿に紀伊国屋があるなんて知らなかった。いつできたんだ? 前からあったのか? もしかしたら昔は知ってて忘れてしまっただけなのかもしれないが、すくなくとも高島屋ができたころにはなかった気がする。いやいやいや、よくよく考えればあった気がする。なにか買った記憶があるような気がする。が、場所がちがったような気がする。移転したのか? それとも、新宿以外のどこかの紀伊国屋と混同してるんだろうか。

紀伊国屋の前の広場に自転車を止め、水をがぶがぶ飲みながら、フレンチクルーラーを食す。斜向かいのあたりにいたバックパッカー的な身なりの二十代くらいの眼鏡っ子(女性)が、なにか食べながら、バックパックから一リッターくらいのペットボトルを取り出し、水を飲んでいた。そうだよね、やっぱ一リッターだよね、そんな季節だもんね。内心ちょっぴり仲間意識をいだいた。

紀伊国屋に入り、トイレを借りる。朝からいっていなかった。水を飲みすぎたせいで、腹の調子が悪くなりそうな予感もあった。昔から夏場にはよく腹をこわす。中高生のころよりはましになったようだが、いまでも胃腸はあまり強くない。

で、いよいよ、借りる予定のオフィスの内覧会へ。が、すぐにはたどりつけなかった。地図は見ていたんだが、記憶が曖昧だった。あいにくサイト上にはそのオフィスの住所が書かれていない。送られてきたメールには書かれていたんだが、あいにくできたてほやほやの業務用のアドレスでPCで受信したため、iPhoneでは見ることができない。つーか、IMAPじゃなくてPOPだから、設定しても見れないんじゃないか? よくわからんが、POPってそういうやつだよね。一回受信したら、サーバから消えるという。うーん、だとしたら、非常に問題ありだ。どっちかでしか受信できないなんて、業務用に使えないじゃん。ぜんぶiPhoneで受信するってのもだるすぎだし。いっそ、iPad買えばいいのかもしれないが、しばらくはそんな余裕ないし。

あらためてサイト上で地図を見る。だいたいこのへんかと目星をつけ、いってみると、見覚えのあるビル名が。案内板を見ると、運営会社の名があった。

小一時間程度なので問題ないだろうと思い、ビルの真ん前のガードレールと自転車をつなぎ、ビルの中へ。エレベータで六階へ。

六階にはいくつかの企業が入っていた。廊下が二股に分かれていてどっちにいくか迷ったが、てきとうに右のほうへいってみると、ビンゴだった。

ふつうのこぎれいな今風のオフィス。入ってすぐのところに受付があったが、無人だった。奥のほうからは声がしている。「あのー」だったか「こんにちはー」だったか「すーいまっせーん」だったかはおぼえていないが、呼びかけてみたが、声がちいさすぎたのか、だれも出てこなかった。よくよく見てみれば、受付のところにはなにやらインターホンめいた機械が。なるほどこれを使うのか。だが、そのインターホンらしき物体はあまりに現代的で、あまりに洗練されたデザインをしており、一見して使いかたがよくわからなかった。受話器っぽい物体があり、そこにPUSHと書かれていた。PUSHくらいはわかる。書かれているとおり、そこをおそるおそる押してみた。が、使い方のわからない妙に現代的な機器を前にして、なぜか弱気になっていたらしく、強くは押せなかった。いまから思えば、受話器っぽいものを持ち上げたうえで、そのPUSHと書かれたところを押せばよかったのだろう、と思う。受話器置いたまま押してもねえ。諸悪の根源はそのPUSHという表記だ。もっと難しい単語で書かれていたら、きっと使いこなせたにちがいない。

そうこうしているうちに、社員の若い女性が現れた。あれから六時間経ったいまでは、はっきりとは外見をおぼえていないが、美人だなというのが第一印象。
ちなみに、このブログの存在は隠すつもりがないので、身近な人間や身近になる可能性のある人間については、あまり奔放に書くわけにはいかない。なので、まあ、けっこう歯切れが悪い部分が出てくるかもしれない。

その女性社員(ここでは一号と命名)に案内され、小会議室めいたところへ。そこで案内書めいた書類やら何やらを渡される。こちらとしては契約する気満々なので、今日中に申し込みできるか聞いてみた。必要書類はほぼ揃ってる、足りない分は近日中にFaxか郵送で送る、と伝えた。おしなべて、わりと自分から積極的に話したといっていい。

ちなみに、この日はピンク色の襟付きのシャツと白い細めのハーフパンツでいった。ピンクといっても派手ではなく、全体として、ちょっぴりおしゃれで清潔感のある感じにまとまっていたはず。靴はハーフパンツのときにみんなが履いていそうなああいうやつ。オフィスとはいっても、若い起業家が集うインキュベーション・オフィスなので、そういう格好でも全然問題はない。むしろスーツのほうが浮いてしまう。
髪型はといえば、ちょっとぼさぼさめな感じだった。ゆるめの天然パーマなんだけど、昔はオールバックにしていることが多かった。そうするとほとんど天パーだとは気づかれないような感じになる。が、最近は前髪を左右に分けて垂らし、あえて天パーを強調するような感じにしている。いわばイタリア人風。セッティング時にはまあまあいい感じに見えるんだけど、けっこう崩れやすく、崩れるとかなりひどい有様になる。「おしゃれしようとしてるんだけど、どこか勘違いしてる感じ」あるいは「髪型に無頓着で、センスのかけらもない感じ」に見えてしまう。そういう意味で、前髪を垂らすというのは冒険なんだが、おしゃれしたい年ごろなので、あえて垂らしてみた。自転車でいくこと、風を受けることは折り込み済みのつもりだったが、ひょっとしたら折り込みかたをまちがえていたかもしれない。いちおう、高島屋でトイレを借りたときに髪型も整えた。が、なんかもう、手の施しようがない感じになっていたので、まあいいかと思い、妥協した。
ついでにいうと、眼鏡をかけていった。コンタクトもあるが、長面なので眼鏡をかけたほうがまだしもバランスがよくなる。それに、たぶんちょっとは知的に見える。

それらの外見上の問題はまあはっきりいってそんなに大きくない。最大の問題は何かといえば、「歯」だ。ひきこもり時代の不養生の結果として、上の前歯がことごとく抜け、わずかしか残っていない。事業開始前に歯医者にいっておくかとも思ったんだが、なにぶん貯金が少ない。運転資金をなるべく多く残すために、歯医者はとりあえずあとまわしでいいだろう、と判断した。ふつう、そんなふうな自己管理能力を問われるような外見上の問題は事業をおこなう上ではきわめてまずいが、うちの場合は状況がちょっと異なる。なにしろ、ひきこもり/ニート支援事業で、おれ自身がひきこもり/ニートだったということを売りのひとつにしている。当面は、業務上会う人間といえば、ひきもり/ニート本人か親だけなので、歯が抜けているという点に関しては理解が得られる。逆に、利点として働くことさえ考えられる。また、歯のことについてはサイト上で説明しているので、基本的には利用者には認知されているものと考えていい。

問題はB2B的領域において発生する。今日がその最初だったといっていい。歯がないという状態でそういう場に出向いてひとと話すというのはかなり難儀なことだ。羞恥心はもう麻痺させているので、問題とはならない。ただ、相手にどんな印象をあたえるか、それによって取引上の不都合が生じないかと考えると、ちょっと気が重い。ちなみに、歯の状態は隠そうと思ってもじゅうぶんには隠せない。長時間話せば確実にばれる。

これは内覧会に行く前に考えたことなんだが、「(歯を見られたくがないために)無口になっている歯抜け」と「ふつうに話せる歯抜け」だったら、後者のほうがまわりにとってもつきあいやすいに決まっている。だから、後者になろうと決めていた。

さて。話が脱線しまくっているが、この日、内覧会の午後二時からの部に参加したのはおれひとりだった。ほかにもひとり来る予定だったが、来れなくなったのだとか。ちょっぴり残念だった。名刺をまだ作っていないので、名刺っぽいものを作って持っていっていたんだが、使う機会がなかった。オフィス運営会社のひとには渡しても意味がない。履歴書やらなにやらを提出しているためだ。まあ、ふつうの名刺だったら、履歴書等の提出の有無にかかわらず、全員と交換すべきなのだろうけど、ふつうのA4の用紙に印刷してはさみで切った、自己紹介用の簡便なものなので、そんなものを渡されても困るだろう。

内覧の担当者は、二十代くらいの男性とおなじく二十代くらいの女性だった。最初の女性社員を一号と命名した意味はとりあえずいまのところないようだが、それにめげずに、ここでもこのふたりをとりあえずクリリンとブルマと命名しておこう。べつにそれっぽい外見だったというわけではない。二号だとわかりづらいし、男性のほうをどう名づけるべきか考えなきゃならんので、なんとなく。
クリリンが主役だった。そういう物語らしい。ブルマはクリリンの助手のような感じに見えた。ブルマはほとんど話さず、クリリンとおれだけが指しで話しているような感じだった。歯のことがあるので、その失点をどこかで補わなければならないと考え、はきはきと賢そうに話した。おおむね目論見通りにいったと思う。会話の中身に関するかぎりは、まったく問題はないと判断されたにちがいない。

最初に案内された部屋で、クリリンとブルマとすこし話したあと、内部を案内してもらった。案内されながら、説明を受けた。ふつうに応答したり、質問を挟んでみたりした。案内がそろそろ終わりかけたころ、「ほかにどこか見たいところはあるか」と問われ、とっさに「トイレ見せてもらえますか」と応じた。これは我ながらポイント高いと思う。トイレは重要だからね。ここの住民になる者にとってではなく、招かれる客にとって。

歯のほかにもうひとつ問題があるとすれば、それは表情だ。もともと笑うのが得意ではなかったのにくわえて、笑うことのないような生活を長年続けてきたため、じょうずに笑えない。歯のせいもあるのだが、習慣の問題というか、顔の筋肉の鍛錬度の問題のほうが大きいだろう。まるでギプスをはめられていた腕や脚のように、顔の筋肉が硬直してしまっている。これはいずれどうにかしなければいけないと思ってる。

こちらが契約する気満々で、事前にサイトで十分に調べたことを明言していたこともあり、あまりくどくどしい説明は受けなかった。はなっから「こいつだめだ」と思われていて、説明を端折られたという可能性もなくはないが、まあ、それはないと考えていい。クリリンは終始にこやかで、いい感じの対応をしてくれていた。裏で「こいつは落とそう」「うちのオフィスは使わせられない」と考えていたとは考えにくい。

内覧会は一時間くらいと聞かされていたが、自分一人だったことや上記のような事情もあり、あっというまに終わった。ちょうど三十分くらいだった。その三十分のうちのおよそ十分間は申込書への記入時間だった。

新宿から明治通りを北へ。池袋でまた飲み物を買い、休憩する。池袋まで来ると、地元に帰ってきたような感覚になれてちょっとほっとする。地元といっても、かなり遠いんだが、中学生くらいのころから自転車でたまに遊びに来ていた。なので、かなり馴染みがある。

公園というか公園のなり損ないのような、線路沿いの広場めいたところで、飲み物を飲み、煙草を吸いながら、通行人を観察する。こういう人物観察というのは、ひきこもりから抜け出して、どうにか外出できるような段階になったときにやると、非常に効果的な気がする。ふたりでならんで道行くひとをながめながら、おれがごちゃごちゃと講釈してやれば、かなり効果が出そうな気がする。さっそく活動の中に採り入れようと考える。

午後四時前に家に帰り、邪魔な荷物をウェストバッグからとりだした上で、区民事務所に印鑑証明をとりにいった。オフィス申込時にいろいろ必要なものがあって、ほとんどそろえてもっていっていたんだが、諸事情により、印鑑証明だけはまだだった。で、区民事務所で印鑑証明を取得後、家に帰り、すぐにFaxで送信した。そして、すぐに、オフィス運営会社に確認の連絡。その後、提出した履歴書に誤記があることに気づいた。あきらかな誤記だった。前職の勤務期間を「2010年5月~12月」としていた。まあ、見れば誤記だとわかるにちがいないが、念のため訂正の連絡を入れておいた。正しくは2009年。

おしなべてあわただしい一日だった。

天気予報

今日、およそ丸半年ぶりに天気予報を見た。

丸半年間、仕事をしていなかった。ほとんど外出もしていなかった。

最初の三ヶ月間くらいはネトゲ三昧。NPO設立後は忙しくなるだろうから(現状、忙しくなる保証がないところが困りものだが)、その前にすこし遊んでおこうと思い、廃人と化し、World of Warcraftをやってた。

次の1.5ヶ月間は小説を書いたりしてた。やっぱりNPOよりもあらためてそっちで勝負してみるかと思った結果。でも、結局、一時保留することにした。

最後の1.5ヶ月間はNPO設立の準備作業をしてた。休日なしで、一日平均で12時間くらいは作業していたかもしれない。

今日はさいわい、曇りだ。自転車で新宿へいく。たぶん一時間ちょっとかかる。本来なら電車でいくべき距離だが、半年間のひきこもり生活で体がなまりまくっているので、ちょっと運動をしたい。電車代を浮かせたいという思いもあるが、自転車は自転車で燃料代(飲食費)がかさむので、ほとんど節約にはならない。

新宿では借りる予定のオフィスの内覧会に参加する。半年ぶりに、家族以外の人間と長時間接することになる。再ひきこもり化していた元ひきこもりにはなかなか難儀なことだが、怖れてもしかたあるまい。

挙動不審になるかもしれないが、仮にそうなったとしても、場数を踏んでいくことでそういうのもなくなるだろう。いうなれば、挙動不審ではなくなるために、挙動不審にならなければいけない。挙動不審になる機会を得なければいけない。

そもそも、インキュベーション・オフィスというのは、けっこう良質な人間の集まる場だ。事業を起こそうとしている人間なのだから、当然といえば当然。行動的で頭も切れるような人種。そういう場に元ひきこもり/ニートでろくな職歴もない自分が飛び込むということは・・・、いや、考えるのはよそう。自分もそういうたぐいの人間なのだと思い込もう。思い込みが偽りだったと思い知らされる場面は頻発するだろうが、それもまた上の話と同様に、必要なことなのだろう。場数を踏もう。

なんにせよ、とにかく、動くことだ。考えるなら、歩きながら考えればいい。ときとして、見る前に跳ぶことも重要なのだろう。

復活報告+近況報告

最近、またブログを書きはじめようと思ったんですが、そういえば、ここにこれが残ってたなと思い、どうせなので、またここでやることにしました。

さて。

これの前の記事、このブログを中断した最後の記事は、2006年04月06日ですか。まるで他人事のように語っていますが、ほとんど他人のような感覚です。

四年前。
当時はちょうどひきこもりはじめたくらいのころだったと思います。たしか、全力で書き上げた純文学系の小説が全然だめで、ぐれて、ラノベ系を書きはじめたころだったでしょうか。あとで記事を読み返してみて確認してみようと思います。

で。

近況なのですが、ひきこもり/ニート状態から脱し、勢い余って、ひきこもり/ニートを支援する団体をはじめることになりました。

7月4日設立予定です。

昨日、6月30日より、サイトの公開をはじめました。よろしければ、ご覧になってください。

www.deadbeatclub.org

追々、また記事を書いていきますが、たぶん仕事のことが中心になると思います。

降り積もった埃

 打ち捨てたはずのあばら屋に、およそ五ヶ月ぶりに帰ってきました。通りかかったかたがたがこのくたびれ果てた廃屋をながめて何を思うのかと考えると、いっそのこと潰してしまおうかとの思いが頭をよぎります。
 これまで何度もそのようなことをくりかえしてきました。ブログを開設してはつぶし、あるいは放置し、遊牧民というよりは逃亡者のように、あちこちを転々としてきました。ここを安住の地と定めようと思ったのもつかのま、またわるい癖が出ました。
 抹消という手段はもはや選ぶまいと決めました。乱文・雑文ながら、さしあたって個人的な記録として保持しておいたとしても、すくなくとも自分にとって不利益はあるまいと思います。

 もはや訪ねてくる知己もないものと思いますが、書き置きのようなものを残しておくことにします。といって、べつに三途の川の彼岸へと向かうわけではありませんが。

 これまでの日々について、生活について、過去については、いまさら事細かに語りますまい。おおむね低調な自堕落な日々をのたりのたりと過ごしてきました。
 近況報告のみということで申し上げれば、またひとつ小説を書き上げました。まだ若干の──場合によってはおおがかりな──手直しが必要ではありますが、とにもかくにも完成に至り、明日の昼までに職員室に提出せよといわれたとしても、どうにか提出は可能であろうというような状態ではあります。
 目下、これを売り物として成立させるというのが自分のなかで最重要課題となっています。場合によってはおおがかりな手直しが必要というのはそういう意味です。「なにか賞をとれるかな、どうかな」ではなく、たとえその過程で脳みそが20%くらい溶けそうなほどのアクロバティックな改変が必要となろうとも、是が非でも出版できるようなかたちにもっていこうと覚悟を決めています。切羽詰まっているというほど精神的に追い込まれてはいないつもりですが、ここが正念場といいますか、最後の勝負所と思っています。

 さしあたりここは放置の予定です。近々、はてなかどこかに引っ越して、あらためてブログをはじめてみようと考えています。