今日の行動記録 | 冥王星移住計画

今日の行動記録

午前六時くらいまで起きていた。
ここの過去記事に目を通してみたり、AdWordsの設定や公式サイトのアクセスログをながめてみたりしていた。まあ、あまりたいしたことはしていなかった。

六時過ぎに就寝。午後二時までに新宿に行く予定だったので、正午くらいまでは寝たかった(風呂は午前四時過ぎに入っていた)が、午前十時くらいに目が覚めてしまった。まあ、四時間寝ればじゅうぶんかと思い、そのまま起きていた。

正午になる二十分くらい前、新宿に向けて自転車で出発。
サイクルベースあさひのプレシジョン・スポーツ、通称プレスポ。いわゆるクロスバイク。ブランドものにくらべれば見るからに安っぽい。しかも、うしろには荷台までつけているという素敵仕様。銀色の車体に黒の荷台。警備員のアルバイトをしていたころとちがって、いまではもう重い荷物を積んだりすることもなさそうなので、荷台なんてはずしちゃってもいいんだが、あったほうがいざってとき便利だろうから、たぶんこのまま。

出発してすぐに空腹であることに気がついた。そういや、起きてから何も食べてない。十時起きで十二時前出発だから、全然余裕あったんだが、結局、食わなかった。そんなに空腹でもなかったし、用意するのも面倒だった。

が、空腹状態で片道一時間あまりを自転車でゆくというのは体によろしくない。仮に体によかったとしても、やる気になれない。

途中、近くの駅前にさしかかったときに、吉牛が目に入った。うーん、吉牛。近くの駅といっても、ここまで十分くらいはかかってる。つまり、けっこう汗だく。汗だくなのに、つゆだくって。それはむりだろうってことで、冷たいそばでも食おうと決めた。そば屋にいく前にコンビニで燃料補給。夏場のチャリンコの燃料といえば、そう、水。水を飲まなきゃ、やってらんない。基本的にボルビック派なんだが、最近こまかいところでけちってて、今回は一リッターくらいの安い怪しい水を買う。それをコンビニ前でがぶ飲みし、太いペットボトルをむりやりボトルホルダーにねじ込み、再出発。駅の改札付近の立ち食いそば屋へ。その駅は高校生のころに通学で使っていたところで、その立ち食いそば屋にもよく通っていた。高校卒業後も何度か入ったことがあったが、ほんのちょっぴり懐かしかった。冷やしとろろそばを注文。自分の中では定番。冷やしじゃなくても、とろろがいい。ふつうのまともなそば屋だったら、鴨南蛮あたりを食いたいが、立ち食いそば屋ではとろろを基本にしてる。微妙に高く、立ち食いそば屋で済ませる利点が三割くらい減ってしまうが。

食後、再出発。特に何事もなく新宿付近へ到達。やはりそばだけでは物足りない。ミスタードーナツでドーナツをひとつだけお持ち帰りしようと思い、道ばたに自転車を止める。と、偶然にも、そこはちょうど交番の目の前だった。iPhoneでマップで探すつもりだったが、せっかくだしと思い、交番にいた五十代くらいの警官に尋ねる。
「靖国通りのほうにいかないとないねえ」と警官はのたまった。
「あれって靖国ですか?」すぐ近くの幹線道路のほうを示しつつ尋ねた。
「いや、あれは甲州街道。靖国はもう一本向こう」
 ひきこもっていたあいだに、すっかり都内の道路を忘れてしまっている。新宿のそのへんにあるのが甲州街道だなんて気づかなかった。西口のほうへいけばたぶんわかるが、東のほうはどうにも。ええっと、たしか世界堂っていう画材屋は甲州街道沿いだっけ? そんな気がする。

ミスドにいくなら来た道を引き返さなければならない。しかも、そこそこ遠い。だいたい500mというところか。一瞬やめようかと思ったが、時間はあるし、腹は減ってるし、ほかの候補は思いつかんし、せっかく久々に遠出してるのに家の近くでも変えるようなコンビニの何かを買うってのもちょっといやだしと思い、結局、ミスドへいくことにした。

ミスドへいく途中、明治通りと甲州街道の交差点で、ミニベロ(小口径のタイヤの自転車)に乗った警官と遭遇した。二十代半ばくらいの若い警官。なんで警官がミニベロ? いままで見たことがない光景で、非常に気になった。ちょうどいっしょに信号待ちになった。警官はすぐ目の前にいた。すこし躊躇したが、思い切って聞いてみた。
「その自転車、私物ですか?」
 ふつうに聞いたんだが、どうやらあまり言葉を知らない若造だったらしく、「私物」という言葉が理解できなかったらしい。ちょっと頓珍漢な問答になったが、どうやら私物ではないらしいということがわかった。なんだか「会社のもの」とかいっていた。会社? それって警官が警察を呼ぶときの隠語かなにかなんだろうか。間接的な知人である財務官僚の話によれば、官僚は外で話をするとき、省庁のことを「会社」、大臣を「社長」、時間を「副社長」と呼んだりするらしい。自分たちが官僚であることを周囲に悟られないためなのだろう。それとおなじで、その若い警官も警察のことを会社と呼んだんだろうか。あるいは、見間違えで、警官ではなく、警備員だったんだろうか。いや、でも、あれはたしかに警官の制服だった気がするんだが。

ミスドにてフレンチクルーラーを一個購入。もちもちっとした食感の、なんだっけ、なんて名前だっけ、あれにしようかと思ったが、フレンチクルーラーの気分だった。なんというか、舌がきわめて典型的。オーソドックス。

高島屋の前で警備員に煙草吸える場所を聞く。
「紀伊国屋のほうにあります。紀伊国屋ってわかりますか?」
「わかりません」
 三十三年間東京に住んでいるが、新宿に紀伊国屋があるなんて知らなかった。いつできたんだ? 前からあったのか? もしかしたら昔は知ってて忘れてしまっただけなのかもしれないが、すくなくとも高島屋ができたころにはなかった気がする。いやいやいや、よくよく考えればあった気がする。なにか買った記憶があるような気がする。が、場所がちがったような気がする。移転したのか? それとも、新宿以外のどこかの紀伊国屋と混同してるんだろうか。

紀伊国屋の前の広場に自転車を止め、水をがぶがぶ飲みながら、フレンチクルーラーを食す。斜向かいのあたりにいたバックパッカー的な身なりの二十代くらいの眼鏡っ子(女性)が、なにか食べながら、バックパックから一リッターくらいのペットボトルを取り出し、水を飲んでいた。そうだよね、やっぱ一リッターだよね、そんな季節だもんね。内心ちょっぴり仲間意識をいだいた。

紀伊国屋に入り、トイレを借りる。朝からいっていなかった。水を飲みすぎたせいで、腹の調子が悪くなりそうな予感もあった。昔から夏場にはよく腹をこわす。中高生のころよりはましになったようだが、いまでも胃腸はあまり強くない。

で、いよいよ、借りる予定のオフィスの内覧会へ。が、すぐにはたどりつけなかった。地図は見ていたんだが、記憶が曖昧だった。あいにくサイト上にはそのオフィスの住所が書かれていない。送られてきたメールには書かれていたんだが、あいにくできたてほやほやの業務用のアドレスでPCで受信したため、iPhoneでは見ることができない。つーか、IMAPじゃなくてPOPだから、設定しても見れないんじゃないか? よくわからんが、POPってそういうやつだよね。一回受信したら、サーバから消えるという。うーん、だとしたら、非常に問題ありだ。どっちかでしか受信できないなんて、業務用に使えないじゃん。ぜんぶiPhoneで受信するってのもだるすぎだし。いっそ、iPad買えばいいのかもしれないが、しばらくはそんな余裕ないし。

あらためてサイト上で地図を見る。だいたいこのへんかと目星をつけ、いってみると、見覚えのあるビル名が。案内板を見ると、運営会社の名があった。

小一時間程度なので問題ないだろうと思い、ビルの真ん前のガードレールと自転車をつなぎ、ビルの中へ。エレベータで六階へ。

六階にはいくつかの企業が入っていた。廊下が二股に分かれていてどっちにいくか迷ったが、てきとうに右のほうへいってみると、ビンゴだった。

ふつうのこぎれいな今風のオフィス。入ってすぐのところに受付があったが、無人だった。奥のほうからは声がしている。「あのー」だったか「こんにちはー」だったか「すーいまっせーん」だったかはおぼえていないが、呼びかけてみたが、声がちいさすぎたのか、だれも出てこなかった。よくよく見てみれば、受付のところにはなにやらインターホンめいた機械が。なるほどこれを使うのか。だが、そのインターホンらしき物体はあまりに現代的で、あまりに洗練されたデザインをしており、一見して使いかたがよくわからなかった。受話器っぽい物体があり、そこにPUSHと書かれていた。PUSHくらいはわかる。書かれているとおり、そこをおそるおそる押してみた。が、使い方のわからない妙に現代的な機器を前にして、なぜか弱気になっていたらしく、強くは押せなかった。いまから思えば、受話器っぽいものを持ち上げたうえで、そのPUSHと書かれたところを押せばよかったのだろう、と思う。受話器置いたまま押してもねえ。諸悪の根源はそのPUSHという表記だ。もっと難しい単語で書かれていたら、きっと使いこなせたにちがいない。

そうこうしているうちに、社員の若い女性が現れた。あれから六時間経ったいまでは、はっきりとは外見をおぼえていないが、美人だなというのが第一印象。
ちなみに、このブログの存在は隠すつもりがないので、身近な人間や身近になる可能性のある人間については、あまり奔放に書くわけにはいかない。なので、まあ、けっこう歯切れが悪い部分が出てくるかもしれない。

その女性社員(ここでは一号と命名)に案内され、小会議室めいたところへ。そこで案内書めいた書類やら何やらを渡される。こちらとしては契約する気満々なので、今日中に申し込みできるか聞いてみた。必要書類はほぼ揃ってる、足りない分は近日中にFaxか郵送で送る、と伝えた。おしなべて、わりと自分から積極的に話したといっていい。

ちなみに、この日はピンク色の襟付きのシャツと白い細めのハーフパンツでいった。ピンクといっても派手ではなく、全体として、ちょっぴりおしゃれで清潔感のある感じにまとまっていたはず。靴はハーフパンツのときにみんなが履いていそうなああいうやつ。オフィスとはいっても、若い起業家が集うインキュベーション・オフィスなので、そういう格好でも全然問題はない。むしろスーツのほうが浮いてしまう。
髪型はといえば、ちょっとぼさぼさめな感じだった。ゆるめの天然パーマなんだけど、昔はオールバックにしていることが多かった。そうするとほとんど天パーだとは気づかれないような感じになる。が、最近は前髪を左右に分けて垂らし、あえて天パーを強調するような感じにしている。いわばイタリア人風。セッティング時にはまあまあいい感じに見えるんだけど、けっこう崩れやすく、崩れるとかなりひどい有様になる。「おしゃれしようとしてるんだけど、どこか勘違いしてる感じ」あるいは「髪型に無頓着で、センスのかけらもない感じ」に見えてしまう。そういう意味で、前髪を垂らすというのは冒険なんだが、おしゃれしたい年ごろなので、あえて垂らしてみた。自転車でいくこと、風を受けることは折り込み済みのつもりだったが、ひょっとしたら折り込みかたをまちがえていたかもしれない。いちおう、高島屋でトイレを借りたときに髪型も整えた。が、なんかもう、手の施しようがない感じになっていたので、まあいいかと思い、妥協した。
ついでにいうと、眼鏡をかけていった。コンタクトもあるが、長面なので眼鏡をかけたほうがまだしもバランスがよくなる。それに、たぶんちょっとは知的に見える。

それらの外見上の問題はまあはっきりいってそんなに大きくない。最大の問題は何かといえば、「歯」だ。ひきこもり時代の不養生の結果として、上の前歯がことごとく抜け、わずかしか残っていない。事業開始前に歯医者にいっておくかとも思ったんだが、なにぶん貯金が少ない。運転資金をなるべく多く残すために、歯医者はとりあえずあとまわしでいいだろう、と判断した。ふつう、そんなふうな自己管理能力を問われるような外見上の問題は事業をおこなう上ではきわめてまずいが、うちの場合は状況がちょっと異なる。なにしろ、ひきこもり/ニート支援事業で、おれ自身がひきこもり/ニートだったということを売りのひとつにしている。当面は、業務上会う人間といえば、ひきもり/ニート本人か親だけなので、歯が抜けているという点に関しては理解が得られる。逆に、利点として働くことさえ考えられる。また、歯のことについてはサイト上で説明しているので、基本的には利用者には認知されているものと考えていい。

問題はB2B的領域において発生する。今日がその最初だったといっていい。歯がないという状態でそういう場に出向いてひとと話すというのはかなり難儀なことだ。羞恥心はもう麻痺させているので、問題とはならない。ただ、相手にどんな印象をあたえるか、それによって取引上の不都合が生じないかと考えると、ちょっと気が重い。ちなみに、歯の状態は隠そうと思ってもじゅうぶんには隠せない。長時間話せば確実にばれる。

これは内覧会に行く前に考えたことなんだが、「(歯を見られたくがないために)無口になっている歯抜け」と「ふつうに話せる歯抜け」だったら、後者のほうがまわりにとってもつきあいやすいに決まっている。だから、後者になろうと決めていた。

さて。話が脱線しまくっているが、この日、内覧会の午後二時からの部に参加したのはおれひとりだった。ほかにもひとり来る予定だったが、来れなくなったのだとか。ちょっぴり残念だった。名刺をまだ作っていないので、名刺っぽいものを作って持っていっていたんだが、使う機会がなかった。オフィス運営会社のひとには渡しても意味がない。履歴書やらなにやらを提出しているためだ。まあ、ふつうの名刺だったら、履歴書等の提出の有無にかかわらず、全員と交換すべきなのだろうけど、ふつうのA4の用紙に印刷してはさみで切った、自己紹介用の簡便なものなので、そんなものを渡されても困るだろう。

内覧の担当者は、二十代くらいの男性とおなじく二十代くらいの女性だった。最初の女性社員を一号と命名した意味はとりあえずいまのところないようだが、それにめげずに、ここでもこのふたりをとりあえずクリリンとブルマと命名しておこう。べつにそれっぽい外見だったというわけではない。二号だとわかりづらいし、男性のほうをどう名づけるべきか考えなきゃならんので、なんとなく。
クリリンが主役だった。そういう物語らしい。ブルマはクリリンの助手のような感じに見えた。ブルマはほとんど話さず、クリリンとおれだけが指しで話しているような感じだった。歯のことがあるので、その失点をどこかで補わなければならないと考え、はきはきと賢そうに話した。おおむね目論見通りにいったと思う。会話の中身に関するかぎりは、まったく問題はないと判断されたにちがいない。

最初に案内された部屋で、クリリンとブルマとすこし話したあと、内部を案内してもらった。案内されながら、説明を受けた。ふつうに応答したり、質問を挟んでみたりした。案内がそろそろ終わりかけたころ、「ほかにどこか見たいところはあるか」と問われ、とっさに「トイレ見せてもらえますか」と応じた。これは我ながらポイント高いと思う。トイレは重要だからね。ここの住民になる者にとってではなく、招かれる客にとって。

歯のほかにもうひとつ問題があるとすれば、それは表情だ。もともと笑うのが得意ではなかったのにくわえて、笑うことのないような生活を長年続けてきたため、じょうずに笑えない。歯のせいもあるのだが、習慣の問題というか、顔の筋肉の鍛錬度の問題のほうが大きいだろう。まるでギプスをはめられていた腕や脚のように、顔の筋肉が硬直してしまっている。これはいずれどうにかしなければいけないと思ってる。

こちらが契約する気満々で、事前にサイトで十分に調べたことを明言していたこともあり、あまりくどくどしい説明は受けなかった。はなっから「こいつだめだ」と思われていて、説明を端折られたという可能性もなくはないが、まあ、それはないと考えていい。クリリンは終始にこやかで、いい感じの対応をしてくれていた。裏で「こいつは落とそう」「うちのオフィスは使わせられない」と考えていたとは考えにくい。

内覧会は一時間くらいと聞かされていたが、自分一人だったことや上記のような事情もあり、あっというまに終わった。ちょうど三十分くらいだった。その三十分のうちのおよそ十分間は申込書への記入時間だった。

新宿から明治通りを北へ。池袋でまた飲み物を買い、休憩する。池袋まで来ると、地元に帰ってきたような感覚になれてちょっとほっとする。地元といっても、かなり遠いんだが、中学生くらいのころから自転車でたまに遊びに来ていた。なので、かなり馴染みがある。

公園というか公園のなり損ないのような、線路沿いの広場めいたところで、飲み物を飲み、煙草を吸いながら、通行人を観察する。こういう人物観察というのは、ひきこもりから抜け出して、どうにか外出できるような段階になったときにやると、非常に効果的な気がする。ふたりでならんで道行くひとをながめながら、おれがごちゃごちゃと講釈してやれば、かなり効果が出そうな気がする。さっそく活動の中に採り入れようと考える。

午後四時前に家に帰り、邪魔な荷物をウェストバッグからとりだした上で、区民事務所に印鑑証明をとりにいった。オフィス申込時にいろいろ必要なものがあって、ほとんどそろえてもっていっていたんだが、諸事情により、印鑑証明だけはまだだった。で、区民事務所で印鑑証明を取得後、家に帰り、すぐにFaxで送信した。そして、すぐに、オフィス運営会社に確認の連絡。その後、提出した履歴書に誤記があることに気づいた。あきらかな誤記だった。前職の勤務期間を「2010年5月~12月」としていた。まあ、見れば誤記だとわかるにちがいないが、念のため訂正の連絡を入れておいた。正しくは2009年。

おしなべてあわただしい一日だった。