久しぶりの更新です。ご無沙汰しています。本年度は2校で4科目10クラス週24時間担当しています。ちょっとオーバーワーク気味です。

 今回は集団でのいじめの場合の指導法です。

 指導の仕方は前回の単独犯の場合(第七十一回)と基本的に同じです。
詳細は、万引の指導(第六十回)とほぼ同じになります。
 今回の話はあくまで刑事事件とはいえない範囲の「教科書隠した」「ボール投げつけた」「無視した」といった小学生レベルのいじめの話です。


・発覚まで

 本人が訴える場合と、父兄からの連絡によるもの、教員が現行犯で捕まえた場合があります。
普段から、いじめかどうかは別にして、人間関係として「仲が悪い」位は把握しているのが普通です。
もちろん、生徒間でうわさになっていることも多いのですが、確認してもいじめている側は「やっていない」というのが普通です。


・発覚後の指導(被害届的なものがあった場合)

 ① 単独犯の場合と変わりありませんがまずは事実関係の確認です。
  いつ、誰に殴られたか、何がなくなったか、分かる限り確認して前もって整理します。
  (犯人が特定できな場合は※1、※2へ)

 ② 事実関係がわかったら、関係した(いじめた)生徒の人数分だけ教員の数をそろえます。学年内で足らなければ他学年の先生にも応援を依頼します。
  そして、生徒一人につき教員一人で同時に面接し、事実関係を確認します。以下は万引きの指導と基本的に同じです。
  この面接の目的は事実関係の確認なので断罪などはせずに、確認後に「その行為はいじめだからやめるように」という程度にしておきます。

 ③ 確認作業が終わったら生徒を待機させ、証言内容を突き合せていじめの全容を確認します。生徒の控え室には監視の教員を配置します。

 ④ 証言を照合し、全容が整理できたら、父兄を呼び出します。(待機してもらっていることもあります。)

 ⑤ 父兄に(全員の父兄がそろうことが望ましいが夜勤などで来れない父兄がいる場合は翌日に呼び出すこともある)いじめの全容を話し、いじめた生徒の父兄がいじめられた父兄への謝罪し、今後とも密接に連絡を取るよう促して終わりです。



※1①で隠されたものが出てこない場合(犯人が特定できない場合)

 まずは担任対応で、臨時(または通常)の学活の時間にとったものを返すように促します。そして、人のものを取るのは犯罪であり、今後はこのような行為は慎むように諭します。
 ここでで出てくれば問題ないのですが、出てこない場合は繰り返し学活や学年会で諭すことになります。


※2①で無視がクラス中に広がっていておさまらない場合。

 ※1と基本的に同じですが、「無視するとはどういうことか」を定義することが必要で、無視した本人(達)は無視したとは思っていないか悪いと思っていないかのどちらかなので、彼らの理屈は認めず、具体的に「会話をしない」とか「仲間に入れない」などの行為はやめるよう指導します。ただ、この手の指導はなかなかうまくゆきません。こちらも、繰り返しの指導となります。


 結論として、いじめは万引きと違っていじめた本人がなかなかみとめないので指導が長期にわたります。いじめはクラスの力関係の縮図でもあるので、一朝一夕に改善されることは稀です。

 次回はアンケートについてと指導のコツです。
久々の更新です。ご無沙汰しています。

 万引き以外に、いじめ、恐喝、暴行なども、中学校ではよくある話です。
まずはじめに、指導の仕方の話の前に、いじめとはなにかを定義します。

 一般的にいじめと言う場合には、仲間はずれ、嫌がらせをさします。
大津のような事件は、いじめというより恐喝、暴行に属するものでしょう。ただ、実際には同時に複合的に起こる場合もあります。

今回は、最もシンプルな○○君が××君をいじめたといった話の指導について解説します。


・発覚まで

 クラスというところは一種の社会の縮図で、好き嫌いから付き合い始めたのだれとだれが仲悪いだのありとあらえる話が出てきます。担任は芸能レポーター並み?のクラスの情報を持っているのが普通です。
 よくある、「仲が悪いな」「小競り合いあるようだな」ぐらいでは指導は入りません。事あるごとに「仲良くしなさい」「喧嘩してはいけません」と注意する程度です。こちらは指導というより普段のクラス運営に属します。
 指導が入るのは、物を隠したり、取ったり、相手を殴ったときなどです。(文房具や教科書を隠したりする嫌がらせが多い)

・発覚後の指導

 現行犯であれば直ちに注意「取ったものを出しなさい」「謝りなさい」となります。
被害者側から訴えがあって発覚した場合は、万引きの指導と同じように面接し事実関係を確認します。
加害者が1人の場合は、担任が面接し状況を確認の上、取られたものを返して、怪我の場合は治療費を賠償、親と本人が謝罪して指導終了ですが、万引きと同様、こんなに簡単にはなかなかいきません。



・指導の詳細

 担任や学年の教員がいじめがあるっぽいことにはすぐに気づきます。ただ、番外編でも言った様に、証拠や証言が無ければ指導はできません。被害の訴えがあって初めて事情聴取が始まりますが、万引きと違って本人はいじめたことをなかなか認めません。さらに、取られたものもなかなか出てこなかったりして、教員側も決定的な指導になりません。相手を殴ったといった場合でも、からかいに怒っていじめられた側が殴りかかり、いじめた側が被害を訴えたりするのでややこしくなったりします。

 本人に事実関係を認めさせるのがポイントですがそうでない場合でも、学活や学年集会などで繰り返し注意するということになります。
 この手の事件は事あるごとにリアルタイムで注意し、だんだんに収まってゆくといった経過になりがちです。

次回は集団によるいじめ、次次回は実例と指導のコツです。
 本題です。自殺強要での起訴は可能かという話です。
 結論から言えば不可能でしょう。自殺は本人の意思による行為であり他人のせいにするには無理があります。目の前で飛び降りるよう強要でもしない限り犯罪には問えないでしょう。

 起訴できたのは明らかな犯罪のみで、学校に責任が問えたのはそれらの犯罪を防止できなかった管理責任のみです。私はこの管理責任を問うのも無理があると思っています。

 以下に、この問題のまとめと必要な視点、考え方などを書いて結論としたいと思います。

指導上は、
 ・いじめで立証できるのは証拠、証言がある場合のみ。立証はかなり困難。
 ・学校で指導できるのは被害の訴えがあった場合か現行犯のみ(認知できなければ指導できない)

管理上の責任として
 ・学校は子供の行動に対して全ての責任を持っているわけではありません。

  生徒は部下なのか?客なのか?

 部下なのであれば管理責任は問えるでしょうが、教員の言うことを聞かない場合は生徒を処罰できることになります。学校が荒れるのは言うこと聞かない生徒が暴れ、犯罪を起こすからであり、それを処罰、排除できれば学校は安定しますが実際にはほとんどできません。
 その言うこと聞かない生徒を指導するのが生徒指導で教員がもっとも苦労するところです。NHKなどが目指す?いじめ撲滅は、キャンペーンや社会運動などで実現するものではないでしょう。

 塾と同じのように客ならば、授業中に起きたこと以外は基本的に当事者の責任となり保護者同士の示談または裁判になるでしょう。
 極端な話として、スーパーの駐車場には駐車場内での事故は責任を負いませんと書いてあります。
 なんか勘違いしている親が多いようですが、教員は親の管理・保護義務の代行をしてるわけではなく、訓練、教育の場でしかないのです。

 ・特に学校外で発生した事件については当事者の保護者同士の問題です。


社会的には
 ・保護者は子供の監督・教育責任、子供の行為に対する全責任を負っています。

 学校はあくまで教育の場でしかないので、子供同士の問題で学校の管理責任を問うのは無理があります。親としての子供の監督・管理責任を放棄しているとしか思えない事例が多ように思います。
 今回(他の事例でもほとんど同様)の事件では学校が隠蔽した、責任逃れだとマスコミ、被害者が大騒ぎしているようですが、学校・教育委員会でできることには限界があり、最低限のことはやっているといったところでしょう。(指導上の力量の無さはまた別の問題)

 大津の事件では、自殺した子供は被害を訴えずにいきなり自殺してしまいました。おばあさんの預金を勝手に下ろしたときも親に事実を伝えませんでした。この自殺は、学校が全て管理し、何も言わなくてもいじめを発見し防止できる神通力があり、証拠が無くても処罰できる法律をも超越する状況でなければ防げなかったでしょう。
 自殺した子供の親は、自分の子供を被害者扱いする前に、不条理を訴えることせずいきなり自殺してしまうふがいない子供を育てたことを悔いる必要があるでしょう。


教育として
 ・指導上の第一優先順位は「自殺防止」。

 学校では摸倣犯がよく起きます。自殺が被害者として騒がれるようだと自殺ブームが起きてしまいます。今回の報道で私が危惧しているのはここです。実際には自殺は一時的に増えた可能性があると思っています。
 学校が事件を隠蔽したと大騒ぎしていましたが、子供たちがうわつき、動揺し授業どころではなくなる、尾ひれがついたうわさや類似・摸倣犯が頻発する、ということがあるので事件を公表しないということはよくあることです。
 マスコミは大騒ぎが商売?ですが、事件を報道する以上に「自殺をしてはいけない」を主張すべきだと思うのですが・・

 そして、もうひとつ危惧されるのが、いじめをネタにして教員を脅す事件が起きないかということです。
 狂言的に「いじめられた」を訴える生徒やことあるごとに「うちの子供をいじめた」と学校にクレームをつける親などです。こういった騒ぎがあると何ヶ月間かはこういったことが起きます。


 ・素直な子供が突然大人になるわけではない。

 倫理観も低く、経験も浅い子供たちが怒られながら何が悪いかを学ぶわけで、事件なしで卒業することはありません。いじめや喧嘩、窃盗などが学校からなくなることは今までも無かったしこれからもないでしょう。
 学校は子供を放り込めば素直な大人になって出てくるマジックボックスではありません。

次回は、中断していたいじめの指導の仕方です。
 大津地検に書類送検した一部の事件について解説します。

2012年末、NHKは大津いじめ事件で書類送検だと大騒ぎしていますが、どの事件の何を扱ったのか確認しましょう。

下記のリンクによると、書類送検または児童相談所に送致したのは、

・昨年9月、体育祭で生徒をはちまきで縛るなど
・同10月には校内のトイレで生徒を殴るなどした暴行
・生徒の成績カードを破るなどした器物損壊、窃盗

・・・の三つの容疑の・・

計13件で書類送検、送致・・ということです。

さらに、3人のうち1人については、今年5月に女性教諭に重傷を負わせた傷害容疑でも書類送検。

ん?・・これはいじめ事件かな?
いや、このレベルでは、一般の刑事事件でしょう。とくに、「女性教諭に重傷を負わせた」というのは本来なら少年院送致が妥当な内容です。

いじめの定義があいまいなままでマスコミが大騒ぎしていますが、仲間はずれや嫌がらせなどの本来のいじめではなく、窃盗・暴行・脅迫などの犯罪行為を拡大解釈して「いじめ」にしてしまっているということです。

で、問題は公判の維持ですが、

警察は
・いじめとして遺族が挙げた45件の行為について検討

・捜査対象を計27件

・計13件で書類送検、送致

リンク先には
・3人は、一部の行為について「(生徒に)腹が立ったのでやった」と容疑事実を認めている
・その他は「遊びだった」などと犯意を否認するか、
・行為そのものがなかったと話している
とあります。

 13件のうち、窃盗、器物損壊、被害者の医師の診断書がある暴行以外の立証は困難でしょう。
あとは証拠が無いので、目撃者の証言以外に立証の方法はありません。弁護側の反対尋問に耐えられなければ証言者が逃げ出し無罪となる可能性すらあります。

 今回は、「警察よくやった」というレベルではありますが、この辺が限界でしょう。
監視カメラで常時監視でもしていないと校内のいじめ・暴行の立証には困難が伴います。

 この学校の問題は「女性教諭に重傷を負わせた」事件が全てを表しているように思います。
その本質は、単なる「いじめ」でなく学校の治安維持の問題です。私も「荒れる学校」の恐怖は経験しています。一連の事件は教員の指導が行き届かなくなった学校の中で私的秩序(弱肉強食)が発生して起こった必然的な事件ということができるでしょう。

自殺との関連は次回に。

以下、参考リンク先。

大津いじめ 加害2少年書類送検…暴行容疑など

 大津市で昨年10月、いじめを受けていた市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、滋賀県警は27日、加害者とされる中学3年の少年2人(ともに15歳)を、生徒を殴打した暴行容疑などで大津地検に書類送検した。当時、13歳で刑事罰の対象とならない別の少年(15)は、暴行などの非行事実で児童相談所に送致した。

 県警は、いじめに至った経緯や自殺の背景にも踏み込む異例の捜査をしており、近く市側に報告する。

 少年3人は当時、同じ中学の2年生。発表などによると、昨年9月、体育祭で生徒をはちまきで縛るなどし、同10月には校内のトイレで生徒を殴るなどした暴行、生徒の成績カードを破るなどした器物損壊、窃盗の三つの容疑の計13件で書類送検、送致した。

 3人は、一部の行為について「(生徒に)腹が立ったのでやった」と容疑事実を認めているが、その他は「遊びだった」などと犯意を否認するか、行為そのものがなかったと話しているという。

 県警は「少年を更生させる観点から、個別の容疑事実や詳細な認否は明らかにしない」としている。

 3人のうち1人については、今年5月に女性教諭に重傷を負わせた傷害容疑でも書類送検した。

 生徒は昨年10月11日朝、自宅マンションで飛び降り自殺した。県警は今年7月、遺族から暴行や器物損壊、窃盗、強要、恐喝、脅迫の六つの容疑で告訴を受理。いじめとして遺族が挙げた45件の行為について検討し、捜査対象を計27件とした。

 県警は同月、暴行容疑の関係先として生徒が通っていた中学校や市教委を捜索。その後、在校生や教諭ら約400人から事情を聞くなどし、押収資料や目撃証言などから13件で立件が可能と判断した。いじめについて学校が行った全校アンケートで指摘された「自殺の練習」を含む14件の行為については、具体的な目撃証言や犯罪性がなく、立件を見送った。

 県警は問題の社会的反響を考慮し、刑事罰の対象にならない13歳だった時の行為についても、児童相談所に判断を委ねる「通告」ではなく「送致」とし、家庭裁判所で少年審判に付されるべきとした。

http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20121228-OYO1T00209.htm?from=top
謹賀新年。大変ご無沙汰しています。今年もあいも変わらずといったところですがよろしく。

久々ですが、いきなり本題です。

大津のいじめ事件も忘れ去られたようですが、いじめの立件は見送られたようです。

 大津市立中学2年の男子生徒が、2011年10月に自殺した問題について、
滋賀県警は同級生らに対し、強要容疑での立件を見送る方針を固めた
http://www.terrafor.net/news_l8aUy6m9tO.html

 被害者が自殺しているので被害者の証言が取れず、いじめの把握がきわめて困難です。いじめの立証はこのようなパターンになりやすいのです。


 前回のまとめは、
① いじめの指導は被害の訴えか証拠や証言がなければできない。
② 教員、学校には捜査権限はない(法的裏づけがないまま指導している)。
③ いじめの立証は極めて困難(裁判で有罪に持ち込むことは難しい)。
④ いじめに気づき指導をする能力は、授業をする能力とは違う能力。
⑤ 校外で起こった事件に関しては学校に責任は問えない。



今回は「自殺の前に指導ができたか」の2回目です。

 まず、一般的な話ですが、夏休み明けはさまざまな事件が発覚します。さらに、髪を染めてきたり、改造制服を着てきたり(異装「いそう」という)があったりと指導が大変な時期です。

 大津の事件の場合、ぱっと見でいじめた側の子分になったように見えたというのがありえます。いじめられた子のほうがいつも一緒にいる場合は、いじめているのか仲がいいのかわかりません。お互いの自宅に遊びに行っているようだと、外から見て友達と判断されてしまいます。人間関係の難しいところで、子分であることが必ずしもいやとはいえない場合もあり、はたから見ていて怪しい(というかいかがわしい、あるいは好ましくない)関係でも手は出せません。事件でも起こらない限り引き離すことはできません。
 もちろん、いじめの可能性は高いし、あるでしょう。でも被害者が訴えなければ、立証は困難です。

いじめで有罪はなかなか難しいようです。

北本中学校・いじめ自殺裁判 東京地裁判決出る! 
「原告の請求を棄却する。裁判費用は原告の負担とする」
http://www.janjanblog.com/archives/76324

判例をみても難しいようです。
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/sosyojirei.htm

 大津地検に書類送検した一部の事件については次回に。
私立派遣講師の現状について追記

・東京都の場合、講師の給与は、1コマ2300~2700円(月9200~10800円)x12か月分+ボーナスです。私立もほぼ同じです。派遣の場合は1コマ2500(月10000円)x12か月分(ボーナスなし)です。基本的に年間契約です。夏休みに授業が無くても給与は出ます。

・東京で家賃払って生活しようと思うと、20コマ(月20万円)は必要ですが、1校で20コマはほとんど不可能。掛け持ちとなります。パワーがある若いのは塾と学校2つの掛け持ちとかもいます。実際には2校掛け持ちはかなり大変です。よほど近くないと学校間の移動は不可能で、曜日別の勤務になります。普通は非常勤のコマは6~12コマぐらいです。うまく自分の時間割を組まないと生活ができません。

・講師には、常勤(1校のみの勤務)、非常勤があって、常勤は専任(正社員)採用含みか経費節約のための雇用抑制かのどちらかです。学校には労働組合があるので契約条件があって、16コマ以上は私学共済の年金と健康保険に入ることになります。定員を満たせない私立学校が多くなって、専任を雇うのに二の足を踏むことが多いようです。そこで、何人も講師を雇って10時間程度に分割、必然的に講師の数が多くなります。

・講師が増えると専任の負担も大きくなって、担任と主任の数だけ専任で後は全て講師という学校も増えています。非常勤はもともと大学院生のバイトか主婦のパートの扱いでした。職に就くことが困難な現状の中で、非常勤で生活する人が増えています。

・私立の専任の給与が高いのは、私立間の引き抜き対策、組合との協定、公立への人材流出の防止の3つだと考えられます。
本日、NHKのクローズアップ現代で私立学校の派遣講師ほ話をしていました。まさしく、私もこの立場にいるので、番組で取り上げない情報を補完?します。

とりあえず箇条書きで。

・番組で出てた人、○島さんじゃないですかw。取材に応じたのはキャリアビスタという会社です。知ってる顔がぞろぞろと。番組中では教員派遣会社は5社といっていますが、私はそのうちコスモ、キャリアビスタ、EMPSの3社に登録済み、、E-STAFFはメンドイ(後述)ので仮登録です。後の1社は日能研かトライの系列と思われ。5社しかないということは業界が大変狭いということも示しております。
私は2年前はキャリアビスタから某学校へ派遣されておりました。今年は別の学校に他社から派遣されております。

・特進クラスを専任が担当、一般クラスを???・・逆でしょうw
 私立校での花形教師は受験指導と部活指導(甲子園目指すとか)です。
 えらい高い給料をとっています。引き抜きも頻発、特進クラスの受験指導は引き抜かれて不在、予備校講師並みの講師を求人するもかなわず、専任がやむなく特進クラスを担当、素人の派遣講師で一般クラスというのが現状です。

※私立高校は進学クラスと一般クラスに分かれているのが普通です。

・専任の給料高すぎです。50歳で私立の専任(=正社員)は1000万円を超えています。私がいた学校では50歳1200万円、1500万円でした(都立は900万~1000万ぐらい)。講師の場合は1コマ月1万円なので、年間で週16コマ(専任の最大受け持ち時間)で16コマx1万円x12ヶ月=192万円です。学校が派遣会社に払う金額は3割り増しで年間250万円、専任1人=派遣講師4人の割合です。(ただし、22歳では専任の給与は300万程度であまり差は無い)

・私立校の経費の7割が人件費、1000万超えの給与が高い学費の元になっています。

・番組中、月収17万円という講師が出てきましたが週17コマというのが業界相場でわかってしまいますw。講師の立場からすれば、よく17コマ埋めたなといった感想です。私の場合は、1年目18コマ(月18万円)、2年目15コマ(月15万円)、今年は23コマ(月23万円)で月~土フル稼働です。

・東京とその近郊には私立学校が300校あります。それだけあればおのずと派遣も成立するでしょう。とはいっても狭い業界。何社登録しても同じ求人が複数社からきてしまいます。それほど狭い業界です。めんどくさいので追加の登録はしていません。

・教員の免許所持者は教科ごとの偏りが大きいです。某派遣会社の場合、登録者は社会だけで3割超、社会・国語・英語の文系3教科で6割超です。理科と数学がそれぞれ1割弱、あとは他の教科です。私の場合は理科だったのと、IT系で派遣慣れしていたので何とか続いています。

・待遇は悲惨です。健康保険に入れません。個人事業主と同じ扱いです。

・学年会、教科会に参加しないというのはその通りです。公務分掌(学校業務や委員会活動)も参加しません。授業が終わったら帰ることができるというのは夢のような話です(その分給料も安いですが)。

番組の後半に出てきた、講師を減らした学校(狭山)の話は・・経営上やばいように思います。私が見てきた中で、有名大学の付属校以外は、ほとんどの学校で定員割れしています。年配者の定年を待って、後は講師でまかなうのがこれからの私立のスタイルでしょう。

最後に、お釜の教育評論家が出てきたのは余計としか思えませんでした。
前回の続きです。

今回のテーマは「自殺の前に指導ができたか」です。

 前回のポイント1つ目、
 ・被害者本人(家族ではない)から「お金を取られた」「殴られた」などの訴えがあったかとうか。
 について。

 いじめられているという訴えか、裁判で証言してもいいという目撃証言か、現行犯でない限り指導はできません。

 昔なら怪しい段階でも捕まえてきて追求するということもできましたが、現在ではできません(人権侵害で訴えられかねません)。いじめの指導をしようにも証言、証拠がない限り怪しいと思っても手が出せないということです。

 こういう場合には、経過観察で事件が把握でき次第指導となります。学校側でいじめを隠蔽(いんぺい)したという話がありますが、確証がなく指導できなかったという学校や教育委員会の発表にはうそや偽りはないでしょう。マスコミの「いじめを放置した」というのはこじつけです。普段「人権侵害だの証言に頼っての捜査で証拠がない」などと騒ぐくせに、こういうときは「きちんと調べていない、いんぺいだ。」では大いなる矛盾です。いじめは基本的に証拠がない場合が多く立証はきわめて困難です。

 学校には捜査権もなければ逮捕、告訴の資格もありません。いじめや万引き、暴行、窃盗などの指導は法的根拠がない「非」合法的行為です。伝統的に、学校が荒れないための指導でしかありません。この手の指導では教員が親に訴えられ退職に追い込まれるケースも見聞きします。中学1年~3年の間にはいじめの1件や2件は必ずあります。いじめをリアルタイムで指導し完璧なクラス(学校)を作るのはかなり困難でしょう。

 別の観点として、担任、学年主任、学校(校長)に生徒指導の能力が不足していたということは言えるかも知れません。大きな事件になる前に、ある程度証拠や証言をつかみ、いじめの芽を摘んでおくのがコツですが、それは授業を成り立たせる能力とは別の問題で、教員の授業をする能力とはまったく異なる部分になります。

 校内での暴行、窃盗などはある程度責任を問えるでしょうが、自殺の責任や自宅の現金盗難、祖母の預金を下ろして渡したなどの話は、学校に責任を問うのは無理だと考えます。(市長はパフォーマンスで因果関係ありで和解する方針のようですが。)

次回は「夏休み後のは生徒同士の人間関係の変化と自殺までにいじめをどのぐらい把握できていたか」です。
 3ヶ月ぶりの更新です。成績提出、残務処理も終わって完全に夏休みに入りました。

 大津のいじめ事件の報道も一段落したようです。情報が断片的で事件の全容がなかなかわかりませんでしたが、いじめの指導は経験があるので、大体の経過、状況などある程度は推定できます。とりあえず、私が正しいと思う情報を元にいろいろと思うところを書こうと思います。

 本編では次回はいじめの指導という話で止まっていますが、番外編終了後に書こうと思っています。

 まずはマスコミの問題点ですが、時系列の経過や因果関係、有罪の立証の可能性など全てがごっちゃになっているようなので、少し整理してから話をしようと思います。

 アンケート云々、自殺の練習云々、いつの話なのか?、どんな話なのか?。まずは自殺前と自殺後に話を分けて考えようと思います。

 なかなかいいサイトが見つかりませんがこんなサイトを参考にしようと思います。

http://www48.atwiki.jp/tukamarosiga/pages/162.html
サイトは時系列が下からですが見やすいよう上からに並べ替えています。

・9月29日
<学校側>
  皇子山中学体育祭での暴行、女性教諭が目撃し注意 (2012/07/13発覚)

・2週間前
<被害者・家族>
  滋賀県子ども・子育て応援センターと滋賀県中央子ども家庭相談センター(児童相談所)に相談
  →両センターともいじめには気付かなかったことが判明 (2012/07/18発覚)

・6日前
<学校側>
  複数教諭がいじめの可能性を疑っていた(2012/07/14発覚)

・<学校側>
  学校のトイレで暴行。同級生からの訴えで、担任は現場へ駆けつける。
  →学校側は「いじめではなく喧嘩」と判断。(2012/07/15発覚)

・4日前
<同級生>
  暴行目撃(→別の生徒が仲裁)

・前日・3日前
<被害者・家族>
  部屋が荒らされていた(関係者証言) (2012/07/13発覚)

・10月11日
<被害者>
  朝、滋賀県大津市立皇子山中学校の2年生(当時)が飛び降り自殺。
<県警>
  自殺と判断

事件前の経過は以上のようです。

私が考えるポイントは以下です。

・被害者本人(家族ではない)から「お金を取られた」「殴られた」などの訴えがあったかとうか。

・夏休み後は生徒同士の人間関係が変わっており、特に誰かの家がたまり場になっている場合は要注意。夏休みにいじめがエスカレートし、秋、冬に発覚すること多し。万引きも同様。9月は生徒指導のピークになる場合が多いようです。

どこに問題があると思いますか?

詳細は次回に。
昨日(2012年4月29日)、新型うつ病に関するNHKの特集番組がありました。今回はそれについてのコメントです。

新型うつ病の症状は以下です。

1. 自分の好きな仕事や活動の時だけ元気になる
2. 「鬱」で休職することにあまり抵抗がなく、新型は逆に利用する傾向がある
3. 身体的疲労感や不調感を伴うことが多いのが新型
4. 自責感に乏しく、他罰的で会社や上司のせいにしがち
5. どちらかというと真面目で負けず嫌いな性格

「3」と「5」は従来と同じ症状ですが、新型うつ病と呼ばれている場合の違いは
☆ 嫌な時だけ気分が悪くなる
☆ 自分でなく他人の責任にするのが新型の特徴
☆ 20-30代前半の若い世代に発症して、逃避型や回避型などと呼ばれてる

http://heartland.geocities.jp/singatautu/

 私的見解ですが、ずばり言ってこれは「わがまま病」です。
 「わがまま」とは、生徒指導の用語では上司(教員)の指示に従わない事、あるいは自分の要求が満たされないと暴れる、屁理屈を言って自分を正当化するといったことを言います。

 人間にはいろいろな欲求があります。でも、社会生活においてその全てが満たされることはなく、我慢することになります。おもちゃ屋で子供がおもちゃ買ってと駄々をこねることがありますが、普通は誕生日やクリスマスなど決まったときに買ってもらうルールをつくり、普段は我慢するように指導します。欲求を抑える訓練をするということです。

 子供たち(大人も同じ)の欲求には何々がほしい・したいという「+」方向の欲求と何々したくない・行きたくないの「-」方向の欲求があります。普通は社会生活を営む上でこの欲求が全て満たされることは無く、我慢したり、目標達成のために努力したりします。

 ところが、親が子供の言いなりになっていたり、テストの点数さえよければ後は子供のやりたい放題だったりすると、子供の成長とともにその欲求も大きくなり最後は手がつけられなくなって非行に走ったりします。登校拒否も本質的に同じ理由で、学校がつらい(「-」方向の欲求)、すなわち学校に耐えられなくなるといった「社会不適応」です。

 新型うつ病はこの欲求を我慢できない症状と考えられます。非行、登校拒否と本質的に同じで症状が弱いといったイメージです。


 たとえば、学校においても同様で、やりたくない掃除もやらなければならないし、掃除が終わっても汚ければ怒られることもあります。作業は平等には与えられず、特定の生徒に負担がかかることもあります。そんな中で、効率や結果を出すことを覚えるわけで、そのためにはうまく行かなくてもやってみる、あるいは自分の意見を棚上げしてでも指示に従うという習慣を身につけることが必要です。

 「あれほしい、あれやりたくない」ばかりでは何も身につかず、社会に出てから不適応を起こしかねません。新型うつ病は我慢できない症候群であり、これを防ぐには若い時点で欲求を抑える訓練が必要です。最近の若者は学生・生徒時代にマニュアル通りで効率的に点を取る習慣が身についており、分かりやすく言うと「習い事のような勉強」を高校3年までやっていて、その傾向は昔に比べると強くなっているように思います。


 教員の世界では、生徒が「うるせー」と言い返すこと全て「わがまま」といいます。かつては、教員が何か言ったことに対して言い返すのは全てわがままだと豪語する教員もいましたが、現在においては、生徒は大事なお客様として扱われ、自分の欲求を抑える訓練、人の指示に従う訓練が無いまま成績だけを目標にした教育のあと社会に出てゆく状況です。たとえば公文式のような効率的な勉強法によって最適化された教育が普及し、教育が単調化し、結果的に我慢や忍耐力が極端に低い適応力が無い人間が量産されてしまっていると考えられます。

 それからもう一つ触れておきたいことがあります。それは叱られなれていない子供が多すぎるということです。本来は叱られたら、冷静に結果を考えて対応するというのが基本ですが、叱られると敵意をむき出しにし、基本的な指示に従わなくなるという事例が増えたように思います。まさしく「わがまま」なのですが、叱る=中傷、といった安易な認識でいる子供が多過ぎ、指導が困難になってしまったということがあります。こういう子供が成人し社会に出れば長続きせず転職を繰り返すのは必至、軽くて新型うつかなといった感じがします。


 もちろん、本来子供のしつけは親の責任ですが、家庭、学校とも社会人として必要な教育をおざなりにしているように思います。

 NHKの特集番組で、江川紹子は「今まで教育の不条理を排除しようとしてきた。でも、会社には不条理が多く、それが新型うつの原因(遠因)ではないか。教育から不条理を排除してきたことが新型うつにつながっていないか。」といっていましたがその通りでしょう。
 学校は社会の縮図であり、「職場」とかけ離れた単調化・最適化≒予備校・塾化された学校は生徒の社会不適応を起こしかねいということが言えると思います。この辺の因果関係を自覚し、教育の再構築を考えければならない時期に来ているのではないでしょうか。

 この辺のテーマは生徒指導の内容が一段落したら触れたいと思っています。