久しぶりの更新です。ご無沙汰しています。本年度は2校で4科目10クラス週24時間担当しています。ちょっとオーバーワーク気味です。

 今回は集団でのいじめの場合の指導法です。

 指導の仕方は前回の単独犯の場合(第七十一回)と基本的に同じです。
詳細は、万引の指導(第六十回)とほぼ同じになります。
 今回の話はあくまで刑事事件とはいえない範囲の「教科書隠した」「ボール投げつけた」「無視した」といった小学生レベルのいじめの話です。


・発覚まで

 本人が訴える場合と、父兄からの連絡によるもの、教員が現行犯で捕まえた場合があります。
普段から、いじめかどうかは別にして、人間関係として「仲が悪い」位は把握しているのが普通です。
もちろん、生徒間でうわさになっていることも多いのですが、確認してもいじめている側は「やっていない」というのが普通です。


・発覚後の指導(被害届的なものがあった場合)

 ① 単独犯の場合と変わりありませんがまずは事実関係の確認です。
  いつ、誰に殴られたか、何がなくなったか、分かる限り確認して前もって整理します。
  (犯人が特定できな場合は※1、※2へ)

 ② 事実関係がわかったら、関係した(いじめた)生徒の人数分だけ教員の数をそろえます。学年内で足らなければ他学年の先生にも応援を依頼します。
  そして、生徒一人につき教員一人で同時に面接し、事実関係を確認します。以下は万引きの指導と基本的に同じです。
  この面接の目的は事実関係の確認なので断罪などはせずに、確認後に「その行為はいじめだからやめるように」という程度にしておきます。

 ③ 確認作業が終わったら生徒を待機させ、証言内容を突き合せていじめの全容を確認します。生徒の控え室には監視の教員を配置します。

 ④ 証言を照合し、全容が整理できたら、父兄を呼び出します。(待機してもらっていることもあります。)

 ⑤ 父兄に(全員の父兄がそろうことが望ましいが夜勤などで来れない父兄がいる場合は翌日に呼び出すこともある)いじめの全容を話し、いじめた生徒の父兄がいじめられた父兄への謝罪し、今後とも密接に連絡を取るよう促して終わりです。



※1①で隠されたものが出てこない場合(犯人が特定できない場合)

 まずは担任対応で、臨時(または通常)の学活の時間にとったものを返すように促します。そして、人のものを取るのは犯罪であり、今後はこのような行為は慎むように諭します。
 ここでで出てくれば問題ないのですが、出てこない場合は繰り返し学活や学年会で諭すことになります。


※2①で無視がクラス中に広がっていておさまらない場合。

 ※1と基本的に同じですが、「無視するとはどういうことか」を定義することが必要で、無視した本人(達)は無視したとは思っていないか悪いと思っていないかのどちらかなので、彼らの理屈は認めず、具体的に「会話をしない」とか「仲間に入れない」などの行為はやめるよう指導します。ただ、この手の指導はなかなかうまくゆきません。こちらも、繰り返しの指導となります。


 結論として、いじめは万引きと違っていじめた本人がなかなかみとめないので指導が長期にわたります。いじめはクラスの力関係の縮図でもあるので、一朝一夕に改善されることは稀です。

 次回はアンケートについてと指導のコツです。