大津地検に書類送検した一部の事件について解説します。

2012年末、NHKは大津いじめ事件で書類送検だと大騒ぎしていますが、どの事件の何を扱ったのか確認しましょう。

下記のリンクによると、書類送検または児童相談所に送致したのは、

・昨年9月、体育祭で生徒をはちまきで縛るなど
・同10月には校内のトイレで生徒を殴るなどした暴行
・生徒の成績カードを破るなどした器物損壊、窃盗

・・・の三つの容疑の・・

計13件で書類送検、送致・・ということです。

さらに、3人のうち1人については、今年5月に女性教諭に重傷を負わせた傷害容疑でも書類送検。

ん?・・これはいじめ事件かな?
いや、このレベルでは、一般の刑事事件でしょう。とくに、「女性教諭に重傷を負わせた」というのは本来なら少年院送致が妥当な内容です。

いじめの定義があいまいなままでマスコミが大騒ぎしていますが、仲間はずれや嫌がらせなどの本来のいじめではなく、窃盗・暴行・脅迫などの犯罪行為を拡大解釈して「いじめ」にしてしまっているということです。

で、問題は公判の維持ですが、

警察は
・いじめとして遺族が挙げた45件の行為について検討

・捜査対象を計27件

・計13件で書類送検、送致

リンク先には
・3人は、一部の行為について「(生徒に)腹が立ったのでやった」と容疑事実を認めている
・その他は「遊びだった」などと犯意を否認するか、
・行為そのものがなかったと話している
とあります。

 13件のうち、窃盗、器物損壊、被害者の医師の診断書がある暴行以外の立証は困難でしょう。
あとは証拠が無いので、目撃者の証言以外に立証の方法はありません。弁護側の反対尋問に耐えられなければ証言者が逃げ出し無罪となる可能性すらあります。

 今回は、「警察よくやった」というレベルではありますが、この辺が限界でしょう。
監視カメラで常時監視でもしていないと校内のいじめ・暴行の立証には困難が伴います。

 この学校の問題は「女性教諭に重傷を負わせた」事件が全てを表しているように思います。
その本質は、単なる「いじめ」でなく学校の治安維持の問題です。私も「荒れる学校」の恐怖は経験しています。一連の事件は教員の指導が行き届かなくなった学校の中で私的秩序(弱肉強食)が発生して起こった必然的な事件ということができるでしょう。

自殺との関連は次回に。

以下、参考リンク先。

大津いじめ 加害2少年書類送検…暴行容疑など

 大津市で昨年10月、いじめを受けていた市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、滋賀県警は27日、加害者とされる中学3年の少年2人(ともに15歳)を、生徒を殴打した暴行容疑などで大津地検に書類送検した。当時、13歳で刑事罰の対象とならない別の少年(15)は、暴行などの非行事実で児童相談所に送致した。

 県警は、いじめに至った経緯や自殺の背景にも踏み込む異例の捜査をしており、近く市側に報告する。

 少年3人は当時、同じ中学の2年生。発表などによると、昨年9月、体育祭で生徒をはちまきで縛るなどし、同10月には校内のトイレで生徒を殴るなどした暴行、生徒の成績カードを破るなどした器物損壊、窃盗の三つの容疑の計13件で書類送検、送致した。

 3人は、一部の行為について「(生徒に)腹が立ったのでやった」と容疑事実を認めているが、その他は「遊びだった」などと犯意を否認するか、行為そのものがなかったと話しているという。

 県警は「少年を更生させる観点から、個別の容疑事実や詳細な認否は明らかにしない」としている。

 3人のうち1人については、今年5月に女性教諭に重傷を負わせた傷害容疑でも書類送検した。

 生徒は昨年10月11日朝、自宅マンションで飛び降り自殺した。県警は今年7月、遺族から暴行や器物損壊、窃盗、強要、恐喝、脅迫の六つの容疑で告訴を受理。いじめとして遺族が挙げた45件の行為について検討し、捜査対象を計27件とした。

 県警は同月、暴行容疑の関係先として生徒が通っていた中学校や市教委を捜索。その後、在校生や教諭ら約400人から事情を聞くなどし、押収資料や目撃証言などから13件で立件が可能と判断した。いじめについて学校が行った全校アンケートで指摘された「自殺の練習」を含む14件の行為については、具体的な目撃証言や犯罪性がなく、立件を見送った。

 県警は問題の社会的反響を考慮し、刑事罰の対象にならない13歳だった時の行為についても、児童相談所に判断を委ねる「通告」ではなく「送致」とし、家庭裁判所で少年審判に付されるべきとした。

http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20121228-OYO1T00209.htm?from=top