『3年A組』最終話~高校教師の柊一颯が生徒たちに本当に伝えたかったこと。 | 【映画とアイドル】

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📺『3年A組』Day10

 

https://www.ntv.co.jp/3A10/story/ 💻

 

いよいよ最終話になりましたが、10話なんてアッという間ですね(^^ゞ

昔の連続ドラマは12話あったと思うんですが、この 10話くらいが丁度よいとは思います。

 

初回の異様なまでの緊迫感からすると、2話以降は若干の物足りなさを感じる時もありましたが、

サスペンスから学園モノ・教師モノへと見事にジャンルを変えつつ、

しかし、伝えるべきテーマは一貫していて、それを最終話まで見事に貫いた脚本は素晴らしいです!!

 

 

 

 

 

 

 

中盤、準主役のハズでありながら 存在感が薄れていた感のあった 永野芽郁ちゃん演じる茅野さくらが、クライマックスでキーポイントを握るキャラクターになる展開もお見事!

 

 

 

 

敵と味方の構図が巧妙に変わっていく様も面白かったです。

 

 

 

 

 

 

 

澪奈(上白石萌歌)の死の真相も、ことさらセンセーショナルにすることはなく、

いい意味で、あぁ やっぱりそうか(!!)と納得させる展開にも好感が持てました。

 

サプライズばかりに執着した物語は、面白いのは最初だけですからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、いよいよ柊一颯(菅田将暉の真の目的が明らかになるクライマックス。

 

ここもサプライズというよりは、なるほど(!!!)と

今までドラマを熱心に見てきた視聴者誰もが納得するような、柊の犯行の動機。

 

 

 

劇中で幾度となく触れられていたネットの功罪、

特に、ネットによる言葉の暴力を糾弾、いや、

知らず知らずのうちに SNSの世界の中で見ず知らずの人間に対して罵詈雑言を浴びせることを

フツーに日常的にやってしまっている人間たちへの警鐘。

その何気ないネット上での一言がいかに人を傷つけるか。

 

ある意味、目に見えない敵を相手に命懸けで戦っていた柊の信念に

誰もが色んな意味で胸を掻きむしられるような気持ちになったんじゃないかと思います。

いや、柊も言ってたように、ここまでやっても何も感じない、こんな柊を批判する書き込みもあとを絶たなかった‥、これも現実。

でも、ボクも色んな場面で思うんですが、

たとえ解決しなくても‘問題提起’することは凄く大事なことやと思います。職場だってそう。

諦めて何も言わなくなったら、ホンマに物事が変わる可能性はゼロになる。

たとえ変わる可能性は少なくても、

声を上げることで、不可能やったことに僅かな可能性が生まれるんです。

見も知らない他人を叩くことは日常茶飯事的にやっているのに、

いざ目の前の人間が明らかに間違ったことをやっても何も言えない。

国が犯したような大きな問題にも無頓着にも見える、まさに今の日本人みんな(ボクも含めて)に

訴えかけるようなメッセージやったと思います。

 

間違いに気づいて

それを正すための行動を起こせ、と。

 

 

 

 

 

「SNSによる暴力を 世に知らしめることだ。

 

 いかに自分たちが不確かな情報に踊らされているかを自覚させる」

 

 

 

 

「おまえたちはこの十日間で どれだけ自分の意見を変えた?」

 

 

 

「信憑性のない情報を頼りに

 どれだけ心無い言葉を ネットで浴びせた?」

 

 

「俺はそんなおまえらの 愚かな行動をあぶり出すために

 この事件を 引き起こしたんだよ」

 

 

 

「そこの まわりに流されて 意見を合わせることしかできない

 おまえに言ってんだよ!」

 

 

 

「たいして知りもしないのに なんで あんなに叩けるんだよ」

 

 

「その おまえの自覚のない悪意が

 影山澪奈を殺したんだよ!」

 

 

 

 

「自分の親や 友達に面と向かって言えない言葉を

 見ず知らずの他人にぶつけんなよ」

 

 

 

「おまえのストレスの発散で他人の心をえぐるなよ。

 分かるだろ 俺の言いたいこと」

 

 

「先生 怒ってる」

 

 

 

「いや、これは怒りじゃない」

 

「祈りだ」

 

 

柊の覚悟ある行動に共鳴した郡司(椎名桔平)もカッコよかったです。

 

それは刑事としては間違った考えになってしまうのかもしれないけど、

目の前で起こっていることに対してどう思うのか、

まさに郡司自身が自分で‘考えた’結果、柊の犯罪をある程度は許容したところがカッコよかった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「言葉は時として 凶器になる」

 

これこそが柊が伝えたかったこと。

 

真犯人探しでもない、犯罪組織の壊滅でもない、

人が日々暮らしてる中で、常に起こり得る悲劇を少しでも無くしたいと思う柊の気持ち―。

 

 

ゾクゾクするサスペンスから感動的な学園モノにシフトし、

最後には観ている人間ひとりひとりの胸に突き刺さるメッセージ(突き刺さらない視聴者も多数いることは織り込み済みで)を、作り手が明確な意志でTVという媒体で届けようとした、

その 作り手の行動に感銘を受けました。

 

 

 

 

 

 

本作はまさに‘救い’の物語でした。

 

性格の悪いボクはw初回だけ観た時は、救いのないようなハードな展開を期待しましたが、

最後は見事に救済の物語としての帰結を迎えました。

 

でも、だからこそボクは自分の日常を思い返して

もどかしい気持ちにもなってしまいました。

 

自分は比較的はっきりものを言うタイプやと思ってますが、

それでも言いたくても言えないことはある。

それが相手のためになっているのかもよく分からない時がある。

 

ラストに感動しながらも、自分自身のことを思うとスッキリしきれないところがある‥。

でも、観ていた人間がそんな気持ちになってしまうことこそ

まさに作り手が望んでいたことなのかもしれません。

 

「考えろ」と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現代社会にリアルな問題提起を投げつけながらも、

最後の最後は青春モノのような爽やかな終わり方をしてくれたのもよかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‘青春時代のかけがえのない思い出は、一生の宝物になる’

 

 

柊が生徒たちに本当に与えたかったのは、そんな宝物だったのかもしれません。