エレキギターのハードパーツといえばその殆どが金属製。しかし、一口に金属と言ってもスティール、ステンレス、ブラス、チタン、アルミ、ダイキャスト(亜鉛合金)などなど、用いられる素材は多岐にわたります。

 

 金属パーツの素材によってトーンが変化することは周知の事実ではありますが、往々にして「音が変わる」という結果にのみ終止するため、パーツ交換によって音を変えようと考えている方は具体的に何を取捨選択しているのかイマイチ、イメージしにくいのではないでしょうか?

 

 ということで、今回は金属について私が勉強したことを簡単に解説したいと思います。パーツ選びの際にこの考え方が参考になれば幸いです。

 

1.固有振動数

 

 そもそも、「音」とは一体どういう現象でしょう?これは物体が振動したものが空気を伝って聞こえる波動と定義されています。空気で覆われている地球上でのお話ですから、ざっくり言えば物体の振動 = 音と同義になりますね。

 

 ギターにおける金属パーツの素材によって音が変わる現象は、素材により振動する周波数が異なることが要因となっています。そして、この各々の物質のもつ振動しやすい周波数のことを固有振動数といいます。

 

 ギター弦に接地するサドルを例とします。ギターをかき鳴らした時にサドルの素材がもつ固有振動数が弦振動に影響を与えます。そして、サドルの素材の固有振動数ではない周波数は殆ど振動しないことになりますから、これもまた弦振動に影響を与えることとなります。

 

 また、この固有振動数というのはパーツの重さや硬さによっても変化します。重い・剛性が低い金属は固有振動数が低く、軽い・剛性が高いほど固有振動数が高いといわれています。

 

 まとめますと、「金属の種類やパーツの重さや硬さによって振動させる周波数に得意、不得意がある」ということですね。これが金属の特性の一つ目です。

 

2.内部減衰率

 

 エレキギターの音とは具体的に何を指すか?そうですね。今回は金属パーツの話なので、アンプを含む電気系統のお話は便宜上省きましょうか。ここではピックアップマイクが拾う音と定義し、簡単に説明しますね。

 

■ピックアップが拾う音

 ピックアップが拾うのは弦振動ですね。その弦振動はピッキングによって発生します。その弦振動によってネックとボディが振動し、その振動がが弦振動に影響を与えます。その最終的な出音がピックアップが拾う音となります。

 

 要するに、エレキギターの音というのは弦振動と木部の振動のバランスによって構成されているということですね。そうそう、皆さん知ってました?ストラトキャスターにおいては弦が木部に接地することが無いんです。すべて金属のパーツ上に接地しています。つまり、金属パーツは弦とネック・ボディの振動を橋渡しをする重要な要素なんですねぇ。

 

 さて、ここからが本題です。金属には内部減衰率と呼ばれる振動エネルギーを金属自体が消費(ロス)する指標があります。硬い×軽いものほど内部減衰率低く柔い×重いものほど内部減衰率高くなります。この数値が高ければ弦振動およびネック・ボディに伝わるエネルギーが小さくなり、数値が低ければその逆になります。これが金属の特性の二つ目です。

 

 内部減衰率について素材別にわかりやすくバルテック社がまとめてますのでご覧ください。

 リンク(バルテック社):http://www.valtech.to/photo/36112/music.htm

 

 リンク先の内容はご覧になりましたか?気を付けてほしいのは内部減衰率が低いチタンステンレス素材のパーツに交換すれば手放しにいい音になるのか?と言われると全くそういうことでもなく、結局は現状の音を認識し、どのような音に近づけたいか?という考え方が重要であることに注意していただきたいと思います。

 

3.どう活かすか?

 

 前章の終わりに述べたように、問題は「この情報をどう活かすか」です。当然ですが、金属パーツはエレキギターにおける一要素でしかないため、パーツ一つの交換で全て解決などできるはずもありません。


 今回のお話によってリプレイスメント用の金属パーツを選定する際に「ボディ振動を増やしたいから軽いプレスサドルにしてみよう」とか「音像がタイトで強すぎるからイナーシャをあえて亜鉛ダイカストにしてバランスをとろう」など、一つの判断材料にはなるのかなと思っています。


 まぁでも、判断に時間がかかりすぎるのも勿体無いので、多少お金がかかったとしても色々買って試してみたほうが経験としてはよいのかな?と個人的には思ったりします。


おしまい☆