特設艦船戦史 雑想ノート -4ページ目

特設砲艦

特設巡洋艦の小型版で、小型の貨物船を改装、船団護衛や基地の防衛、哨戒、警備等に使用。 

日華事変から太平洋戦争にかけて91隻が民間より徴用された。敗戦時に残存していたのは、特設運送艦に転籍されたもの含め7隻のみ。 

兵装は8~12センチ砲2~4門、7.7ミリ機銃1~2基、爆雷等を装備。簡易式水中聴音機や爆雷120個を搭載したものもあった。12センチ砲は、アームストロング式40口径砲で日露戦争時に巡洋艦に搭載されていたもの。8センチ砲もアームストロング式40口径でこれも日露戦争当時の駆逐艦に搭載されていたものと同型。ともに最大射程は約4,000メートルの旧式砲であった。 

艦長は予備役の少佐、中佐クラスが多く任命された。

太平洋戦争の中期以降はレーダーの発達により多大の犠牲を出し、後期は主に前進基地の防衛に使用されるようになった。


【終戦時残存艦】

「第一雲洋丸」(2,039総トン)

「華山丸」(2,103総トン)

「千歳丸」(2,668総トン)

「第十二日正丸」(1,199総トン)

「那智丸」(1,606総トン)

「第二新興丸」(2,577総トン)

「第一〇福栄丸」(847総トン)


【その他】

「長運丸」(1,914総トン) 17年に第二護衛隊に編入され、ラバウルやトラックへの船団護衛に使用。

「豊津丸」(2,930総トン) 17年2月、マーシャル諸島に来襲した、米重巡「ノーザンプトン」「ソルトレークシティ」と交戦、沈没。

特設駆潜艇

捕鯨船や大型トロール漁船を利用。

浮上した潜水艦との交戦を考慮し、武装は特設掃海艇より強力。

ただし、爆雷は投射器ではなく、落下器よりころがり落とした。


【徴用】

265隻


【乗員】

17~36名

【兵装】

簡易水中聴音機1基、搭載爆雷12~24個、5~8センチ砲1門、九三式13ミリ機銃または九二式7.7ミリ機銃1基


〔昭和17年6月頃の中部太平洋方面兵力〕

第八根拠地隊[ラバウル]

  第五六駆潜隊  「第八王丸」「第三利丸」「第五寿丸」


第六根拠地隊[クェゼリン]

  第六三駆潜隊  「第三寿丸」「第三昭南丸」「第三文丸」

  第六五駆潜隊  「宇治丸」「第六京丸」「第七京丸」

  第五九駆潜隊  「昭福丸」「第五昭南丸」「第六昭南丸」


第四根拠地隊[カロリン諸島、トラック島]

  第五七駆潜隊  「国光丸」「拓南丸」「第十五昭南丸」

  第五八駆潜隊  「厚栄丸」「第十六拓南丸」「第八昭南丸」


第五根拠地隊[サイパン]

  第六〇駆潜隊  「第八京丸」「第十京丸」「珠江丸」


第七根拠地隊[小笠原]

  第一六駆潜隊  「文丸」「第二関丸」「興義丸」


 第三特別駆潜隊[パラオ]

  第五五駆潜隊  「第一元日丸」「昭和丸」「第三昭和丸」「第四昭和丸」


第一南遣艦隊

 第九特別根拠地隊[スマトラ島サバン]

  第九一駆潜隊  「第七昭南丸」「第十二昭南丸」「長江丸」


第二南遣艦隊

 第二三特別根拠地隊[マカッサル]

  第五四駆潜隊  「第一昭和丸」「第二昭和丸」「長良丸」

 第二四特別根拠地隊[アンボン]

  第五二駆潜隊  「第五拓南丸」「第十七昭南丸」「第十五福栄丸」


第三南遣艦隊

 第三一特別根拠地隊[マニラ]

  第五三駆潜隊  「第二京丸」「第十一京丸」「興領丸」

 第三二特別根拠地隊

  第五一駆潜隊  「第十二京丸」「第十三京丸」「第一東光丸」




【参考文献】

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[筆者注:調査未完のため、今後大幅に加筆・改訂をよていしております]


初稿  2006-08-07

 

特設掃海艇

漁船を徴用し掃海具を搭載し、掃海艇の不足を補うため南方や内地で合計124隻が使用された。

200~400トンの捕鯨船やトロール(底引き網)漁船を主に利用した。

乗員は約40~50名、爆雷を4~8個、8センチ砲1門を搭載。


【開戦時編成】(一部)

横須賀防備隊

 第二十六掃海隊  第一京仁丸、第二京仁丸、第十八播州丸、昭和丸

呉防備隊

 第三十一掃海隊  第六玉丸、第七玉丸、第三拓南丸、第八拓南丸、多摩丸、大井丸

 第三十三掃海隊  眉山丸、女島丸、第五徳豊丸、二号朝日丸、第五桐丸、美代丸

 第三十四掃海隊  やちよ丸、甲山丸、第十徳豊丸、葵丸

佐世保防備隊

 第四十二掃海隊  第六済州丸、第七済州丸、関丸、第七利丸

 第四十三掃海隊  第八長運丸、第七博多丸、姫島丸、宝栄丸、ちとせ丸、新浦丸

舞鶴防備隊

 第三十五掃海隊  第一済州丸、第二済州丸、第六博多丸、第五十一播州丸

津軽防備隊

 第二十七掃海隊

宗谷防備隊      園部丸、吉野丸

馬公防備隊(台湾)

 第四十五掃海隊  第二十日之出丸、第八鶚丸、第六甲丸、武蔵丸

紀伊防備隊

 第三十二掃海隊  第二鮮友丸、第三鮮友丸、第二高島丸、第三高島丸、第三江口丸、第十二良友丸




【参考文献】

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[筆者注:調査未完のため、今後大幅に加筆・改訂を予定しております]


初稿  2006-07-30