6月2日(日)に1人掛川市内を歩いたことを記事にします。掛川市内にある加茂園(加茂荘花鳥園)は花菖蒲の名勝地と耳にはしていたものの、…同じ静岡県内の藤枝出身で浜松在住で未だ行ったことがありませんでした。
JR掛川駅経由で天竜浜名湖鉄道に乗るのはかなり久しぶり。ぱっと見、かつてJR東海道線を走っていたような車輌だけど1両編成だし、ペイントですね。
トタン屋根のほころびた無人駅舎が寂しい旅の始まりを物語っています。
天浜線は県道40号線(掛川天竜線:秋葉街道)沿い=画の左方向を走っているのだけれど、駅を出てすぐに県道269号線(大和田森線)=画の右側へ進みました。
掛川市の原野谷地区を案内した看板です。川の表記は「原野谷」、駅の表記は「原谷」、中学校の表記は「原野谷」、小学校の表記は「原谷」、川に架かる橋の表記は「原谷」、全部読みは「はらのや」。…大きなお世話だけど複雑な事情がありそうです。
県道269号線を逸れて寺里橋にて原野谷川を渡る画:下流方向。梅雨入り前にしてすぐれない天気だけど、菖蒲や紫陽花とか、水を好む花にとっては良い天候でした。
原野谷川を上流方向へ望む画。中央に写る橋桁は新東名高速です。この日は奉仕作業で、大勢のオジサンたちが、野良スタイルで河原や田んぼの草刈りをされていました。
原野谷川を越すと、もう加茂荘が見えてきました。こうやって一人ふろふろ歩いたことをブログ記事にしておりますが、天浜線がらみで近い環境の記事はこちらになります→天竜浜名湖鉄道に乗る旅①、②。
天浜線原田駅を降りてから約20分ほど歩いて、「加茂花菖蒲園」に到着。田んぼの中にある大きなお屋敷が目的地でした。
おっ、いいぢゃん!、たくさんの菖蒲の花がお出迎え。
紫の花はいろいろあるけれど、アヤメの花の紫がいちばん日本らしく思ってしまいます。
8つある池を棚田のように高低差で水を流し続けている造りのようでした。古くからある庄屋のお庭…というわりには大規模なものです。
ちょうど見頃に来園できて良かったです。紫のほかにもピンク、白、黄色の菖蒲の花が曇り空に映えます。
こちらは加茂荘花鳥園のリーフレットです。いやぁ…当たり前だけど見事に撮れています!。少女のカモへのエサやりの瞬間を見事にとらえています。
こちらは入場券の画です。「ダンスパーティー」なんてあったの…?、どうも園内の温室でのイベントのようでした。
菖蒲がある植物園は多々あれど、アヤメの株数では静岡県内最大級だと思います。
花菖蒲は数え切れないくらいの品種が改良されていて、園内にある新品種のネーミングを募集していました。
なお、加茂荘花鳥園のホームページはこちらです→加茂荘花鳥園。
何にせ、規模の大きさに圧倒されました。近年だと菖蒲の見頃が5月で終わってしまうようなことがあったのだけれど、今年はちょうど見頃を拝むことができて、思い立って訪れた甲斐がありました。
菖蒲園の水辺には多くのマガモやカルガモが泳いだり、陸上をよちよち歩いたりして、オッサン1人でも和ませてくれました。
自分の中では菖蒲というと紫の印象が強いのだけれど、白や黄色の花も多く展示されていて、対称色の混在した様が華やかに感じました。
こうやって、池の中を渡る木板の通路を設けてくれていて、そろそろと渡りました。花を真近に観るのには良いのだけれど、うっかり落っこちるとその日1にちが台無しになります。
園の奥へ進むと池の水も少なく、泥の上に花が植わっているのに変わりないけれど「親水」ではなく「湿地」状態でした。
まだ咲いていない株も多くて、開花のタイミングをずらして、花の見頃を長くしてくれているのかなぁ…って勝手に思い込みながら散策しました。
さらに園の奥に進むとアジサイが群生していました。青紫、ピンク、白…淡い色が主体です。
まだつぼみが多くてこの後(6月中旬~)が見頃といった様子でした。アジサイは梅雨時にカタツムリとセットで鑑賞するのがグーですね。
アジサイ畑から入口方面を望む。花菖蒲の池には蓮の葉もたくさん浮いていて、夏花のオンパレードです。
たくさん菖蒲や紫陽花を撮影したのだけれど、これがベストショットだったかなぁ…、私の好きな紫色の菖蒲で、花弁の白い部分や雌しべの黄色が美しいんです。
お花見もひと段落して、加茂荘の建物(母屋・納屋)に入りました。これは長屋門といって安永2年(1773)に建てられたものです。
加茂荘の正玄関となる建物。前庭もキレイに手入れされていて、敷居の高さを感じます。
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加茂家は桃山時代からの庄屋であり、天正17年(1589)に当時浜松城主であった徳川家康よりの書状を始め、江戸時代を通ずる古文書多数を蔵し、一部は文部省資料館に保存され、近世史家の間に「加茂家文書」として知られています。
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…云々。江戸時代からこの地域の第一級の地主、極めて有力な庄屋なのです。
土間から母屋へ入りました。上述の長屋門と母屋・納屋などが安永2年から250年近くも残る建物です。安政の大地震(1850年代)を耐え、歴史深くたくましい遺産なのです。
土間から上がると10畳間が4室ズラーッと並んでいました。広々しすぎです。
置いてある火鉢もでっかくて重量感があり歴史の深さ満載です。
凝ったデザインの欄間、文化財に指定されそうな襖絵。日常が芸術品に包まれています。
見事に分福茶釜の世界。調度品も家具も使い古された骨董ではあるけれど、 つくづく年月の重みを感じさせます。
加茂荘の母屋では語り部の方がいらして、加茂家の歴史を解説してくれました。江戸中期に当地第一級の地主となり、掛川藩から地方御用達の金融機関の役割も持ったこと→幕末に掛川藩が貸し倒れ→明治維新で幕藩体制が解体されてさらに多額の貸し倒れ…名士とはいえ時代に翻弄されていたのです。上の画のかまどで、なんと!実際に炊飯していました。「はじめちょろちょろ、なかぱっぱ」です。
母屋の裏手に池がある庭がありました。菖蒲園とは違い、純和風です。
初夏の候、花見で歩いて火照った体には、涼感がとても心地よかったです。
続いて温室に入りました。さすが南国ムード満点です。
この時点で10:50頃。11:00から猛禽類のフライトショーがあるので、それまで室内を見学することにしました。
ふと歩きながら思うに、「掛川花鳥園」とかなりカブります…。ま、文化的史跡が主体で、的となる花のジャンルを絞ってるし、こちらの方が大人向けかな…??。
水鳥エリアにて。ボヤケ画ですが、オシドリのオス。絵具で塗ったようなキレイなフォルムで、生まれつきこのように羽毛が生えるのは…何とも生命の神秘です。
ワライカワセミ、オーストラリアに棲息する世界最大のカワセミです。カラスくらいある図体で、大きめのヤマメとか一飲みしちゃいそう。
猛禽類エリアにて、ベンガルワシミミズク。「何しに来やがった」的に睨まれました。
クロワシミミズクのお2人。フクロウやミミズクは夜行性だけど、日中なのに凛々しくグラビア決めてくれました。
温室には「アジサイヒルズ」というスペースで見事に咲き誇ったアジサイがいっぱい。
なぁんだ、外で観たアジサイたちよりだいぶんしっかり咲いてるぢゃん。
いやいや。自然の美しさ、人の手が加わっての美しさ、それぞれを愛でるのです。
さて、猛禽類のフライトショーが始まりました!。
最初に登場したのはメンフクロウ、名前は「ブラン」くん。可愛い顔をしていますが、エサの鶏肉を目指してサッと滑空するのは…やっぱり猛禽類ですね。
次に現れたのはアフリカワシミミズクの「ユキカゲ」くん。目が鋭くてなかなか男前なフクロウです。
最後に現れたのはハルスホーク、…名前は忘れちゃった。ワシタカ類はやっぱりカッコいい。
飼育員2人の間で、観客の頭上スレスレを瞬時に滑空する!。なかなか見ごたえのあるショーでした。
観客の中から男の子が「タカ腕乗せ」に挑戦!。
おっかなびっくりだけど鷹匠の気分、良い思い出になりましたね。
お昼時になってきたし、加茂荘名物の「庄屋竹皮弁当」とかで舌鼓でも良かったのだけれど、ウォーキング持続を試みました。
掛川市内の倉見(くらみ)温泉に行ったことはあるのですが、他にも地元に根付いた温泉があるのをうっすら記憶していて…、スマホで調べてヒットしたのが「ならここの湯」。何を誤ったか歩いて行こうと思い立ってしまったのです。
加茂荘花鳥園を出てしばらくは原野谷川の左岸沿いを歩き、高山橋を渡り再び県道269号線に入る→ひたすら原野谷川沿いを上流方向に歩く→孕石(はらみいし)にて県道39号線(掛川川根線)に入る→原野谷川ダム沿いを歩く→「ならここの里」に到着=ゴール。
何かしら画を残しておけば良かったのだけれど、デジカメの電池切れ+スマホのバッテリ温存をしたかったためパシャパシャは断念。黙々と歩くことに夢中になってしまいました。約11.3km、110分ほどのウォーク、加茂荘花鳥園を出てから通過した地区は桑地→栃原→朝日→正道→平島→大和田→孕石→丹間→萩間→井尻。距離は「それほど…」なんだけど、孕石辺りから坂道の勾配が増してキツく、汗ダクダクになりました。
ホッッ、やっと着いた。「ならここの湯」はキャンプ場である「ならここの里」の中にある温泉施設です。
泉質はナトリウム塩化物温泉、弱アルカリ性なので肌がツルツルになる、いわゆる「美肌湯」です。お湯は40-42℃くらい、内湯と露天風呂をゆっくり堪能することができました。そして…
ジャーン!、お昼は天ぷらそば、生ビール中ジョッキ付。7-8割くらいはカロリー還元です。そばは掛川名物の葛粉を混ぜていて極めてヘルシーな麺です。この竹筒に入っている天ぷらがユニーク、サクサク美味しくいただきました。
帰りは大人しくバスに乗って帰りました。バスが着くほんの5分前になってから雨がザーッと降り始め、うまい具合にウォーキングと温泉を楽しむことができました。なお、「ならここの里」および「ならここの湯」のホームページはこちらです→ようこそ!ならここの里へ。
「ならここの湯」バス停から掛川駅まで12.5kmほど、37分かかりました。自主的メニューで歩いてくたびれましたが、見頃の花菖蒲を鑑賞し、良い温泉にも浸かることができて、充実した休日になりました。情けないくらいビール腹で、なかなか飲酒量が減らない分なるべくたくさん歩かないとなぁ…と今振り返っても痛感するのでした。以上、記事終わり。