全豪オープン前の試合で本調子とは言えなく、しかも初戦でノーシードながらもランキングが34位のコールシュライバーという難敵ということで試合前は不安がありましたが、一度もプレークポイントを与えず素晴らしい内容で完勝を収めました。
昨年のグランドスラムの大会初戦では、勝たなければならないという意識が強かったのか立ち上がりが硬かったことが多かったのですが、昨日の試合では硬さがほとんど見られず、試合の序盤から錦織本来のテニスができていました。
昨年はトップ10に入って初めてのシーズンだったので、勝たなければいけないというプレッシャーを強く感じていたのかもしれませんが、トップ10に入って2年目ということで、トップ選手としてのプレッシャーにも慣れてきたのかもしれません。
また、試合後のインタビューで錦織が答えていましたが、コールシュライバーは強敵だという認識があり、絶対に勝たなくてはいけないという意識よりも、厳しい戦いになるという心構えで臨んだことも、逆に硬くならなかった要因のような気がします。
この試合のポイントは、第1セットで相手のサービスゲームをブレークしたときと、第2セットでブレークした後の錦織のサービスゲームでした。
第1セットの第10ゲームのコールシュライバーのサービスゲームで、この試合最初のブレークポイントであっさりとブレークをすることができました。
昨年後半の錦織は、優位に試合を進めていても大事な場面でポイントを取りきれずに負けてしまうということが目立ちました。それを最初に迎えたブレークチャンスをものに出来たというのは、精神的にも大きかったと思います。
そして、第2セットに相手のサービスゲームをブレークした後の第5ゲームで、錦織は自分のサービスゲームで0-30とリードを許しました。ここでサーブのフリーポイントなどで、ポイントを重ねてキープして、自分に来ていた流れを相手に渡すことなく、1ブレークで第2セットを奪いました。あそこでブレークされていたら、試合はまだ分からない展開になったと思いますが、踏ん張ってキープしたことで試合の大勢が決したような気がします。
この試合で良かった点は、ストロークが安定していたこととサーブが良かったことです。特にサーブは錦織の課題とされていましたが、大事なポイントでファーストサーブが入り、セカンドサービスのコースが良く深さもありました。
その結果として、下の図のようにファーストサーブが入った時のポイント獲得率は83%、セカンドサーブの時のポイント獲得率が65%と高くなっていました。
上の図を見ると、サーブのスピードはコールシュライバーの方が速かったというのが分かると思います。しかし、錦織のサーブはスピードでは劣っていても、コースと深さが厳しくて、コールシュライバーがリターンで攻めることがほとんどできませんでした。サーブは速い方が良いことは確かですが、コースや深さも重要だということを再認識しました。
また、錦織対策としてセカンドサービスのリターンのときに、前に出てライジングで打って攻めていくという戦法をジョコビッチやマレーなどがやっているのですが、コールシュライバーはその戦法を取らなかったというのも大きかったかもしれません。
リターンをライジングで打つには高度なテクニックが必要ですし、錦織のセカンドサーブが深かったことで、コールシュライバーが前に出てライジングで打てるような状況ではなかったのかもしれません。
ランキングが上位の選手と当たったときにも、今日のようなサーブを錦織が打てるのかどうかが、上位進出の鍵となるような気がします。
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