欧州では移民を大量に受け入れてしまったことで、移民によって様々な摩擦が生じて大きな社会問題になっています(詳しくは「移民が日本を滅ぼすのか?」 参照)。

 

移民が、移民先の国の文化や宗教などを尊重して社会に馴染んでいけばいいのですが、実際には自分達の習慣をそのまま持ち込んで独自のコミュニティを作ってしまうことが多いです。

 

大量の移民を受け入れた欧州の国では、異なる人種・民族・宗教を持つ集団が溶け合うことなく入り交じった状態になり、モザイク国家のようになってしまっています。

 

先日の記事で、モザイク国家では対立が絶えず紛争や内戦になっている国が多いと書きました(詳しくは「モザイク国家は紛争の宝庫」 参照)。近年の欧州では、モザイク国家のような混乱が起き始めています。

 

 

フランスでは移民に対して同化主義をとっていますが、同化しようとしない移民が多く、かえって移民が反発して衝突が起こっています。

 

モザイク国家にならないためには、同化政策は間違っていないと思います。しかし、移民自身が同化を望んでいないので、そこで軋轢が生じてしまいます。

 

一方、英国は移民に対して多元化主義の政策をとっています。移民の文化や多様性を認め、移民の言語による教育を推進しています。この英国の多元化政策は、自国をモザイク国家になることを推進しているようなものです。

 

どうやら、英国は過去に自分達がしたことを忘れてしまったようです。英国の植民地では、同じ地域に人種・民族・宗教が異なる人達を混在させて、その地域が混乱して紛争が起こるようにして、自分達に矛先が向かないようなことをしていました(詳しくは「欧米の姑息な統治手法」 参照)。

 

昔の英国の人というのは、モザイク国家のような状態にすれば紛争や内戦が絶えず混乱してしまうということを知っていました。それなのに、現在の英国では多元化主義を採用して、自国をモザイク国家にしようとしているのですから、何とも滑稽です。

 

 

人類の歴史を見ると、民族が移動すれば争いが起きていることが非常に多いことが分かります。民族移動によって、世界の各地で戦争や虐殺が何度も起こっていました。

 

ゲルマン民族の大移動では移動した各地で衝突していましたし、500年くらい前から始まった欧州から南北アメリカ大陸への民族移動では現地住民に対する凄惨な殺戮が行われました。

 

現在は、途上国から先進国への移民が増えています。そのまま移民が増えていけば、かつてのような衝突が起きる可能性は十分あります。

 

 

欧州が移民を受け入れたのは、低熟労働力の不足を補うことが主な理由でした。移民によって様々な問題が生じたことで、欧州では選択的移民という考え方が主流になっていき、最近では高度人材の移民を受け入れることを優先させています。

 

しかし、外国人によって低熟労働力不足を補うことも、外国人の高度人材受け入れも、両方とも短絡的な政策と言えます。自国民の利益を考えれば、政策としてやるべきなのはこのようなことではありません。

 

低熟労働者が不足しているのであれば生産性を向上させる政策を採るべきですし、高度人材が不足しているのであれば自国民を高度人材に育成するような政策を打つべきです。いずれも中長期的な取り組みになりますが、自国民の利益を考慮すれば当たり前のことです。

 

こういった手間も時間も掛かることをせずに、安易に外国から労働力を確保するというのは、国を売るような行為ではないでしょうか。


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