ヨーロッパは、清との貿易で輸出するものがあまりなかったというのは、昨日のブログ   で書きました。当然、それ以前にも域外に輸出するものが乏しかったのです。アジアからは、樟脳、タンニンなどの薬品、揮発油、染物、生糸、麻、絹、陶磁器、宝石、砂糖の他に、クローブ、ナツメグ、シナモンなどの香辛料がヨーロッパに輸出されました。逆に、ヨーロッパは、羊毛、皮革、毛皮、蝋蜜ぐらいしか、輸出するものはありませんでした。

 

ヨーロッパは、気候風土の影響で獲れる作物に限りがあり、その頃は貧しい地域だったのです。ヨーロッパは、慢性的な貿易赤字になっており、多くの金と銀が流出していきました。

 

そこで、アジアへの輸出品として売られたのがヨーロッパ人の奴隷でした。奴隷の売買は、ヨーロッパ内部では、それまでも長い間盛んに行われていました。戦争によって占領された地域では、多くの人が奴隷として売られていきました。

 

奴隷(スレイブ)は、スラブ人が語源になっています。スラブ人は、ロシアとその周辺諸国の人のことを指します。ロシアの平原で大掛かりな奴隷狩りが行われ、ヨーロッパの奴隷狩りによって、スラブ人が捕らえられていました。

 

ヨーロッパの王侯貴族、特権聖職者、富豪たちが、アジアの贅沢品を手に入れるため、ヨーロッパ人の奴隷をヨーロッパ以外の地域に売っていたのです。

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