第六弾「天使に訊いてみますか」
『世界ふれあい街歩き』という番組が好きなのです。
世界の色んな町を、すーっと動いていくステディカムの映像が印象的な番組(カメラマンはさぞつらかろう……)で、その国らしい人や風景に、仕込みっぽくなく出会う感じが素晴らしい!で、たまたま見つけました!
2009年4月16日(木)
午後10時00分~10時45分
ブエノスアイレス~アルゼンチン~
どういうタイミングだー、と思ってよく見たら、BS-hiでオンエアでした。見られな…い……
さて、バリローチェからブエノスアイレスに帰って、次の日にすぐリハーサル。
リハ会場のラ・カサ・デル・タンゴに行くには、いつも地下鉄を使いました。
かなりアバウトです…しかも見にくい。目安だと思って下さい。
滞在したのは、サンマルティン広場の近く。サン・マルティン駅でC線に乗って、途中でB線という線に乗り換えます。 このB線、昔の丸の内線の車両なんですね~!
子供の頃に戻ったような錯覚が一瞬あります(乗ったことあるのかな?)。中に入ると、すっかり外国のメトロ。座席が少し深い気がする。東谷さんによると、数年前まで、車内に日本語の入った何かが残ってたりしたらしいです。
残念ながら、危ない感じだったので、写真は撮りませんでした。
驚きの運賃は、1.1ペソ(≒30円)!
何度乗り換えても、合計1.1ペソ。
SanMartin駅周辺。ベースを運ぶ東谷さんがちょっと写ってます!と、これはC線
ちなみに、A線というのが一番古い電車で、車内がこーんなです!

これなん木造!走るとギシギシ言う。もちろん、扉は手で開きます。
リハーサルが終わるとすぐに、ベースのイグナシオ・バルチャウスキーさんのお宅で、ついに初アサード!!
アサードについては、説明がしづらいので、以前の記事を読んでみてください。要するに、「肉」です!
チーズやハムをつまみ、ワインを飲んで、肉が焼けるのを待ちます。このときは、イグナシオさん本人が、庭に備え付けのえらい立派なBBQ装置みたいなもので、肉を焼きまくってました。
そして……
とにかくスペイン語が出来ないので、本当に何も出来ない。食べることだけでした、僕に出来たのは……笑
美味しかった!けど……。絶対しゃべれるようになってやる、と百万回心に誓いました。みんなが通訳してくれたので、大まかな話は分かりますけどね。
すごいミュージシャン諸氏や、有名な中南米音楽研究家の西村秀人教授など、錚々たるメンバーがいらしておりました~
翌日は、タンゴ発祥の地とされるところの一つ、サン・テルモ地区の老舗、バル・スールでの本番の日。といっても、本番は夜遅いので(午後8時半集合)、夕方までは時間があるわけです。
朝から東谷さんとしゃべっていて、折角楽器もあるんだからと、一緒に演奏しつつアドバイスをいただけたのが、本当に楽しい時間でした。
夕方、譜面の打ち出しとコピーをしに行く、ということにチャレンジ
打ち出しは前出のロクトリオで行います。でも、ここでコピーは取れないのです。コピーは文房具屋で。
この国は何事も分業されておるのです。
こんな通りも…これに関連して。最初ブエノスでびっくりしたことに、毎日夕方以降、街の通りにドカドカゴミが出されるということがあります。これはなんなんだろう?と思っていると、人がやってきて、分別を始める。ゴミはその人たちの仕事のために、わざわざ分別せずに出すのだとか。
そして、夜のうちにゴミは回収される訳です。
常識が、ちがう!!
これがいいかはともかく、公然と、効率のよさを追求しないというのは、潔い。
バル・スールでの本番は直後にちょっと書いたので、基本的に省略します。
まあでも、不思議なくらい、細かいことが気にならなくなっていきます。行ってみたら、譜面台なんてなかったこととか、サウンドチェックなんて出来なかったことや、本番のスタート時間さえ違っていたことなんて笑 その全て、繰り返しSayacaさんが確認し、直前にもチェックしていた、というところがおそろしい。
これはバル・スールに限りませんが、個人的には、暗くて譜面が見えないことに難儀しました。特にここでは、音符の7割以上ちゃんと見えませんでした。記憶が頼り。
色々あったのに、今や大切な色々に気が付くきっかけになった、よき思い出。そういえば、お客の中にいた2人の男性が、滅茶苦茶に盛り上がっていたなあ……
できることは自衛しておけばいい、と思うようになりました。程度は違えど、海外では大体そうだし。自衛できないことは、……天使にでも訊くしかないのでしょう。
終演後、青木さん、崇朗くんが滞在している、ベアトリスさんのお宅で、みんなで夕食をごちそうになりました!エンパナーダ、肉の煮物、野菜の煮物、プリン、ワイン……。美味しい……個人的には、肉の煮物が好きだったなあ。
ああ??!!何でその写真を撮らなかったんだろう??
つづく
第五弾「銀のバリローチェ」
読んでくださり、ありがとうございます!
毎回こんなに長いのに(分かりにくそうな話は全部省略していますが……)、コメントまでいただいたき、本当に感謝しています。さて……
ブエノスに帰るまで演奏はお預け!次の日は、バリローチェ観光の日。
チリとの国境に近いこの街は、銀のようにきらめくウアピ湖を抱き、神がかったように荘厳なアンデスに包まれている。パタゴニアの超自然を手を伸ばせば触れることが出来る、まさしく南米の誇る名所です。
……とか言っておいて、実は、僕一人だけ、観光できませんでした……
え?まさかの展開にぐぅの音も出ない。起きられなかったのです!
つくづく目覚まし時計を買っておけばよかったと思いました(そういう問題じゃない?)。ブエノスについた日から、ヤバイ、買わないと、と言い続けていたにも関わらず、買えてなかったのです。
携帯で目覚ましをかけていたのに(画面を見ると、なぜか鳴っていませんでした)、ホテルのロビーからの電話で目が覚め、本当は5分で行きたかったけど、尋常でない殺気を感じて、……あきらめましたあ!
(手配した会社が言っていたより30分も早い時間が、実際の集合時間だったらしい…)
海外旅行に、目覚まし時計は必需品~。
今回に限って、忘れていました(あと、耳掻きも大切!どちらも「地球の歩き方」にも載ってます)。
独り、部屋で練習して、その後街へ。いや、さびしかった、さびしかった笑(何をやっているんだ……)
cenaの場所、セルベセリア
夜ご飯になってやっとみんなと合流。……日焼けしているのが妬ましい。ちょびっと。自分もどこかで無理矢理焼いてくればよかった……
2日目からの夕食は同じレストランでした。この日は、素晴らしいワイン「ルイジ・ボスカ」を、みんなでご馳走になりました。おいしかったー!
ところで、デザートに、アイスクリームがあったのですが、これがンマイ(すごく甘いですが)!アイスの種類を、色々選べるのですが(もちろんダブルも可)、ドゥルセ・デ・レチェ味というものは日本にはありません。
ドゥルセ・デ・レチェは、どろどろのキャラメルなのだそうですが、飛び上がるほど甘いです!アイスはそこまでではなく、ほとんどヴァニラ?でもヴァニラとは違うんです。機会がありましたら、一度試してみてください!
うぅ、それにしても僕も観光したかった笑……今になって思うけれど、この旅では本当に観光をしていません。他にやるべきことがあったのだと、あきらめるしかありませんでした。
この夜もゆっくり飲みましたー。
そしてバリローチェ最後の日。
前前日にハチに襲撃されたレストラン、Marcaでバリローチェ最後の食事を。
絶品だったチョリソやらも、名物のマスも(個人的には、やっぱり肉のほうが魅力的でしたが)、イノシシも食べ(これも名物)、美味しいワインを飲み、素晴らしいデザート。まさに満喫でした!!
素晴らしいワインと、イノシシ!
食事が終わって、残す時間ももうわずか。
昨日観光できなかったので、湖畔を観光(冷静に書くと、散歩……)。日光浴している人たちがぞろぞろいて、何だか海みたい。……って、人ばっかり気になって、結局自然を満喫できてないッ!ここまでくると、キャラの問題か?
ここまでのマヌケのために、Sayacaさんと会田桃子さんがこの湖畔の散歩、じゃなくて観光に付き合ってくれたのも忘れられません。ジーン……
バリローチェでは長い夢の中にいたようでした(1週間以上いたような気分)。竜宮城に行っていたのでしょう、飛行機に乗って。
治安もよかったし、そこら中にいた犬たちが、とてもかわいかったなあ!これがまた、よくしつけられている感じでした。
そして、再び緊張感が漲るブエノスアイレスへ。そしてその後10日間、ブエノスで過ごしたのでした。
つづく
第四弾「世界が変わっていく感じ」
銀のようにきらめくウアピ湖、剣が並んだような神がかったアンデス。パタゴニアの超自然がすぐそこにある街、それがバリローチェです。
またも時差の話なんですが、バリローチェとブエノスアイレスには、1時間の時差があったのであります。
起きたら2時過ぎ!あまりお腹もすかないし、リハーサルが3時過ぎの予定だったので、昼食はパスです。
リハーサル会場に行って、リハ時間を確認すると、3時20分からだよと教えてくれる(英語を話せる人が一人いたのです。スペイン語ではこの程度のことも訊けませんでした……)。
何か胸騒ぎ(?)がして、ついでに、今何時かと聞くと(これはスペイン語で)、1時15分だという。え?起きたら2時だったはずなのに……なぜだ?!って、
時差1時間を逆にカウントしていた!
きっと飯でも食えという、天のお告げでしょう。さ、帰ってお昼ごはんを食べますか……
この日の会場、映画館。立っていらっしゃるのは、Sayacaさんのお父さん。ダンディー!
と、ホテルに戻ると、部屋がきれいに掃除されております。その結果、
あれ?昼食のクーポンがない?……机の上に置いておいたら、なあんと、捨てられてしまった!スペイン語で思いっきり「昼めし!」と書いてあったのに~!!![]()
しょうがないので、練習して過ごしました。お腹すいたよ~笑(後でリハーサルの時に、青木さんがチョコレートをくれました。ありがとう!実は本当に助かりました)
こっちには、「Don't Disturb」の札がないのです…
笑っちゃうほど素敵な部屋なんですが、これほどの部屋なのに、バスタブというものがありませんでしたー。ブエノスのレンタルマンションにもなく、アルゼンチンではないのがフツウみたいです。冬行ったら、さぞ寒いだろうなあ……
他の部屋には、冷蔵庫もなかったみたいです。
リハの帰り道にあったレストランに、最初はお茶をするつもりで寄ったのですが、随分いい感じなので、少し食べ物も頼んでみます。
そうすると、つまみに頼んだチョリソがすこぶる美味しい!!何だかブランチになってしまいました。
最初、みんなすずめと戯れていました。こちらのすずめ、顔が若干日本よりシャープな感じ??
チョリソとモルシージャ(血入りソーセージ)
チミチューリ(つけダレ)とバター
オープンテラスでのブランチは最高の気分で、優雅な時間でした。ところが……
しばらくすると、1匹の蜂がやってきました。こいつ、どうやら肉を狙っているらしいのです。しばらく様子見をしてブンブン飛び回った後に、なあんと!崇朗くんの食べていたチョリソを食い始めるじゃありませんか!!
頼むからやめようよ~、とお願いしてみるも(ウソ)、一向に立ち去る様子がありません。しかも、しばらくすると、さらに何匹もの蜂が、次から次へとやってくるのです!さあさあ、羽音だけでも相当にコワイ感じになってきました。襲撃されている!!
さすがにこれ以上は無理!!と、店内に逃げ込みます。
中は中で、やっぱり素敵でした!ということで、全員集合~
この日の本番はトリでしたが 昨日と打って変わって、ほぼ時間通り進行していました。
やっぱりタンゴはこの国で生まれた音楽。何だか感覚が違うのです。空気感?……分からないけど、このステージに立つことが出来て、本当に幸せでした!
最後には、スタンディング・オベーションで会場が沸いていました。
ホテルに帰った後、ミロンガ(タンゴのダンスパーティーと言えばいいのかな?)を見に行きました。
うーむ、ゴージャス!建物は本来ディスコであるそうです。本当に様々な年齢の人が踊っていて、それはとても素敵なのです。
引き上げた後、前の日に入った「フレンズ」で飲みましたー。
ところで、この日の夜明けは、凄かった。言い表せない。感動するしかない。圧倒的な何かに魅入られる。
このブログ全体のヘッダでお見せしているのが、その写真です。この1枚は何とか撮ったけれど、それ以上は撮れませんでした。撮る時間がもったいない。
一日に、少なくとも3日分くらいの内容が詰め込まれていた気がします。バリローチェにいた間、何日前にどこにいて何をしたのか分からなくなっていました!ほんの半日前の出来事を、2日ほど前のように感じていました。この不思議の国では、時間の流れもまた大きく伸び縮みしていくのです。
つづく





















