音快計画-ヴァイオリン弾きのお仕事とはッ?!- -31ページ目

サルガンの自在な世界

 オラシオ・サルガン。
 そら恐ろしい腕前の、ピアニストでありアレンジャーであり、もうほぼ皆無となってしまった存命するタンゴの巨匠です。
 例えば、ギターのウバルト・デ・リオとのデュオ。音楽の自在さは、それはもう、ため息しか出ないほどです。少なくとも、ピアノは譜面を弾いているのだけれど、聴いていてそれを忘れてしまう。緻密、知的なアレンジでありながら、官能的でもある、と僕は思っています。

 この方、若いころ、ものすごく色々な音楽を演奏していたようです。
 14歳で仕事を始めたときは、映画館の伴奏ピアニスト(まだ無声映画を上映している所もあった)。タンゴを演奏する機会が来るのはその後です。やがて亡くなった母を悼んで教会のオルガン奏者を勤めたあと、ラジオ局で、ブラジル系、キューバ系、ジャズ、フォルクローレなど、何でも弾いたといいます。彼のアレンジには、それまで触れてきた様々な音楽の要素が凝縮しているということなのでしょう。

 これは、その演奏の一つ。デリオとのデュオです。

 この、日曜の午後2時?みたいな感じ、大好きです。
 この音楽には、濃厚で強烈、夜の音楽、という印象が、僕にはない。ロマンティック、エレガントという、タンゴのあまり喧伝されない部分がクローズアップされていると感じます。

 3月9日のライブでは、サルガンのコピーを元にしたものを、トリオで数曲取り上げます。もっとも、サルガンのアレンジした曲にも色々なタイプがありまして、これほどまでに午後2時感のある曲は一つの極端な例です

 人間は決して分かり合えない。そう僕は思っていますが、悲観的なわけではありません。分かり合えないからこそ、心が通じ合った瞬間を大切に思い、そこに幸せを感じ、音楽や、音楽を共有する時間が素晴らしいと思える気がするのです。
 サルガンの録音を聴いていると、ふと、そんなことを感じている時があります。

人間の、甘い囁きと、啜り泣きに寄せて

 バタバタしているうちに、もう2月も9日。雪が東京を覆っています。
 雪の日
 この数年、思い続けていることがあります。
 シンプルなメロディーを、そのまま聴いている人の心に届くよう弾ける―――
 これが、とても大切なことではないかと。意外に思われるかもしれませんが、それは難しいなあと。綺麗な音だなあとか、上手だなあとかではなく、「心が震えた!」「いい音楽でした!」というような演奏をしたいわけです。それが、僕が演奏で実現したいものですし、それは必要とされる音楽なのではないかと思うのです。

 ヴァイオリンは、囁くことも、啜り泣くことも、叫ぶこともできる、声のように表現できる楽器です。ハスキーヴォイスやしゃがれ声の歌手のように歌うことだってできます(僕には出来ませんが、やれる人はいます)。この部分は、使われることがあまりないように思います。
 しかしやはり、元々が歌の曲を演奏するときは違います。譜面どおり弾いてもカッコがつかないし(同じ音符が同じ音程で連続することも多い)、また言葉がないので、ただ弾いているだけでは、一番と二番もない。ぜーんぶ一緒になって、飽きられてしまいます。

 声で表現する。もちろん、ベルカントにも歌うし、フェイクやインプロも多少入れるけれど、あくまでヴァイオリンの声で歌を表現する。そうやって、メロディーが心に届くように弾こうと思います。

 半年ぶりの主宰ライブ、一ヵ月後です!

 フライヤー0309

 3月9日(日) 17時開演
  雑司が谷 エルチョクロ 
http://el-choclo.com/
    豊島区南池袋3-2-8(副都心線雑司ヶ谷駅1番出口 徒歩2分半) 
  出演:
    宮越建政/ヴァイオリン
    三枝伸太郎/ピアノ
    大柴拓/ギター
  チャージ:3000円
  連絡先:03-6912-5539/info@el-choclo.com または、出演者までお願いします。

 サルガン、ピアソラ、先ほど書いたような歌の曲、加えて、今回は少しクラシックも演奏します。
 他の曲のルーツ、あるいは逆に枝葉になっている曲を選ぶので、プログラム上の違和感はないと思います。よく演奏される曲ではないと思いますが、紛れもないクラシックをやります!(絞ってはいますが、まだ決めていません

 色々な歌い方、集めて一つのライブに歌ってみせましょう、という部分もあるライブです。色々な楽しみ方があるのではないかと思っています。ぜひお運びください!

あけまして…

 おめでとうございます!
 とっても今更ですが。

 新年早々、パソコンが不調になり、ついに。Windowsが立ち上がらない!。
 うちには、今、2台パソコンがあり、1台はWindowsXP、もう1台が同7です。XPは、4月にサポートが終了してしまうのですが、7では基本的に動かない(古いから…)重要なソフトをいくつか持っていて、どうしたものかと頭を悩ませていましたが、壊れたのは、……7の方でした。やっぱりそうなるか10数年前に買ったアプリケーションに、いまだに使っているものがあり、自分にとって重要なのが、Illustrator9.0(今もこれでフライヤーを作ります)。これが、Windows7で動かなくて最も困るもの。楽譜を作るのに使うFinaleは、Win7でも動いています。ちなみに、
Word97
なんて凄いモノを、いまだに少しですが使用しています。なんと、17歳?!
 昨年末は、長年使っていたプリンターがやっぱりダメになってしまうし、まるで装備を4月までに全面リニューアルしろと言われているような、年末年始でした。
岩崎邸外打ち正面旧岩崎邸。玄関側
 こちら、昨年12月に本番があった、旧岩崎邸庭園の写真です。撮影禁止のため、中をお見せできず残念!
 結局秋の仕事のことを書いている間に新年を迎え、PCが不調になってしまったため、冬の仕事のことをほとんど書いていません。昨年末は、オーケストラや室内楽など、クラシックでも何回か本番があったのですが、今年はしばらくタンゴ系の本番が続きそうです。今月末から、来月頭にまず2つ。
岩崎邸外打ち庭旧岩崎邸。庭から
 池田みさ子さんのピアノと二人、聴くも良し、踊るも良し!名曲色々やります。基本、ミロンガ(アルゼンチンタンゴのダンスパーティー)のようです。
 1/31(金) 四ッ谷シン・ルンボ
   〒160-0008 東京都新宿区三栄町7番地 ヴィラアートYOTSUYA2階
   03-3353-1756 http://www.corazon-de-tango.com/
   19:00~23:00
      チャージ: お店にお問い合わせください

 プグリエーセ・スタイルをメインに、重厚で複雑なタンゴを痛快に聴かせる、メンターオ。漢5人でパワフルに!
 2/2(日) 恵比寿アートカフェ・フレンズ
   〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南1-7-8 恵比寿サウス・ワンB1F
   03-6382-9050 http://www.artcafefriends.jp/
   18:00 Open / 19:30 Play
   チャージ:3000円

 壊れてしまったパソコンですが、重要データは全てバックアップが取ってあり、そういう意味では問題ありませんでした。CDからリカバリを試みたけれど、結局成功せず、UbuntuというLinux系のOSをCDから立ち上げて(インストールするわけではなく、試しに使ってみることが出来ます)、残っていたデータも取り出すことも可能でした。もちろん、そんな知識はなかった訳で、今は調べると何でもやり方が分かるのです。このUbuntuからハードディスクを調べてみると、壊れかけていました。
 さて、どうしよう…一息ついてから、考えよう。今年もまだ始まったばかり!