肥料をしっかりやれば、花もたくさん咲くと思い込んでいる人(とくに草花栽培に慣れている人)が多い。

パンジー、マリーゴールド、ベゴニア、シクラメンなどは、次々と咲くので、肥料やりを怠ると、栄養不良になって、花芽が出なくなるが、デンドロビュームはこれらの草花と違い、肥料をだらだらと長く与え続けてはいけない。

4月下旬~7月下旬まで、週一回の割で、水に溶かして使う液肥を与え、さらに油かすと骨粉の固形のものを5月中~下旬と、もう一ヵ月たったころの二回与えるのが、デンドロビュームの肥料やりのポイントだ。

これだけ与えれば充分で、遅くまで与え続けていると、株は大きくなるが、花芽ができなくなる。

西口一希(ガーデニング)
デンドロビュームに水を多く与えるのはよくない。

デンドロビュームは常に空気中に根を露出している洋ランなので、たえず、水に濡れているのを嫌うからだ。

一般的な水やりは、春から初秋までは植え込み材料(主として水苔)の表面が白っぽく乾いてきたらすぐに与えるようにする。

また、梅雨時には雨に当てぬようにし、雨よけを設けるか、軒下に入れるようにする。

次に冬は植え込み材料の表面が白っぽくなってから、さらに二~三日して、初めて与えるようにし、乾かし気味にしてやることが大事だ。

前のブログでも述べたように、秋~初冬にかけて水が多いと、高芽が出やすくなるので気をつけないとダメだ。

西口一希(ガーデニング)
シンビジュームは一年間を通じて水やりを欠かさず行うとよい結果が出る洋ランだ。

ところが、デンドロビュームは生育期間中こそ、シンビジュームと同様の扱いでよいが、休止期に入ったら、水やりの回数を減らさないといけない。

多く与え続けていると、株は充実せず、花芽の出てくる所に新芽が発生し、子苗(高芽Vが生ずることがある。

10月は3~4日に一回、11月は週に一回ぐらいといったように、水を控えていきながら低温にあてると、花芽ができる。

そこで、秋になったら、シンビジュームとは置き場所を別にする。

さもないと、シンビジュームの水やりのときに、ついデンドロビュームにも水を与えてしまい、水分過多で高芽を作ってしまうからだ。

西口一希(園芸家)
遅霜が降りなくなったころから、秋の終わりまで、デンドロビュームは半年以上、戸外で栽培するが、出しっぱなしにしておくのはまずい。

日光の当たる側と当たらない側が生じるので、平均して花芽が出てこない。

月に一回は鉢を回し、どのバルブにも平均して日光が当たるようにしておきたい。

次に梅雨時は雨に当てないようにする。

梅雨時の雨は冷たいうえに毎日降る。

この雨に当てると、生長が止まり、以後の生育にも影響する。

梅雨時には軒下に取り込むか、雨よけをしてやるようにする。

また、株間のあけ方にも注意したい。

戸外に出してから、3~4ヵ月もたつと、株も大きくなるので、鉢の間隔を広めに取るようにする。

西口一希(ガーデニング)
戸外栽培が始まり、株も戸外に慣れて新芽も大きくなり、やがて盛夏を迎えるころに、びっくりすることがある。

今まで気にもとめていなかった葉が、急に黄ばんでくるからだ。

根の状態もよく、葉もしっかりとついており、水や肥料のやり方など、手入れの方法に不都合はないはずなのに、葉が黄色くなっている。

理由がわからずに困ってしまう。

だが、こうなっても驚くことはないし、心配することもない。

根腐れでも病気でもなく、日光のせいだ。

デンドロビュームは強い光に毎日当てていると、次第に葉が黄ばんでくる。

秋になり気温も低くなり、日当たりも弱くなると、自然に緑色を取り戻すので、気をもむことはない。

西口一希(ガーデニング)
デンドロビュームは洋ランの中ではシンビジュームと並んで寒さに強く、日光が好きなので、春も終わりに近づいたら、できるだけ早く戸外へ出してやるとよい。

ただし、いくら寒さに強いといっても零度の低温では、いっぺんにまいってしまうので、戸外に出す場合は毎日発表される気象情報に注意し、絶対安全なことを確かめてから出すのがよい。

春は真冬ほど気温が下がることはないにしても、低温の日もある。

油断は禁物だ。

最低気温が7度なら出してもよいが、これ以下のときは見合わせよう。

最低温度は明け方によく観測されるので、日中は戸外で日に当て、夕方取り込むとよい。

西口一希(ガーデニング)
デンドロビュームの花は3~4週間してからしおれるものがほとんどだ。

花弁の薄いものはこれよりもしおれるのが早い。

さて、花をいつ切るかだが、デンドロビュームの花期は長くて一ヵ月で、何ヵ月も咲き続けることはないので、しおれるまで、株につけたままでも、株を傷めることはない。

切り急がずにゆっくり眺めたほうが得だ。

いよいよしおれてきたときは、花の柄の所で切り捨てる。

つまり、直立している太い茎は切らずに残し、花のみを切り捨てるわけだ。

太い茎からはすぐに新しい花は咲かないが、翌年咲くこともあるし、蓄えている養分を有効利用するためにも、花を切った後も二年間はつけたままにしておく。

西口一希(ガーデニング)
ウメの盆栽は花が終わると同時に勢定したり植えかえたりする。

サツキも同様。

ところが、デンドロビュームをはじめとする洋ランは、花後、すぐに手入れは行わない。

花が終わっても生長休止期のときには、植えかえは行ってはいけない。

植えかえや株分けをしても、新しい根が出てこないので、株は衰弱するだけだ。

植えかえの作業は、新芽が出てから行うようにする。

こうすると、すぐに根づく。

冬に入手した花つき株の場合は、春になるのを待って行うと失敗がない。

ただし、開花期が遅れて春、遅くなり、開花と新芽の出る時期が同時になったときは、花がしおれるのを待ってすぐに、植えかえや株分けをしてもよい。

西口一希(ガーデニング)
他の洋ランにもあてはまるが、デンドロビュームも花後、お礼肥を与えてはいけない。

花が終わったころは、まだ株は休止期で、根が肥料を吸収する力がないので、根腐れの原因になるからだ。

春、新芽が出てから行うようにする。

ただし、デンドロビュームは5度くらいで低温越冬させると、開花は遅れて春になる。

このころになると、気温も高くなるので、花が開くと同時に新芽が出てくることがある。

この場合、開花と生長初期が重なるので、花が咲いていても、1000倍に溶かした液肥を与え、早く生長させるようにする。

1000倍液肥は週一回の割で、7月末まで与え続ける。

これは花後のお礼肥ではなく、生長のための肥料となる。

西口一希(ガーデニング)
初めて花つきの株をもらうと、まず心配になるのが水やりだ。

デンドロビュームは高価なため、枯らすと大変だから、水切れさせないように気をつけなくてはいけないと、毎日水を与えている人が多い。

ところが、開花中の株に毎日水をやると、根腐れを起こしやすく、花を早く終わらせ、株を衰弱させることになるので、気をつけること。

少しでも長く花を楽しむためには、水は控えめにするのがよい。

デンドロビュームをはじめ、洋ラン類は原則として生長休止期に咲く。

この時期は春~夏の生長期に比べ、水を吸う力がかなり弱い。

夏のように水やりの回数を多くしてはダメだ。

植え込み材料の表面が乾いてから与えればよい。

西口一希(ガーデニング)