これを観て、いかに現代人は複雑怪奇な社会制度と食生活に、心も体も蝕まれているかを知る
1980年 監督/ ランダル・クレイザー
何のために仕事をしてますか?
その仕事は、社会に必要とされていますか?
今日何回食事をしましたか?
今日口にしたすべての食物は、本当に必要なものでしたか?
人が、企業が、生き残りを懸けて、熾烈な戦いを繰り広げている現代社会。商魂逞しい競争社会で、己を奮い立たせ、己に鞭打ち、職場という戦場で戦う企業戦士。その仕事は、世の中に必要とされている?
身を粉にし、心を擦りきらせ働いて稼いだお金で不健康を買って。何が幸せなのかもわからずに生きている現代人が、あまりに多すぎるように思う。
そんな事を考えさせ、気づかせてくれるんですよこの映画は!
"何のために生きるんだ?何のために働くんだ?"なんて理屈を考えるのは人間だけ。"生きるとはこういうこと"を、理屈抜きに見せてくれます
食うためだよ!
難破船を乗り捨て、無人島にたどり着いた8歳の男の子と7歳の女の子の成長を描いた"アダムとイブの物語"の現代版です。"死"を知り、"性"に目覚め、"新たな生"を授かり、なにもかも手探りで生きていくふたり。
現代映画の水準から観ると、リアリティの欠如を感じる演出ではあるものの、それを上回る"生"という大きなテーマにガツンとやられます。
そんな物語を、圧巻の映像美で全編彩っているもんですから、もう凄いですよ。
【この映画の好きなとこ】
◾︎リアルマーメイド
海に入った顔のアップが、美しく成長したエメライン(ブルック・シールズ)のファーストカットとなるんだけど、この美しさ!!映画的ダイナミズム!マジ人魚かよ!?
◾︎2人だけのダンス
オルゴールをかけ踊るエメラインとリチャード
サバイバル生活の中のちょっとした贅沢気分。
◾︎泳ぐ家族
ひたすら美しく、ひたすら幸せなシーンです。
いいなあ…泳ぎたい。
◾︎ホーム ※ネタバレ
以前、救命船舶を見つけたにも関わらず、救命サインを出さなかったエメラインを叱咤し喧嘩したふたり。時を経て再度、家族の前に救命船舶が現れる。しかし、もはやこの島がホームであり、家族と過ごす幸せな時間を手にしたふたりは船をやり過ごす。この映画で、いっちばん胸熱なシーン!
ベタでアマアマなラブストーリーだと思い、これまでスルーしてきた作品なんですが、まったく違いました(つまりベタでアマアマなラブストーリーが観たかったのか)。家族の在り方と、生きる為の日々の戦いを描いた激アツ映画であり、あまりに鮮烈でした!
これが人間本来の姿だよなあと思い、決して甘いものでないことはわかるけど、憧れるなあ…。こんな生活してみたいなあ…甘くないことはわかってるけど。でも…いいなあ。
映像はどのシーンも美しくマジ圧巻です。写真もっともっと載せたいのですが、15枚までなんですねー。載せられなかった美しいシーンの数々は、ぜひ本編でご覧ください!
ほかに、首狩り族が出て来たり、サメに襲われたりのハラハラドキドキもたくさんあり、エンタメ作品としても見事に成立してます!
まさかの超お気に入り作品になってしまいました。Blu-ray買おう。