ジョン・バリー (1933-2011)
イギリスの作曲家
まだ幼い頃、初めて007の映像をテレビで観た時の衝撃は今でもハッキリと覚えています。お正月映画の超大作としてテレビで紹介されていたのは、007シリーズ当時の最新作『私を愛したスパイ』でした。
スーパーカーが海中でサブマリンカーに変身し、ロケットミサイルで敵のヘリコプターを仕留める活躍には大きな衝撃を受け興奮したものです。
その時、007という初めて聞くナンバーと同時にボクの心に強烈に刷り込まれたのが、作曲家ジョン・バリー編曲の「ジェームズ・ボンドのテーマ」だったのです。
コレ知らない人いないよね!なんなんだこのスゴいカッコいい曲は!?
一度耳にすれば忘れようがないほどに鮮烈でカッコいいテーマ曲!ボクは「ジェームズ・ボンドのテーマ」でジョン・バリーの洗礼を受けたのです。
ジョン・バリーは、1962年公開の007シリーズ第1作『ドクター・ノオ』で、「ジェームズ・ボンドのテーマ」を手がけ、世界に名を轟かせました。それ以降も007シリーズのメイン作曲家として、1987年公開のシリーズ第15作『リビング・デイライツ』までシリーズの主題歌とスコアを担当する一方で、『野生のエルザ』『冬のライオン』『真夜中のカーボーイ』『コットンクラブ』『愛と哀しみの果て』『ダンス・ウィズ・ウルブス』などの大作音楽も手がけ、そのほとんどがアカデミー賞やゴールデングローブ賞にノミネートされ、いくつかの作品は受賞もしています。
しかし、ここはボクの好きな楽曲だけを紹介する偏見レビュー。「なんであの作品をスルーするんだ!」とガッカリする人がいるかもしれませんが、まあまあ、彼の作品にハズレなどありませんからお付き合いください!
【私が愛したスコア】
『狂っちゃいねえぜ』1959年
◼︎Beat Girl
「ジェームズ・ボンドのテーマ」に先駆けるバリーの映画音楽デビュー作。ボンドのテーマ同様にエレキギターを響かせる軽快な作風が早くも完成されている。後の007シリーズに招かれるのも当然とも言うべき完成度!
『ロシアより愛をこめて』1963年
◼︎オープニングタイトル Opening Title
「ボンドのカムバック〜ロシアより愛をこめて〜ジェームズ・ボンドのテーマ」という副題が付くメドレー編成が抜群にカッコいい!個人的にはボンドのテーマよりも好き。
『ロシアより愛をこめて』1963年
◼︎ロシアより愛をこめて From Russia with Love
007シリーズでも群を抜くロマンティックな主題歌。作品の本質を明確に捉えたバリーのアーティスト気質が証明された。マット・モンローのボーカルも作風にぴったり!
『ゴールドフィンガー』1964年
◼︎ゴールドフィンガー Goldfinger
ハッキリ言えば苦手な曲。しかし、パワフルな楽曲と、シャーリー・バッシーのパフォーマンスがあまりに見事で、聴く度に圧倒されるし胸が踊る。本当にスゴい。
『007は二度死ぬ』1967年
◼︎結婚式 The Wedding
和装結婚式の花嫁入場シーンで使用されたスコア。琴で奏でるメロディが日本の厳かさと美しさを表現した傑作。本作には傑作スコアが多いが一際印象深く記憶に残る。
『女王陛下の007』1969年
◼︎愛のこころみ Try
バリーはジャズがとても上手いと思う。このスコアを劇場で体感した時、緻密で繊細な作り込みに心底酔いしれた。是非ともサントラで聴いて欲しい名曲。
『死亡遊戯』1978年
◼︎ガーデンでの戦い Garden Fight
ストリングスの旋律で緊張感溢れる導入部と、メインテーマに被せるピアノの乱打がドラマティック。オープニングのメインテーマの素晴らしさは百も承知だが、断然こちらが好き。いや、それどころかバリー作品で最も好きなスコアかもしれない。
『白いドレスの女』1981年
◼︎メインタイトル Main Title
作品が醸し出す気だるい暑さを見事に表現したジャズナンバー。ファム・ファタールや迷宮入りを象徴するかのような不穏な旋律で、本編開始早々に人の心を掴む。
『リビング・デイライツ』1987年
◼︎If There Was a Man
『ロシアより愛をこめて』の24年後に発表したこの曲で、バリーは成長止まないことを証明した。ときめく乙女心と、切ない未来を暗示した楽曲はロマンティック度数史上最高。
ジョン・バリーの偉大さを証明するのが、007シリーズの後任としてシリーズに貢献したデヴィッド・アーノルドの存在です。
1997年の第18作『トゥモロー・ネバー・ダイ』で初登場し、2008年の第22作『慰めの報酬』までの連続5作品を担当したアーノルドのサウンドは、ジョン・バリーのスタイルを意図的にリスペクトしており、ファンからは「ジョン・バリーの再来!」と熱狂で迎えられたのです。
ジョン・バリーの音楽には明確で印象深いスタイルがあります。ボクを含む音楽に詳しくない映画ファンの心さえ瞬時に掴んでしまう魅力を持った音楽家なのです。
本編で気になった楽曲があれば、サントラで聴いてみる事があります。あまり本編では目立たなかったスコアの魅力に気づく事も多くあります。これが最高に嬉しいんですよ!
今回特に好きな10曲を選出しましたが、ホントにホントにコレだけではありません!選び出したらキリがないほど傑作揃いなのですバリー先生のスコアは!みなさんのおススメあれば是非教えてください!
ウィスキー片手にじっくりサントラで味わいたい!