贅を尽くした競演!!
1983年 監督/ ジョン・ランディス、スティーヴン・スピルバーグ、ジョー・ダンテ、ジョージ・ミラー
SFやホラー界で当代きってのスター監督ジョン・ランディス、スティーヴン・スピルバーグ、ジョー・ダンテ、ジョージ・ミラーが描く4つのエピソードから成るオムニバス映画『トワイライトゾーン/超次元の体験』が、こんなに面白い作品だとは知らなかった!!
ボクはこれまでに本作を少なくとも2回は観ていますが、"オムニバス映画はやっぱりつまらない"とか、"20分程度で物語は描けない"とか、"スピルバーグだけ余計"とか、何様めいた感想しか抱いていなかったのです。つまり『トワイライトゾーン/超次元の体験』は、"好きではない作品"だったのです。
それが今回観直したところ、プロローグを含めたすべてのエピソードがどれも抜群に面白かったのだから驚きますよ!しかも、ひとつの作品としてのまとまり具合たるや、その神がかりな仕上がりに心から感動してしまったのですよ!!
なんで今さら胸が躍る!?
当時は(今でもそれほど変わらないけど)アクションとホラー映画ばっかり観ていた訳で、作品に込められたメッセージとかテーマなんてどうでも良かったんですよ。「車を飛ばせ!」「ビルを爆破しろ!」「殺戮を見せろ!」てな感じでしたからね。本作の本当の面白さを理解出来なかったのも当然です。
今回観直してホント良かった!めちゃくちゃ面白くて大好きな作品になっちまいましたよ!人生において好きな作品(と好きなラーメン屋)が増える事程嬉しい事はないですよね!!
それでは今さらながらの超オススメ作品!
『トワイライトゾーン/超次元の体験』レビュー!行くよっ!!
◼︎プロローグ
演出は第1話のジョン・ランディス。
夜の荒野を無灯火走行するスリルや、逃げ場のない車内空間に走る緊張とか、物語の導入部として完璧。実は以前より、以降の4エピソードよりもこのプロローグが好きだった。
◼︎第1話 『偏見の恐怖』
演出は『ブルース・ブラザース』『狼男アメリカン』のジョン・ランディス。
有色人種に対し、差別と偏見で当たり散らす白人ビル・コナーが、立場を逆転された異次元に迷い込むエピソード。
ランディスらしいドタバタ劇が、徹底した皮肉とユーモアで描かれる。返り討ちを浴び続けるコナーの姿はおかしく、痛快ですらある。かつては地味と思ったが「もしかしたら本作最高のエピソードかも」とすら思えた。
ベトナムの戦場で大掛かりなエピソードが撮影されていたが、主演のビック・モローと2人の子役を巻き込む凄惨な事故があり全面的にカットされた。しかし、本編の異次元に送り込まれるかの如き不穏なラストシーンは作品の本質にハマっており、個人的には満足。
◼︎第2話 『真夜中の遊戯』
演出は『ジョーズ』『E.T.』のスティーヴン・スピルバーグ。
これまで"作品の世界観に馴染んでおらず浮いている"とみなしていたが、今回の鑑賞で心を鷲掴みにされる程感動した!というか、これスピルバーグの最高傑作じゃないか!?
老いて味わう疎外感から童心回帰を経て、新たな一歩を踏み出す人生讃歌。人生の黄昏をいかに受け止め、晩年をいかに過ごしていくのか?希望に満ちた老人達の笑顔で閉じる物語を、僅か20分でまとめてしまうスピルバーグはやっぱりスゴい人なんだなあ。
伝道師ブルーム役には、スキャットマン・クローザースが配役された。子供への包容力は既に『シャイニング』で実証済み。最高のキャスティングで作品の格上げに貢献した。
◼︎第3話 『こどもの世界』
演出は『ピラニア』『ハウリング』のジョー・ダンテ。
奇妙な家族が住む家に迷い込んだ女性教師の災難を描く。ホラー映画の定番導入で始まる物語を、ダンテらしいコミック調のブラックユーモアと多彩なモンスターで全編を彩る。
少年を恐れ、口出しが出来ない大人たちの構図は、現代社会とさほど変わらないかもしれない。本当は叱って欲しいと願う少年を教育する為に、女性教師の存在は不可欠。
モンスターの造形を、特殊メイクアップアーティストのロブ・ボッティンが手掛けた。コミカルなデザインで、ダンテが思い描くダークファンタジーの世界観を完璧にした。
◼︎第4話 『2万フィートの戦慄』
演出は『マッドマックス』シリーズのジョージ・ミラー。
公開当時から突出して評判が良かったエピソードだが、公開から40年を超えた今観直しても、色褪せる事の無い鬼気迫るカットと編集の連続に驚かされる。
サスペンス、ホラー、アクションをぶち込むミラー監督の狂気は、作品の方向性すら度外視したようなパワーが宿っている。第1話から3話までは、教訓めいたものが盛り込まれているが、第4話に教訓は皆無。登場人物の全員が恐怖のフライトに放り込まれるだけなのだ。
グレムリンの存在を誰にも信じて貰えない主人公の焦燥もよく描かれているが、主人公を取り巻く少女や警察、CAの存在もサスペンス劇として上手く機能している。ポラロイドカメラや拳銃など小道具の使い方も効果的で無駄が無い。ミラー監督はこのエピソードで、映画一本分に匹敵する(或いは"超えた")傑作をものにしている。
◼︎エピローグ
演出は第3話のジョー・ダンテ
第4話の破壊的エピソードで観客を恐怖に陥れた本作だが、エピローグが見事に回収しトワイライトゾーンは完結する。ダン・エイクロイドが再登場し、不穏なムードで締める構成が完璧。はたして救急車の行き先は…?
劇場公開当時はスター監督の顔合わせに興奮し、期待に胸を膨らませたものです(劇場鑑賞は叶いませんでしたが)。十数年の時を経て再鑑賞した本作は、CGの無い時代に活躍した映画職人の仕事ぶりもノスタルジーを煽ってか、童心に戻してくれた101分でした!やっぱ実写は最高!
面白い作品に出くわした時って、観終わってすぐ連続再生するんですよ。ええ、今回も2回連続観ましたよ。これって子供の頃に映画館で2回連続で作品を観るのと同じで、夢のようなひとときなんですよね。トワイライトゾーン、マジ最高!!
いやー、映画って本当にいいなあ!!