『心臓』

奥田亜紀子先生の短編マンガ集。初読み作家さんですが、もんのすごく良かった。

たいへん寡作な作家さんで、２００８年～２０１９年までに単発で発表したりされなかったりした作品を６編収録。『心臓』『ニューハワイ』『神様』がよかった。

たとえば『心臓』。たぶん、心臓の病気で長く生きれない女子高生・しまこ。そして、人間たちには見えない、小さい人間たち。小さい人間・ノムラは、しまこの頭の上で畑を耕しはじめます（ノムラには、しまこの頭が「崖」に見えている）。同じ時間軸、同じコマのなかにいるのに、まったくお互いを認識しない２つの並行世界。どうしたらこんな話、思いつくの（笑）。

もう、奇想天外すぎて、どこに行きつくのか、そもそもちゃんとどこかに行きつくのか、まったくわからない…。

現実にはありえない、ありえなさすぎるのにすごく自然に、肩の力が抜けた感じでマンガのなかに存在させる、軽やかで、自由な想像力。とても大切なことを、ものすごくさらっとさりげなく描くスタイル。この感動を表現するのにピッタリの言葉は、この世にまだないんじゃないだろうか。これはなんていう名前の才能なの。惚れた。

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