ルキーノ・ヴィスコンティ監督のイタリア映画。1948年制作、160分という長編作品。


舞台はシチリアの貧しい漁村。漁民たちは毎日毎日朝早くから夜遅くまで働いて、それなのに仲介人に魚を買いたたかれて、生活はいっこうによくなる気配はない。老人たちはそれでずっとやってきたから何の疑問も持っていない。しかし若いウントーニはもっといい生活を求めて、独立を画策するんだけど…何の救いもない絶望的なエンディング。


ヴィスコンティは『ヴェニスに死す』の耽美的なイメージが強いけど、初期にはこんなドキュメンタリーみたいな映画も撮ってたんですね。出演者は全員シチリアの素人を起用し、救いようのない漁民の貧困を、救いようのないままぶつけてくる。手触りとしては『自転車泥棒』に似てるかなぁ…と思ったらこの2作は、ネオ・レアリズモの代表作なのですね!ネオ・レアリズモってそういうことだったのか。


しかしヴィスコンティって貴族の出身なのに、よくこんな貧困層の生活に心を寄せる想像力を持っていたものですね。特権的な立場だからこそ声なき声をすくい上げる、力の使い方ってこうでなくちゃね!



 

 




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