ドイツの新進気鋭の哲学者、マルクス・ガブリエルにインタビューした本。サブタイトルに『差異と分断を乗り越える哲学』とある。

このコロナ禍で、ここが分断すると思わなかった…という人と分断した経験のある人、多いんじゃないでしょうか。かくいう私もありました。人が変わったように、「あれ?この人、こんなこと言う人だったっけ?」ということが。で、そのときに…なんというか…とても違和感があったのは、「この人、怒りの根源がそこにないのでは…?」というものでした(のちにそれは当たっていたことがわかった)。この場合、「あなたは本当は別のことが言いたいんじゃないの?」と、言いたいけど言えない、だってそれを指摘するとめっちゃキレそうだから…っていう(笑)。ああいうときって、どーすりゃいいの?

…という疑問に対する答えがほしくて手に取った本書。

・「自分自身および他者の内にある人間性を尊重し、手段としてではなく、それ自体を目的として扱うこと、これが倫理である」(48p)
(カントの引用)

・意思決定は自律性の表現です。その意味で、自律が可能な存在にはすべて人間の尊厳があります。(略)しかし最近、尊厳は軽視されています。(49p)
(じゃあ自分の意思決定が、可能なのに放棄してる人は?)

・私は民主主義とは「意見の相違による暴力沙汰を回避する」ためにあり、民主主義の役割は二つの利害当事者の妥協点を見出すことだと考えています。(82p)
(だからいま、民主主義が機能していない状態って言われるのか)

・生きるとは他者に訂正されることです。(146p)

・なぜ人間は戦争をするのでしょうか。(略)それは、私たちは他者も人間であることを理解していないからです。(略)戦争では必ず相手を非人間化します。(185p)

他にも学ぶところたくさんある。これからの時代は、環境的にも経済的にも、倫理的な判断のほうが利益につながる、とかマジ希望。あと日本社会に対する意見は、そういうふうに見えているのは興味深いけど、一面的な感じがした。まぁでも住んでない人にそこまで期待するのも…。

で、ここで冒頭に戻る。おもしろいからつい最後まで読んじゃったけど、私が知りたかったのはこれじゃない!(笑)

 

 




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