知の巨匠・内田樹先生が、大学で「メディア」について講義した内容をまとめたもの。


メディアに興味のある大学生に向けたものであるからして、内田先生の考える「キャリア形成」からはじまる(ここからすでにおもしろい)。そして肝心のメディア論、いきなり「マスメディアの凋落」、「次のメディアモデル」、「インターネットとメディア」、「コピーライトの問題」「書物は存続するか」と続きます。


内側からは誰もが口を閉ざすメディアの問題点を、テレビ・新聞・ネット・本と、ジャンル別に喝破していく内田先生。マスメディアが無知を装っていてはいけない、マスメディアが「被害者の立場を先取する」クレイマー的な手法をとるのはおかしい、「弱者の味方をする」で完結せずそこから吟味がはじまらなければいけない、社会的インフラに商取引モデルを当てはめてはいけない、メディアの弱点は社会が変化してくれないとネタがなくて困ること、読み手に対するリスペクトの欠如こそが出版業界を衰退させる、などなど…。


私も「書物」という形でメディアの仕事をしている身、他人事ではなくて、ドッグイヤーを折りまくりながら読んだ。で、最後にびっくりしたのが、これが発売されたのってもう10年前…。内田先生、あとがきで、こういう話はすぐに時代遅れになってしまうリスクがある、と書かれていますが、10年後に読んでもぜんぜん面白いんですけど…。ってことは問題点があんまし改善されてないってことで、喜んでていいのかわからないけど。


個人的には、本棚の話で、「哲学書なんか置いてるだけで8割読んでない」っていうエピソードが衝撃だった。それでも、そういう本を読み、理解する人間であるという自己規定を引き受けるというのが、知の荒野への第一歩なのである、と。よーし、内田先生がそうおっしゃってるんだ、私もこれからはじゃんじゃん本を買って、デカい顔で積読するぞ!(笑)


 

 


●内田樹先生の本(隠居の本棚より)



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