宮崎夏次系先生の短編マンガ集。


このマンガのタイトルが、「きっとうまく喋れないから夢であの子に会うのさフフフ~ン」とかだったら絶対手に取らなかった。だって現実がうまくいってないし、夢を見たとしてもすぐに現実に戻ってこなきゃいけない絶望を知ってるからこういうタイトルになったんでしょう、きっと。という想像をしつつ読んだ表題作、もうおったまげましたよ、私は。

不登校の女の子が、隣に越してきた家族の子(重病で車椅子)と、深夜だけ、「本当の姿で」会うんですよね。そして言葉にならない、希望のような通じ合いが、連帯が、うまれる。でもその通じ合いや連帯は、自分では選べない、どうにもできない現実のせいで一瞬で崩れ去る。それを見ていることしかできない、世界に対して自分があまりにも無力で、世界の無力パンチみたいな出来事が女の子をどんどん無力にしていく。

そして希望のようなものがあったことすら忘れていく、ように見せかけて、女の子がさいごに作った雪の造形物を見ると、完全に全部を忘れてしまうわけでもないのかも…というかすかな光のようなものもあって。っていうのをたったの28ページで描く辣腕よ!

なのに絵柄はかわいいし、セリフはすっとぼけてるし、それがまたよい。天才を発見した、と思いました。宮崎先生のマンガは追いかけて読まなくては!

 

 


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