山折哲雄さんが「死」について語った本。「未来のおとなへ語る」というシリーズで、平易な言葉で自分の体験や、過去の古典文学作品から、死をひもといてゆく。


命のはかなさを語る蓮如上人の「御文章」なんか「方丈記」っぽいし、殺人事件を考えるときに社会学者・心理学者・精神科医だけではダメで、宗教が何千年と続けてきた「人間の研究」の視点が必要というのもわかる。死が「敗北」ととらえられがちな現代の風潮、比叡山の修行僧たちは死期を悟ると自然に断食に入るというエピソードもおもしろい。


特によかったのは宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の解説。日蓮宗の賢治は、この詩を手帳に書き付けるとき、最初と最後に「南無妙法蓮華経」とあり、これを含めないと賢治の祈るような気持ちが正しく伝わらないのだという。全集などにはちゃんとこのように書かれているらしいのでチェックしてみようっと。


みんな、ほんとは興味あるけど表向きには語ろうとしない死を、アンタッチャブルなものだったり、建前としてきれいに扱うのではなくて、フラットに面白く語ることもできるのだ、とあかるい気持ちになる。学校で死ぬことを教えることができないなら、そこにも本の役割があるのだなと思った。



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