吉川ばんびさんのルポタージュ。


「貧困」という大きな言葉や、数字で切り取ったときに、見えてこない具体的な事例がたくさん紹介され、ケーススタディとして非常におもしろい。


「年収100万円」とタイトルに書いてるけど、中には年収400万円とかいう人もいて、でもこれ私はこの本の長所だと思ってるけど、貧困って個別の体験だから、年収だけで一律に区切れるものではないんですよね。


じゃあここに出てくる人たちに共通するのは何だろうと考えたときに、自尊心の貧困じゃないかと思った。お金が先か、自尊心が先か、っていう問題もあるけど、年収だけ貧困じゃなくなっても自尊心がないと、結局いくらお金があっても生きてていいと思えないよ。それに、じゅうぶん生活保護を受給できるレベルなのにあきらめてしまうところには、「自分が幸せになれるわけがない」という強烈な思い込みがある気がする。これを外すために、自尊心のリハビリみたいなことから始めなければ…何この遠い道のり…。


でもこの人たちが貧困なら、この人たちをいじめた人、突き落としてきた人たちも(どんなに勝ち組でも)やっぱり自尊心が貧困だと思う。自分よりも負けてる人との比較の中でしか豊かさを感じられないなんてイヤだ。だからやっぱり、最終的にほしいのは、比較のなかでしか豊かさに至れない価値観からの脱却かな。で、そこに至るために、せめてみんなが同じスタート地点に立つところまで公助でやってもらわないと困るんだよ。それを社会がやらないなら、社会の役割って何?と思う。


 

 


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