ガザ危機
ネタニヤフとハマスの戦争
イスラエルは地上戦を始めたとは公式には言わないだけで、既にガザ市の
包囲を完了したという。これから地下に潜るハマスの掃討作戦を展開する
つもりのようだ。市内に残る一般市民は皆殺しにされかねない。
またイスラエルはパレスチナ市民(とりわけ子供たち)の膨大な犠牲を
一顧だにすることなくーハマスは市民を盾にしていると非難するが、盾だろ
うがそうでなかろうがお構いなしに殺しているのがイスラエルではないかー
難民キャンプなど人口密集地に対する猛爆撃を繰り返している。
220万人ものパレスチナ人を水も食料も生活に不可欠な燃料も封鎖して
飢餓に追い詰めている。既に沢山の子供達が飢え死んでいるだろう。
イスラエルはガザからパレスチナ人をシナイ半島に追い出す案を検討して
いるという。ガザを占領するつもりのようだ。
今回の危機の直接のきっかけとなったのが10月7日のハマスによる越境
攻撃だ。ハマスはイスラエルの一般市民を虐殺し多数の人質を連れ去った。
しかしネタニヤフはハマスの越境攻撃の情報をエジプトなどから3日前に
は掴んでいたと言われている。(当然イスラエルの情報機関モサドも知ら
なかったはずはない。当初からあのモサドがハマスの越境攻撃を許した!
失態が不思議がられていた。)
ということは市民にある程度の犠牲が出ることを知りながらネタニヤフは
あえてハマスの侵攻をやらせたのかもしれない。あるいはハマスを見くびり
大したことにはことにはなるまいとタカをくくっていたのかもしれない。
ハマスもイスラエルの反撃とそれによるパレスチナ市民の膨大な犠牲を
織り込み済みで越境攻撃、市民の虐殺に踏み切った。
この直前にはイスラエル国民はネタニヤフの権力強化に対する反対デモを
敢行していた。またガザではハマスに反対するデモもやられていた。
ネタニヤフは自分の足元が揺らいでいるので、攻撃を許したという失態
にはなるが、それよりハマスへの憤激を煽りイスラエル国民を反撃でまとめ
ることを選んだのだと思われる。
ハマスのイスラエル一般市民の虐殺は1000人規模に及びネタニヤフの当初
の思惑を越えてしまったのかもしれないが、ともかく狙い通りに挙国一致
内閣を生みネタニヤフに対する批判などは一旦は吹き飛んでしまった。
これでネタニヤフは(攻撃を許したという「失態」を覆い隠すためにも)
ハマス壊滅の旗印のもとで手を緩めることなく勝手放題のガザ市民の虐殺を
始めた。
この手口はプーチンが自分の足元を固めるため、チェチェンの武装勢力の
仕業に見せかけて、ロシア市民を爆弾で吹き飛ばして(手先のFRBにやらせ
た)憤激を煽り、全面的なチェチェン侵略戦争の口実とした事例とよく似て
いる。ネタニヤフはプーチン並みに自分の手で直接自国民を殺したわけでは
ないが同じことだ。
これらは愛国心や民族主義的感情を煽るため、己の権力の強化のためなら
裏では自国の一般市民の犠牲を敢えてする権力者の常套手段だ。
*
またこの紛争が中東全体に、世界に広がるのは必死の様相で、この混乱は
とりわけ石油を中東に依存する日本の経済にも、円安の一層の進行もあり、
多大な打撃となることは間違いないようだ。(イスラエルを支持する米国
の尻馬に乗っているからアラブ世界の反発は当然だ。)
そしてこのイスラエルとハマスの戦争が危急であるため、影に隠れたのが
ロシアのウクライナ侵略戦争だ。
ウクライナ軍は反転攻勢を継続しているとはいえ守りを固めたロシア軍を
前に膠着状態を脱することが出来ていない。
長引く戦争で国内に疲弊が広がっている。ロシア軍の死傷者も莫大だが、
ウクライナ軍も損耗が積み重なっている。
これから冬にかけてまたロシアによるインフラ施設への攻撃がはじまる
だろう。市民は更に寒い冬に耐えなければならない。
こうした時に欧米の支援疲れがイスラエル、ハマスの戦争で一層進む。
厳しい冬になりそうだ。
一年半
ロシアのウクライナ侵略一年半
この24日でもう一年半になった。ウクライナの反転攻勢が続いているが、
ガチガチに守りを固めたロシア軍の防衛線を前に、遅々として進んでない
ように見える。これまでにロシア、ウクライナの兵士50万人近くが死傷した
そうだし、ウクライナの民間人の死者は分かっただけで1万人近く、行方
不明者は2万5千人にも及ぶと言われている。とんでもない悲惨な事態が
続いている。この様子では2年それ以上の声を聞くことになりそうだ。
ちょうどこの時プリゴジンの反乱から2ヶ月、ワグネルと通じていたと
思われていたロシア軍トップの一人スロビキンが解任され、それと同時に
プリゴジンと軍事司令官ウトキン他のワグネル幹部の乗ったジェット機が
墜落し搭乗者は全員死亡した。
爆発物か何かが仕掛けられた暗殺であることはほぼ間違いない。プーチン
は同じように敵対する者を次々と暗殺してきたからしれっとプリゴジン死亡
の事実を発表した。
この2ヶ月近い時間をかけたのは、どうやらワグネルが握るアフリカ諸国
の権益その他をプーチンが簒奪する目処をつけるためだったのではないか?
と思われる。
*処理水放出を開始した日本
そしてこの24日から我が日本では「関係者の理解なしにいかなる処分も
行わない」としてきた約束を公然と反故にして、原発事故処理水の海への
放出が開始された。問題は処理水が近いうちにどうにもならなくなるのを
知りながら、これを減らすための技術開発を金がかかるからと放擲し、こ
れには口を拭い、「廃炉のため」というこれまた嘘のため、放出が唯一の
道とする政府東電の嘘八百にある。
そもそも処理水といえど「トリチウム」以外の核物質が「基準値内」と
されているだけでないわけではない。また「基準値」これが信用ならない。
現状でも貯蔵タンクの約7割は処理不十分な汚染水である。いつこれが
処理不十分なままに放出されるかも、これまでの東電のやり口を見る限り
分かったものではない。
いつの間にか「30年」で処理水放出に目処がつくかのようなことが言わ
れているが、そもそも汚染水が発生する元である溶け落ちた核燃料デブリ
を取り出す技術も展望もどこにもないのだから、(この12年で1gも取り
出せてないのにデブリは880tもある)汚染水とその処理水は半永久的に
出続ける。
30年なんてとんでもない嘘だ。「半永久的」を覚悟しなければならない
大事故だったのだ。
現実的にはチェルノブイリと同じく事故炉を封じ込める(「石棺」)し
かない(だからデブリは半永久的に冷やし続けなければならない)のに、
原子力マフィアどもは「廃炉」の展望があるかのように装う。
これはまだ「核燃料サイクル」が可能な技術であるかのように先延ばし
し続けるのと同じだし、処理の展望も何もないのに、使用済み核燃料の
「中間!貯蔵」施設を作ろうと画策するなどと全く同じである。
そして「トイレのないマンション」で汚染物が溜まり続け、やがて溢れ
どうにもならなくなるのを承知の上で、さらに使用済み核燃料を増やす一方
の「原発回帰」に踏み切ったのである。マフィアどもは日本を放射能汚染
地帯にすることを厭わない。
マフィアどもはともかく嘘に嘘を塗り固めていくだけである。
老朽原発再稼働
福井高浜原発1号機
関電は28日国内最古(48年超)の高浜原発を12年ぶりに再稼働させた。
9月には次に古い2号機も再稼働を予定している。稼働中の美浜3号機を
加えて40年超が3基動くことになる。こいつらは事故のリスクをなんとも
思わない。この地震列島で何かあれば関西圏(に止まらないかもしれない)
壊滅の危険を承知の上で無責任に突っ走る。
実際福島原発事故でも原子力マフィアどもは責任を一切負うこともなく
逃げた。そしてそれが許された。
関電は県に対して今年末までに県外に使用済み核燃料の中間貯蔵施設を
確定し、30年頃には2000トン規模の施設を作ると約束。守れない場合は
3基の運転を停止するとした。
しかし今年末の目処はどこにもなく20年代後半に使用済み核燃料を
「フランスへ約200トン搬出」ということでお茶を濁そうとしているらしい。
これは約束違反は明白で県の判断によっては3基が運転出来なくなる可
能性もあるが、県が政府の稼働方針を押し切れるかは危ない。
今福島事故の処理水の海洋放出の危機が高まっているが、事故でメルト
ダウンし取り出す展望などはどこにもなく、永久に冷やし続けなければな
らない核燃料デブリと、これを冷やすためにこれまた増え続ける処理水、
第一原発内に残る膨大な使用済み核燃料など、「核のゴミ」をどう処理す
るのかの展望はどこの原発でも一切ない。
ないままに無責任に原発稼働を続けているのが原子力マフィアどもであ
る。「トイレのないマンション」状態をそれでも続けようとするのである。
問題を後回しにし続ける無責任さは極まる。
*
福島原発事故は大地震と大津波という「予測不可能な自然災害」による
ものと喧伝されそう思いこまされている人が多い。
しかし大津波は予測されていたのであり、それに対する対策が必要なこ
とは分かっていたのに、これを具体化するのは金が掛かるからと妨害し潰
したのが原子力マフィアども(この本では原子力村)であること、そして
対策を潰した結果として未曾有の大事故が起こった後は、己の妨害により
大事故となったことには素知らぬ顔をして「予測不可能な自然災害」だと
主張し続けて、責任を回避してきたのがマフィアどもであること、これを
告発した本がある。是非目を通して欲しい。
『3、11 大津波の対策を邪魔した男たち』(島崎邦彦 青志社)
読んでいて情けないと思わないでもないが、元日本地震学会会長として
政府機関の一員でもあった人だからこれが精一杯なのかもしれない。
しかし原子力村の実際が非常によく分かる。