ガザ戦争2ヶ月
早くも2ヶ月になる
7日でガザ戦争は2ヶ月になる。12月1日に戦闘が再開されてからガザ
全域がとりわけ南部の都市ハンユニスが最大の戦闘地域となっている。
戦闘が再開されて既に1200人以上のパレスチナ民間人とりわけ子供達
がイスラエル軍により虐殺され犠牲となっている目を覆うひどい状況だ。
(わずか2ヶ月でガザのパレスチナ人の犠牲者は16000人を越えるという。
そのほとんどが民間人だ。)
イスラエル軍は一時的戦闘休止前はガザ市を包囲し徹底的に破壊、更に
ガザ北部のシファ病院(を含むいくつかの病院)にハマスの拠点、司令部
があるからと弁明しながら病院に戦車で突っ込み病人、避難民を殺害し病
院を破壊してきた。
しかしシファ病院の地下に55mほどのトンネルがあっただけで(しかも
この地下施設はイスラエルの会社が病院に頼まれて以前作ったものだとい
う。だからどんなものかは本当はわかっていたはずだ)、イスラエル軍は
病院がハマスの中核的な拠点だったとの弁明の正当性を証明することは出
来なかった。
とうとうシファ病院司令部説の破綻を隠蔽するため、その後このトンネ
ル施設を爆破してしまったから、病院攻撃がいかにデタラメだったかは
あまりにも明らかだ。
イスラエル軍の北部作戦ーハマス壊滅、司令部の掃討は結局失敗した。
このため今度は南部に拠点があるとして、避難民でごった返すハンユニス
などへ戦争開始以来最大規模の空爆、砲撃を開始し地上侵攻を始めた。
軍はガザ北部よりも南部の方が大規模な戦闘になるとしているのだから
一体どれだけの大虐殺になるか分からない。
そして米国は南部侵攻を「ハマス壊滅」のためとして結局支持している。
またイスラエルは北部に大規模な海水の汲み上げ施設をつくっており、
ハマスの地下トンネル網を「水攻め」で破壊するつもりのようだ。ただど
れだけ実効性があるかが分からない上、人質の拘束場所があるかも知れず、
更に地下水の塩分濃度の上昇や土壌汚染などで、ガザ地区の人道状況を一
層悪化させかねないのは明らかだ。
ネタニヤフは当初のハマスによる越境攻撃を(意図的にかタカを括って)
許した自己の責任を隠蔽するためにも、あくまでガザを「非軍事化する」
とガザを占領するつもりであることを表明している。ガザから住民をシナ
イ半島に追い出すことが望みなのだろうが、そうでなくとも190万人近く
(ガザ住民の8割)が避難民となっている凄まじい状況が更に悪化するこ
とは間違いない。
ガザだけでなくヨルダン川西岸でもイスラエルのパレスチナ市民の虐殺
弾圧は余りに酷すぎる。これでは反イスラエルの武装闘争の担い手を不可
避的に量産する。憎悪の連鎖を断ち切る方策はあるのだろうか?
* ウクライナの反転攻勢の状況
ガザ戦争で影に隠れた形のロシアのウクライナ侵略、これに対して米国
のワシントンポスト紙は「ウクライナがロシアに対し6月に始めた反転攻
勢について、当初の想定が外れて戦況が膠着し、全体として失敗している」
と特集記事で報じたそうだ。
「作戦方針や開始時期を巡り、最大支援国の米国と摩擦が生じて」結局
上手く進められなかったと伝えている。
また米当局はウクライナへの支援資金が「年内にも枯渇する」として議
会に対して追加の予算措置を求めている状態らしい。(バイデンは10月に
ウクライナ支援を含む1000億ドルの予算措置を議会に要求したが、共和党
の反発で審議は行き詰まっている。)
歪な国、中国 2
1日、一時的戦闘休止は7日間で終わりまたイスラエルによるガザ攻撃
が開始された。ガザ南部ハンユニスや難民キャンプなどがハマスの拠点だ
として重点的に爆撃され、南部への侵攻が始まろうとしている。数十万人
単位もの避難民でごった返し、水も食料もなく飢餓に追い込まれ深刻な人
道状況にある南部への軍の侵攻は文字通りのパレスチナ人大虐殺の再開だ。
バイデン政権はこれを止めようともしないし出来ない。絶望的状況で世
界中に混乱が広がる。
しかしハマスにしろネタニヤフにしろ市民、国民のそれぞれの支持率は
3割とか2割でしかなく今の戦争が歓迎されているわけでは決してない事
を忘れてはならない。「憎しみの連鎖」を連鎖たらしめているのはあくま
で権力者たちで市民は犠牲にされている。
先日開催されたCOP28(国連の気候変動対策会議)に合わせて、日米な
ど20カ国が「世界の原発の発電能力を50年までに3倍に増やすとの宣言」
をまとめたらしい。原発がクリーンだなどという嘘八百!こういうのを火
事場泥棒と言う。
福島の原発事故がなかったかのように、率先して原発回帰を目論む日米
原子力マフィアどもは本当に許し難い。
(続き)
* 統制強化が進む中国
また愛国主義教育法では「中華民族の団結や国家統一に資する」ことが
目的だという。
ここでいう中華民族にはウイグル族やチベット族などの少数民族も一括
りにされている。ウイグル族、チベット族などは漢族とは見た目も、文化
も、言語もとりわけ宗教が違う。
ウイグル族はほとんどがイスラム教。チベット仏教も様々に弾圧されて
いるが、2014年4月習近平が国家主席として初めてウルムチを訪問した際
の独立派によると思われる「爆破事件」以来ウイグル族弾圧は苛烈を極め
ている。
100万人単位が収容所送りとなり、共産党に従うよう洗脳教育が強制され
ているから尋常ではない。その上新疆ウイグル自治区に金を払って漢族を
大量に移住させ、2015年にはウイグル族人口を47%まで低下させるなど、
民族浄化ともいえる許し難いことをやってきている。
だから「中華民族」の名の下に「国民」の統制を一層強化するために
「愛国主義教育」がある、これはあまりにも明白だ。当然今のウイグル族、
チベット族など少数民族の弾圧をさらに強化するためのものでしかあり
えない。
* 「国家安全」、習近平の安全
習近平政権は総じて「国家安全」を最優先とし異論を排除する姿勢をます
ます強めている(「国家安全省」なんてのがある)。人権派弁護士などに
対する弾圧は熾烈を極める。
11月24日「国家政権転覆罪」に問われていた民主活動家二人に懲役14年
と12年という極めて重い判決が確定した。
こうしたデタラメな弾圧法令を次々と作り強化し、中国は「法治国家」
だとうそぶき、ウイグル族弾圧への抗議などを内政干渉だと居直るのだか
ら何ともヒデエとしか言いようがない。
「国家政権転覆罪」などをでっち上げて牢獄にぶち込むだけでなく、牢
獄から出てきたとしても自宅前に常時数人の男が待機し動向を監視すると
いう。
たった一人に常時何人も貼り付ける執拗さ、異様さだが、これが14億人
の巨大な社会のあらゆる場所で行われているのだから当然その費用たるや
とんでもないものになる。これ自体が中国経済の足を引っ張る。
「中国政府の社会安定にかけるコストは国防費を超える」と指摘されて
いるのもうなずける。
今習近平は政権内部でも国防相や外相を切り捨て、さらに人民解放軍の
大粛清を始めたようだし、ますます習近平個人独裁色を強めている。
中国はなんとも異様な歪な社会(毛沢東個人崇拝時似の)となりつつあ
る。いや既になっている。
毛沢東は「人民公社」「大躍進政策」という人類史上最悪のおバカな政
策で2000万〜3000万人と言われるほどの中国人民を餓死に追いやった。
誰もこれを止めることができなかった。似たような悲劇がまた起こらない
とも限らない。
今度はそれが外に向かうかもしれない。そうなると世界中が悲劇に巻き
込まれることになるが、今の異様さではこれが単なる杞憂とは言えないから
恐ろしい。これをむしろ日本の軍事力強化の絶好の口実として、金儲けの
チャンスと喜んでいるのが日米軍産複合体に他ならない。中国の動向を日
本の軍備強化、戦争の出来る国への変質の理由付けとして、日本もまた
いよいよ歪な社会への道に踏み込みつつあると言わざるをえないから問題だ。
(11月14、15日の「東京新聞」『視点』新貝憲弘、加藤直人論説委員の
投稿を参考にしました。)
歪な国、中国 1
習近平独裁が強まる一方
ガザでは24日以来続いた一時的戦闘休止がとうとう12月1日で終わり、
またイスラエルによるガザ空爆が始まった。ハマスもロケットを飛ばして
いるようだ。北部だけでなく南部にも激しい空爆があり、イスラエルは南
部への侵攻を開始するつもりのようだ。避難民で溢れかえっている南部へ
の侵攻は更に大規模なパレスチナ市民の虐殺となることは避けられない。
「白紙運動」から一年
習近平が固執したロックダウン(上海などの都市封鎖)を伴う「ゼロ
コロナ政策」に抗議して、昨年11月下旬上海市で始まった「白紙運動」は
次の日には北京に飛び火し、白い紙を掲げた市民で広場が埋め尽くされた。
市民から「習近平退陣」などの声も上がった。
抗議運動の拡大を恐れた習政権は12月7日には行動制限を一気に解除した。
このデタラメな政策の急転換により今度はコロナが感染爆発し病院や火葬
場が大混乱、火葬場に並ぶ車の大行列の写真が掲載されるなどした。当局
は感染死者数を余りにも少なく発表し、火葬件数の統計発表を辞めてしま
う等いつもの「習インペイ」の手に出た上、「白紙運動」に立ち上がった
市民を炙り出し弾圧してきた。
今や「白紙運動」は新たなタブーとされネットでも検索できないとか。
*
この間中国の外相に続き、国防相が更迭されるなど、習近平政権内部で
異変が続いている。軍内部でも粛清の嵐だという。とりわけ李克強前首相
の突然死はこの事態の最中で憶測を呼んでいる。
習近平の強引な「ゼロコロナ政策」ですっかり疲弊した中国経済は、その
後も大規模な不動産不況が続き、若者の就業率が回復しない(これを隠蔽
するため就業率の発表を取りやめた)など、低迷が続いている。
すっかり余裕を失った習近平は一層の国内引き締めと対外強行路線の強
化に突っ走り、海外からの中国への投資を及び腰にさせ、むしろ自らの首
を絞めている。
* 更に統制を強化する習近平
「3月に中国当局にスパイ容疑で拘束された50代のアステラス製薬の日本
人男性が10月に正式に逮捕された。」詳しい容疑内容などは明かされてない。
既に7ヶ月、拘束が長期化するのは不可避だ。
中国の反スパイ法容疑で14年以降日本人17人が拘束され、現時点では5人
が収容されているそうだ。
この反スパイ法の「改正」などに続き、「治安管理処罰法」「愛国主義
教育法」などともかく中国共産党による統制、締め付けを強化するための
おかしな法案が続々と作られ「改正」強化されている。
治安管理処罰法では「中華民族の感情を害する服装」その他を罰すると
いう。既に「和服」を着ていると誤解された女性が公園から追い出された
り、アニメのコスプレ若者が市民とトラブルになるなどの過剰反応が起き
ているそうだ。
当然ながら「何が中華民族の感情を害するのか曖昧で恣意的に執行」さ
れるのは間違いなく、さすがに「厳格な統制国家の構築」の真の狙いを
危惧した多くの(10万件余)意見が寄せられたという。
(反スパイ法などはどうにでも外国人を引っ掛けられる。アステラス製
薬の日本人などはむしろ親中国の人で中国社会に入り込みすぎたが故に
ひっかけられたといわれている。)
(続く)