鬼川の日誌 -32ページ目

大災害

  能登半島地震

 

 

  災害の酷い様相がいよいよ明らかになってくる。

 地震による家屋の倒壊が際立って多いのは、浅く近い震源で地震エネルギ

 ーが大きかったことはもちろん、地震動周期が1〜2秒くらいと最も家屋に

 被害が出やすいものだったこと、そして古い建屋が多かったことなどがあ

 るそうだ。

 

  津波によって壊された家も多いが、震源が近く浅いところであったため

 津波が地震とほぼ同時(数分後)に到達したとみられる証言もある。輪島

 市の200棟以上が焼けた大火災も凄まじい。地震で消火栓などが壊れ消化

 活動もまともにできなかったらしいし、担い手も被災していた。

 

  多くの人が目の前で家族を失い、怒りのやり場がない様子で見ていられ

 ない。とりわけ正月で帰省し家族が集まりお祝いをやっている最中に家が

 潰され亡くなった家族を悔やむ人たちがかなりいる。「死にに帰ってきた

 ようなもんだ」と悔やんでいたな。

 

  死者は今日(6日)一挙に増え126人、安否不明者は確認が難しく222人

 となかなか減らない所に救助の困難が見える。避難者は3万人以上。

  いよいよ寒さ厳しく辛く不自由な避難生活が長期化しそうだし、衛生状

 態が悪く避難所に感染症が広がっているらしい。

 

  6日120時間以上後に高齢女性が救助されたという。これは本当に凄い。

 まだ余震(それも結構大きな)は続いている上雨が降りだし、これから大

 雪になりそうで寒さと土砂崩れなどの2次災害が心配される。

 

  半島ということもあり、ネックの重要な部分で道路が寸断されると半島

 全体が孤立してしまいかねない。重要な道路が一部回復しても今度は渋滞

 が余りに激しく、思うような救助の手がなかなか届かない厳しい所もまだ

 まだ多い。雪が降り除雪困難の所が出ればまた救助が困難となる。

 

  ネックの部分にあるのが志賀原発である。外部電源の喪失や変圧器の油

 漏れなど相当問題があったようだがどうも隠蔽に近い扱いをされているよ

 うである。そもそもは今回壊滅的被害を受けた珠洲市に原発が予定されて

 いて、地元の根強い反対で撤回されたという。もし珠洲市に稼働中の原発

 があったなら福島原発級の事故が起こっていたに違いない。志賀原発も本

 当に問題なかったのか明らかにされなければならない。

 

  日本列島は地震の巣であることを肝に銘ずるしかない。

 

  *

 

  日航機と海保機の衝突事故は海保機の滑走路への誤侵入によって引き起

 こされたようだが、こうした滑走路への誤侵入は2010年以来12件も起きて

 いるらしい。にもかかわらず誤侵入をチェックする体制がなかったりする

 (今回)など、長年問題が放置されてきたらしいことには驚いた。

 

  最大の問題である羽田空港の日本一(世界でも3番目とか)の過密運行、

 これには何ら手をつけられないし、つけようともしないかららしい。

  このままではまた不測の事態が必ず起きてしまう。今回は日航機側に犠

 牲者は出なかったのは本当に奇跡的だった。

  

能登地震

  新年早々

 

 

  あけましておめでとう、と思ったが、新年早々に能登大地震。

 まだ被害は集計しきれてないようだが、石川県で48人の死亡が確認され

 (2日午後4時現在)、潰れ・破損した家屋多数(まだ取り残されている

 人がいるかもしれない)、木造家屋だけでなくビルまでも倒壊した。

  輪島市では火災で200棟以上が焼けた上、各地の港では津波で多数の船

 が転覆するなどし、北陸地方のあちこちで崖崩れや道路の破損などこれま

 ででも多大な被害が確認されている。

 

  一刻も早い救助の手が必須だが、新年早々被災した人たちー命があった

 だけでも良かったといってはいるもののーの悔しい思いは如何ばかりか。

 

  それにしても我が列島は地震の巣であることをゆめゆめ忘れてはならな

 いということをさらに思い知らされることとなった。志賀原発では外部電

 源が一時喪失したらしく今の所問題ないとはいうものの福島原発事故を思

 い起こさせる。岸田政権による原発回帰の動きが急だが、これがいかにと

 んでもない事か警鐘が鳴らされたと言える。

 

  まさにこれを書いている時羽田空港で日航機と海保機の衝突炎上事故が

 生々しく放映された。幸いなことに日航機の乗客、乗員379人は全員脱出

 し無事だったが、海保機の6人のうち5人は死亡した。日航機は衝突直後

 一気に燃え上がる様が放映されたが本当にあわやの大惨事。

 

  新年1日目、2日目でこれでは「いい年」になるとはとても思えない。

 

  *

 

  昨年ついにイスラエルによるパレスチナ人の虐殺は止まず、ガザの死者

 はほぼ3万人という恐ろしいほどの犠牲(3ヶ月弱で!その内瓦礫に埋

 まっている人は6~7000人規模だという)。ほとんどが市民子供達。

  ガザの200万人にも及ぶ人たちは飢餓に追い詰められたまま越年するこ

 とになった。イスラエルの妨害で国際的支援は思うように届かない。

 

  ウクライナのロシアに対する反転攻勢は思うようには進まず、膠着状態

 に陥っている。さらにロシアによる最大規模のミサイル攻撃で年を越す等

 むしろウクライナ側のピンチ情報が聞こえてくる。欧米によるウクライナ

 支援疲れが顕著である。

 

  しかしなんといっても政治的にも経済的にも低迷し混迷しているのが顕著

 なのがわが日本であるのは間違いない。

 

  自民党安部派、二階派などの政治資金規正法違反事件での検察の捜査で

 安部派が追い詰められているというより岸田政権が瓦解寸前。岸田が仕掛

 けたわけもなく、きっかけは『赤旗』の調査報道だというから、検察も

 やむを得ず腰を上げざるを得なかっただけで、「大山鳴動ネズミ一匹」に

 終わる可能性が高いが、岸田自民党政権の支持率がさらに低迷することは

 避けられない。

 

  それでも安部以来の日本の軍事力強化、日米軍事同盟の強化(日米軍の

 指揮系統の一体化、つまり米軍への自衛隊の組み込み)、防衛費の一挙

 拡大「戦争の出来る国」への明確な転換の策動を押し留める力はどこにも

 見えない。

 

  軟弱地盤でいくらかかるか分からない、文字通りドブに金を捨てる以外

 のなにものでもない「辺野古基地建設」の強行などは岸田政権(日本)に

 主体性がどこにもないことを絵に描いたように晒している。

  同じようにドブに金を捨てる(群がる権力者と業者だけが儲かる)のが

 明白なのにやめようとしないのが大阪万博だ。

  

  今最もこの30年の日本経済の技術力の衰退を象徴的に(情けない形で)

 露呈しているのが、ダイハツの不正認証取得問題である。数十年に及ぶ不

 正が暴露され、ダイハツ全車種の出荷停止、全工場の操業停止と進みダイ

 ハツ自体だけでなく、数千社に及ぶ関連全下請け企業が危機に直面するこ

 ととなった。

  

  安部派による法の抜け穴をかいくぐっての裏金作りとそれによる権力の

 私物化とよく似た経済面での腐敗。しかもこれが日本経済の中核自動車産

 業でのことであるから深刻だ。これによる経済的打撃はコロナによる経済

 的打撃からの回復が思うようには進まず低迷している現状に追い討ちをか

 けることになるだろう。コロナ後低迷する中国と日本は同類である。

 

  23年はそんなわけで実にひどい年だった。願わくば今年は少しでもいい

 年になるように!

  しかしそんな思いは新年早々の能登地震と日航機と海保機との衝突事故

 で吹っ飛んでしまった感がある。

 

  *日航機と海保機の衝突炎上というあってはならない事故、その原因は

  何だったのかまだ不明ではあるが、管制官と海保機との間の指示又はそ

  の受け取りに問題があったようだ。しかし明らかに恐ろしいほどの過密

  運行、過密に拍車をかける官(自衛隊、海保)民共用の問題などがある

  ようだ。

  

 

  

ガザ虐殺

  ガザ市民の大虐殺は続いている

 

 

  今日本では自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金疑惑で岸田内閣

 が大揺れである。裏金で突出しているのが安倍派で特捜部は14日にも安倍

 派に対する強制捜査に着手するかも知れない。岸田は安倍派閣僚を交代さ

 せる人事で乗り切ろうとしているが「火の玉」ならぬ「火の車」。

  「政治と金」を巡る自民党政治の腐敗した構造は、「30年停滞し続ける

 日本経済」と同じく「政治改革」が叫ばれてから(リクルート事件)30年

 結局何も変わってなかったことが明らかになっただけのことだ。

  野党はもはやないに等しくそして日本社会が活力なく低迷してきたこと

 のまさに象徴のようだ。

 

  * ガザ

 

  12日、国連総会でガザ停戦決議が圧倒的多数で採択され、米、イスラ

 エルの孤立が鮮明となったが、法的拘束力はなくイスラエルによるガザ市

 民虐殺は止まらない。安保理では米国が拒否権を行使し停戦決議を前回に

 続き否決しイスラエルの共犯であることを更に鮮明にした。

  食料も水も暖房もなく、衛生状態が極めて悪化し感染症が蔓延、無数の

 子供たちが殺されていくばかりの深刻な人道危機が続き、停戦は一刻の猶

 予もないのに支援物資の搬入すらイスラエルに阻止されままならない。

 

  既に18000人以上のパレスチナ人が虐殺されている。イスラエル軍報道

 官はハマス戦闘員1人死亡に民間人2人死亡の割合は「非常にいい比率」

 と言ってのけている。こいつらは本当にめちゃくちゃだ。

 

  イスラエルはハマス壊滅に手を焼きガザ地下トンネルの”水攻め”を始め

 たようだ。何週間も経たないと効果があるかもわからない上、人質がトン

 ネルに拘束されているかも知れないのだから人質の犠牲も仕方ないとする

 ものでイスラエル国内からの反発も必死だ。(反発されるからイスラエル

 軍は水攻めを「機密事項」として明らかにしてない。)

 

  ネタニヤフはこれと南部ハンユニスに潜伏しているとするハマスの幹部

 の殺害と合わせて、ガザ攻撃に一定の目処を付けたい思惑があるのかも知

 れない。イスラエルとしても今の規模の戦争をいつまでも続けることは困

 難だからである。

  またハマスの拠点だとして病院に対する攻撃を相変わらず続けている。

 

  このイスラエルに米国は砲弾や武器の大規模な援助を続けていくとして

 いるのだから完全な大虐殺の共犯である。バイデンは共犯とされイスラエ

 ルと一緒に国際的に孤立すること、国内での反対運動を危惧して色々と弁

 明しているが、米国ではユダヤロビーが圧倒的な力を持っていることをさ

 らけ出しているだけだ。

 

  * ウクライナ

 

  ウクライナでは反転攻勢が思うような成果を上げないまま(「失敗した」

 という報道もある)、ロシア軍によるインフラ施設を狙ったミサイル攻撃

 が激化しているようだ。昨年冬と同じくプーチンはウクライナ市民を凍え

 させる作戦のようだ。

  問題は米議会でウクライナ支援予算が共和党の反対で通らず年末までに

 予算が枯渇しそうだとか、欧米のウクライナ支援疲れが明確になっている

 事態にある。確かにプーチンは喜んでいる。

 

  * 中国

 

  ウクライナに続くガザの危機にもかかわらず、国際的に全く影が薄いの

 が今の中国である。最近では「一帯一路」からイタリアが脱退することが

 決まり習近平に大きな打撃を与えたばかりだが、今の中国は外国が投資を

 忌避せざるを得ない異常な状態にあり、経済は停滞し社会は萎縮ムードに

 包まれている。

 

  「ゼロコロナ政策」は撤廃されて1年になるが、都市封鎖や国民全員に

 課した度々のコロナ検査など経済を停滞させ、財政的に莫大な負担を強い

 た政策のツケは大きく、未だに経済回復は遠い。さらに習近平の何がなん

 でも「国家安全」最優先の政治姿勢は社会を萎縮させるしかない。これも

 莫大な金がかかるので経済の足を引っ張る。

  (「国家安全」とは例えばゼロコロナを強制しながら手のひら返しでこ

 れを撤廃したとしても、「今まではなんだったんだ」とか習近平政権を批

 判したり文句を言う奴は潰すぞということ。)

 

  中国経済は10月と11月連続で消費者物価指数がマイナスになるなど長期

 低迷(「日本病」といわれる)が明確となっている。

 

  伸び悩む対中投資を呼び込もうとしても「反スパイ法に代表される国家

 安全の強化」を外資が忌避する。

  (駐在員が例え「商談のため」中国内を走り回っているのだとしても、

 その国と中国との間に懸案が生じれば政治的取引のためスパイにでっち上

 げられるー日本のアステラス製薬の駐在員ーいつそうなるか分からないの

 では危なくて誰が投資などするものか。)

 

  内うちではなんであれ「上の言うとおりにするだけ」とせざるを得ない

 「事なかれ主義」が蔓延する。結局社会が萎縮する。

 (ともかく大きくは習近平の意向から外れれば即死が待つだけだから。

  上の顔色を伺う忖度が中央政府から地方政府まで貫通する。)

  なんとも歪な国。 

             (cf  12日「東京新聞」)