鬼川の日誌
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網野「日本」論の盲点 3

  トランプ、イラン攻撃を中止

 

 

  トランプは1日、検討していたイランへの大規模な攻撃を、イランや

 中東諸国から、合意の枠組みがまとまったとして攻撃を見合わせるよう

 要請があったので中止すると発表した。

 

  合意にはホルムズ海峡の即時かつ完全な開放、イランの核の脅威の

 終結が含まれるとしており、「この合意が速やかに成立する」(?)こと

 を条件に、イランへの攻撃を中止することに同意したとしている。 

  (これについてイランは「ホルムズ海峡の開放」についての合意

  などは存在しないと声明を出したようだ。またいつものトランプ流

  という事らしい。) 

 

  28日のトランプとネタニヤフの会談後、またイラン攻撃が再開され

 トランプはイランのインフラへの大規模な攻撃をちらつかせてきたが、

 結局それ以前に「弾切れ」で一旦「大規模攻撃」を中止せざるを得な

 かった事情は変わってないのであり、多分ネタニヤフを宥める以上の

 ものではなかったようだ。

  

  結局6月の「覚書合意」の中身で揉めてきたのにまた同じ事を繰り

 返しているわけだ。「弾切れ」もあり大規模攻撃をやる余裕はないこと

 を再確認したことになったわけで、トランプはイランとの協議を再開

 するしかない。

 

  * 日米協調介入?

  現在1ドル=157円台半ば(約157、4円)で推移している。

 

 

  ****

 

  網野「日本」論の盲点 3

 

  (『「日本」とは何か』・・網野善彦 続き)
                                 

  「日本国」の成立が7世紀半ばから8世紀初頭とするのが既に研究
 者の大方の見解となってきているし、「建国」とかを問題にするならば、
 「この国号の定まった時点とするのが事実に即して当然」といえる。

  * それまでの「倭国」とは?

  しかしこれでは網野にとって「それまでの「倭国」」とは何だった
 のか、それをどう位置づけるのかということが全然明確ではない。
 「倭国」は確かに「日本国」ではない。「倭人」は「日本人」ではない。

  また支配者が同じヤマト王権だったとするなら、「日本国」の成立
 は名前が変わっただけ(「日本」の始まりという意味で画期であるが)
 のことで、倭国時代も含めて、近畿天皇家一元主義になんら手をつける
 ものではなくなるし、決定的な転換点というほどの意味はない。
  
  倭国が自ら名前を変えて日本国を名乗ったのか?そうではなく倭国
 とは別の国家が「日本」を名乗り使者を使わせたのか?
  だが後者の場合は、これまでの「倭国の使者」とは別の使者となる
 わけで、実績がなければ不信に思われるのは当然で、事実そのような
 記述が「旧唐書」などにある。(使者同士の争いもあった様だ。) 

  網野自身は前者の説を取っているようだ。だがここは二つの国が
 別々に使者を送ったとしなければこの時点の矛盾は解決しない。

 ( 数十年に及ぶ列島の代表者争いはとても複雑な経緯を辿ったよう
 だが、その交通整理はとても私の手には負えない。
  『失われた九州王朝』古田武彦などを参照してください。)
  
  まさにこの時点こそが唐・周に対して、「倭国」と「日本国」の
 二つの国の使者が「わが国こそが列島の支配者だ」と争い、則天武后
 が、既に力の衰えていた、そして直前まで敵対(白村江の戦)していた
 倭国に変えて(唐を周に変えたのが則天武后である。)日本国を、列島
 の権力として正式に認めた決定的に大きな転換点だった、ということ
 を解き明かしたのが古田武彦である。
   
  そしてこの日本国の王が近畿天皇家である。だからこの702年に
 初めて近畿天皇家が列島の支配者として対外的にも認められたと言え
 るのである。

 

  * 補足
    
  確かに網野の言う論点も問題ではある。
 「縄文時代の日本」とかは、網野の様に「日本人というのは日本国の
 国制の下にある人々」と限定するならそれはありえないし、「あたかも
 縄文・弥生時代から日本が存在し、日本人がいた」かのように言うのは
 おかしいとはいえる。

  現在の国制を所与の前提として、日本、朝鮮、中国の人々と、
 「領土」などを、古代にまでそれを敷衍する明らかに間違った議論を
 するものは多いし、逆にその時代からまた現在の「領土」等の支配の
 正当・不当を云々するものもいるからだ。


  その意味で古代、日本人も、朝鮮人も、中国人もいなかった。
 居たのはその土地に住み着いた人々であり祖先たちである。
 そして国家自体流動的であった時代には、かなり流動的な人々の移動
 があったことを想定しなければならないのである。

  だからまた逆に日本人(アイヌ人、沖縄人)の祖先たちが縄文の
 時代はもちろん、それ以前から列島に生活していたことに何の疑問も
 ない。そして縄文、弥生期にも大陸、その他からの相当規模の人々が
 列島に移り住み、混血が進んで、日本人の祖先が形作られていった
 のだ。これはあまりのも当然のことだ。

 

  * 「日本旧(もと)小国、倭国の地を併(あ わ)す」
   
  近畿天皇家一元主義者たちは、「倭国」はもちろんそれ以前から
 天皇家が列島を支配してきたかのように脚色するのであって、これに
 対して、近畿天皇家の支配する「日本国」は7・8世紀頃に始まった
 のだという歴史的事実を対置しても(それ自体は絶対必要なことでは
 あるとしても)、これだけでは彼等の拠って立つ論拠を掘り崩すこと
 にはならない。

 

  (続く)

『日本』とは何か

  トランプ、イランと協議再開?か

 

 

  13日連続でイランを攻撃し、大量の爆弾、ミサイルを使い続けて

 どうやら米軍は「弾切れ」(防空ミサイルなどの備蓄が枯渇しそう)

 になり、この間イランを脅しつけてきた「大規模攻撃」を当面見送

 らざるを得なくなったようだ。

 

  そしてトランプは突然に「イランとの協議はうまく行っている」と

 言い出したが、イランは米との直接協議を否定している。イランは

 空爆の一時停止についても「戦術的なものだ」と見ているが、「報復

 作戦」は停止したようだ。

 

  イランのホルムズ海峡の封鎖、米のイランに対する封鎖は続いて

 いる。ホルムズ海峡はまともには通れない。

 

  28日にネタニヤフがトランプと米国で会談することをイランは警戒

 している。またトランプが鼻面を引き回され、イラン攻撃を再開する

 かもしれないからだ。

  しかしトランプにはイランとの協議を再開するしかもう切り札は

 残されていない。原油は上がる、ガソリンは上がる。

  何より米国民のトランプのイラン攻撃支持は33%程度度と最低に

 なっている。

 

  日本では円安が止まらず、株価もかなり下がっている。

  

 

 

  ****

 

   網野「日本」論の盲点 2

 

 

  「『日本』とは何か』  網野善彦 講談社学術文庫」に学ぶ

 

  ** この本は「日本とは何か」が主題である。

  網野は99年に成立した国旗、国歌法について「この法律は、
 2月11日という戦前の紀元節、神武天皇の即位の日というまったく
 架空の日を「建国記念の日」と定める国家の、国旗・国歌を法制化
 したのであり、いかに解釈を変えようと、これが戦前の日の丸・君が代
 と基本的に異なるものでないことは明白な事実である。このように虚偽
 に立脚した国家を象徴し、讃えることを法の名の下で定めたのが、
 この国旗・国歌法であり、虚構の国を「愛する」ことなど私には不可能
 である。それゆえに、私はこの法に従うことを固く拒否する。」

  これは網野の戦争体験に根ざした素直な気持ちで、歴史家として
 「2月11日、建国記念日」という虚偽は許せないとする強い意志を表明

 している。

  そして「『日本』という国号、国の名前がいつ定まり『天皇』と
 いう王の称号がいつ公的に決まったかについては、・・研究者の・・
 大方の見解は7世紀末、689年に施行された飛鳥浄御原令とするが、
 それと異なる見解にしても7世紀半ばを遡らず、8世紀初頭を下ら
 ない。

  『日本』はこのときはじめて地球上に現れたのであり、それ以前には
 日本も日本人も存在しない。(ここで「日本人」というのは「日本国」
 の国制の下にある人々・・という意味で使うべき・・と網野はしている。)

  それゆえ、『日本国』の『建国』をもしも問題にするならば、この
 国号の定まった時点にするのが事実に即して当然であり、実際702
 年、中国大陸に渡ったヤマトの使者は周の則天武后に対し、それ
 までの『倭国』に変えて、はじめて『日本国』の使者といい、国名の
 変更を明言したのである。」と網野は言う。

  戦前型の紀元節の復活を思わせる「国旗・国歌法」に対してその
 虚偽を明確にし(皇紀2600何年とか、2月11日などというのは学問的

 根拠もない皇国史観丸出しの作り話だ、大体これでは「神武」は縄文

 時代の人になってしまうが、銅剣、銅矛は弥生時代は動かせない)、

  「日本」という国名が周の則天武后への「ヤマトの使者」によって
 はじめて名乗られた702年が、日本国成立の画期であることを明らか
 にすることは大きな意味がある。
 
  「日本国」の成立が7世紀半ばから8世紀初頭とするのが既に研究者
 の大方の見解となってきているし、「建国」とかを問題にするならば、
 「この国号の定まった時点とするのが事実に即して当然」といえるの
 だろう。

  ( しかし実はこの議論も、「古田武彦」の業績を日本史学者が核心

 を骨抜きにして、受け入れて出来た見方に他ならないようだ。
  つまり日本国は7、8世紀に成立したことは認めるけれど、「本家

 倭国の衰退に乗じて分家日本国が権力を簒奪して成立した」ことは

 認めない。倭国とは何か何だったのかを何も明確にしない。)

   それまでの「倭国」とは?

  しかしこれでは網野にとって「それまでの「倭国」」とは何だった
 のか、それをどう位置づけるのかということが全然明確ではない。
 「倭国」とは「日本国」とは。(「倭人」とは「日本人」とは。)
 少なくとも名が違うから意味があるはずだ。
  網野は「ヤマトの使者」が「国名の変更を明言した」という。

  そのまま読めば実体は同じで、名前が変わっただけと受け取れる。
 だが果たしてそうだったのか?  
   
  続く。 

女系?男系?天皇制

  *混迷するイラン戦争

 

  米軍は13日連続となる対イラン攻撃を実施し、トランプはさらに

 「過去最大の攻撃」の「準備は全て整っている」とイランを脅している。

  「イランが交渉を望んでいるものの『彼らはまだ十分な痛みを味

 わっていない』から現時点で合意の準備はできてない」とトランプが

 言ってるように、この脅しもあくまでイランと有利な形で「ディール」

 したいがため「合意」したいがため(交渉を望んでいるのはトランプ

 の方だ)の脅しなのは変わってないのだ。

 

  6月の「覚書合意」直前に戻ってしまったということだ。

  だがイランの核施設(ピックアックス山)への(これもイスラエル

 の情報に基づいたもの)攻撃をやるならイランも強硬な反撃をせざる

 を得ないしやるだろう。そうなると事態は一層泥沼化することになり

 かねない。

  バベルマンデブ海峡でサウジの船にフーシ派からの攻撃があった

 ようで、既に原油価格がまたまた値上がりしているし、「有事のドル

 買い」で極端に円安が進んでいる。

  高市は「輸出企業はホクホクです」とこれをむしろ歓迎するつもり

 か?単にお手上げか?

 

  *お先真っ暗な日本

 

  世界情勢に全くお手上げ状態の日本政府だが、高市、維新のファシ

 スト連立政権による「戦前回帰路線」に基づく反動立法が次々と成立

 している。

  17日に「改正刑事訴訟法」(冤罪被害者の早期救済の道をむしろ塞ぐ

 ような代物)、「国旗損壊罪法」(明らかに戦前型の「日の丸」の旗の下

 に日本国民を精神的に動員し、「日本帝国主義」の復活を目論むもの)、

 そして恐ろしく時代錯誤そのものの「改正皇室典範」が成立した。

 

  高市は己が女性(?)であるにも関わらず、あくまで「女性、女系

 天皇」は認めず、この現代に明らかな「女性差別」を何とも思わない

 だけでなく(歴史的にも「女性、女系天皇」はいた、その意味では

 明治以降は数百年前より女性の立場が劣っていることになる)、

 

  さらに今の天皇とは36〜38親等も離れた(普通の概念では「赤の

 他人」)「遠縁」にあたる「旧宮家」の男子を(養子として、そして

 その男の子には「皇位継承権」があるとする)認めるという恐ろしく

 バカでアホな話になっていることにすら気付かない始末。

  (こんなのは事実上「新たな天皇」のでっち上げで、これが許され

 るなら「天皇」とは「天皇制」とは何なのか?となるのは当然。)

 

  メチャクチャであれともかく「万世一系の『天皇制』」の旗の元に

 日本国民を動員する精神的支柱を求める「皇国史観」の復活のため

 には「女性天皇」では格好がつかないと思っているわけだ。

  (軍服を着た天皇が欲しいのだろう。)

 

  * 戦前回帰路線

 

  今の高市ファシスト政権が画策する反動立法と軍事力強化、日米

 同盟強化の策動の全ての根っこに、「戦前型日の丸軍国主義」に少し

 だけお化粧を施した程度でこれを復活させようという策動がある。

  しかしこの「お化粧」を施すにもその理論的武器がどこにもない

 ものだから、基本的に古いもの(戦前)をそのまま持ち出すしかなく

 なっている。(つまり化粧もなしの亡霊を担ぎ出している。)

 

  それが「国旗損壊罪法」であり、「改正皇室典範」の成立である。

 つまり未だに根っこは「皇国史観」を出ていないのであり(「皇紀

 2600年」とか言い出したバカがいるらしい)、唯一すがりたいのが

 「万世一系(男系)の天皇制」というわけだ(事実上自分らでその

 根拠を掘り崩すことをしているのに)。

 

  結局のところ日本の「天皇」とは何か、「天皇制」とは何なのかを

 もう一度考え直すことを日本国民に課題として提示していることに

 なってしまっている。

  (同じことだが、この事は「日本」とは何か、「日本国家」とは

 どのようにして出来たのかをもう一度問い直すことに他ならない。)

 

  我々は何度でも、「日本」とは何かを問い直す必要があるわけだ。

 そしてまた持ち出されようとしている「皇国史観」の根っこを解体

 するだけの理論的武器を獲得しなければならない。

 

 

  ****

 

  網野「日本」論の盲点 1

 

    『「日本」とは何か』 (網野善彦 講談社学術文庫)に学ぶ
       

  日本中世史の研究者である網野の歴史の見方を紹介する。
  網野は「自然経済から交換経済、自給自足経済から商品貨幣経済と
 いう経済史の”常識”」また「経済史の発展段階とされてきた、狩猟・
 漁労・採集経済から農耕・牧畜経済、さらに工業を基礎とする産業経済
 へという経済の”進歩”の定式」
  などを貫く”進歩史観”を槍玉に挙げる。

  「敗戦後の歴史学の中で主流的な見方であった原始社会、アジア的
 社会、奴隷制社会、封建社会、資本制社会、あるいはそれと深く結び
 ついている、原始、古代、中世、近世、近代という時代区分についても、
 ・・徹底的に再検討する必要がある」とする。

  なぜなら「交易、交換、それを目的とした生産、商品生産は、人間
 社会の最初からあったと考えられる。・・「自給自足」の経済生活など、
 実態としては決してありえないのであり、これは研究者のつくり出し
 た「幻像」といわなくてはなるまい。」

  「たとえば三内丸山遺跡をはじめとする縄文時代の発掘成果によって、
 すでにこの時期、広域的・恒常的な交易・交換を背景に多くの人口から
 なる大集落の安定した定住生活が営まれていたことがあきらかにされた
 が、この事実自体、・・これまでの経済史の常識的な図式を完全に打ち
 くだいた。」

  また「これまでの歴史学は”進歩”の原動力としての農業・工業の発展
 にもっぱら目を注ぎ、他を・・山野河海に関わる生業、その産物を原料
 とした加工業についてまったく副次的にしか」取り上げなかった。

  さらに「従来の歴史はまさしく男性の主導する歴史として描かれて
 きた」が、例えば「女性は人類の生活の中で不可欠の衣料生産に、圧倒
 的に大きな役割を果たしていた。実際、糸車と織機は世界的に女性を
 象徴する道具ではないかと思われる。また、こうして自ら生産した織物
 をはじめ・・日本の場合は魚貝や薪炭を持って市場などで売買する商人
 にも女性が多く見られる。」

  「しかしこのような女性の多方面での活動を、これまでの歴史学は
 ほとんど正面からは取り上げてこなかった・・そして老人や子供に
 ついても同様のことがいえる。」

  「さらに社会の中で差別的な立場を強いられてきた被差別民にも・・
 人類史的な視野から差別の要因、被差別民の多様な実態とさまざまな
 役割が追究されなくてはならない。そしてそうした人々が社会の中で
 果たしてきた積極的な役割、たとえば芸能の世界での被差別民の大きな
 役割などにも、立ち入った研究が必要であろう。」

  「浅薄な『進歩史観』や『農村中心主義』のために、これまで歴史
 学の研究がほとんど無視してきた結果、生まれた空白はきわめて広大
 といわざるをえない・・ 

  たとえば、女性、老人、子供、さらに被差別民の社会の中での役割、
 山野河海に関わる生業、河川・海上交通の実態、流通、情報伝達の問題
 などをあげることができる・・」

  これらはいちいち肯ける。こうした視点によって初めて私達が知ら
 されなかった真実の歴史を発掘することが出来るといえるようだ。

 

  **

  この本は「日本とは何か」が主題である。


 

 (続く)

 

  

 

  

 

  

 

  

 

 

  

 

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