危機に立つ中国経済 1 | 鬼川の日誌

危機に立つ中国経済 1

  ますます進む習近平独裁

 

 

 

  19日、香港でスパイ活動や国家への反逆防止を目的とする「国家安全

 条例」が可決された。20年に民主派を壊滅させた「香港国家安全維持法」

 の「足りない部分を補う」のだとか。「民主派」の影に怯えているとしか

 言いようがない。これは香港に進出する海外企業の活動も一層萎縮させる

 しかないことは明白なのに習近平には「国家安全?」しか頭にないようだ。

 

  *

 

  中国当局の発表で、23年の海外からの対中直接投資は前年比8割減の

 330億ドル(約5兆円)と30年ぶりの低水準だった。マイナスは2年連続で、

 ピーク(3441億ドル)の21年の10分の1以下に縮小した。2年後で10分の

 1は相当に深刻な事態である。

 

  これは中国経済の先行きに懸念が広がり外資企業が対中投資を急減させ

 たからである。今中国では経済の牽引役であった不動産不況が深刻に長引

 き、強引なゼロコロナ政策で経済はすっかり疲弊してしまい、景気低迷

 からの復活が進まず長期化、23年に5、2%とされた経済成長率は今後さら

 に低下が予想されている。

 

  *「ゼロコロナ政策」はどんなものであったか。

 

 

 

  そして外資が逃げ出したのは何も景気の先行きだけの問題ではない。

 明らかな外資企業に対する締め付けの強化がある。米中対立が長期化する

 中、昨年日本のアステラス製薬の社員がスパイ容疑で拘束された他、更に 

 反スパイ法が改悪強化された。

  (昨年3月拘束、10月逮捕、1年になる今月起訴するかどうかの審査を

 始めるのだとか。なんとも酷えもんだ。日本政府は早期解放を求めている

 が何の決め手もない。)

 

  反スパイ法などは全く恣意的で公安官僚どもの匙加減一つ、現地の社員

 がいつ引っ掛けられるかも分からないのだから、おちおち営業活動もでき

 たものではない。国家間の対立が深まれば取引や見せしめのためにスパイ

 をでっち上げる。

 

  現にスパイとされて拘束された日本人の場合などはどちらかといえば中

 国にむしろ親身になって取引をしてきた親中派といってもいいような人達

 だった。それだけ中国当局とも親密に関わってきた人たちと言っていい。

 (関わった場合の発言などが全て盗聴されていることは以前から知られて

 いることだ。)

  それを引っ掛けるのだからたまったものではない。

 

  またスパイとでっち上げられた日本人に対して日本政府が救出のための

 具体的な手を打てないでいるのだから本人も怒り心頭に発する。

 

  *

 

  先日スパイとされて6年間も中国の牢獄に繋がれ、ようやく解放された

 鈴木英司さんが憤懣やるかたないという感じでテレビ−5チャンネル−に

 出演していた。鈴木さんは40年前から日中青年交流協会理事長として活躍

 し、その後中国の大学で教壇に立ち、植林事業を続けてきたそうでまさに

 典型的な「友好人士」だった。鈴木さんにしてみれば北京官僚どもの手酷

 い裏切りで、スパイにでっち上げられるなどは何とも許し難く、悔しく

 ハラワタの煮えくりかえる6年間!だったろう。

 

  解放されてからも、外務省などからの何の接触もなかったそうでほった

 らかし。個人に責任をかぶせてしまっている。これは酷えし情けないも

 いいところ。どちらの権力者どもも一介の市民の生命、生活などは意に

 介さないということがよく分かる。

 

  (鈴木英司『中国拘束2279日』ー毎日新聞出版ーがあるそうだ。)

 

  さらに逃げ出しているのは外資だけではなく、中国の富裕層の金が何ら

 かの方法で米国、日本に投資されているばかりではなく、その富裕層自体

 が金を持って外国へ逃げ出している。メキシコからの不法移民に相当数の

 中国人(富裕層ではないか?)がいるといわれている。

 

 

  (続く)