鬼川の日誌 -36ページ目

ウクライナ軍の反転攻勢

  反転攻勢が始まったか?

 

 

  どうやらウクライナ軍の反転攻勢が始まったらしい。どのような反撃にな

 るのかは分からないがロシアはかなり狼狽えているようで、ウクライナ各地

 へのミサイル攻撃を激化させるだけでなく、とうとうヘルソン州のカホフカ

 発電所の巨大ダムを6日爆破決壊させた。

 

  白々しくもウクライナがやったとロシアは言うが、これはヘルソン州の西

 部からロシア軍が撤退した時から心配されていたことで、当時からダムに爆

 弾が設置されていると言われていた。許し難いウクライナ焦土作戦の一環だ。

 

  ダムの面積は琵琶湖の3倍を超えるとかの巨大さで、州都ヘルソンはじめ

 下流域がものすごく広範囲に洪水に襲われている。今後ザポリージャ原発の

 冷却水の確保が心配され、周辺都市の水不足も心配される。

  これはインフラの破壊ばかりでなく巨大な環境破壊となっている。

 

  ともかくウクライナ軍の攻勢を押しとどめようと何ふり構わぬプーチンの

 破壊作戦は、その狂気の様からやがてザポリージャ原発の破壊に行き着くの

 ではないかと危惧される。

 

  ドニプロ川下流域に展開するロシア軍にも洪水被害は及んでいるようだし、

 やがてはクリミア半島の水の確保にも影響を及ぼしそうだというほど、支離

 滅裂な破壊工作だ。(これをウクライナ側がやったという根拠にしているの

 がロシアだが、それだけプーチンが追い詰められているということだ。)

 

  6月4日、5日

 

  北朝鮮のロケットの打ち上げに対して、先端に衛星を積むか爆弾を積むか

 が違うだけで事実上の弾道ミサイルの発射だと騒いでいるが、同じことは日

 本の衛星の打ち上げにも言えるということにはマスコミは素知らぬ顔。

 

  こちらも失敗し日本の(軍事)技術力の衰えを満天に晒したため日本の権

 力者はいよいよ米国のミサイルに縋るしかなくなっているわけだ。

 

  決定的に異なるのは金王朝の権力を維持するため、あの貧しい国で湯水の

 ように軍事力強化に金を注ぎ込むため、北朝鮮の庶民は飢餓状態に追い詰め

 られているということだ。ストレス太りか?ジョンウンはぶくぶく太ってい

 るのに。相当過酷なことになっているらしい。

  (報道特集、3日土曜日)

 

  岸田政権も大軍拡に突っ走っている。北朝鮮ほどではないとはいえ大増税

 を誤魔化しているが結局金は国民からむしり取るしかない。税金は既に江戸

 時代並みの5公5民に近いとかで話題になった。

  一般市民は程度の差はあれどんどん追い詰められることになる。

 

  5月31日

 

  いよいよウクライナの反転攻勢が始まるようだ。(もう始まっているのか

 も知れない。)これに対してロシアはキーウに対するミサイル攻撃を激化さ

 せ緊張が高まっている。またモスクワにも無人機攻撃があったらしい。前回

 のクレムリンへのドローン攻撃もロシア内の反プーチンのパルチザン部隊の

 攻撃だったともいわれており、反プーチンのロシア人勢力が少しずつ姿を現

 し始めているのかも知れない。

 

  27日

 

  ロシアや中国には政権に批判的なメディアなど存在出来ないが、今メキシ

 コでは大統領が政権に批判的な記者などを公然と攻撃し、相当多数の記者が

 殺害されている厳しい現状にあるという。命懸けで抵抗している記者たちの

 話が紹介されていた。(TBS「報道特集」)どこも厳しい。

 

  22日

 

  「核なき世界」とか「核廃絶」は単なるお題目で、「核を含む軍事力によ

 る抑止力の強化」こそが本題であることを赤裸々にしたG7。

  中国は中央アジアサミットで対抗し、ロシアはバフムトの完全占領(ウク

 ライナは否定している)をぶち上げるなどして対抗、世界は混迷するばかり。

  馬脚を現しかけたG7だったが、ゼレンスキーの訪日に救われた岸田は支持

 率アップを期待してどうやら衆院の早期解散を目論み始めたようだ。

 

 

長引くウクライナ戦争

  ウクライナ戦争の現状

 

 

  5月9日に「入管法改正案」や「防衛産業強化法案」と悪法が続々衆院を

 通過した。我が日本のこれから先が思いやられる。

  この日がウクライナ戦争開始から2度目のロシアの「対独戦勝記念日」で

 プーチンは窮地に追い詰められた様を曝け出した。それだけにこの戦争が

 容易には終わりそうもないことがますます明らかになった。

 

  *

  4月28日

  原発の「60年超運転」を可能にするなどの五つの束ね法案が、原子力政策

 の大転換にもかかわらずほとんど審議がないも同然で昨日衆院を通過した。

  安保政策の時も束ね法案のスタイルで、論点を意図的に曖昧化して論議が

 巻き起こらないようにし、数を頼んで強引に通過させるスタイルがまかり

 通っている。国会での審議はないも同然。

  これには与党化したユ党の責任も大きいし、大手マスコミもなんら問題点

 を指摘することもない。もはや翼賛国会に翼賛マスコミ。

  

  5月2日

  アメリカで三つ目の銀行破綻。金融不安は到底払拭しきれてない。

 (その後もFRBは0、25%の利上げをインフレ抑制のため行った。今後とも

 インフレ抑制と金融不安払拭の難しいバランスを取らなければならない。

 時限爆弾を抱えているようなものだ。)

 

  ウクライナが近々大規模な反転攻勢を開始すると宣言した。しかしロシア

 を追い出すことは容易ではない。ゼレンスキー自身が戦争はまだまだ長引く

 と言っているようにどう転ぶか分からない。この余波としての世界中の混迷

 もますます長引きそうだ。

 

  ウクライナ東部のバフムトでのこの5ヶ月に及ぶ激戦で、ロシア軍の死傷

 者は10万人近く、死者は2万人にも及ぶという。その半分近くはワグネルの

 部隊だというからプリゴジンが不満を述べ立てるのも当然か。しかし元受刑

 者たちを肉弾にして平気で消耗し、それでロシア内の権力争いで優位な地位

 を確保しようとしてきたのがプリゴジンだし、正規軍とのバランスを見なが

 ら操っているのがプーチンだ。ともかくプーチンはバフムトの占領に拘って

 いるようだ。

 

  5日

  ウクライナの大規模な反転攻勢が始まろうかというこの時、3日未明に

 クレムリンへのドローン攻撃があったというが、撃墜されたのではなく上空

 で自爆したと見られ(大きな被害が出ないように)、色々な見方があるが

 どうやらプーチンのやりそうな「偽旗作戦」ではないか?

 

  ウクライナに対する国民の反発を煽り結束を促すため、またこれからのロ

 シアのウクライナの中枢、都市攻撃(さらには「戦術核攻撃」)を正当化す

 るためのものだろうが、ロシアの「中枢が攻撃された」というのはプーチン

 にあまりいい結果を生んだとは思えない。(それだけに別の見方もある。)

 

  中国で少し前に日本人がスパイ罪で拘束されたが、さらに「反スパイ法の

 改正」がなされ中国外での言論も取り締まりの対象とするというとんでもな

 いことになった。

  習近平に批判的な言動をしたものはもはや中国には入れないし、中国に滞

 在する日本人はいつ引っ掛けられるか戦々恐々としなければならない。これ

 では普通の商業取引も萎縮せざるを得ない。独裁者は自らの首を絞める。

 

  9日 

  「武器が届かないから10日には撤退する」というプリゴジンの脅しでワグ

 ネルへの武器弾薬の補給が約束された(?)というので、ワグネルはバフム

 トで白リン弾や焼夷弾などを使った非道な大規模攻撃を続けている。

 (しかし実際には武器は10%しか届いてないかったとプリゴジンと正規軍と

 の確執は続いているようだ。右往左往している。)

  また首都キーウを含めた諸都市への大規模砲撃やミサイル攻撃も繰り返さ

 れている。

 

  しかし対独戦勝記念日の9日までに(ドネツク州全体どころか)バフムト

 だけでも完全占領し成果をアピールしようとしていたプーチンの思惑は全く

 外れた。

 

  ロシア各地での戦勝記念の軍事パレードが20ヶ所以上中止に追い込まれた

 ようだし、赤の広場のそれも大分規模が縮小された。また「不滅の連隊」の

 パレードも中止された(ウクライナでの戦死者が浮かび上がるから)。

 

  プーチンは特別軍事作戦の成果を誇示することはできず、いつの間にか欧

 米が「本物の戦争」を仕掛けていると「戦争」である事を認め、真逆の被害

 者ヅラをすることしか出来なかった。

  3日の「ウクライナのクレムリンへのドローン攻撃」についても言及はな

 く、ロシア国民の戦意を高揚させる煽り演説をするわけでもなく、かなり

 しょぼくれた印象になってしまった。 

 

  クレムリンへのドローン攻撃については「自作自演」の最初の思惑が全く

 外れたか、または反プーチンのロシア内の勢力がやったとも考えられている。

  ウクライナからの直接攻撃だとすればモスクワまでの長距離を防空網をか

 い潜ってドローンを飛ばしクレムリンに到達したことになり可能性は低い。

 

  いずれにせよプーチンはこの戦争を止めることは出来ず、展望を打ち出す

 ことも出来なかった。ウクライナの反転攻勢がどのように進むかだが、ゼレ

 ンスキーも言うようにこの戦争はまだまだ長引くことは必至だ。

  

 

 

世界的な飢餓

  36ヵ国重大な飢餓

 

 

  *

  24日でロシアのウクライナ侵略が1年2ヶ月となる。相変わらずプーチンは

 ドネツクの要衝バフムトの攻略に固執し大量のロシア兵の命を注ぎ込んでい

 る。プリゴジンはこのプーチンの戦略を批判し対立しているといわれている。

  これからウクライナの反転攻勢が始まるといわれているが、ロシア軍を

 追い出すには更にこれまでの10倍の軍事支援が求められるという。

 

  ウクライナ産穀物の輸出窓口の黒海が封鎖されてから、大量の穀物が陸路

 経由で周辺国に流れ込み、EUもウクライナ支援の一環としてこの流れを後押

 ししてきた。ところが第三国への輸送が滞るようになると、これが東欧諸国

 の農産物市場を圧迫するようになってきた。

  このためポーランド、ハンガリー、スロバキア、ブルガリアは4月15日以

 降農産物の輸入禁止を表明するなど混乱が広がっている。

 

  ロシアは黒海経由の輸出合意を不透明化させて、このEU域内での農産物市

 場の混乱を煽りEUのウクライナ支援の結束を乱そうとしている。この問題を

 巡る混乱の正常化には時間がかかりそうだという。

 

  **

  イエメンで食糧支援に群衆が殺到し、いわゆる群衆雪崩で80名以上の人が

 死亡する悲惨な事故が起きたと20日のニュースが伝えていた。イエメンは長

 引く内戦で世界で最も飢餓が深刻な国である。

 

  先日日本が食糧危機に陥る可能性は、局地的な核戦争が勃発した場合だけ

 ではなく、コロナショックやウクライナ戦争によるエネルギー危機、食糧価

 格の高騰という形で、ますます現実化しつつあるという警鐘を鳴らしている

 『世界で最初に飢えるのは日本』という本を紹介した。

 

  現にガス、電気料金がべらぼうに高騰し、食料品は毎月のように高騰を続

 けている。既にして困窮家庭などではろくなものを食えない事態に直面させ

 られているし支援が急がれている。

 

  今の日本ではまだ全体が食糧難に陥っているわけではないし飢餓が現実味

 を帯びているわけではない。

  しかしロシアのウクライナ侵略による食糧、エネルギー価格の高騰は世界

 的な飢餓を既に引き起こし緊急の人道援助が必要となっていると、米シンク

 タンクが報告書を出している。

 

  中東のイエメンを筆頭にして中央アフリカなどアフリカ4ヵ国が「驚異的

 な飢餓」にあり、北朝鮮やアフガニスタンなどアジア5ヵ国を含む少なくと

 も31ヵ国が「深刻な飢餓」にあるという。

 

  これにはウクライナ戦争による危機に、コロナの世界的な流行が景気を減

 速させたこと、温暖化によると見られる農業や漁業の生産性の低下、さらに

 は世界で生産される食料の約3分の1に当たる約12億6000万人分の食料が廃棄

 されているという食品ロスの問題などが輪をかけている。

 

  国連では30年までの飢餓撲滅を目標としているらしいが、このままでは30

 年でも世界人口の8%に当たる6億7000万人近くが飢餓に直面するという。

 

  ウクライナ戦争が局地的な核戦争にまで至らなくとも、エネルギー危機、

 食糧危機が収まらず、世界的な経済の混乱が続き、日本政府による無策で農

 業の危機がいっそう進行し、食料自給率の改善が進まなければこの世界的な

 飢餓に日本人が含まれることはないとは言い切れないのである。