福島第一原発
原子炉容器の損傷
4月15日、ドイツが昨日で脱原発を完了した。もちろん廃炉や放射性廃棄
物の処分の課題は残り続ける。ドイツは福島原発事故を見て一層力を入れ、
しかもウクライナ戦争によるエネルギー危機にもめげず脱原発を推し進めて
きた。
一方大事故の本元の我が日本では、政府、東電は「安全神話」を振り撒い
て結局は起こした事故に対するひとかけらの責任も負うことなく、さらには
事故収束の何の展望もないまま破滅への道原発回帰を進めている。
恐ろしい話だ。
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東電は4日福島第一原発の1号機の原子炉格納容器の内部調査の動画を公
開した。核燃料が詰められていた圧力容器を支える円筒形の鉄筋コンクリー
トの土台が全周にわたって損傷し、内部の鉄筋が露出している。
損傷が酷く耐震性の再評価も余儀なくされることとなった。新たな地震で
格納容器が破損し、核燃料が露出するようなことになれば再びの大事故とな
りかねない。
さらに溶け落ちた核燃料(デブリ)が圧力容器真下だけでなく、土台の外
側にも堆積物として確認され、広範囲に散らばった可能性のあることが分か
った。デブリの取り出しの難航は必至というかほぼ不可能である。
もともと事故収束作業、廃炉で最難関とされるデブリの取り出し作業には
実は何らの展望もあるわけでもなく、こうした内部調査も収束作業をやって
いる感を出しているだけに過ぎない。
問題は如何ともし難い溶け落ちた核燃料の取り出し作業だけでなく、ほぼ
永久に発生し続ける放射能汚染水、そしてこれをALPSで処理した後に残る
高濃度放射性廃棄物ー今この保管タンクや場所が満タンとなりALPSの運転
すらヘタをするとストップしかねない事態にあるーそれでもトリチウムの残
る処理水などなど、溜まり続ける放射能汚染物を一体どうするのか?展望は
何もない。
政府、原子力マフィアどもはこれらの難題を何ともすることも出来ぬまま、
エネルギー危機や脱炭素を口実として原発に回帰しようとするのである。
福島原発事故の教訓をまるで無視して、原発の60年超の運転を可能とする
原子力政策の改悪「束ね法案」などを通そうとしている。
そこに透けて見えるるのはともかく現状のエネルギー危機回避を口実にし
て原発を動かしマフィアどもが儲ければいい、そして原子力産業を保護し、
核技術を手放さず将来の核武装の余地を残すためならなんでもあり、「後は
野となれ山となれ」という恐ろしいほどの無責任な本音である。
明らかにこの地震列島日本においては、この所業は新たな解決困難な難題
を積み重ねるしかないものであり、日本人を破滅への道に導くものである。
(CF 4月5日、18日 「東京新聞」)
マイクロプラスチック
被覆肥料
長さ5ミリ以下のマイクロプラスチックはカツオやイワシなど多くの海洋
生物の体内から見つかっている。様々な規制が始まってはいるが、まだ圧倒
的なプラスチックに我々は囲まれており、プラごみによる海洋汚染が深刻な
問題となっている。
ある環境調査団体によると20年度16都道府県の120の河川や港湾、湖を調
べたところ約9割の112地点で人工芝や肥料の殻などのマイクロプラスチック
が確認された。
ここでいう肥料の殻とは肥料メーカーのプラスチック被覆肥料のことだ。
直径が2~4ミリで、水分が浸透すると殻が破れ徐々に成分が溶け出す仕組み
になっており、春にまけば夏に肥料を追加する手間が省けることなどから、
70年代から主に稲作で使われてきたそうだ。
この肥料の殻が水田から流れ出て海や湖を汚染していることが問題視され
るようになってきた。
これに対して肥料メーカーなどの協会やJA全農などは30年までにプラス
チック被覆肥料の使用ゼロを目指す方針を打ち出したそうだ。
まずはプラ量が少ない減プラを進めプラを使わずに済む技術革新を待ちた
いとしている。現に地中の微生物により水と二酸化炭素に分解される被覆材
が開発され実用化が目指されている。
30年までに使用ゼロを目指し、稲作肥料の脱プラの加速を願うばかりだが、
これがプラスチック使用品の核心ではない。
便利だから安いからといかに私たちがプラスチック頼りで生きてきたのか
を改めて考えなおし、脱プラを進めなければならないが周りがプラスチック
だらけという現状は変わってはいない。
また既に海に流れ込んでしまっている(マイクロ)プラスチックをどのよ
うに回収するのかの手立てなどは何も考えられていない。
(CF 3月20日 「東京新聞」)
人口激減社会
異次元の少子化対策?
4月5日、ゼレンスキーは激戦地バフムトについて自国兵士が危機に瀕する
ことになれば撤退することもあると示唆したようだ。
また6日ワグネルのプリゴジンは「敵はどこにも去っていない」とウクラ
イナ軍がバフムト市内で徹底抗戦を続けている事を認めているらしい。
それほど未だにバフムトでは一進一退の消耗戦が続いているようだ。
他方ロシア国防省がウクライナ東部侵攻作戦のムラドフ司令官を解任した
らしいとの情報がある。バフムトを含むドネツク州南部の制圧に繰り返し失
敗して、ここ数ヶ月で「異常に多くの犠牲を出した」(これはウクライナ側
からかなり前から言われていた)からとされる。
ウクライナの大統領府副長官は英国の新聞に対し(4、5月からの)反転攻
勢が進み、南部クリミア半島との境界までロシア軍を押し戻せれば「外交交
渉を進める用意はあるが、軍事行動でクリミアを解放する可能性を排除しな
い」と述べたらしい。反転攻勢が進めばの話だが、ウクライナ側もクリミア
の解放を前に停戦交渉もありうると検討しているのかもしれない。クリミア
解放はロシアにとってのデッドラインだとする米政府内の危惧を考慮してい
るのだろう。
事態が停戦、和平に向かって進めばいいのだが、どうなるにせよ多くの若
者たちが犠牲になっているウクライナでは将来の人口減が予測され、「精子
凍結バンク」など(もちろん人口減対策のためだけではなく)がかなりの規
模で進められているとか。
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わが日本では少子化対策が言われ始めて30年も経つが政府は一向に有効な
手を打てず、昨年の出生数は見込みより11年も早く、初の80万人割れとなり
大騒ぎになっている。(21年の死亡者数が144万人だからおよそ65万人近く
の自然減。中核都市船橋市61、5万人規模が消滅したことになる。)
日本の人口は08年の12800万人をピークに減り始め、22年9月で12500万人。
人口推計の標準的なシナリオでは53年に1億人を切り、2110年には5300万人
程度と半分以下に落ち込むとか。
(80年近くも先の推計にあまり意味があるとは思えないが。)
出生数はシナリオより悪い減り方で推移している。
とりわけ20年先の42年まで65歳以上が増え続け15〜64歳の生産人口年齢
が急減する一番苦しい時期と言われる。
高齢化が進めば先にあるのは「多死社会」で、21年の年間死亡者数は約
144万人、推計で40年頃のピークには168万人に達する。
このままでいけば近未来は「人口激減社会」となる。
5年後に団塊の世代が80歳を超えると、介護が必要な人が一気に増え、介
護人材は不足し「介護難民」が増える。
「働き方改革」とかもあり既に物流への影響が深刻化し始めており、7年
後の30年には国内で35%の荷物が運べなくなると言われている。
人口激減社会では労働力が減り、生活サービスや社会保障の量や質が低下、
内需は減り経済が縮小していく。
既に衰退の気配が濃い日本社会にますます拍車がかけられていく事は間違
いない。
「異次元」とか言葉だけが踊っても岸田軍拡だけが異次元でこれに予算を
取られて、少子化対策予算の捻出の当てもないような場当たり的な対策では
なんともなりそうもない。いずれにせよ待っているのは増税だ。
根本的には非正規労働者ばかりが増えて、適齢期の人たちの(だけでなく)
賃金が安く結婚したくとも出来ない、生活が成り立たない、子育ての将来に
展望を見出せない、この疲弊した日本経済の現実に問題があるからである。
物価高で苦しくなる一方の生活を打開する手立てをどこにも見出せてない
のだから子供が増えるはずもないのである。
(C F 3、18「東京新聞」) 4、10
4、13 補足
12日総務省発表(22、10、1時点)
総人口(外国人含む)は約12500万人 (前年–55、6万人)
日本人は約12200万人 (前年–75万人、その前は–61、8万人)