鬼川の日誌 -323ページ目

 八ヶ岳・大同心稜

  大同心稜  小出、林係りのぼろ例会 09,2,7~8 13名 


  アルプス登頂隊の2回目、八ヶ岳・横岳大同心稜の企画に参加。
 1回目の阿弥陀岳・北稜から20日ですし、今一番の厳冬期ですが、前回より
 明らかに雪が少なく、目標の大同心の岩峰にまるで雪が付いていない。
 前回は一応白く見えたのに。
 
  赤岳鉱泉への車道は凍っているところが多くて歩きにくい。山道に入っても
 ところどころ雪がなくなって水の流れが出てきている。これには驚いた。
 いつものように赤岳鉱泉に到着し、自己紹介と軽く一杯後夕食。
 今回は秋刀魚の塩焼き。参加メンバーは少し入れ替わったが、同じく13名。

    * 大同心へ

  8日朝天気が悪い。今回も隊を編成し、隊毎に行動する。私の隊は
 O,N,Yでおに隊。雪がちらつき、ガスも出てかなり気温は低いが、急な
 雪稜を登っていくとそれでも汗ばんでくる。濡れないように早めに温度調節。
 登っていくうちに風も出てくる。

  大同心の岩峰基部に着いたのが9:10分頃で、これからいよいよ岩に取り
 付くというのに、この頃が一番天気の様子が悪かった。

  トップの小出係り隊に続き、岩峰を巻いてトラバースしていく。こういう
 トラバースは岩に雪が付き、道が出来ている方が易しい。しかし足元の
 雪道が崩壊することもあるので、要注意。ロープで確保してもらい進む。

  セカンドのビレイは適当な岩にスリングを巻きつけ支点を作り確保する。
 ここの岩はごつごつと突き出ているので支点を作りやすい。
 しかし下りで、掴んだ小さな岩がボロッと剥げ落ちたときはドキッとした。
 確認を怠ると危ない。

  50mもないくらいでトラバースは終わり、溝状の急な雪壁になる。これが
 2段で、ここに雪がなければ一番の難所かな?吹き溜まりで雪も深い。
 雪がさらさらで先頭の足跡が消えているところもあった。

  雪壁ではピッケルを刺し込んで、これを支点にするしかないが、2段目は
 かなり急なので、私は横の岩に支点を作ったが少し手間取った。
 雪が悪く心もとないが、やはりピッケルで支点にした方が早い。
 セカンドはそう大きな負荷が掛かるわけではないから。

  この雪壁を越えると、傾斜も緩みコンテで行動できると判断したので、
 ロープを3人で体に巻いて登る。難所の終了点で小出係り隊が待っていた。
 10:45頃。この頃は晴れてきたので振り返った大同心の岩峰が素晴らし
 かった。遠くに富士見スキー場が見えた。

    * 横岳の稜線から戻る

  ガスも取れ天気が回復してきたと思ったら風が出てきた。横岳の稜線目指
 して雪壁を登っていくとこの風がいよいよ強くなっていく。稜線の標識に出た
 ところで小出係りが吹き飛ばされて転んだ。

  恐ろしいほどの風で、足元の氷の粒を巻上げ吹き付けてくるので顔が痛くて
 堪らない。しばらく耐風姿勢でいたが、風は止みそうにない。赤岳方向でも、
 硫黄岳方向でも稜線は歩けそうにない。
 風に顔を曝していれば確実に凍傷になるのは間違いなく、怖いと感じるほどの
 凄さだった。

  あまりの凄さに登ってきた道を引き返し、小出係り隊に続いて大同心稜を
 降ることにした。風が吹き付けてくる方向だが、稜線から降りると風は弱くなる。
 稜線を乗り越えるときに風は強くなるようだ。飛行機の翼の上と同じ原理かな?

  ちなみに八ヶ岳の冬の風は基本的に(北)西風。3、4年位前、正月開けに
 赤岳からキレットを越え、権現岳、三ツ頭、天女山と歩いたとき、南下し
 ながらの右側からつまり西からの風にずっと曝されて、顔の右側に凍傷を
 負ったことがある。

  バリエーションのルートは登るより降る方が難しい。しかしルートや難度は
 今登ってきたばかりで良く分かっているので、降れると判断できた。降りは
 リーダーが上で確保しながら進むことになる。

  私達が慎重に大同心岩峰の基部まで降ったのが12時頃。ここは風もなく
 穏やかだった。良く晴れてきたので、中央アルプス、御嶽山、乗鞍岳、そして
 大キレットを挟んだ穂高と槍が見渡せた。

  赤岳の山頂では猛烈な風が吹いているようで雪煙が上がっていた(最後
 の写真)。今回赤岳などに挑戦した人たちのほとんどが強風で撤退した
 らしいと降ってから聞いた。

  大同心基部で少し休み、赤岳鉱泉に降った。降りは快適な雪道だった。
 私達は13:30前くらいには赤岳鉱泉に到着した。

     八ヶ岳・大同心稜

 焼岳山スキー

 11~13日、尾瀬岩鞍スキーに行ってきました。雪質は申し分なく、また二日目から雪でしたが
 それほど酷い降りにはならずまあまあのコンディションでした。3日目は新雪を滑りました。
 写真はゴンドラ山頂からの上州武尊山です。


鬼川の山行日誌と独り言






 焼岳山スキー 伊奈係りのぼろ例会 09,3,13~15 17+4名

  14日、平湯温泉スキー場まで行ったがかなりひどい吹雪で、金山岩
 山スキーは中止し、中の湯温泉に直行し沈殿。大雪が断続的に降り続く。
 夕暮れには宿の周りが見事な日本画を見るような雰囲気でとても素晴らし
 かったが、肝心のカメラを忘れた。いずれにせよこの景色を写すのは難しい。

  この宿では餌場を設置し小鳥や動物が来るのを見られるようにしてある。
 木の幹に括られた餌にテンが食いつき持っていくところを見た。
 金色の暖かそうな毛並で見事な尻尾をしていた。

  また小鳥用の餌場ではセットしてある望遠鏡でクマゲラを見ることが出来た。
 頭頂部が真っ赤だったからオスなのかな?いずれも私ははっきり見たのは
 初めてで結構感激。
   
   * 焼岳へ

  15日昨日一日降り続いた新雪に快晴、絶好の山スキー日和となった。
 しかし山スキーの例会なのにスキーシールを忘れてくる大バカモノがいる。
 シールを忘れては手も足も出ないから通常なら宿で留守番か、近くに
 スキー場でもあれば一人でゲレンデスキーかというところだったが、中の湯
 温泉には貸しスノーシューがあった。

  バカモノは一人スノーシューでスキー板を担いで、皆の後を着いて行く事に
 なった。たっぷりの新雪で苦労することは目に見えていたが、自業自得である。
 この日岐阜山の会のメンバー4人が合流した。

  歩き出してみると、スキーシールは滑らせて歩けるから一歩一歩が大きいが、
 スノーシューは文字通り歩幅だけ。とりわけ平らなところや斜度の緩いところ
 ではダントツに差がつき、まず着いていけない。浮力も小さく新雪では皆の
 後ろでも少しだが潜る。担いだ板が皆はなんともなく通過する藪や樹林帯で
 結構引っかかり不快。

  こうした小さな差の積み重ねがだんだん大きな差になっていく。また軽い
 はずの山スキー用板でもずっと担いでいると重くなってくるものだ。

  斜度が急になってくるとシールではキックターンをしながらジグザグに登る
 わけだが、ここで苦労する人がいる。唯一スノーシューではその点では
 苦労しない。これだけが取り得かな?しかし足の運びに慣れないと急斜面
 では滑る。足のつま先を踏み込むように体重をかければバックしないですむ
 なと分かった頃には終わりが近い。

   * 大ボウルを滑る

  そんなこんなでスノーシューで皆に着いていくのは結構大変で、焼岳の
 大ボウルをどん尻で登った。この日はいい天気で暑く大汗をかかされた。
 体調もあまり良くないこともあり辛かった。
 しかしスノーシューで結構登れると分かったのは成果かな?

  とにかく何とか焼岳北峰の噴火口すぐ下まで登り、ここから大ボウルと
 いわれる斜面を滑り降りることが出来たのは、苦労しただけに最高の
 気分だった。
 滑るのは早い。あれだけ大汗をかいて登った斜面も一瞬で滑り降りる。
 実にあっけない。

  登りで見た誰も滑ってない綺麗な斜面も20名もの人が滑り降り、あっという
 間にずたずたの斜面となった。昨日の大雪後の新雪を滑れ私達はとても
 ついていた。

  私達の滑りに驚いた真っ白な雷鳥が飛んで逃げていった。
 大ボウルが終わり、下堀沢を滑りたかったが、昨日の雪の後では、雪崩れで
 有名なこの沢に入る気にはなれなかったので、樹林帯を下った。
 樹林帯を滑るのは相変わらず難しいものだ。

  私はシールだけでなくカメラまで忘れてしまったのですが、Nさんが貸して
 くれた。いい天気で焼岳の南北峰とその間の大ボウルは素晴らしかった。
 穂高岳霞沢岳も綺麗でした。カメラがなければ、後悔したでしょう。

       焼岳山スキー

 奥多摩山ノ神尾根

  奥多摩山ノ神尾根 つくも会 09,3,31  3名

  3月31日仲間二人を誘い、奥多摩の山ノ神尾根に行ってきました。
 神奈川からは奥多摩駅までが遠いです。平日は日原方面のバスが8:10の
 後は10時過ぎしかなく、8時に着くには5時前の電車で出発です。

   * 伽藍神社

  川乗橋手前の白妙橋でバスを降り、吊橋を渡ります。渡ったところに小さな
 岩のゲレンデがありました。相当難しそうな岩です。橋から小菅の集落まで
 戻る感じで登っていきます。集落の中の車道に出たら、道なりに登るか、集落
 の中を上へと登っていけばまた車道に出ます。出たところのすぐ傍に神社に
 登る階段がありますし、水場もあります。伽藍神社まで30分弱。

   * 小菅山

  神社の左手に道があり、道なりに登っていく。しばらくは道も明瞭です。
 道が西向きになり広い尾根になると、今杉の間伐と枝打ち作業がやられて
 いるようで目印の紐がそこら中の杉に巻かれていますし、落とした枝と作業道
 で道も不明瞭になります。

鬼川の山行日誌と独り言


 尾根を巻かずに上へ登っていくのがいいようです。小菅山の手前では道は
 ありません。
 神社から小菅山まで1時間強です。小菅山989mの看板があります。
   
   * 1286m付近

  小菅山から少し下り急登になりますが1000mの少し上で露岩があります。
 地図を見ると左手に巻き道があったのかもしれませんが、私達はこれを
 登りました。ここは急で足場も悪く要注意。小菅山から尾根は明瞭で迷う
 ことはありません。

鬼川の山行日誌と独り言


  1200m付近から道が南向きになり、すぐにかなり急登となると、露岩に
 ぶつかります。ちょっとした岩登りの様子ですが、見ると右手に巻き道が
 あり私達はこれを行きました。巻き道の右手が切れ落ちていて要注意です。
 大勢では露岩を登り補助ロープを張ってもいいかな?これを越えた1286m
 付近まで小菅山から約1時間です。

   * 狩倉山

 この辺から狩倉山にコンパスを合わせ、右手の小ピークは巻いて狩倉山の
 北斜面を登っていきます。この取り付き付近は広い窪地になっていてとても
 雰囲気のいいところです。テントを張り暗闇の一夜を過ごすにはもってこいか
 と思いました。

鬼川の山行日誌と独り言


  北斜面は雪も少し残り凍っていましたので、滑りやすかったです。
 約30分弱で狩倉山、といっても小広い台地で、見落としそうな小さな紙の
 表示が木に巻かれているだけです。
 少し行くと石尾根縦走路に出ます。ここまで白妙橋から3時間15分ほどでした。

  下りの石尾根は結構長いです。車道に出るまで1時間20分ほど、更に駅まで
 30分強掛かりますが、歩きやすい道です。

 * 伽藍神社

  山ノ神尾根には小菅集落(大菩薩の裏手の小菅とは違います。)の伽藍神社
 から 取り付きますが、この伽藍神社というのに何となく引っかかった。

  伽藍というのは基本的にはお寺の建物のこと僧侶が修行する場所のことで、
 僧園とか精舎とも言います。平家物語の冒頭「祇園精舎の鐘の音」とある、
 あの精舎です。

  ちなみに「がらんどう」という言葉がある。伽藍を守る神が伽藍神でそれを
 祭るのが伽藍堂、広々して殺風景な場所、これから転化して中に何もない
 からっぽという意味で使われるようになったともいう。

  ここはもしかしたら元はお寺であったのか?
 伽藍堂であったのか?などと勝手に思います。
 そんなことはこの神社の歴史を調べなければ何ともいえませんが、不思議な
 神社です。
 誰か薀蓄の多い方教えてください。