八ヶ岳・大同心稜 | 鬼川の日誌

 八ヶ岳・大同心稜

  大同心稜  小出、林係りのぼろ例会 09,2,7~8 13名 


  アルプス登頂隊の2回目、八ヶ岳・横岳大同心稜の企画に参加。
 1回目の阿弥陀岳・北稜から20日ですし、今一番の厳冬期ですが、前回より
 明らかに雪が少なく、目標の大同心の岩峰にまるで雪が付いていない。
 前回は一応白く見えたのに。
 
  赤岳鉱泉への車道は凍っているところが多くて歩きにくい。山道に入っても
 ところどころ雪がなくなって水の流れが出てきている。これには驚いた。
 いつものように赤岳鉱泉に到着し、自己紹介と軽く一杯後夕食。
 今回は秋刀魚の塩焼き。参加メンバーは少し入れ替わったが、同じく13名。

    * 大同心へ

  8日朝天気が悪い。今回も隊を編成し、隊毎に行動する。私の隊は
 O,N,Yでおに隊。雪がちらつき、ガスも出てかなり気温は低いが、急な
 雪稜を登っていくとそれでも汗ばんでくる。濡れないように早めに温度調節。
 登っていくうちに風も出てくる。

  大同心の岩峰基部に着いたのが9:10分頃で、これからいよいよ岩に取り
 付くというのに、この頃が一番天気の様子が悪かった。

  トップの小出係り隊に続き、岩峰を巻いてトラバースしていく。こういう
 トラバースは岩に雪が付き、道が出来ている方が易しい。しかし足元の
 雪道が崩壊することもあるので、要注意。ロープで確保してもらい進む。

  セカンドのビレイは適当な岩にスリングを巻きつけ支点を作り確保する。
 ここの岩はごつごつと突き出ているので支点を作りやすい。
 しかし下りで、掴んだ小さな岩がボロッと剥げ落ちたときはドキッとした。
 確認を怠ると危ない。

  50mもないくらいでトラバースは終わり、溝状の急な雪壁になる。これが
 2段で、ここに雪がなければ一番の難所かな?吹き溜まりで雪も深い。
 雪がさらさらで先頭の足跡が消えているところもあった。

  雪壁ではピッケルを刺し込んで、これを支点にするしかないが、2段目は
 かなり急なので、私は横の岩に支点を作ったが少し手間取った。
 雪が悪く心もとないが、やはりピッケルで支点にした方が早い。
 セカンドはそう大きな負荷が掛かるわけではないから。

  この雪壁を越えると、傾斜も緩みコンテで行動できると判断したので、
 ロープを3人で体に巻いて登る。難所の終了点で小出係り隊が待っていた。
 10:45頃。この頃は晴れてきたので振り返った大同心の岩峰が素晴らし
 かった。遠くに富士見スキー場が見えた。

    * 横岳の稜線から戻る

  ガスも取れ天気が回復してきたと思ったら風が出てきた。横岳の稜線目指
 して雪壁を登っていくとこの風がいよいよ強くなっていく。稜線の標識に出た
 ところで小出係りが吹き飛ばされて転んだ。

  恐ろしいほどの風で、足元の氷の粒を巻上げ吹き付けてくるので顔が痛くて
 堪らない。しばらく耐風姿勢でいたが、風は止みそうにない。赤岳方向でも、
 硫黄岳方向でも稜線は歩けそうにない。
 風に顔を曝していれば確実に凍傷になるのは間違いなく、怖いと感じるほどの
 凄さだった。

  あまりの凄さに登ってきた道を引き返し、小出係り隊に続いて大同心稜を
 降ることにした。風が吹き付けてくる方向だが、稜線から降りると風は弱くなる。
 稜線を乗り越えるときに風は強くなるようだ。飛行機の翼の上と同じ原理かな?

  ちなみに八ヶ岳の冬の風は基本的に(北)西風。3、4年位前、正月開けに
 赤岳からキレットを越え、権現岳、三ツ頭、天女山と歩いたとき、南下し
 ながらの右側からつまり西からの風にずっと曝されて、顔の右側に凍傷を
 負ったことがある。

  バリエーションのルートは登るより降る方が難しい。しかしルートや難度は
 今登ってきたばかりで良く分かっているので、降れると判断できた。降りは
 リーダーが上で確保しながら進むことになる。

  私達が慎重に大同心岩峰の基部まで降ったのが12時頃。ここは風もなく
 穏やかだった。良く晴れてきたので、中央アルプス、御嶽山、乗鞍岳、そして
 大キレットを挟んだ穂高と槍が見渡せた。

  赤岳の山頂では猛烈な風が吹いているようで雪煙が上がっていた(最後
 の写真)。今回赤岳などに挑戦した人たちのほとんどが強風で撤退した
 らしいと降ってから聞いた。

  大同心基部で少し休み、赤岳鉱泉に降った。降りは快適な雪道だった。
 私達は13:30前くらいには赤岳鉱泉に到着した。

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