和平は遠のくばかり
ガザ8ヶ月
人質4人の解放の作戦でイスラエル軍は270人以上のパレスチナ人を
虐殺した。怪我人はその3倍近くで合わせて1000人近い人が死傷した。
また瓦礫に埋まっている人も多数いるという。あまりに残虐。
(このニュースをNHKなどでは項目としては挙げていながら、喋る時
ではカットしたりして意図的に扱いを小さくしている。イスラエル、
米に配慮してるらしい。全く信用ならない。)
そのつい数日前にも学校空爆で40人以上を殺している。
悲惨にも子供達の犠牲が多い。
イスラエルのガザ攻撃で死者は3万7千人を越えた。その他瓦礫に埋
まっている人は7、8千人以上といわれる。
こんなとんでもないジェノサイドを国際社会は止めることが出来ない。
かつてユダヤ人はナチスの迫害で数百万人が収容所に送られ、ガス室
で殺された。ホロコーストの悲劇の記憶は消えることはない。
まさに自分たちに降りかかったあの惨劇を忘れたかのような今のイス
ラエルによるパレスチナ人に対する組織的絶滅作戦はなんとしても許す
ことはできない。
逆にあの惨劇があったからこそ身を守るため、自分たちの存在を脅
かす者達には残虐行為であれあえてやるのだという連中(ネタニヤフ達)
もいる。今回のハマスによる越境攻撃、イスラエル人虐殺と人質確保を
理由とする。
ハマスのイスラエル人虐殺が今回のジェノサイドのいいきっかけとさ
れていることは確かだが、そのハマスの反撃に至るイスラエルのそれま
でのガザ地区のみならずヨルダン川西岸地区における、パレスチナ人の
徹底した弾圧、パレスチナ人の土地を奪う入植地の次々の拡大、これに
より押しつぶされそうだったパレスチナ人達の怨念を忘れるわけには
いかない。ハマスも越境攻撃に対するイスラエルの反撃で、またまた
ガザ地区の人々が多大な犠牲になることを織り込み済みで残虐をあえて
したのだからその責任は重大である。
そしてネタニヤフはハマスによる越境攻撃の情報をある程度掴んでい
ながら(大したことにはなるまいと)あえてやらせた(やらせて国内の
結束を高める、反撃の口実にする)節がある。(思惑以上に重大になって
しまった。)少なくとも情報を掴みながらタカを括って対応策を取らな
かった責任がある。
現にイスラエル国民から越境攻撃を許した責任を追求されている。
それだからこそ今の虐殺攻撃の手を緩めることは自分の首に繋がるので
できないのである。
そしてそもそものイスラエル建国自体がパレスチナ人の土地を奪って
できたものであり、それ以来の中東紛争、そして数次に渡る中東戦争と
イスラエルの圧勝に根を持つわけだ。
第二次大戦後以来のこじれにこじれた歴史の中の今の大虐殺である
からこの惨劇を止めるだけでも容易なことではない。
虐殺の先頭に立つのがイスラエル戦時内閣、とりわけその中の極右派
(=ネタニヤフ)たちである。中には宗教的狂信者もいるが、よくよく
見るとヨルダン川西岸地区などで入植地の拡大の先頭に立ち、自分の土
地を確保することを第一とする者達の代弁者に他ならない。結局は何の
かの言っても私利私欲に駆られた(宗教で粉飾した)者達、または
同じことだが自分への責任追求から逃れる(ネタニヤフ)ためなのだ。
流石にイスラエル国内でもガンツ元国防省が戦時内閣から離脱する
と表明し総選挙を求めており、ネタニヤフ退陣要求のデモが拡大する
動きがある。しかし他方戦時内閣ではガンツの退陣で極右派の力が逆に
強まり、ハマスとの和平交渉は一層難しくなる恐れがある。
*
バイデンはますます強まる若者やアラブ人社会からの反発を危惧して
和平案の受け入れをイスラエル、ハマスに要請しているものの、どちらに
対しても強制する力はない。
アメリカ社会はウクライナに続くイスラエルに対する巨大な軍需物資
の支援で、軍産複合体は大儲けしているわけで、これで経済的活況が
支えられている。だから和平の実現を本音で望んでいるとはとても言え
ない。バイデンも儲けている軍産複合体の意向やユダヤロビーの力を
無視するわけには行かないのであり、この点ではトランプも同じだ。
ガザと日本
ジェノサイドが続いている
イスラエルはガザ中部で人質4人を解放したらしい。そのためのハマス
に対する攻撃でパレスチナ人210人以上(9日には270人以上と発表)と
驚くほど多数を虐殺した。これでも「「ハマスは人殺し集団」と非難する
のだからネタニヤフの鉄面皮ぶりには怒りしかない。
和平の新提案がバイデンにより発表されて以降、イスラエルの極右派の
反発で、むしろガザに対する攻撃は激化しており、イスラエルは先日も
学校に対する空爆で40人以上を殺した。どちらも多くの子供達が殺され
ている。
和平交渉仲介役のエジプトも非難しており、これでは和平交渉!なんか
が進展するはずもない。
どこまでも泥沼化(イスラエルによるジェノサイドが続く)しそうだ。
*
イスラエルがこれだけ長期に(もう8ヶ月になる)ガザ攻撃を繰り返し
得るのも全てアメリカバイデン政権の支援があればこそだ。
アメリカでは「ジェノサイド、ジョー」に対する若者の抗議行動は強
まり、若者、アラブ人のバイデン離れが進む。
トランプに裁判で有罪判決が出たし、そもそもトランプはどうしよう
もないとはいえ、今アメリカでは「ダブルヘイター」(バイデンもトランプ
も嫌い)がじわりと拡大しているらしい。
選択肢がないのでこの声は大統領選挙投票に行かないとなるだろう。
しかしこれも結果トランプに有利に働きかねない。
*
アメリカ民主主義の危機?とか言われているが、機能不全に陥っている
のはどこよりも日本だ。
ガザでは現に多くの人が殺され続けている。100万人単位の人が飢え
苦しんでいる。その深刻さには比すべくもないのだが、我が日本の現状は
経済的低迷、政治的混迷という意味での深刻さは大変なものだ。しかも
どこにもそれを打開する力が見当たらない。情けない話だ。
そのいい例が自民党安倍派の裏金問題の真相解明は結局は闇のままで、
目先を変えるだけの「政治資金規正法の改正案」が国会を通過すること
になる酷い茶番劇だ。
(「企業団体献金の禁止」はなく、制作活動費の10年後!ージジイども
はもうあの世だーの明細公開とかあまりにも馬鹿馬鹿しい改正?案。)
*
4月になっても実質賃金の目減りが25ヶ月続いている。賃上げの効果
は中小企業には行き渡りそうもない。基本的には低迷する日本経済に
根を持つ日本売りといえる進む一方の円安、そしてそれによる物価高で
生活が追い詰められていることへの肝心の対策なんかはそっちのけ。
というか岸田政権はそもそもそれどころではなくずっと裏金問題の誤魔
化しだけで手一杯。何も出来ない無能無策。
*
その一方で岸田の原発政策の大転換(原子力マフィアの指図)により、
5月29日原子力規制委員会は来年で40年となる高浜3、4号機の60年まで
の運転延長を認めた。
延長認可は7、8基目。高浜原発1号機は49年、2号機が48年。
老朽原発の稼働が続く高浜原発ではこのままでは使用済み核燃料の置き
場である原発内のプールがあと3年で一杯になる。
その上県外移設の展望はどこにもない。
*
無実の人が死刑を執行されたかもしれない飯塚事件は再審が認められ
なかった。袴田さんも実質殺されたようなものだし、公安警察による
でっち上げ冤罪が明白にされた大川原化工機事件(この時も「人質司法」
で顧問だった人が実質殺されている)は、国と都に対する損害賠償訴訟
裁判中。
これまでに4件もの冤罪死刑判決が覆されて再審無罪が勝ち取られて
いる。島田事件の赤堀政夫さん、免田事件の免田栄さん、松山事件の
斎藤幸夫さん、そして財田川事件の谷口繁義さん。
もう4人とも帰らぬ人となっている。
これだけの冤罪事件がある。再審無罪を勝ち取る事は稀有で至難。
それが4件もある。これだけでも私たちが生きている社会が矛盾だらけ
であること、生きにくい社会であることを示している。
(9日に一旦投稿しましたが投稿やり直しました。)
アジサイと日本の土 2
日本の土(黒ボク土)
* 黒ボク土
戦後の日本はやせた土地を改良し農作物の収量アップを目指してきた。
この時使われたのが肥料の三要素、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)
を原料とした化学肥料だった。
中でもリン鉱石を原料とするリン酸アンモニウムはほぼ100%輸入に
依存してきた。今でも全輸入量47、2万トンのうち中国からが35、8万
トンと約75%を占めており、ウクライナ戦争に絡む中国の輸出規制で
大きな影響を受けた。これだけでも日本は中国との関係を良好に保つ
ことが死活問題であることがよく分かる。
日本の国土の31%、畑の47、2%を占めるのが真っ黒で歩くと「ボク
ボク」することから名がついた黒ボク土である。活火山の周りで火山灰
が降り積もった主に台地に多い。
黒いのは森林の枯れ葉などが分解された腐食(有機物)が多いからで
あり、森林多雨の酸性土壌である。
黒ボク土は世界で最も肥沃な土チェルノーゼム(ロシア語で「黒い土」、
東欧、北米、中国東北部など、中でもウクライナはヨーロッパの穀倉
地帯である。)の10倍の有機物を含み、世界で最も黒いといわれる。
だから黒ボク土は一見肥沃に見える。
黒ボク土は通気性、保水性、排水性に富み、軽くて耕し易いと物理的
特性はいいのだが化学的特性に問題がある。酸性土壌であることとこれ
に多く含まれる火山灰由来の粘土鉱物アロフェンはリン(リン酸)との
結合力が極めて強くこれを離さない。
このため植えた植物がリンを吸収できずリン欠乏になり生育が極めて
悪くなる。
戦後リン酸アンモニウムなど化学肥料が大量に投入されるまで農業に
不向きな「やせた土地」だった。
ただソバは根からシュウ酸を出し粘土に吸着しているリンを溶かし出
して吸収することが出来る。だから北海道、東北、長野県などの黒ボク
土にはソバの名産地が多い。
宮沢賢治は土壌学を学んだ土の研究者でもあり、農業に向かない酸性
の黒ボク土が広がる東北地方の土壌改良に取り組んだ。石灰肥料を普及
させるセールスで苦労したそうだ。
* 沖積土、褐色森林土
日本の土は黒ボク土の他、扇状地や沖積地(平野)にあり、主に水田
稲作に使われている沖積土(未熟土)、そして山地や丘陵地、主に森林下
に見られる褐色森林土(若手土壌)などに分類されるそうだ。
水田は季節的に水を張ることで連作障害を防ぎ、また上流の森から流
れ出す養分を回収することで酸性土壌を中和し肥沃な土地となっている。
水田稲作はおよそ2500年(縄文後期から)に渡る土木事業の末に、
全長40万km(地球10周分)もの用水路が整備されて実現され日本人の
胃袋を支えてきた。
Cf 『東京新聞』24、5、19 「日本の土」