食の安全 | 鬼川の日誌

食の安全

  アメリカの言うなり

 

 

  H3ロケット打ち上げ失敗。ロケット技術とは基本軍事技術だから成功し

 たからといって手を叩くつもりはないが、この失敗は今現在の日本の科学

 技術力の衰退を見事に象徴している。

  そしてこの衰退の根本は日本の経済力の衰退であることは間違いない。

 (前記「食糧危機」もその一つ)

 

  こうなると自前のロケットなどは夢のまた夢。H3の開発に2000億円を

 費やしたというからもの凄く金がかかるし。

 

  岸田は「トマホーク400発購入」など軍事力をますます米国(米軍産複合

 体)に依存する、ゴマを擦るしかなくなる。今や自衛隊と米軍との一体化が

 猛スピードで進んでいる。

 

  こうして安保、軍事を根本にして食料問題も米国(畜産大手、穀物メジャ

 ー)の言いなりになる構造が作られ、「貿易自由化」の名の下米国の要求

 通りに関税を引き下げ、日本の農業をますます危機に追いやっている。

  食料自給率を上げる手を打つどころか農業の壊滅、衰退も意に介さない。

 

 * 日本人が食わされているもの

 

  こうなると当然危ない遺伝子組み換え作物や農薬まみれ、ホルモン漬けの

 穀物、肉、など米国内でも危なくて買われなくなったものを米国は日本に売

 りつけている。そして驚くことに日本ではこれを買う仕組みが作られている。

 

  人体への有害性が懸念されEUや日本でも使用が禁止されている「ラクト

 パミン」という牛、豚のエサに混ぜる成長促進剤について、日本では米国

 からの輸入にあたって「サンプル検査」(しかし残留基準がそもそも安全か

 すら疑わしい)によって調べている。

  ところが輸入される量に対してごく僅かな数しか検査せず、しかもサンプ

 ルを取った後安全が確認されるまで待機するのではなく、そのまま通関させ

 て、市場に出回ってしまっているらしく実質「ザル」でなんの規制もないに

 等しい。

  

  アメリカの赤身牛肉から通常の600倍!もの「エストロゲン」(女性ホル

 モンでこれも牛の成長ホルモンとして使われる、乳がんの増殖因子となる)

 が検出されたりしている。

 

  グリホサート(ラウンドアップ)という除草剤はもともと遺伝子組み換え

 (GM)作物とセットに開発されたものだ。(グリホサートに耐性を持つGM

 作物だけ残してそれ以外の雑草を枯らす。)

  グリホサートには発ガン性が疑われており、また体内の腸内細菌を殺して

 様々な疾患を誘発することが指摘されている。

  穀物メジャーはまた収穫前に除草剤をかけて乾燥させて収穫作業を楽にす

 るとか、収穫後に「防カビ剤」(日本では禁止されている)を散布したりす

 る(残留しやすくなる)。

 

  17年の検査で輸入小麦のアメリカ産の97%、カナダ産の100%からグリホ

 サートが検出されている。(その他GM大豆、GMコーン)

 

  このグリホサートへの懸念は世界中で高まり規制が強化されてきている(

 当のアメリカでも)のに、日本では17年摂取限界値を、小麦で従来の6倍、

 そばで150倍!にも緩和したりしている。

 

  さらにジャガイモのポストハーベスト農薬の残留基準値を20倍も緩和した

 り、レモンの防カビ剤も「農薬として使用が禁止されている薬物」を「収穫

 後に使用すれば食品添加物」として認めるというとんでもないウルトラCを

 やってのけたりしている。(米国に脅されればなんでもいうことを聞く)

 

  さらに22年3月から「遺伝子組み換え」について「無添加」「不使用」と

 表示するためのルールが厳格化された。(これまで「意図せざる混入を5%

 以下に抑えて」いれば「遺伝子組み換えでない」と表示出来た。)

  一見厳格化はいい方向と思われるのだが、現実問題として、輸入される

 穀物に、遺伝子組み換え作物がいっさい混じってないと断言することは困難

 である。このため国内の食品のほとんどは「遺伝子組み換えでない」と表示

 出来なくなる。実際表示は消えた。

 

  すると「遺伝子組み換え作物をたくさん使った食品」か「遺伝子組み換え

 作物を基本的に使っていない食品」かを食品表示によって見分けることが不

 可能になる。つまり実質的に遺伝子組み換え作物を作っている穀物メジャー

 の利益になるための「厳格化」だったのである。これもウルトラCだ。

 

  その他新たな遺伝子組み換えジャガイモとか乳牛から無理矢理牛乳を絞る

 薬剤とか発がん性の疑われる作物、食品が穀物メジャーによって(収益アッ

 プのため)作られており、EUだけでなく当のアメリカの消費者もこれらに

 対する反対運動を起こしている。

  それゆえ一層穀物メジャーのいうなりの日本へこうした危険な作物が輸出

 されることになっているのである。一番危機意識も持ってないのが日本の

 消費者だということである。

 

  世界的に見れば日本は禁止されている農薬が最も少ない、最も緩い農薬基

 準を取る国になってしまっている。日本の「食の安全神話」はとうに崩壊し

 ている。

  ( Cf『世界で最初に飢えるのは日本』)

 

  どうしてここまで日本政府は日本人の食と健康を平気で犠牲にしてアメリ

 カの言うなりなのかが一番の問題なのである。

  これは戦後アメリカによる日本占領時代から続く負の遺産である。そして

 「対米従属」を完成させた安倍政治の結果なのである。

 

  Cf 『戦後史の正体』