Windows10のPCのOSをWindows11に切り替える際に起きる問題の一つであるデバイスドライバーが足りない問題についての対処手順のメモです。
Windows11をUSBメモリーを使ってクリアインストールすると必要なデバイスドライバーがインストールされずにセットアップされることがあります。なお、メーカー製のPCではWindows11プリインストールの機種でリカバリー媒体を使って復旧すればこのような問題はありません。
私の手元にあったNEC VersaProタイプVB VB-5は2020年1月モデル(製品発表は2019年7月)です。出荷時のOSはWindows 10 Proでした。すでにNECのWindows11(23H2/24H2)のサポート対象機種から外れてしまっていて、この機種用のWindows11セットアップ用ドライバの配布は行われていません。
一方、マイクロソフトのOS要件であるCPU、メモリやTPM2.0などは満たしているのできちんとWindows11をセットアップできればまだまだ現役で使えます。
2025年2月時点で改めてWindows 11(23H2)のクリアインストールを試したところ、デバイスマネージャーでは３つのデバイスに
「！」が付いていました。
PCIデータ取得およびシグナル処理コントローラー
PCIデバイス
基本システムデバイス
そこで、デバイスマネージャー上で「ほかのデバイス」に分類されてしまい問題のあるデバイスとして登録されて、デバイスマネージャ上に「！」マークが残る状態を解消する方法を探りました。今回の手順では以下の3段階でドライバーの適用を試みます。
手順：
1. Windows Updateで適用できるドライバーを適用して「最新の状態です」になるまでアップデート
2. PCメーカー公式サイトで提供のドライバーを探して適用
3. プロセッサー・チップセットのメーカー公式サイトで提供のドライバーを探して適用
※1で解決しなければ2、2で解決しなければ3を実施する
まずはWindows Updateを適用して23H2として最新アブデート状態にしました。しかし、デバイスの！は変わらず付いたままです。
次は定石のメーカー提供のドライバを探します。これら「！」が付いているデバイスはチップセット関連のドライバなので、PC型番から搭載CPU、チップセットを調べます。
NECビジネスPC情報検索サイト トップページ
https://www.bizpc.nec.co.jp/bangai/pcseek/cgi-bin/top.pl
情報表示メニュー（ベースモデル） VKT16/B-5
https://www.bizpc.nec.co.jp/bangai/pcseek/cgi-bin/cpu_base.pl?BASE=VKT16B-5
VKT16B-5仕様一覧
https://support.nec-lavie.jp/navigate/support/productsearch/bizpc/201907/VKT16B5/spec.html
仕様によると「インテル Core i5-8265U プロセッサー」でチップセットはCPUに統合されているタイプです。汎用のチップセットドライバはインテルからダウンロードできるはずです。PCメーカーのカスタマイズドライバが用意されていることもあるので念のため、NEC配布されているか確認します。
NECビジネスPC ドライバ提供
https://jpn.nec.com/products/bizpc/support/information/index.html
「各OSに対応したドライバを掲載しています。Windows 11 64ビット用 Mate / VersaPro」とあり、2025年現在では2022年発表モデル以降になっています。
2021年10月07日付の Windows 11 へのアップグレード対象機種の一覧（モバイルノートPC VersaPro)
https://jpn.nec.com/products/bizpc/info/news/win11upgrade_b5.html
2018年4月発表のVersaPro タイプVB VB-2以降の機種がリストアップされており、Windows10からのアップグレード(バージョンアップ)インストールがサポートされていました。確か以前はWindows11のクリアインストール用にドライバ提供があったと記憶しています。
しかし現在は配布されていないので代わりに、2022年モデルの UltraLiteタイプVB VB-Dの「Intel社製チップセットドライバ」のINFを適用してみます。
Windows 11 64ビット用ドライバ（2022年発表 VersaPro,VersaPro J,VersaPro E）
→ タイプVA(第11世代CPUモデル) / タイプVL(第11世代CPUモデル) / タイプVE(第11世代CPUモデル) / タイプVF(第11世代CPUモデル) / タイプVW / タイプVM / UltraLiteタイプVB / UltraLiteタイプVC / UltraLiteタイプVGをご利用の場合
タイプVBの後継機種で下記が近そうです。
チップセット Intel社製チップセットドライバ ○342,988bytes
https://search.casnavi.nec.co.jp/download/pc/module/sabun/202210/win11/22q4_tv_chp_08.zip
22q4_tv_chp_08.zipをダウンロード後、ZIPファイルを展開してSETUP.TXTに記載のセットアップ手順「Intel Chipset driverのセットアップ」で適用しました。
※「pnputil.exe」の実行にあたり管理者権限でコマンドプロンプトからコマンドを打ち込む必要があります。
適用が済むとデバイスに付いていた３つの「！」は解消しました。
85のinfファイルのインストールの試行が行われて正常に行われたのが84ということで1つは適用されませんでしたが型番が違うのでそういうこともあるでしょう。
以下がエラーがなくなってきれいになったWindows 11のデバイスマネージャーです。
今回は手順2の段階でWindows 11のデバイスマネージャーのPCIデバイスのビックリマークを解消する操作は
成功です！
ところで組織にはいろいろとビジネスPCを取り巻く事情がありますが、最新AI PCどころか、Windows11に合わせて新しいPCが買える組織ばかりではありません。既存のPCでWindows11が使えれば廃棄せずに済む場合もたくさんあると思います。私は他のメーカー、機種でも今回の方法でドライバーの問題を解決できると期待しています。
PCIデバイス ビックリマーク(！)が付いているエラーで困っている方、Windows11のPCIデバイスドライバ ダウンロードを探している方は、PCメーカーから配布されているチップセットのドライバーや、PCに搭載されているチップセットのメーカー(IntelやAMD)を調べてチップの製造メーカーのドライバーをインストールすると解消できると思います。
クリアインストールならではの問題なので、Windows10にリカバリー後にWindows11にアップグレードすることで回避できます。また、足りないドライバーが特定のハードウェアデバイスの場合にはWindows10用のドライバーを適用してみるのもいいかもしれません。案外、互換性があることも少なくないです。
■関連リンク
・Windows 11 バージョン 22H2 および 23H2 でサポートされている Intel プロセッサ [Microsoft]
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-hardware/design/minimum/supported/windows-11-22h2-supported-intel-processors
・チップセット INF ユーティリティー [インテル]
https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/download/19347/chipset-inf-utility.html
インテルのドライバーについて
インテル コンポーネントのドライバーまたはソフトウェアは、コンピューターの製造元によって変更または置き換えられた可能性があります。機能やカスタマイズが失われないように、ドライバーをインストールする前にコンピューターの製造元にお問い合わせになることをお勧めします。
・プロセッサ/グラフィックスのドライバーとサポート [AMD]
https://www.amd.com/ja/support/download/drivers.html
AMDの自動検出が機能しないときにチップセット用ドライバーを手動で適用をする場合は「製品を検索または参照してドライバーとサポートを入手」のGraphics、ProcessorsなどのリストからはChipsetsを選択します。
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