気付けば8月もあと僅か。インカレまでは10日を切った。実のところブログの更新担当は僕だったのだが、例の流行病・夏バテ・それに伴う追試と延期に延期を重ね、前回の更新から一ヶ月近くが経つという恐ろしく笑えない事態になってしまった。広報担当者として他の部員に対し更新を急かしていた立場でありながら本当に情けない。穴があったら入りたい、とはまさにこのことである。
この場をお借りして部員の皆様にお詫び申し上げます。本当に、本当に申し訳ありませんでした。今後このような事態がないように一層気を引き締めてまいります。
さて、ここ一ヶ月、世間は夏休みである。前述した通り僕自身は体調不良と追試に8月の半分近くを持っていかれ、その事実を実感したのはつい最近のことではあるのだが、そこは「人生の春休み」とも一部では呼ばれているらしい大学生。大きな変化とまではいかずとも大小様々な出来事の詰め合わせとなった8月、まさしくよりどりみどりのハッピー(?)セットである。取り敢えずこの記事では、文章作成のリハビリも兼ねてボート競技に(大なり小なり)関連するここ一ヶ月の出来事を列挙し、読者諸氏への報告としたいと思う。
まずは8月のお盆明け。東日本競漕大会前の練習以降、実に三週間ぶりとなるCOX乗艇であった。舵の当て感や艇運びの際のコールなど、2月末から粛々と積み上げてきたCOXとしての基礎知識が半分ほど吹っ飛んだ状態でのリスタートであった。中高サッカー部で聞かされてきた「練習を一日休むと三日分後退する」という言い回しは、COXという知識がモノをいうポジションにおいてもしっかりと適用されるのか、と妙な感心をしたものである。思い通りに指示を出せない自身の無力に歯痒さを感じながらも、なんとか無事に復帰初日を終えた安心感は形容しがたいものがあった。文字通り熱を持ち、ショートしかけた頭の中では、沢山のクエスチョンマークと過去の自分に対する驚嘆、それにクルーに迷惑をかけたという罪悪感がぐるぐると渦を巻いていた。少しずつコールの感覚を取り戻し、また改善の方向に向かい出した今も、そして成長を重ねていくであろうこの先も、わかりやすい「初心」の感覚として、復帰初日の無力感を心にしまっておかなければならない。そう決意を新たにした一日であった。
翌17日。信濃川レガッタの当日である。COXとしても、またはいちクルーとしても、金大戦において並べの経験こそあれど、公式戦における乗艇は今回が初であった。クルーそのものが経験の浅い女子クオードのCOXとしての出場は、前述の理由もあって心に一抹の不安を抱えてはいたものの、それを跳ね除けるようなクルーの会心の漕ぎに助けられてなんとか種目一位を取ることができた。
…正直なところ、「緊張感」こそあれど「緊張」は直前まで殆どなかった。トップコックスとして、「彼女たちならやってくれる」というクルーへの信頼があったこと。そして何より、そんなクルーの背中を預かる立場としてしっかりと奮起できたことが、そういった心の安定につながったのだと、今振り返ればそう思う。サッカー現役時も、また人前に立った時も、あそこまで落ち着いた心境だった正念場は果たしてあっただろうか。そう思わされるほどの落ち着きであった。ボート競技が「究極のチームスポーツ」と呼ばれる所以の片鱗に少しだけ触れたような400mとなった。
あとあまり本筋とは関係ないですが、優勝の副賞としてトロフィーを頂きましたので、折角ですしクルーみんなでトロフィーリフトをやりました。人生で一度は経験したかった体験の一つなので、素直に嬉しかったです。先行を許した状態からまくって差し切ってくれたクルーには感謝しかありません。ありがとうございました。
以上、蛇足でした。
そして一昨々日。例の流行病により削り取られた肺の機能が7割ほど回復し、痛みと咳が多少の運動に耐えうるレベルにまで戻ってきたという判断のもと、文字通り一か月ぶりのウエイトトレーニングを行った。このひと月で落ちた体重はおおよそ2キロ。普通の体型ならいざ知らず、僕にとっての-2キロは(少なくともCOXとしては)致命的な減少幅である。案の定、自身のベストを上げられない種目が続いた上に、足種目に至っては肩の痛みによりポジションにつくことすらままならない惨状。もはや一周回って笑いがこみあげてくる酷さであり、収穫を強いてあげるなら「怪我をしなかった」点に尽きるだろう。
このままでは秋冬のTTでの記録更新など夢のまた夢。否、それ以前に今後の大会において恐ろしい量のデッドウエイトを背負うことが必至である。完治しない肺の後遺症が焦りと重なって僕を急き立てる。前門の虎、後門の狼とはこのことかと、自身の運命を嘆きたくなる。とはいえ無茶をしても肺はいうことを聞いてくれない。再発のない状態までの回復を優先しつつ、何とか体を騙し騙し筋量を増やしていきたい。それと、例の流行病の余波で急減してしまった食欲・食事量の回復は、ある程度無茶が効くだけに急務としたいところである。
「夢はでっかく、根は深く」
詩人として人間についての味わい深い言葉を世に送り出すとともに、それを独自の書体で表現する書家としての一面も併せ持つ相田みつを氏が夢について書いた詩である。大きな夢を描くためにはそれを支えるだけの豊かな経験や確かな知識が必要になるというこの詩は一見すると当たり前を描いたような内容である。しかし、これを日頃から、しかも常に意識し続けられる人間がどれほどいるだろうか。少なくとも、今の僕がそうであると、胸を張って言えるだろうか。
インカレこそ出場しないものの、その後は新人戦も控えている。それまでもう残り2か月。自分の夢は深い根で支えることができているか、その自省を胸に、残りの日々で研鑽を重ねる覚悟である。
最後に。最近、特に出艇・帰艇時に関する事故報告書を書くことが多い。幸い人命の危険や怪我に繋がる内容こそないものの、COXとしての適格を疑われても言い訳できない状況である。COXのコールや準備中の手順には全て意味があることを理解するとともに、「気を抜いた瞬間に事故が起こる」ことを肝に銘じ、常に考えながら自身の役割を全うすることを誓い、この文章の結びとしたい。
文責:COX・広報・漕手二年 谷村