排尿中枢「橋」。
 膀胱の知覚は脊髄(背骨の中)を上行して橋に到達し、橋はその状況を判断して脊髄神経の下行枝(運動神経)を刺激して排尿を促す。
 おしっこしたくなると、脊髄を介して脳に上り、その情報を脳が受け取り感知し、運動神経にて下りおしっこ・・・となる・・・

 脳幹は、間脳、中脳、橋、延髄から成っており、人間の基本的な生命現象を維持する神経が集中している場所。 
 間脳に含まれる視床は、嗅覚以外の全ての感覚を大脳に伝える働きをしており、その下にある視床下部は、自律神経系やホルモン系の働きを司り、体温、睡眠、性機能等の中枢としての役割も持っています。 
 人間の生命を維持する呼吸、心臓の活動、体温調節等は、脳幹の機能が損なわれると機能自体が難しくなり、脳幹が「命の座」と呼ばれる理由がここにある。
それを踏まえて・・・



 橋(きょう: : pons)は、の部位の一つ。
脳幹の区分(正中矢状断)
 脳幹に含まれ、前後を中脳延髄とに挟まれる。
 脳幹(のうかん: brain stem)は、中枢神経系を構成する器官集合体の一つ。
 自律神経系Autonomic nervous system)は、末梢神経系の内植物性機能を担う神経系であり、動物性機能を担う体性神経系に対比される。
 自律神経系は、内臓諸臓器の機能を調節する遠心性機序と、内臓からの情報を中枢神経系に伝える求心性の機序と言う3つの系から成る。
 交感神経系副交感神経系の2つの神経系で構成されている。
 又、腸管を支配する神経系として壁内腸神経系と呼ばれる神経系もある。
 発生学的には脳よりも早い。
 又、壁内腸神経系を第2の脳とも言われている。
 延髄中脳を合わせて脳幹と呼ぶ。
神経系概観
 延髄medulla oblongata)は、の一部であり、中脳と共に脳幹を構成する。
 脳幹の内最も尾側の部分であって、吻側に橋、尾側に脊髄がある。

 ※解剖学における方向の表現は、正確を期して厳密に定義されている。
 日常の表現とは食い違う事があるので注意を要する。
 解剖学的正位(かいぼうがくてきせいい:anatomical position)

 掌(てのひら)を正面(の向いている方)に向けて真っ直ぐ立った姿勢。

 方向の表現は解剖学的正位を基準にする。
 特に四肢等、向きが変わり易い部分での表現にはこの前提が重要になる。
 但し、解剖学的正位を前提しても尚四肢や等の方向表現は混乱を招きがちなので、より分かり易い表現が好まれる。
 のある方が上(superior)、のある方が下(inferior)である。
 上を頭側(cranial)、下を尾側(caudal)と表現する事もあるが、cranialと言う英単語には「頭蓋の」と言う意味もあるので注意を要する。
 又、「尾側」の用法は脳解剖での用法と一致しない
 脳は神経管の屈曲により発生する臓器なので、神経管における位置を表現の基準にした方が分かり易い。
 又、脳幹は普通の座標軸に対して傾いているので、「後ろやや上方」等と斜めの表現が多くなり易い。
 そこで次の様な軸を設ける。
 誤解の無い範囲で普通の座標を使う事もある。
 脳幹小脳においては脊髄のある方を尾側、中脳第三脳室のある方を吻側と言う。
 間脳大脳においては普通の座標で前を吻側、後ろを尾側と言う。※

 後頭骨に開いた大後頭孔と言う穴を通る。
 背側には下髄帆を挟んで小脳がある。
 嘔吐嚥下唾液呼吸及び循環消化の中枢を含み、生命維持に不可欠な機能を担っている。
 尚、この括りを下位脳幹 (lower brainstem) と呼ぶ。
 又広義では延髄、橋及び中脳に間脳を含める事もある。
 間脳(かんのう: diencephalon)は、大脳半球中脳の間にある自律神経の中枢。
 大脳脳幹小脳から構成され、大脳は大脳半球(=終脳)と間脳から成る。
 又、間脳は大脳半球と中脳の間にある。
 2つの大脳半球に包まれる様にして一つの間脳があり、2つの大脳半球は一つの間脳に繋がっている。
 間脳は中脳に繋がっている。
 間脳は自律神経の中枢である視床下部、種々のホルモンを分泌する脳下垂体体性感覚等の大半の感覚を司る視床等に区分される。
 間脳は大脳半球のほぼ全ての入力と出力を下位中枢と中継する信号の交差点となっている。
 ヒトは大脳が最も発達している事から、間脳も最大である。
 視床は嗅覚を除く全感覚の中継にあたる。
 入力
 視覚と関係があると考えられていたのでこの名称がついている。
 出力 
 中脳が頭頚部の筋肉を直接制御するのに対し、間脳自律神経ホルモン等を介して内臓全体を制御する。
 自律神経
 間脳視床下部にある自律神経核に寄って自律神経である交感神経副交感神経を制御している。
 交感神経は獲物を捕らえる闘争反応や敵から逃れる逃走反応等を制御し、副交感神経は消化睡眠等のリラクゼーション反応等を制御する。
 ホルモン
 間脳は視床下部に寄って脳下垂体を支配して食欲性欲睡眠欲等を制御している。
 又、免疫等も制御する。
 間脳の体温調節機能に働きかけ熱発させるサイトカインにIL-1やTNFがある。
 これ等は炎症時に直接間脳に働きかける事に寄り生体の体温を上昇させ、感染から身を守る。
 第四脳室の腹側壁を成す。
 第四脳室を挟んで背側には小脳がある。
 前腹側から脳幹の外観を観察すると、小脳の腹側から伸びた強大な線維束(中小脳脚)が、脳幹の一部を乗り越え、これを包む様に盛り上がって見える事から、この部位を小脳から出た「」に見立てて、この名がついた。
 延髄の上方に続く部分で、腹方の著しく膨出した橋底部と、延髄の直接の続きである背方の橋背部(被蓋)とから成る。
 橋底部には橋核と言う巨大な灰白質があり、その内部を錐体路と皮質橋核路が貫いて走る。
 灰白質(かいはくしつ)とは、中枢神経系の神経組織の内、神経細胞の細胞体が存在している部位の事。
 これに対し、神経細胞体が無く、有髄神経線維ばかりの部位を白質(はくしつ)と呼ぶ。
 中枢神経系(脊髄)の神経組織は、神経細胞とグリア細胞とに寄って構成されている。
 グリア細胞は、どの部位にも普遍的に存在している。
 一方、神経細胞に関しては、神経細胞体から伸びて張り巡らされている神経線維(軸索)は、何処でも普遍的に存在するものの、神経細胞体そのものが存在する部位は限られており、特定の部位に固まって存在する傾向がある。
 この部位を灰白質と総称する。
 神経細胞体の集まり方は、場所に寄って異なっているので、灰白質の形も様々である。
 例えば、大脳小脳ではその表面を薄く覆う様に存在している(皮質)。
 これ等皮質では、神経細胞体は層構造を成して並んでいる。
 一方、間脳脳幹、脊髄等では、その表面には灰白質は存在せず、内部に、神経細胞体が多数の島状に分かれた灰白質の塊を作る。
 これ等一つ一つの塊を、神経核と呼ぶ。
 神経核は、一つ一つに固有の名称が存在し、特定の機能に関与している神経細胞が集まって存在する部位である。
 灰白質、白質の名前の由来は、新鮮な脳組織の断面を肉眼的に観察した時、白質は明るく光る様な白色をしているのに対し、灰白質は、白質よりも色が濃く、灰色がかって見える事による。
 これは、有髄神経線維のミエリン鞘の主成分として大量に存在しているコレステロールミエリンが白い色をしている為で、白質には、灰白質に比べて、有髄神経線維が多いからと考えられている。
 尚、脳にコレステロールが多く含まれるのは、神経細胞から伸びたコレステロールで被われたミエリン鞘に寄るものであり、神経線維の絶縁性とミエリン鞘の切れ目からのジャンプにより信号伝達を高めているものである。
 橋核の神経細胞は大脳皮質から来た皮質橋核路の線維を受け、反対側の小脳半球へ大量の線維(中小脳脚)を送る即ち、小脳は橋核を介して大脳皮質の支配を受けている。
 三叉神経外転神経顔面神経聴神経といった多くの脳神経核が存在する。
 脳神経が出る部位である。
 脳幹を経由する多くの伝導路が通過する他、大脳皮質からの運動性出力を橋核、中小脳脚を経由して、小脳へと伝える経路等が存在する。

 先ず、脳幹とは脳の一部です。
 中脳、橋(きょう)、延髄と言う部分を纏めて脳幹と呼びます。
 脳幹は生命維持の為に重要な働きを担っています。
 橋は中脳と延髄の間にあり、小脳の腹側にあります。
 中央は脊髄から識別性のある触覚情報を運ぶ上行性伝導路が通り、内側毛帯と言う神経路を作り、これが橋を腹側部と背部に分けています。
 腹側部には橋核ニューロンが散在、背側部には外転神経核、顔面神経核、三叉神経核等脳神経を中継する神経核があります。

 ハッキリ書くと、脳幹の橋とは、大脳と脊髄、小脳を結ぶ伝導路!
 覚醒の中枢で、睡眠にも関わる!
 又、三叉神経、外転神経、顔面神経、内耳神経の伝達の中枢でもある!
 橋がなくなると小脳との情報のやり取りが行われなくなりますから、体で覚える事が不可能になるう!
 これは大脳と小脳の連絡路が絶たれる事と同じ意味!
 よって、脳幹出血があると、バランス不良、四肢の麻痺や2mm以下の縮瞳(瞳孔が小さくなる)、呼吸異常等の症状を引き起こす!

 とっても大事な器官「橋」!