岩手県に前沢牛、岐阜県に飛騨牛、京都府に丹波牛、佐賀県に佐賀牛、宮崎県に宮崎牛・・・石川県には「能登牛(のとうし)」と言うブランド牛がある。

石川県内の生産から販売・流通に至る関係団体で構成する「能登牛銘柄推進協議会」が、1995年(平成7年)に作成した規約に基づいた一定の基準を満たした場合に呼称が許される牛肉の名称だ。

出荷頭数が少ない為、ほぼ石川県内でしか流通していないと言う{出荷頭数が年間930頭(平成28年度の出荷頭数)と少なく、ほぼ県内でしか流通していない。因みに全国的に有名な松坂牛や近江牛の年間出荷頭数はそれぞれ4000頭、5000頭である}。

ならどんな規準を満たせば「能登牛」と名乗れるのか?

1.黒毛和種(毛色が一面に黒又は焦げ茶の、血統が明確であるもの)

2.石川県内が最終飼養地であり、且つ飼養期間が最長(28ヶ月?)

3.肉質等級はA3以上又はB3以上

上記に加え下記条件を満たしたものを特に能登牛プレミアムと認定され専用の認定証や認定シールが発行される

格付けA5の内BMS10以上のもの

格付けA5の内BMS8又は9の場合は、オレイン酸(オレイン酸の命名は、オリーブの油から単離された事が由来)含有率55%以上である事・・・何の事やらサッパリ分からない・・・?

何だよ「A5の内BMS10」だとか?

先ず【国産牛肉】とは何なのか?

国産牛肉は

1.「肉専用種(和牛)」

2.「乳用種」

3.「交雑種(和牛と乳用種の交配)」

4.「外国種」

があります。

国産牛肉の約55%を占めているのが、乳用種や交雑種です。

その内の「肉専用種(和牛)」は

1.黒毛和種(黒毛和牛)

2.褐色和種

3.日本短角種

4.無角和種

の4種類があります。

日本に出回っている、所謂「和牛」は、殆ど黒毛和種です。

全国の和牛の約98%を占めているのが黒毛和種なんだが、黒毛和種の特徴は黒毛の単色で角・蹄(ひずめ)等も黒いです。

脂肪交雑{脂肪(サシ、霜降り)の入り方}、肉の色沢、木目細かさ等肉質が優れた遺伝的特性を持っています。

明治時代から品種改良が行われ、1944年に品種が固定したと結論されています。

三重県の松阪牛・兵庫県の神戸牛・山形県の米沢牛・滋賀県の近江牛等、ブランド銘柄和牛の殆どがこの黒毛和種となります。

北は北海道、南は九州沖縄迄全国各地で飼育されています。

次にA5やらB3とか「格付け」について。

牛肉の「格付け」とは、品質規格に基づいて、「A5」「A4」「A3」…と、ランク分けする事です。

特に「A5ランク」は、最高級の牛肉として、グルメ番組等で紹介されている事が良くあります。

「A5ランク」の牛肉は、最も高く取引きをされると言う意味で、「最高級」と言えるでしょう。

何故「最高ランクのA5和牛が一番美味しい」と言われるのか?

それは、「marbled beef」=霜降り肉を好む方が多いから!

※霜降り肉(しもふりにく)は、食肉の内脂肪が筋肉の間に細かく網の目の様に入っているもの。

筋肉(筋繊維)の間に入った脂肪は「サシ=差す=生じる、入り込む と言う事から(差し)」と呼ばれており、それが細かい程上質とされている。

肩ロース(肩から腰にかけての背肉)やサーロイン等の背肉が霜降りになり易い。

脂肪の多い肉は好みが分かれるものの、鮪のトロ等と同様、高付加価値商品として販売される。

牛肉の霜降りの度合は、一般に脂肪交雑 (BMS: Beef Marbling Standard) で表される。

BMSはNo.1から12迄の12段階があり、数字が大きい程霜降りの度合いが高い。※

市場が霜降り肉を求めているから!

A5!=最高ランク!!=美味しい!!!!

となる。

只、等級は味を直接評価したものではありませんが、味と無関係でもありません。

牛肉の美味しさには脂肪の質が大きく関わって来るからです。

牛肉の等級は、A5、A4、B5の様に「アルファベット+数字」の形で表記されます。

日本食肉格付協会が農林水産省から承認を受けた牛枝肉取引規格に基づいて、等級を決定しています。

アルファベットの部分は霜降り肉と言い、これは「その牛からどのくらい商品となる牛肉が取れるのか」を評価したランクです。

言わば生産性の評価。

AからCの3段階があり、Aが最高ランクです。

より具体的には、牛から頭・皮・足・内臓を取り除いた枝肉(えだにく)と呼ばれるお肉から、第6~第7肋骨間のロースやバラ面積を見て、商品となる部分肉(ぶぶんにく)がどれだけ取れるかを表しています。

部分肉とは、ヒレ、カタ、スネ、サーロイン等の、部位毎に切り分けられたお肉の事です。

1頭の牛から商品となる牛肉がどれだけ取れるかは、市場への牛肉の供給量に直結します。

歩留等級が高ランクの牛が多い程、牛肉を安定して供給出来る様になります。

一方、数字の部分は肉質等級と言い、これは「牛肉の色沢」「牛肉の締まりと木目」「脂肪の色沢と質」「脂肪交雑(脂肪の入り具合)」の4つを総合的に評価したランクです。

1から5の5段階があり、5が最高ランクです。

つまり、A5とは「商品となる牛肉が沢山取れて、脂肪の色沢と質、牛肉の色沢や締まり、木目が良く、脂肪が多く細かい」と言う意味。

基本的に見た目の評価である。

牛肉の味に関する評価項目は無い。

最も低い項目の等級が、最終的な肉質等級となる事に注意!

(言い換えれば、A5やA4な高ランクの牛肉でも、味が美味しいかは分からない・・・)

となると、能登牛の

「格付けA5の内BMS10以上のもの

格付けA5の内BMS8又は9の場合は、オレイン酸(LDL{悪玉}コレステロールを上昇させないと言われており、酸化し難い特質を持っている)含有率55%以上」

の定義では

「A5」なので「商品となる牛肉が沢山取れて、脂肪の色沢と質、牛肉の色沢や締まり、木目が良く、脂肪が多く細かい」肉ですよとなる。

「BMS10以上」だから「ビーフ・マーブリング・スタンダード=脂肪交雑=赤身の肉にどれだけサシ(霜降り)が入っているか→12ランク中、No.12が最良」なので「12段階中10」だから

<因みにそもそもB.M.S.は、脂肪交雑別頭数分布を調査し、No.3~4の流通量が一番多くなる様に設定されているらしい。従って、No.10以上ともなると、中々お目にかかれないんだと。No.11ともなると高級ステーキハウス等の専門店や、高級百貨店で見る事が出来る最上級品がこのランクで、流通量は極めて少ない為、価格もグーンと跳ね上がるレベル>

更に「能登牛」は(肉はオレイン酸含有率が高い程、蕩ける様な食感が味わえるとされています)和牛のオリンピックとも呼ばれる2007年の「第9回全国和牛能力共進会/和牛(黒毛和種牛)の品評会=和牛のオリンピック」で、オレイン酸の含有率が最も多く、脂肪の質に優れていたので「特別賞」を受賞しました。

「能登牛プレミアム」は相当質が良い肉って事に成る。

※※第12回全国和牛能力共進会は2022年鹿児島県で行われる。5年に一回開催されている※※

尚、「能登牛」のルーツは、寛永3年(1627年)に加賀藩の三代藩主前田利常が、能登半島の外浦(日本海に面した海岸)一帯に製塩業を推進、その製塩や薪炭を搬出する際に活躍した役牛を繁殖したのが始まり。

全国ブランドに名を連ねる黒毛和牛の大半は、兵庫県や山陰地方等から仕入れた種牛がルーツになっています。

能登牛は、明治25年(1892年)に兵庫県の但馬地方から仕入れた3頭の種雄牛がルーツで、大正13年(1924年)には鳥取県から8頭の牛を導入し、その後毎年計画的に導入した牛が、能登牛の元祖になったと考えられています。

この頃は主に農耕用を目的とした四肢、前駆が屈強な牛が導入されていました。

石川県が兵庫県美方郡{香美町(かみちょう)や新温泉町(しんおんせんちょう)がある所}から種雄牛を1頭仕入れた昭和9年頃から、霜降りが入った上質な肉が出来る資質型の兵庫系と、体が大きくなる体積型の鳥取系の和牛一代雑種の生産が奨励され、これが体積に富み、資質良好な和牛として高く評価されました。

現在の能登牛は、この和牛一代雑種に更に兵庫系の雄牛を交配し、和牛の改良を目指したものがベースになっており、肉質の木目の細かい、良質のブランド和牛として高く評価される迄になっています。

そんな「能登牛」が食べたいんだけど・・・

お金が・・・(; ;)ホロホロ

誰ぞ「牛や榮太郎武蔵店」とか「能登牛焼ごろ 匠八」とか「てらおか風舎 金沢店」「能登牛焼肉 すずや」「YAKINIKU&STEAK 銀」に連れてってくれないだろうか?